古代ローマ歴史ドラマ「ローマン・ミステリーズ(オスティア物語)」
(2) 第一話から第五話の紹介



 
第一話 ヴェスヴィオスの秘密 79年8月

 オスティアの城壁の外の森で奴隷商人に追いかけられているフラビアをジョナサン少年が助ける。これがきっかけで ジョナサン一家(モルデカイ家)とフラビア一家(ジェミナス家)は知り合いになる。両家とも父子家庭だと知る。その頃オス ティ ア港ではアフリカで購入された奴隷たちを乗せた奴隷商人ヴェナリキウスの船(下左)がオスティア港(下右)に到着していた。 フラビアは父と港近くの市場に来たおり、奴隷の子供達が陸揚げされるところに出くわす。



 到着するなり奴隷商は港で奴隷の競売を始める。フラビアは黒人奴隷の中に自分と同じくらいの年頃の少女がいるのを見て心が 動かされ、父がフラビアにプリニウスの最新作を購入するおこずかいとして渡した300セステルティウスで黒人少女の奴隷(ヌ ビア)を購入しようとする。父親が値段 の交渉を始めるが、奴隷商は600セステルティから一切値下げせず、結局父親が400セステルティを支払い、差額はフラビア が、自分のネックレスを追加して落札したのだった。

 フラビアはモルデカイ一家と一緒にポンペイ近郊の海岸沿いの土地で農業を営んでいるフラビアの叔父さんの家を訪ねることに する。一種の夏休みである。フラビア家の船でオスティアからナポリ湾へ向かう途中、溺れている人を発見し救助する。ストリー トキッズだったルーパ スが密かに船に乗り込んで隠れていて、すかさず飛び込んで救助する。救助されたその人は世に聞こえた大学者大プリニウスだっ た。プリニウスは海の温度上昇(火山活動によるものや死魚の発生原因を調べていて溺れたのだった。
 
 ポンペイ到着後、港のレストランでプリニウスや迎えに来た叔父ガイウスと会食した後、プリニウスは自著の巻子本をフラビア にくれて船で去ってゆく。ポンペイの港には奴隷商人ヴェナリキウス一味が来ていて、嫌なものを見かけたフラビアとヌビアは気 分が悪くなるのだった。フラビアの父ガイウスは、叔父ガイウスのところにフラビアたちを預けてそのまま商旅へと去ってゆく。 ポンペイから叔父さんの農園に行く途中の道は、道路の山側の沿道に石が積み上げられ簡単に沿道整備工事がされていることがわ かる。



 更に左上のナポリ湾の映像では、手前に農地が描かれている。凝った映像が続いて 嬉しい。


叔父さんは数人の奴隷を雇う小規模農場を経営している。下左上が叔父さんの家。その他3つの画像は、叔父さんの家の窓から一 望できるナポリ湾を見ているところ。



 フラビアは、ナポリ湾に見える町を、西からミセヌム(大プリニウスが勤務する艦隊基地)、ナポリ、ポンペイとジョナサン、 ヌビア、ルーパスに説明する。叔父さんの家の部屋の壁画は、100年前に描かれたかのようにくすんでいて、フラビアの家とは また異なっているところも芸が細かい。

 夜食事中、及び翌日昼、フラビア達が庭で遊んでいる時に地震が来る。その翌日海辺に近隣の人びとが集まり、ヴェスヴィオス 火山の怒りを沈める祈りの儀式を執り行う。フラビアは、書籍に記載された情報やこのところ続く自然現象に6日後の噴火を予想 する。叔父さんはまったく取り合ってくれないが、翌日にはモルデカイもフラビアの意見に同調し、とうとう叔父さんもフラビア に説得され、しぶしぶながらフラビア、ルーパスを乗せてプリニウスに知らせる為に船を出す。一方モデルカイは叔父さんの家人 たちに避難を呼びかけ、周辺住民とともに海岸に集まる。

 プリニウス邸に駆け込んだフラビアは、プリニウスに火山噴火の予想を伝える。左下は、プリニウス邸でヴェスビオスの噴火に 関する過去の著作を調べるフラビアとプリニウス。左の後ろ姿は甥の小プリニウス。左下の机の上に立てかけてある板は、右した の、ヴェスヴィオスとポンペイの絵。



 フラビアが指し示した部分をレンズを用いて読むプリニウス。プリニウスの著作にはレンズに関する記載も出ているので、この 部分はその記述に因んでいるのだろう。そうこうしているうちに遂に噴火が始まる(右下)。



 火山が爆発をはじめたというのに、なんと、フラビア、ルーパス、叔父3名はプリニウス艦隊とともに出撃してしまう。船のう えに落ちてきた岩石をすかさず水で冷やして分析するプリニウス。叔父の農場周辺にも火山灰が雪のように降り積もる。プリニウ スとともに叔父の農場のある海岸に戻ってくるフラビア。昼間であるのに、火山灰で空が覆われ、夜のように暗くなる。かつてな い大爆発が起こり、海面を這って爆風が対岸の、フラビア達のいる海岸まで来るのを予想したフラビアは、海岸に集まった付近の 住民に、爆風が来る瞬間、海に入って水に潜るのよ!と説得する。以下は、爆風に吹き飛ばされ炎上する海岸の小屋と林、爆風が 通り抜けた後、海から上がる人々。



 喘息もちだったジョナサンは意識不明の重態に陥る。残念ながらプリニウスは逃げ遅れた。今わの際のプリニウスは著書をフラ ビア渡す。



第二話 ポンペイの海賊達 ヴェスヴィオスの噴火から4日後
 

 白く灰で埋まった海岸は難民キャンプと化していた。海岸を散歩していたフラビアとヌビアはポンペイの町が消滅していることに気 づき衝撃を受ける。死線をさまようジョナサンは、皆の掛け声とヌビアの笛の音に意識を取り戻す。夜、難民キャンプでは演奏や演劇 をして慰める。奇怪な仮面劇に泣き出す幼女もいる。

 災害を免れた近所の貴族フェリクスが海岸に支援テントを立てる。その貴族の家にフラビア達は招待されることになる。貴族の家に 行くと、我がまま令嬢プリクラを紹介される。フラビアとヌビアが一緒にプールに入っていると、プリクラに奴隷(ヌビアのこと)は 出ろと、プールから追い出されてしまう。この貴族の家では奴隷とローマ人は厳しく区別されていた。しかも、ヌビアは邸宅の裏で、 商品の黒人奴隷が鎖に繋がれているのを見付ける。この貴族は奴隷商人なのだろうか?(下左が貴族の邸宅。右はその広間で歓待され るフラビア達)。



 一方、フラビア、ジョナサン、プリクラと彼女の奴隷は、奴隷商人ヴェナリキウス(第一話で登場していたヌビアを連れてきた奴隷 商)につかまり、洞窟の中に連れてゆかれる。そこには百人もの誘拐された子供たちがいた。夜、沖合いの船に乗せられる。アレキサ ンドリアに向かい、そこで売ることを計画しているらしい。それをみていたルーパスは、フェリックスに伝えに走る(フェリックスが 全ての黒幕かも知れないのだが)。

  奴隷商人と通じていた黒人奴隷は、ヌビアを解放させる。ヌビアは、ジョナサンがもっていた幻覚剤を受け取り、こっそり水差し に入れる。プリクラまで誘拐したのに、一味のローマ人でフェリクスの従業員プリスクスが気づき、海賊達に、プリクラを誘拐したの は間違いだと怒る。そうこうしているうちに薬の効き目が現れ、海賊たちは幻覚をみて海に飛び込んだりする。その隙にヌビアは子供 達の縄をとく。そこに奴隷商人ヴェナリキウスが乗り込んでくるが、子供達が小麦粉やものを手当たり次第投げつけて抵抗しているう ちに、プリクラの父親が部下達とともにやってくる。こうして助けられた子供たちは、難民キャンプの親元に無事戻ることができたの だった。 プリクラもヌビアに笛を弁償し、仲良しになるのだった。


 第三話 ローマの暗殺者 79年9月

 死んだとされている母の夢を見るジョナサン。そこにオスティアにやってきた叔父シメ オン・セカリアから、母親は生きていて、皇帝ティトスの宮殿で奴隷にされている、聞かされ、ジョナサンは叔父とともに夜 密かにローマに向かって旅立つ。叔父シメオンは元ゼロテ派の残党でお尋ね者だった(ゼロテ派とはユダヤで叛乱を起こし、 ヴェスパシアヌスとティトスに鎮圧されたユダヤ人過激派。ゼロテ派の叛乱については「マサダの砦」という連続ドラマがあ る)。ジョナサンは蠟板に「母を捜しにローマへ行く」と置手紙を残す(下右)。翌日シメオンを追ってローマ兵士がモルデ カイ家にやってくる。連行されるモデルカイ(下左は夜のオスティア港)。




 家を抜け出してモルデカイに会いに行くフラビア。ジョナサンがローマに向かったと知ったフラビアは、ヌビア、ルーパス とともに商人の荷馬車に乗せてもらい ローマへ向かう(下左)。下右は皇帝宮殿正門(ネロ帝が作った黄金宮殿らしい)。

 

 シメオンとジョナサンは皇帝の弟ドミティアヌスの宴会に紛れ込むことに成功するが、そこには「ユダヤ古代誌」などの著 者として後世に名を残すフ ラヴィウス・ヨセフスが いた。昔の仲間であるヨセフスのお陰であっさり身元が割れて、二人は逮捕されてしまう。そうしてジョナサンは奴隷の焼印を押されてしまうのだった。その” 裏切 り者”ヨセフス。
 
 

 一方ローマに到着したフラビアやヌビアたちは、あまりの雑踏にまっすぐ歩けない(下左がローマの雑踏。奥に見えている 高層建築物に驚くフラビア達)。そこで輿(タクシー)に乗ることにする。ローマ訪問の目的を忘れたかのようにはしゃいで 街を見学してしまうのだった(下中央)。街中で闘技場に向かう剣闘士の一団とすれ違う。その中にヌビア人女剣闘士がい た。その女剣闘士は、ヌビアに気づき、ペンダントをヌビアに渡す(下右)。



 
 シメオンを探すフラビアたちは、モルデカイに紹介された、今はローマの移民地区 に住むユダヤ人シジフォス邸を訪ね、そこで下町のユダヤ人組織?の情報を得たフラビア達は、夜の酒場で皇帝宮殿への 侵入方法と地図をゲットすることに成功する。宮殿に搬入される穀物袋の中に潜んで宮殿に入り込むのだった。



 しかし宮殿は広かった。図面を持っているものの、迷ってしまう。結局迷って捕まって牢屋入り。でも脱出する。

 一方少女に案内されたジョナサンは母の夢に出てきた地下噴水の場所に来る。そこ に母スザーナがやってきて母子は再会するのだった。フラビアたちが二人のもとにやってきた時に、ゼロテ派残党の暗殺 者が来る。フラビアたちはスザーナとジョナサンを逃がし、暗殺者を追う。追われた暗殺者は、皇帝玉座の天井から落ち る。この宮殿天井のガラスのドームは、ネロ帝の黄金宮殿の天井がガラスのドームだったという話に基づいているものと 思われます。下右が驚いて天井を見上げるティトスと家臣達。



 フラビア達は、正装させられ、皇帝との晩餐会に出席させられることになる。



 宴会の様子。椅子がホテルのロビーにある椅子のような感じ。この椅子は色を塗り替えて第五話のヨセフスの史 書作成室でも登場してました。右下は、蛇の料理のようである(蛇料理の向こうにいるのがヌビア)。



 実は、ジョナサンの母スザーナは、皇帝の愛人となっていたのだった。子供向け番組としてはちょっとショックな展開か も。右が「君を愛してるんだー」と語る場面でのティトス皇帝。41歳で死去してるんだけど、もう少し老けて見えます。そ の右がジョナサンの母スザーナ。女優の羽田美智子さんに似ています。左は、ドミティアヌスの宴会の場面。中央寝椅子に寝 そべって背中を向けているのが皇弟ドミティアヌス。その向こうに腰掛けている白い服の男がヨセフス。
 


 皇帝との宴席で、フラビアに説得?された(暗殺者から救ったことをネタにゆすられたといえるかも知れない)皇帝は、な んと宮殿に仕える奴隷女たちを解放することにする。宮殿を一斉に去る女奴隷たち。突然解放された奴隷達はどこで 働けというのだろうか。解放して改めて雇用すればいいのに。再雇用先は紹介されたのだろうか。それとも元々帰るところの ある人々が宮殿で働かされていたのだろうか。とにかく宮殿の正門から母スザーナも出てくる。しかし、解放されたけど戻ら ないと母はジョナサンに告げる。実は、母は、誤って奴隷の焼印を押され、公式的には奴隷となってしまったジョナサンの解 放 と引き換えにティトスの元に留まることにしたのだった。ちょっと意外な展開でした(でも第五話で続きがある)。



第四話 ラウレティウムのイルカ 79年10月


 ぼろぼろになった瀕死のフラビアの父が戻ってくる。船が難破して命からがら生還した のだった。モルデカイに手当てしてもらい、しばらく寝たきりとなってしまう。一方、町で奴隷商人ヴェナリキウスをみかけ たルーパスは後をつけて浴場に入る。浴場で剣闘士に向かって、蝋版に剣の絵を描いてヴェナリキウスを殺してくれ、と頼む が、10万セステルティウス持ってこい、とかわされる。こんな子供に殺人の依頼をさせるなんて、世の中どうなっているん だ、という目で見送る剣闘士 の表情がちょっとよかった。

 ところで、ヴェスヴィオス噴火で農地が灰に埋まってしまったフラビア叔父さんがオスティアのフラビア家に避難してきて いた。ジョナサンが偶然みかけてしまうミリアムと叔父さんの仲がちょっとあやしい。

 フラビアの家に突然家財差し押さえ人がくる。難破して商材を失ってしまったため、事業破綻となり、投資家たちに財産を 差し押さえられたのだった。差し押さえ人の中の一人にガイウス・プリニウス・セクンドゥス(小プリニウス)がいた。フラ ビアは第一話で知り合いとなった小プリニウスになんとかしてとすがるが、まだ青二才のプリニウスに何ができるわけでもな く、フラビアが隠し財産?(とヌビア(ヌビアは奴隷なので家財と見なされる)を隠すのだけを見逃してくれる。結局家とヌ ビア以外の奴隷と家財道具一切取り上げられてしまったフラビア一家は、まだ怪我で寝たきりの父マーカスをモルデカイ家に 残し、オスティア南方にある小プリニウスのラウレンティウムの別荘に厄介になることになる(プリニウスの別荘に行ったの は、フラビア、ヌビア、叔父ガイウス、ジョナサン、ミリアム、ルーパス)。左下が小プリニウス。ひ弱そうないかにもおぼ ちゃんとして描かれている。




 プリニウスの家からイルカが飛び跳ねているのが見える。ある日海岸にピクニックに出たフラビア達とプリニウス。海に出 てルーパスが潜って廃船を見付ける。イルカ遊びをする。叔父さんが網漁でとった蛸をみて逃げ出すルーパス。蛸にはなにか 嫌な思 い出があるらしい。ルーパスが見つけた沈没船の話をすると、プリニウスは、このあたりに財宝を積んだ沈没船の伝説がある という。プリニウスは、もしその財宝が手に入れば、借金を返済してあらたに事業を始めるのに十分だとフラビア達をそその かすのだった。下はプリニウス別荘の台所でのルーパスとヌビア。



 こうして沈没船探検を開始した叔父さんとフラビア、ヌビア、ルーパス。潜水して探検しているのはルーパスだけ なのだが。。。ルーパスは潜っている時、壷に足を取られ、さらに大嫌いな蛸、それも大蛸が廃船の中に潜んでいてパニック となり息切れとなるが、イルカに助けあげられて浮上する。ルーパスはしばらく寝台で寝ていたが、目を離したすきに叔父さ んと一緒にまた海に出てしまう。実は、他の財宝探検家がきて引き上げを始めていたのだった。しかも、潜っていたのは奴隷 商人ヴェナリキウスたちだった。ヴェナリキウスは蛸に襲われ、ルーパスが助ける。

 溺死一歩手前に陥り譫妄状態に陥った奴隷商人は、ルーパスの兄を襲って殺したことを告白する。その現場に蛸がいたた め、ルーパスは蛸を恐れるようになったのだった。ヴェナリキウスはルーパスに告白し、鞄を渡して死ぬ(奴隷商人はルーパ スの叔父だったようである)。引き上げることができたのは貝などがびっしり張り付いた古代ギリシアの壷とその中にはいっ ていた古代ギリシアの陶器だけだった。フラビアは陶器をプリニウスに見せたところ、プリニウスは骨董品として莫大な価値 があると鑑定する。フラビアはプリニウスに買わせることに成功するのだった。

 これはなあ。ちょっとプリニウスも気の毒 だった。断れないよねえ(下はプリニウスのラウレントゥムの別荘のバルコニーと小プリニウスと交渉するフラビア)。

 

 こうしてフラビア家は一気に以前よりも富裕になってしまうのだった(この後オスティアで住むことになる新しい家は以前 の家よりも広い庭付きの家となる)。

 奴隷商人ヴェナリキウスをフラビア達は海岸で荼毘に付して終わる。憎まれ役だった割には結構な参列者がいてちゃんと祭 式を整えた荼毘で、ルーパスが火をつけ、見送るのだった。





  第五話 ユピテル神の敵対者たち 80年2月


 オスティアに戻ってきたフラビア家。フラビアの父親もすっかりよくなり、新たな商船を購入し、次の出航準備に忙しい。その頃オ スティアを含むローマ近郊では疫病が流行していた。ある日、ジョナサンはミリアムから、父親が再婚しようとしていることを聞かさ れる。この夜、ジョナサンがなにやら手紙のようなものを書いている。書置きを残してローマの母親の元にいくのかも知れない(と思 わせておいて、この手紙が何だったか、後半で判明するのだった)。

 翌日、ローマの宮廷から疫病対応のため、ローマの蛇の島にあるアスクレピオスの寺院で一時働くよう医師モルデカイの元に招聘の 使いが来る。フラビアも父親にお願いして、ヌビア、ルーパスを連れて一緒に行くことに。

 フラビアたちがローマのアスクレピオスの寺院に到着後、皇帝が寺院に訪問してきたのでフラビアは皇帝のテントに面会にゆく。衛 兵にさえぎられテントに入れてもらえないフラビアが騒いでいると、皇帝が、またきおったか小娘、みたいに出てくる場面がよかっ た。テント内では占星術師たちが天文解析などをやっているのを見て、フラビアは、大変なときに一体何やってるのですか、と容赦な い。皇帝は、「プロメテウスがパンドラの箱と開く時、ローマは滅亡する」という夢のお告げがあったのだ、とフラビアに告げる。古 代においてはかなり科学的思考が発展していたと考えられているローマでも、夢占いが相当力を持っていた側面が描かれています。皇 帝侍従(?)アガトスのはからいでジョナサンは母親の元に案内され、一方プラビア、ヌビア、ルーパスたちは、パンドラの謎に取り 組み、ヨセフスの意見を聞きに史書作成官房を訪ねる(蛇の島という場所は皇帝宮殿の敷地内にあるような展開である。皇帝の黄金宮 殿とアスクレピオスの寺院の間をフラビアや皇帝は極めて短時間で移動しているから。しかしこの番組は結構よく出来ているので、冒 頭で皇帝がわざわざ行列を作って寺院を訪問し、テントを張っていた点も、よく見直せば理由が明確になっているのかも知れない)。 ヨセフスって、個人的に自分の部屋で史書を書いているイメージがあったのですが、ここでは、史書作成官房室の室長として集団で史 書を編纂しています。この話はどの史料に載っているのか、そのうち調べてみる予定。ヨセフスは関連しそうな話としてローマが持ち 去ったエルサレムの聖櫃の話を聞かせる。パンドラの箱とは聖櫃を示唆しているのではないか、ということのようである。右下はフォ ルム・ロマーヌムらしき部分。




 アスクレピオスの寺院にエルサレム女王ベレニケがやってくる。彼女はティトスがエルサレムで勤務している頃に愛人だった女性 である。庭でティトスに面会したものの、ティトスは今はスザーナを愛しているのということで正式に別れを告げられてしまう。そう して、物々しく寺院にやってきたベレニケを見てピンときたジョナサンは、ベレニケの後をつけて二人の会話を聞いてしまうのだっ た。

 ジョナサンは、モルデカイをだましてスザーナのところに案内するが、丁度二人がキスをしているところで皇帝がやって来てしま い、実はモルデカイの招聘状そのものが、ジョナサンによる偽造だということが知れるのであった。ジョナサンは、ベレニケという愛 人がいるじゃないか、と先程の会話を皆の前で暴露してしまい、激怒した皇帝によって宮殿の外に放り出されてしまう。ジョナサン流 石にちょっとやりすぎ。

 一方、動揺したスザーナはピン止めで頭を刺してしまい、人事不詳に陥る。モルデカイが診察したところ、もう死にそう、と診断す る。皇帝も動揺する。

 フラビアとヌビアは、宮殿内を歩き回っていて、アガトスの部屋に、ベレニケの馬車についていた大きな紋章と同じ紋章がついた黄 金 の箱を見つけ、アガトスとベレニケの関係に気づく。その頃ジョナサンは、アスクレピオス寺院の薬部屋でルーパスから母親の状況を 伝えら れるが、その会話を聞いていた薬剤師から、蛇の毒によるものだ、と告げられる。ジョナサンはベレニケの仕業だと推測していたが、ベレニケはしばらく前に宮 殿を 去っていた。誰かがベレニケを手伝っているのだ。ジョナサンはアガトスが共犯者だと気づく。

 アガトスとベレニケが皇帝(とジョナサンの母)の暗殺をたくらんで、月桂樹の冠に毒を仕込んだのだった。皇帝が神殿の儀式に望 み、月桂樹を被る寸前に フラビアは救出するのだった。ジョナサンはアガトスを追い、ユピテル神の祭壇室で油を撒いているアガトスを止めようとするが、逆 にやられそうになるところで間一髪ルーパスがパチンコを打つ。よろめいたアガトスは油壺をひっくりかえし、祭壇が炎に包まれる。 アガトスは兵士に追われて神殿の屋上から飛び降りて死亡。フラビアたちがジョナサンを救出する。しかし燃え広がった炎は、ローマ 中に燃え広がる大火となってしまう。左下は、ローマ文明博物館にある古代ローマの立体模型映像を加工して、空中から、ローマ中に 燃え 広がった火災の場面を再現したところ。



 アガトスの部屋にあったベレニケの箱の中に解毒剤があるかも知れないと推測したフラビアたちが箱を開けるとコブラが飛び出す。 ヌビアが笛を吹いて蛇の気を逸らせ、フラビアが捕まえ、解毒剤を作ってスザーナは回復するのだった(何故箱の中に蛇のがいること や、蛇の毒が解毒剤になることに気づたのか、よくわかりませんでした)。

 火災が収まりスザーナも回復した翌日、フラビアは、パンドラの箱とはエルサレムで、プロメテウスとはティトス自身のことであ る、とティトスに解き明かす。エルサレムを征服したことが火山、火災 疫病に繋がっているんじゃないの?と問うフラビアに、そう かもな、と皇帝も納得し、今回またもフラビアに命を救われたことから、フラビアの頼みを断れず、スザーナを自由にするのだった。 大喜びのフラビア一行。さびしそうに去る皇帝陛下。

 後日。オスティアに戻ったフラビア家では、モルデカイの長女ミリアムと、フラビアの叔父の結婚式が開かれる(上右画像)。 ちょっと年が離れすぎているし、ヴェスヴィオスの噴火で仕事と財産を失っている叔父さんとの結婚はどうなのとは思わないではない けど、本人たちがいいならいいのだろう。ミリアムは実は第四話でプリニウスの別荘滞在中、プリニウスからイヤリングをプレゼント されたりしていたのである。その上で叔父さんと結婚したということは、おじさん好きなのか?プリニウスの方がハンサムだし金持ち で御しやすいと思うが。まあとにかく古代ローマの結婚式の 様子が描かれていて満足です。


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