中世スリランカの王パ
ラークラマバーフ二世(在1234-1269年)の即位前を描いた話です。あまり史実と思われる話はな
さそうです。映画はシンハラ語で、英語字幕もないので、よくわからないところが多いのですが、映画の概要はだいたい
わかりますので、以下紹介したいと思います。
ウィ ジャヤバーフ 王(在1220-1224年)(下画像中央)のもとに、恐らく敵国からの宣戦布告状のよ うなものが届く。子供を人質に差し出せ、とかいうような無理難題を押し付ける内容だと思われる。後妻(と思われる女 性)には王子が誕生していて、王妃は次男を後継者にしたいと考えている。しかし宰相(下左)は、前妻の息子を後継者 と考えているようである。王も宰相と同意見の模様。しかし王妃は一部の家臣を味方につけ、王子を追放(あるいは謀 殺)することにする。 正直、王宮のセットに見所はありません。王宮の内装は下左画像のような感じで、
王の背後に見られる窓の景色は書割だとわかるくらいです。ただし、王宮の男性も女性もほぼ半裸というところが衣装の
特徴を感じさせてくれます。この頃のスリランカの貝葉文書には、細密画が残っているようなので、だいたいこんな感じ
だったのかも知れません。下左画像の中央が国王ウィジャヤバーフ。上右画像は後宮の女性たち(下右画像は後述)。
王宮の概観の映像はなく、岩山の上に王宮がある、という設定らしく、岩山の隘路
にある登山路が王宮への階段として利用され、登山口のところに、衛兵がいて、王宮の正門を表している程度で、画面
ショットをとる気にもならない感じなのが残念です(全貌は登場しないのですが、王宮のロケを行ったのは、シー
ギリヤ・ロックだと思われます)。
相手がどこの国だか不明ですが、戦争となり、王は出陣。あまり多くの人物は登場しない作品でしたが、この戦闘場面 は、多数の人が登場していました。戦象や馬が多数登場しそこそこ迫力はありました。CGを使っていないのが良かった です。比較的リアルに見えました。兵士の装備は下右のような感じ。手首に手甲、胸周りも甲冑で覆っているものの、基 本的に半裸です。一応弓部隊や投石器も登場していました。 戦争中、王妃は宰相を酔わせて誘惑(?)し、見方につけ、王子を追い出す陰謀を
巡らします。戦争は、ウィジャヤバーフ王側の勝利だったのですが、戦勝報告に王宮に駆けつけた早駆けの使者を、途中
で王妃の部下が暗殺し、旗を敗北の黒旗(或いは敵国の旗)に変えてしまいます。岩山の王宮の上では、王宮の侍女全員
が遠くから水田のあぜ道を疾駆してくる使者を眺めて迎えるのですが、使者の旗が敵国(敗北)旗であることを知り、侍
女たちは岩山の崖から次々と飛び降りて死んでゆくのでした。王子を救おうとした家臣ガマッラーラは、宰相を岩山から
投げ落とし、王妃から王子を救いだし、混乱の王宮から脱出、中年女性に王子を託す。その後王宮に戻った王は、ガマッ
ラーラに王子を探すように命ずる。
王子はこの中年女性と一緒に旅を続け、やがてある村にきてそこの鍛冶屋夫婦に、
身分を隠したまま王子を託す。王子は、自分が王子であることを知らずに、アップワという名前の少年として養育され
る。
王子は村の子供たちとともに、のびのびと育つ。下右画像のように、半裸の子供たちが自然の中で遊ぶ場面がイメージ ビデオのような感じで延々と続く。村の近くには仏教寺院があり、そこでは子供も教育している。上二番目の右側の画像 は、中央の壁際に白い仏像が置かれ、その右に寺のトップの高僧がいて、仏像の左手に村の子供たちがいて、高僧の話を きいて学習している。僧侶は子供たちに読み書きも教えているようである。下左は寺院のひとつ。 王子は前半50分くらいまで児童役(6-8歳)で、50分から60分くらいの間
で少年役(12-14歳くらい)となる。成長するにつれ、見事な鍛冶仕事もこなすようになる。しかし、幼馴染少女二
人と自然の中で遊ぶ場面では、下のようなイメージビデオのような場面が続く。
上の白い寺院以外でほとんど唯一登場した建築物の概観が以下の、村の近くの寺院
(子供たちが教育されていたところ)。下右が全体概観で、その左側の建築の下部を拡大したのが下右画像。土台は石造
で、木造の柱に支えられた、木造の二階があることがわかります。そこに王妃がやってくる(下右画像の左手にある輿が
王妃の輿)。
60分くらいから、王子は青年役に代わる(下左)。オダギリジョーに似たとぼけ
た感じで、あまり立派とか、カリスマがあるとかいうような感じではない。そもそもこの作品では、王子はあまり活躍し
ない。下右が王子を逃したガマッラーラ。中央は、中央から村に派遣されてきた役人パティラージャ・セネヴィ。目つき
が鋭く、情報部員のような
感じである。村人を軍事教練したりする。教練では、なぎなたのようなものを用いた若い女性も参加している。
下左は、村祭りと思われる日の男性陣の装束。チョッキのような、すその短い上着
を着ていた。女性陣はいつもと同じ軽装。左画像の右二人が、アップワ王子の養い親。下右は村での集団農耕の場面。水
牛が連なって耕す場面。なかなか壮観。
一方王宮では、儀式の時に現国王マンダベイ(恐らく、ウィジャヤバーフの妻の息
子。既に成人し、妻もいる)が、崖の上に作られた木造のひな壇ごと、崖下に墜落する仕掛けを用いて暗殺される。恐ら
くガマッラーラ一味の犯行だと思われる。
いつから王子の所在がガマッラーラに知られていたのか不明ですが、王宮では、玉座を背に乗せた象と、高官・侍女た ちの一行が王子のいる村にやってくる(下左画像)。そうしてアップワ王子とその幼馴染で恋人の前にひれ伏し、国王に 即位したことを告げるのだった(下右画像)。 国王と王妃となった二人は、高僧から戴冠されるのだった。
〜අවසානය〜
正直、古代でも中世でもいいような装束でした。王宮のロケ地であると思われる、シーギリヤ・ロックには、フレスコ画 が残っており、そこには18体の女性画像(シギリヤ・レディと呼ばれる)が現存しいて観光地となっているそうです(こちらのサイトにシギリア・レ ディの画像があります)。CGも、チャンバラも、カンフーもワイアー・アクションも登場しない、真面目な作品であり ました。 IMDb の映画紹介はこちら |