「鄂乐多斯史海鈎沉」という、内モンゴル自治区のオルドス(鄂尓多斯)出土の文物を扱った書籍
が文物出版社から出ています。198元(3000円強)と高
額なのですが、たった7枚とはいえ珍しい壁画が掲載されていたので、思わず購入してしまいました。それが、鳳凰山漢墓、米蘭壕漢墓、嘎魯
図漢墓(凤鳯山汉
墓、米兰壕汉墓、嘎魯图汉墓)の壁画です。当該書籍はGoogleでもひっかからず、当当網という書籍出版サイトにも登録がありません。
ネットで入手でき ないような書籍となると、ここで紹介しても情報的価値はあまり無いのかも知れませんが、一応紹介します。
中国古代の壁画の特徴は、赤と
黒、及びその中間色(茶)の色調で描かれるものがほとんどですが、掲載されている3つの墓の壁画では、黒と赤に加え、青色(正確には水
色)が使われている
点に大きな特徴があります。また、豪族の邸宅風景が描かれ、邸宅の建築物の構造や、生活する人々の風景が、画像石などに比べると、よりリ
アルな印象を与え るものとなっています。
漢代の壁画も、かなり沢山発見されてきているので、そろそろ漢代壁画だけを集成した美術書が出てきてもいいよ
うに思えます。題材も、車馬出行図、宴会図、豪族の邸宅、農村の風景、放牧地の風景、狩猟図、夫婦の図など、種類も増えてきていており、
漢代の世界がかな り具体的に把握できる段階に来ているように思えます(因みに画像石や、陶俑(陶器の人形)の書籍は出ています)。
7枚の壁画の為だけに
3000円は少し高いかも知れませんが、巻末には、オルドスの博物館の紹介などもあり、色々有用な情報が掲載されているようです。今回は
じめて、秦直道博
物館、蒙古歴史文化博物館などを知ることができました。現代アートのオブジェかなにかにしか見えない、鄂乐多斯博物館新館のイラストも掲
載されていて、ど
ういうわけか、この地域の史跡にあまり興味はでてこないのですが、博物館巡りをしてみるのもいいかも、という気になってきました。