辻直四郎「サンスクリット文学史」の目次と若干の解説

 


 サンスクリット文学者辻直四郎氏の「サンスクリット文学史」(1973年岩波書店刊)は、復刊ドットコムのリクエストにもあがっていて、2012年の今に至るまで、これに匹敵する詳細度の日本語のサンスクリット文学史書籍は出ていないと思います。本書は354頁ありますが、注だけで150頁近くあり、本編は180頁程しかありません。そうして、ほぼ1頁毎に小見出しがあることから、目次だけでもかなりの情報量があります。ネットで検索しても日本語情報の無い作者や作品の情報も目次に記載されていることから、本書は目次だけでも非常に有用だと思え、ここに掲載することにしました。その目的のひとつは、本書の有用性が具体的に広く共有され、復刊に結びつくことにあります。

 また、小見出しだけでは、それが作者名なのか作品名なのか不明である為、目次を掲載した後に、目次に沿った補足を追記し、邦訳のあるものはAmazonへのリンクを追加しています。


 

(1)サンスクリット文学史」目次

 

まえがき

 サンスクリット語の読み方

   略字の説明

 

第1章 サンスクリット文学の特徴

    1.カーヴィア 2.古典文学の起源 3.マハー・カーヴィアの定義 4.技巧優先の傾向 5.古典サンスクリット劇 6.サンスクリット劇の起源 7.サンスクリット文学の背景としての人生観

 

第2章 カーリダーサ以前

 一 アシュヴァ・ゴーシャとその作品

    8.アシュヴァ・ゴーシャの伝記と年代 9.アシュヴァ・ゴーシャの作品 10.ガンディー・ストートラ 11.シャーリプトラ・ブラカラナ及びニ仏教劇 12.ラーシュトラパーラ・ナータカ 13.ブッダ・チャリタ(「仏所行賛」) 14.サウンダラ・ナンダ・カーヴィア

 

 ニ マートリチェータとその作品

  15.マートリチェータの伝記と伝説 16.マートリチェータの年代 17.シャタ・パンチャーシャトカ・スートラ(「一百五十賛」) 18.チャトゥフシャタカ・ストートラ(「四百賛」)

 

 三 アーリア・シューラとその作品

 19.アーリア・シューラの伝記と年代 20.ジャータカ・マーラー(「菩薩本生鬘論」)

 

 四 バーサとその作品

  21.バーサ劇の真正問題と年代 22.トリヴァンドラム劇の言語・文体・韻律 23.作品の分類 24.a.ウダヤナ劇 25.b 説話劇

 

 五 ムリッチャカティカー

  25.作品と年代 26.内容・評価・言語

 

 六 ヴィシャーカダッタとその作品

  27.年代考 28.ムドラー・ラークシャサ 29.評価・言語 30.断片的に知られる作品 a デーヴィー・チャンドラグプタ b.アビサーリカー・ヴァンチタカ

 

第3章 カーリダーサとその作品

 

 31. カーリダーサの伝記と伝説 32.年代考 33.カーリダーサの作品 34.カーリダーサの信仰・思想 35.他の詩人との関係 36.評価 37.言語・文体・韻律

 

 一 シャクンタラー

 38.序説 39. 出典 40.伝本 41.内容 42.結語

 

 ニ ヴィクラマ・ウルヴァシーヤ

 43.序説 44.伝本 45.内容 46.結語

 

 三 マーラヴィカーとアグニミトラ

 47.序説 48.内容 49.結語

 

 四 ラグ・ヴァンシャ

 50.序説 51.内容 52.結語

 

 五 クマーラ・サンバヴァ

 53.序説 54.内容 55.結語

 

 六 メーガ・ドゥータ

 56.序説 57.内容 58.結語

 

 七 リトゥ・サンハーラ

 59..総説・真正問題

 

第4章 カーリダーサ以後のカーヴィア(叙事詩)

 

 一 パーラヴィのキターラ・アルジュニーヤ

  60.序説 61.内容 62.評価 63.言語・文体・韻律

 

 ニ マーガのシシュパーラ・ヴァタ

  64.序説 65.内容 66.評価 67.言語・文体・韻律

 

 三 その他

  68.バッティ・カーヴィア 69.ジャーナキー・ハラナ 70.シュリーカンタ・チャリタ 71.ナイシャダ・チャリタ

 

 四 歴史的カーヴィア

 72.ヴィクラマーンカ・デヴァ・チャリタ 73.クマラーパーラ・チャリタ 74.ラージャ・タランギニー

 

第5章 カーリダーサ以後の戯曲

 

 一 ハルシャとその作品

  75.詩人ハルシャ王 76.三戯曲の作者問題 77.プリヤダルシカー 78.ラトナーヴァリー 79.ナーガーナンダ 80.評価・言語・文体・韻律

 

 ニ バヴァブーティとその作品

  81.バヴァブーティの伝記と年代 82.マハーヴィーラ・チャリタ 83.ウッタラ・ラーマ・チャリタ 84.マーラティーとマーダヴァ 85.評価・言語・文体・韻律

 

 三 その他

  86.ヴェニー・サンハーラ 87.アナルガ・ラーガヴァ 88.ラージャ・シェーカラとその作品 1..バーラ・ラーマーヤナ 2..バーラ・バーラタ 3.ヴィッダ・シャーラ・バンジカー 4.カルプーラ・マンジャリー 89. チャンダ・カウシカ 90.マハー・ナータカ 91. 1.ドゥータ・アンガダ 2.ゴーパーラ・ケーリ・チャンドリカー 92.プラボーダ・チャンドローダヤ 93.笑劇プラサハナとバーナ 1.チャトゥル・バーニー 2.マッタ・ヴィラーサ

 

第6章 美文体の三大家ならびにチャンプー

 

 一 ダンディン

  94.ダンディンの作品と年代 95.ダシャ・クマーラ・チャリタ

 

 ニ スパンドゥ

  96.スパンドゥの年代 97.ヴァーサヴァッダッター

 

 三 バーナ

 98.バーナの伝記と年代 99.バーナの作品 1.ハルシャ・チャリタ 2.カーダンバリー 3.その他の作品

 

 四 チャンプー

  100. 主なチャンプー 1.ダマヤンティー・カターまたはナラ・チャンプー 2.ラーマーヤナ・チャンプー 3.バーラタ・チャンプー 4.ヤシャス・ティラカ

 

第7章 抒情詩と教訓詩

 

 A.抒情詩

 

 一 バルトリハリ

  101.バルトリハリの伝記と年代 102.シャタカ・トラヤム 103.その他の作品

 

 ニ アマル

  104.アマルの伝記と年代 105.アマル・シャタカ

 

 三 その他

  106.チャウリー・スラタ・パンチャーシカー 107.ギータ・ゴーヴィンダ 108.アーリアー・サプタンシャティー 109.恋愛小説集 1.シュリンガーラ・ティラカ 2.ガタカルパラ 110.宗教的抒情詩 1.スーリア・シャタカ 2.チャンディー・シャタカ

 

 B.教訓詩

 

 一 チャーナキアの箴言詩

  111.伝本と年代 112.内容等

 

 ニ その他

  113.クッタニー・マタ 114.クシェーメーンドラの教訓詩 1.サマヤ・マートリカー 2.カラー・ヴィラーサ 3.ダルパ・ダラナ 115.シャーンティ・シャタカ 付記 バーミニー・ヴィラーサ

 

 C.詞華集

 

  116.スパーシタ・サングラハ(サンスクリット詞華集)

 

第8章 物語

 

 A.ブリハット・カター系

  117.ブリハット・カター 118.カシュミール本ブリハット・カター 119.ブリハット・カター・マンジャリー 120.ブリハット・カター・シュローカ・サングラハ 121.ヴァスデーヴァ・ヒンディ 122.カター・サリット・サーガラ

 

 B.その他の説話集

  123.ヴェーターラ・パンチャヴィンシャティカー 124.シュカ・サプタティ 125.シンハーサナ・ドゥヴァートリンシカー 126.附録 1.バラタカ・ドゥヴァートリンシカー 2.プラバンダ・チンターマニ 3.プラバンダ・コーシャ 4.ボージャ・プラバンダ

 

 C.パンチャタントラ集

 

 127.序説

 

 一 タントラ・アーキアーイカ系

  128.タントラ・アーキアーイカ 129.小本パンチャタントラ 130.広本パンチャタントラ 附記 1-3(メーガ・ヴィジャヤ作パンチャ・アーキアーナ・ウッダーラ)

 

 ニ ブリハット・カター系

 131.ブリハット・カター・マンジャリーおよびカター・サリットサーガラ中のパンチャタントラ

 

 三 南印パンチャタントラ系

 132.南印パンチャタントラ 133.ネパール・パンチャタントラ 附記 タントラ・アーキアーナ 134.ヒトーパデーシャ

 

 四 パーラヴィー訳本系

 135.世界におけるパンチャタントラの伝播 136.動物寓話の故郷

 

附録 カーリダーサ抄

 

 補遺

 年表

 索引

 

 


 

(2)目次への補足

 

第2章 カーリダーサ以前

 一 アシュヴァ・ゴーシャとその作品

    8.アシュヴァ・ゴーシャの伝記と年代 9.アシュヴァ・ゴーシャの作品 10.ガンディー・ストートラ 11.シャーリプトラ・ブラカラナ及びニ仏教劇 12.ラーシュトラパーラ・ナータカ 13.ブッダ・チャリタ(「仏所行賛」) 14.サウンダラ・ナンダ・カーヴィア

 

 ニ マートリチェータとその作品

  15.マートリチェータの伝記と伝説 16.マートリチェータの年代 17.シャタ・パンチャーシャトカ・スートラ(「一百五十賛」) 18.チャトゥフシャタカ・ストートラ(「四百賛」)

 

 

 三 アーリア・シューラとその作品

 19.アーリア・シューラの伝記と年代 20.ジャータカ・マーラー(「菩薩本生鬘論」)

 

 四 バーサ(300-350年頃とされる)

   バーサの著作は、マハーバーラタ群、ラーマ群、クリシュナ群、ウダヤナ群(ヴァッツァ族の王ウダヤナ王物語)、説話劇の四種に分けられる。ウダヤナ劇は二作あり、「スヴァプナ・ヴァーサヴァダッター」が有名。

 ・マハーバーラタ群

  マディアマ・ヴィアーヨーガ(中息子(=第三王子ビーマ)、ドゥータ・ヴァーキア(使節)、ドゥータ・ガトートカチャ(使者ガトートカチャ)、カルナ・バーラ(カルナの重圧(=鎧))、ウール・バンガ(大腿粉砕)、パンチャーラートラ(五夜)、

 

 ・クリシュナ劇

  バーラ・チャリタ(若きクリシュナの事蹟)、

 ・ラーマ劇

  プラティマー・ナータカ(肖像)、アビシェーカ・ナータカ(即位)

 ・ウダヤナ劇

  プラティジュニャー・ヤウガンダラーヤナ(誓約固きヤウガンダラーヤナ)

   ヴァッツア族の王ウダヤナの大臣ヤウガンダラーヤナの深謀と忠誠とが葛藤をなす政治劇

  スヴァプナ・ヴァーサヴァダッター(夢のスヴァプナ・ヴァーサヴァダッター)

 

 ・説話劇

  「ダリドラ・チャールダッタ(貧しきチャールダッタ)」 - 「土の小車」の前半四巻の種本とされている。

  「アヴィマーラカ(悪魔アヴィの退治者)」

 

 かつてバーサ作品に帰せられていた(今ではバーサの作品とは見なされていないものも含む)13の戯曲の英訳「Thirteen Plays of Bhasa」はこちら

 

 五 ムリッチャカティカー

  「土の小車」の題名で筑摩世界文学大系四巻所収。

 

 六 ヴィシャーカダッタ(400年頃)

  ムドラー・ラークシャサ(「ラークシャサの印章」ほ題名で邦訳あり

  .断片的に知られる作品 

        a デーヴィー・チャンドラグプタ(チャンドラグプタと王妃)

      かつて、チャンドラグプタ二世の父親ラーマグプタ王の存在を提起していた作品。現在は碑文や銅貨から実在が確認されているとのこと。即位前のチャンドラグプタ二世が女装してシャカ藩王の陣営に侵入し、兄王ラーマグプタ妃ドゥルヴァ・デーヴィーを救出する。

        b.アビサーリカー・ヴァンチタカ(媾引女の欺瞞) ウダヤナ王とパドマーヴァティーとのロマンス

 

第3章 カーリダーサ

 

 一 シャクンタラー(岩波文庫)

 

 ニ ヴィクラマ・ウルヴァシーヤ(勇気により得られたるウルヴァシー)(岩波文庫)

 

 三 マーラヴィカーとアグニミトラ(岩波文庫)

 

 四 ラグ・ヴァンシャ(ラグの系譜)

 

 五 クマーラ・サンバヴァ(「軍神の誕生」または「クマーラ神の誕生」)

 

 六 メーガ・ドゥータ(雲の使い)(小野武雄訳 世界セクシー文学全集 第6」(新流社)所収)

 

 七 リトゥ・サンハーラ(「季節のめぐり」「季節略記」)

 

第4章 カーリダーサ以後のカーヴィア(叙事詩)

 

 一 バーラヴィ

  キターラ・アルジュニーヤ(キターラ(シヴァ神)とアルジュナの戦闘))

  60.序説 61.内容 62.評価 63.言語・文体・韻律

 

 ニ マーガ

  シシュパーラ・ヴァダ(「シシュラーナの殺戮」)。年代特定については、祖父が625年の碑文にあがっているとの仮説がある。

   

 三 その他(9-10世紀にカーヴィア(叙事詩)は多作された。テーマはラーマ系とクリシュナ系の2つ。

  バッティ・カーヴィア(6-7世紀) 「ラーヴァナ・ヴァダ(ラーヴァナの殺戮)」 ラーマもの。

  ジャーナキー・ハラナ(「ジャーナキー(シーター)の掠奪」。クマーラバッタ(或いはクマーラダーサ)作。7世紀後半) 

  シュリーカンタ・チャリタ(シュリーカンタ(シヴァ神)の武勲(12世紀カシミーのマンカカ(1135-1145年)の作) 

  ナイシャダ・チャリタ(ナイシャディーヤ・チャリタとも。シュリー・ハルシャ作。「ニシャダ(ナラ王)の武勲」もの(マハーバーラタ系)。12世紀後半)

 

 四 歴史的カーヴィア(歴史を題材としたもの)

  ヴィクラマーンカ・デーヴァ・チャリタ(チャールキア朝11世紀、ビルハナ作「ヴィクラマ王の名にし負う諸王の事蹟」)

    *ビルハナの詩集はインドの詩人―バルトリハリとビルハナ」(上村勝彦訳)」が出ている)

  クマーラパーラ・チャリタ(チャールキア朝、12世紀「クマーラパーラ王の事蹟」、ヘーマチャンドラ作(1089-1173年)、

  ラージャ・タランギニー(カルハナ作「諸王の流れ」)

 

第5章 カーリダーサ以後の戯曲

 

 一 ハルシャ・ヴァルダナ(590-647年。マガタ国王)

  三戯曲、プリヤダルシカー(ウダヤナ王系)、ラトナーヴァリー、ナーガーナンダ(龍王の喜び)

 

 ニ バヴァブーティ(8世紀前半)

  マハーヴィーラ・チャリタ、ウッタラ・ラーマ・チャリタ(この2篇はラーマもの)

  .マーラティーとマーダヴァ

 

 三 その他

  .ヴェニー・サンハーラ(バッタ・ナーラーヤナ作。8世紀。バーラタ系)

  .アナルガ・ラーガヴァ(「類なきラグの後裔(=ラーマのこと)」9世紀前半。ムラーリ・ナータカ作。

  ラージャシェーカラ(900年頃)の作品 

    1..バーラ・ラーマーヤナ(幼童のためのラーマーヤナ) 2..バーラ・バーラタ(幼童のためのマハーバーラタ) 

    3.ヴィッダ・シャーラ・バンジカー(「彫像」) 4.カルプーラ・マンジャリー 

  チャンダ・カウシカ(「激怒せるカウシカ」クシェーミーシュヴラ(またはクシェーメーンドラ)作。900年頃)

  .マハー・ナータカ(大戯曲)(またはハヌマン・ナータカ(ハヌマット劇))

    1.ドゥータ・アンガダ(スバタ作。1243年上演。ラーマもの。影絵芝居の台本との説あり)

    2.ゴーパーラ・ケーリ・チャンドリカー (「月の光牧夫の嬉遊」(ラークリシュナ作。12世紀以降。アバヴランシャ語の詩節が入っている。クリシュナもの)

  プラボーダ・チャンドローダヤ(「悟りの月の出」。クリシュナミシュラ作。擬人化された宗教・哲学もの。ヴェーダンタとヴィシュヌ神が登場。11世紀。西欧の「薔薇物語」のようなものかも)

 

  .笑劇プラサハナとバーナ 

    1.チャトゥル・バーニー(四バーナ集(「遊女の足蹴」の題で邦訳あり。5世紀後半から6世紀前半。最初の2篇はパータリプトラ、後半2編はウッジャイニーが舞台)

      a ヴァラルチ作「ウバヤ・アビサーリカー「二途逢引女」 b. イーシュヴァラダッタ作ドゥールタ・ヴィタ・サンヴァーダ(無頼と粋人との対話」

      c.シュードラカ作パドマ・プラーブリタカ「蓮華の贈り物。d.シアーミラ(カ)作パーダ・ターディタカ(「足蹴」)

    2.マッタ・ヴィラーサ(「酔漢の戯れ」マヘーンドラ・ヴィクラマヴァルマン王作。彼はパッラヴァ朝シンハヴィシュヌヴァルマン王の子。7世紀初)

 

第6章 美文体の三大家ならびにチャンプー

 *チャンプーとは、美文体の詩文と散文を交互に使う作品のこと。この分野はジャイナ教が貢献している。

 

 一 ダンディン

  .ダシャ・クマーラ・チャリタ(「十王子物語」の題名で邦訳あり。6−8世紀の作。当時の風俗が描かれている)

 

 ニ スパンドゥ(6世紀末から7世紀初)

  .ヴァーサヴァッダッター

 

 三 バーナ(7世紀前半ヴァルダナ王に使えた)

 1.ハルシャ・チャリタ(ハルシャ王紀/(ネット上に英訳あり) 2.カーダンバリー 3.その他の作品

 

 四 チャンプー

  1.ダマヤンティー・カターまたはナラ・チャンプー (トリミクラマ・ヴァッタ作。10世紀。ナラ王もの)

  2.ラーマーヤナ・チャンプー(前半5篇がパラマーラ朝ボージャ王(在1018−60年)、6篇目がラクシュマナ・バッタ(11世紀)

  3.バーラタ・チャンプー(アナンタ・カヴィ作。年代不詳)

  4.ヤシャス・ティラカ(ジャイナ教徒のソーマデーヴァ・スーリ作。959年)

 

第7章 抒情詩と教訓詩

 

 A.抒情詩

 

 一 バルトリハリ(〜651年頃)

  シャタカ・トラヤム((三百頌/百頌三集)、「ヴィタ・ヴリッタ(粋人の行状)」、ヴィジュニャーナ・シャタカ(分別百頌)、「シュリンガーラ・シャタカ(恋愛百頌」

  バルトリハリの詩集は、インドの詩人―バルトリハリとビルハナ」(上村勝彦訳)」が出ている。言語論については、「古典インドの言語哲学」(全二巻)が東洋文庫から出ている。

 

 ニ アマル(800年代以前)

  .アマル・シャタカ

 

 三 その他

  .チャウリー・スラタ・パンチャーシカー(ビルハナ作11世紀)

  .ギータ・ゴーヴィンダ(ジャヤ・デーヴァ作12世紀)

  アーリアー・サプタンシャティー(「アーリアー調七百頌」

   6種類がある。ゴーヴァルダナ作、ハーラ・サータヴァハーナ作「サッタイ・サプタンシャティー(七百頌)」(サータヴァーハナ朝17代目の王)など

  

  .恋愛小説集 

    1.シュリンガーラ・ティラカ(恋愛のティラカ(額飾り))

    2.ガタカルパラ(破れ水瓶) 

  宗教的抒情詩 1.スーリア・シャタカ(太陽神百頌) 2.チャンディー・シャタカ(シヴァ神妃チャンディー)

 

 

 B.教訓詩

 

 一 チャーナキアの箴言詩

  111.伝本と年代 112.内容等

 

 ニ その他

  クッタニー・マタ(「媒介女の忠告」。カシミールの大臣ダーモーダラ・グプタ作。8世紀。「遊女の手引き―クッタニー・マタ遣手女の忠言」 の題名で邦訳あり)

  クシェーメーンドラ(11世紀カシミール)の教訓詩

    1.サマヤ・マートリカー(遣手婆。1050年作)

    2.カラー・ヴィラーサ(「技芸の戯れ」) 3.ダルパ・ダラナ(驕慢の破摧) 115.シャーンティ・シャタカ(「寂静百頌」シルハナ作。14世紀以降カシミール)

  バーミニー・ヴィラーサ(「美女の戯れ」17世紀。ジャガンナータ作)

 

 C.詞華集

 

  スパーシタ・サングラハ(サンスクリット詞華集)(11−17世紀

    スパーシタ・ラトナコーシャ(名句の宝庫:ヴィディヤーカラ作(12世紀))、

    シュリーダラ・ダーサ編サドゥクティ(またはスークティ)・カルナ・アムリタ「名句耳の甘露味」1205年。

    ジャルハナ編スバーシタ(またはスークティ)・ムクターヴァリー(名句真珠の首飾)1257年。

    シャールンガダラ編シャールンガダラ・パッダティ「シャールンガダラ・パッダティ(シャールンガダラの指南書)1363年

    スバーシターヴァリ(名句連集:ヴァッラバ・デーヴァ作15世紀)

    ルーバ・ゴーヴィンダ編パディアーヴァリー(韻文連列)16世紀

 

第8章 物語

 

 A.ブリハット・カター系

  ブリハット・カター、カシュミール本ブリハット・カター、ブリハット・カター・マンジャリー、ブリハット・カター・シュローカ・サングラハ、ヴァスデーヴァ・ヒンディ、.カター・サリット・サーガラ

 

 B.その他の説話集

  ヴェーターラ・パンチャヴィンシャティカー、シュカ・サプタティ、シンハーサナ・ドゥヴァートリンシカー、.附録 1.バラタカ・ドゥヴァートリンシカー 2.プラバンダ・チンターマニ 3.プラバンダ・コーシャ 4.ボージャ・プラバンダ

 

 C.パンチャタントラ集

 

 一 タントラ・アーキアーイカ系

  タントラ・アーキアーイカ、.小本パンチャタントラ、広本パンチャタントラ(抄訳邦訳あり) 附記 1-3(メーガ・ヴィジャヤ作パンチャ・アーキアーナ・ウッダーラ(1659/60年)

 

 ニ ブリハット・カター系

  ブリハット・カター・マンジャリーおよびカター・サリットサーガラ(岩波文庫版邦訳あり(全4巻))中のパンチャタントラ

 

 三 南印パンチャタントラ系

  .南印パンチャタントラ、ネパール・パンチャタントラ 附記 タントラ・アーキアーナ、.ヒトーパデーシャ(岩波文庫版邦訳あり

 

 四 パーラヴィー訳本系

  .世界におけるパンチャタントラの伝播、動物寓話の故郷

 

 

 

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