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 小説「渚にて」のラストの地

 ネビル・シュートの小説「渚にて」は、高校時代に読んで以来、もっとも好きな 小説のひとつです。オーストラリアのメルボルンが舞台なのですが、ラストシーンの舞台となった、メルボルン郊外の場所へもい つかは行ってみたいと思っていました。で、2002年の正月と、ずいぶん前の話ですが、たまたま行くことになってしまいまし た。

 元々はオーストラリアのシドニーに移住した友人を訪ねただけで、シドニー以外へは行く予定は無かったのですが、3日目に大 喧嘩してしまい(なんかそうなる気がしてたんですが、その通りになり)、4日目の朝、ダイニングのテーブルにメモを残してそ のままカンタスのオフィスへ直行、カウンターで4日後の夕刻の帰国便と伝え、3泊4日でいけるどこかいいところないか?と相 談したところ、メルボルンに行くことに。その時点ではまだ特に、『渚にて』ゆかりの地へ行くつもりは無かったのですが、たま たま、夜景を見にいったなんとかいうメルボルンの超高層ビルの展望台で出会った、メルボルン在住の、日本人ツアー客のガイド の人と会話した時に、『渚にて』の話題を出したようなのです(ようなのです、というのは、この旅行については、記録や資料が 一切残っていない為。通常の遺跡旅行と異なり、空港のインフォメでもらったパンフレットを元に、誰でも行くような場所しか訪 問しなかった為、特に資料を残さなかったと思われます。なので今回の記載も全て記憶を元に書いています)。

 その方は映画も小説も知らなかったのですが、「図書館に行けばおいてあるかも。旅行者でも利用できるから、行ってみたら」 との情報をもらい、翌日朝、市立だか州立だかの図書館に行き、1週間限定の旅行者用テンポラリーカードを発行してもらい、借 りることができました。早速ラストのページを開いて、地名を読み、地図と参照すると、約150キロも南の町の郊外にある岬で あることが判明。翌日午前中の便でメルボルンを発ち、夕方の便でシドニーを発つことになっていたので、時間があまりありませ ん。日帰りするか、フライトに間に合わないことを覚悟で宿泊する賭けに出るか、レンタカーを借りるか、列車とバスにするか考 えた挙句、何故そうしたのかわからないのですが、列車で行くことに(友人のところで車を運転しており、国際免許は持っていた 筈なので、何故レンタカーにしなかったのか、まったく記憶にありません)。で、行ってきたのが下記写真の場所。メルボルンから南、ポートフィリップ湾の西側の突端部のロンズデールという岬で す。到着した時はもう結構夕方。落ち着いてのんびりしたいい場所でした。





 ところが!

 今この記事を書くために、Google Mapで写真に写っている場所を確認し、ついでに創元社版『渚にて』の最後のページを確認したところ、ヒロインが最後に立つ岬は、ロンズデール岬ではな く、そこから10qほど離れたバーウォン岬だと判明。図書館で参照した時、コピーを取らず、場所をメモした だけだったので、慌てていて読み間違えたのか、確か列車は途中のジーランド(メルボルンから120q南)までで、そこから2 回バスを乗り換えた筈なので、日帰りできるバーウォン行きのバスが無く、ロンズデール(ロンズデール岬もラストシーンに登場 している)を選んだのか、今となってはまったく不明なのですが、訪問した場所を、ヒロインが最後に立った場所だとずっと信じ ていたので、衝撃を受けてます。。。。。。    

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