漢代の地方の社会と生活に詳しい漢代南陽の情報サイト「人文南陽」の紹介

 



 

 「人文南陽」は、中国の南陽市のサイトで す。南陽というと、後漢建国者劉秀や張衡の出身地、大量の画像石の出土地、というくらいしか知りませんでしたが、本サイトを見て、楚の初期の都や楚の長城 遺跡や非常に多くの漢代遺跡があり、漢代には鋳鉄や水利事業でも有名であること、民間の生活についても多くのことが描かれていることに驚きました。漢代の 南陽について、下記の内容のページが掲載されています(実はもっとあるのですが、私が特に関心のある社会に関するものをとりあえず列挙しています)。

 
楚と漢代の遺跡祭祀風俗飲食風俗葬制葬俗狩の風俗民衆士俗音楽舞踊書法雕塑芸術漢画建築スポーツ雑技官僚集団の教育政策、歴代郡守の教育政策私学教育漢代になされた水利事業の一覧や農業に到るまで、膨大な量の情報が掲載されています。これだけで一冊の書籍が成立しそうです。誰か翻訳して出版してくれないでしょうか。5000円前後くらいまでなら絶対買います!
  それにしても、南陽という一地方だけで、これだけの情報量があることに、漢代の社会の発展ぶりを垣間見ることができます。南陽の発展も、劉秀の出身地だか ら発展したのだと思っていたのですが、事実はその逆で、南陽が発展していたから、南陽の豪族による後漢の建設を可能にしたのだという認識に変わりました。

 なお、
「人文南陽」のトップページの右下に、特に漢代のコーナーが設けられていますが、先秦、両漢、魏晋南北、隋唐、宋元、明清など毎に思想や文学も扱っています。

 私は、軍事・政治よりも、一般の社会生活に興味があり、中央や宮廷の華やかさよりも、地方文化の充実にこそ、文明の発展というものがあるのだと考えています。「人文南陽」の
漢代になされた水利事業の一覧や農業ペー ジにも一覧が記載されていますが、民衆の為に水利事業に心を砕いた多くの地方官吏がいたことを知ると嬉しく、また楽しくなります。中央の文化発展も重要な 人類文明発展への貢献であり推進力だと思ってはいますが、国や文明圏の全土に展開し、全土の人々に共有されてこその文明だと思うのです。中央だけ突出した 文化は砂上の楼閣のようなもの。それもまた儚く美しいものだとは思うのですが、地方の民衆に広く根付く文化こそ力強く後世に残りうる文化であり人類への貢 献だと思うのです。

 

BACK