2003/3/9 
当時の発音による古代イラン王名一覧



 
  慣用的に用いている発音は一体いつの時代のものなのでしょうか? 我々が通常 ダレイオス とか、 ホスローとかと呼んでいる人名は実際の呼び名だったのでしょうか? 以下に少し整理してみました。 大体アケメネス朝、パルティアは当時のギリシャ語文献の発音が慣用的に利用され、ササン朝については近世ペルシャ語文献の発音が利用されているようです。こうして見てみると、長い歴史の中で徐々に発音が変化していったもの、何度も他民族に征服され、各民族で異なった発音となっているものなど様々であることがわかります。
  
古代ギリシャ語 古代ペルシャ語 パルティア語 中世ペルシャ語 近世ペルシャ語 アラビア語 その他
ダレイオス ダーラヤーワウ   ダーラーイ     ダリウス
アルタクセルクセース アルタクシャサ アルシャク アルダクシール アルダシール   アルタフシャスラー
(メディア語)
アルタシャスタ(?)
アルサケス    アルシャク アルダシール アルダシール アルダシール  
アルタバノス     アルダワーン      
             
クセルクセース クシャヤールシャン            
アケメネース ハカーマニッシュ          
キュロス クル            
カンビセス  カンブージャ          
ゾロアスター ザラスシュートラ    ザルドゥシュト      ツァラトゥストラ(ドイツ語?)
ペルシス パールサ   パールス   ファールス ペルシャ
パルティア パルタワ パルタウ         
  ハグマターナ         エグバタナ(メデイァ語?)
     フルム フロ−ム   ルーム ローマ
      ワラフラン*1 バフラーム バフラーム  
         ヤズドクルト ヤズダギルド ヤズドジルド  
シャーブール     シャープフル シャーブール サーブール シャープール 
         フスラウ コスロウ  キスラー ホスロー
        カイサル カイサル  カエサル 
      アノーシャグルワーン アヌーシャールワーン    
ナルセス       ナルセー ナルシー  
        ペーローズ ファイルーズ フィローズ(トルコ語?)
  アフラマズダー   オルズマズド ホルムズド ホルムズ  ホルミズド
      カワード カワード クバード  
        アバルヴェーズ アバルヴィーズ パルヴィーズ 
ヴォロゲセス       ヴァラーシュ    
ヒスタスペス     ウィシュタースプ グシュタースプ    
        ブーラーン ブーラーン ボ−ラーン 
      バーバグ パーバク バーバク  
      ワズルグミフル ブーズルジュミフル*2    
      フィレードゥーン フレード−ン    
      ツラン     トゥーラーン
             

*ワラフラン1世の後発音がバフラームに変わった可能性あり。ナルセス碑文でも示唆されているが紀元300年頃を境にパフラヴィー語が少なくとも碑文では消え、中世ペルシャ語へ変わってゆくとのことなので、ヴァラフランはパフラヴィー(パルティア)語なのかもしれない?(要調査)
*2 buzurgは現代ペルシャ語で「偉大な」という意味

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