古代インド歴史映画「アショカ」

  2001年インド製作。

 インドには、歴史映画は多数あるものの、どれも典型的な、歌と踊りの娯楽インド映画と聞いていて、歴史作品とい うよりは、オペラの「トゥーランドット」とか「蝶々夫人」のようなものを想定していたので、これまであまり関心はなかったのです が、深圳書城でたまたま目 にしたパッケージがまともな歴史映画という感じだったので買って見てみました。

 王子アショカが、父王ビンドゥーサラに命じられ、タキシ ラの反乱を鎮定するところから始まり、王座を巡る陰謀から逃れる為に身分を隠して諸国を放浪し、同じように内紛で国を離れ、身分 を隠して逃亡していたカリ ンガの皇太子(6歳くらい)と姫と出会う。あっという間に姫と恋に落ち、弟のようにカリンガ皇太子をかわいがることで人間らしさ が生まれてきたアショカだ が、反対派に見つけ出された姫が暗殺されたと誤解したことと、王宮に召還され、弟に命を奪われそうになり、返り討ちにしたことが 切っ掛けとなり、国王即位 後、征服戦争に血道をあげる残忍な支配者に豹変する。

 一方、王宮に戻ったカリンガの姫は、マガタ国の侵攻の前に、軍の先頭に立ってアショカ軍に立ち向かう。そこで目にした驚愕の事 実。愛した男は憎むべき敵国の王だった。。。。

 とまぁ、ご都合主義盛りだくさん、安易で先が読め過ぎるストーリ、お約束の展開と、突っ込みどころは多い筈なのですが、美しい 映像、スピーディーな展開、いつの間にか話に乗せられ、ハラハラドキドキ、飽きない内容でした。

 とはいえ、インド映画お得意のミュージカルシーンは、2度入ってました。あまりに映像が美しすぎる為、もはや映画というより、 ミュージックビデオとなってます。





  暑くて熱気が充満している国のはずなのに、このような透明感のある映像が生まれるのは驚き。映像が美しいのはいいのですが、あま りにキレイ過ぎて、もはや 古代の香りは殆どしなくなっています。遠い未来を描いたような感じさえしてきます(神坂智子の漫画「シルクロードシリーズの最初 の方が、たしか遠い未来の インドの話だった気がするのですが、それを思い出しました)。

 衣装も建築物も、古代というより中世(10世紀頃)という感じがします (古代インドについての知識が無いので、あくまで印象ですが)。とはいえ、全体としては歴史映画になっていたと思います。下記は ラスト、いままで戦争後の 戦場など、振り返ってみたことのなかったアショカが、僧侶たちなどが遺体処理作業をしている腐乱した死体の散らばる戦場に出向 き、カリンガ王子と姫を見つ け、死に行く王子を抱いて絶叫する場面。



背 後に月が出ているなど、悲劇でありながら美しい。こんな調子で、多くの歴史映画がインドで作られるようになってくれると嬉しいと 思いました。「エリザベ ス」の監督が、インド人というのも頷けます。ひとつ不満なのは、オリジナルは、179分となるのに、私が見たのは133分版。王 弟の死に残忍さに目覚めた ところから、諸国を征服するあたりが、はしょられているような感じがしましたが、ひょっとしたらこの部分がカットされていたのか も。いづれ179分版も見 てみたいと思います。

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