9/24/2001
古典古代世界とは
  古典(クラシック)とは現在にとって、その基礎や大枠の出来た過去のある時点の事物を示します。 クラシック音楽というと現代音楽に直接に繋がる音楽が形成された時期の音楽を示します。 様々な形に発展している現代西洋音楽の基礎は17-18世紀の古典音楽にその源流がある ということになります。 これを社会に当てはめますと 現代社会の源流が形成された時代を古典時代と呼ぶことが出来ます。現代西洋音楽の古典時代が18世紀と比較的近い時代にあるように、指標とするものによって 古典時代は様々です。 自動車にとってのクラシックはフォルクス・ワーゲンが出現する以前の20世紀前半ということになるでしょうし、日本文学にとっての古典時代とは平安朝ということになるのでしょうか。

 現代社会は欧米など所謂西洋、イスラム、インド、アフリカ、東南アジア、東洋に大きく分けられますが、このうち古典社会を古代に求められるのは東洋と西洋であると言えるのではないでしょうか。


 
西洋と東洋の古典時代
 では現代西洋の古典時代はいつか、ということになると、 芸術・学問・民主主義の直接の源流は古代ギリシャということになるでしょうし、公共事業、法律、ギリシャの知識を総合化した古代ローマということになるでしょう。現代西洋文明の古典時代は古代ギリシャとローマにあります。
 古代ギリシャとローマを合わせて「古代地中海世界」と総称することもあるようです。
 それでは東洋の古典時代とはいつなのでしょうか。それは古代ギリシャと同様 学問・政治・法律など、以降2000年以上にわたるの中国を規定する思想が登場した春秋・戦国時代であり、法律・政治制度・社会制度・科学・文学などを総合化し 中国中心東洋の秩序を作り出した秦・漢の時代ということになるでしょう。「漢字、漢民族、漢方」など現代にいたる東洋の源流がこの時期形成されました。

 
イスラーム世界の古典時代
 これに対してイスラム世界は少し複雑です。 現代イスラム世界の古典時代とは恐らくアッバース朝時代(750-1258年)ということになるでしょう。この時期イスラーム世界は西はイベリア半島から東は中央アジアまで拡大し、様々は学芸が発達し、多くの学者が輩出しました。古代ギリシャに相当する絢爛たる時代です。しかし、西暦8世紀という時代はも古代とは言えない時期でもあります。イスラームの古典時代は中世ということになるでしょう。あまり古典中世という言葉は使いませんが。。。 ところが イスラム社会が成立した地域は、既に長大な歴史を持つ地域であり、当時のイスラーム社会の「古典」となる時代が既に用意されていました。ただし東洋、西洋ほどすんなり どこだ、と指し示すことが難しいところがイスラム社会の特徴といえます。 イスラム世界は先行する多くの社会から 多くのものを受け取りました。 イスラーム世界は成立当初こそアラブ人の世界でしたがアッバース朝になってから 首都をバクダードに移しましたが これは 政治的に古代イラン色を強める結果となりました。また学芸の面でもペルシャ語がイスラム社会全体で広く使われるようになり、ペルシャ語の文学が花開くことになります。ササン朝時代に成立した「千物語」が有名なアラビアン・ナイトに発展し、建築などの文化面でも古代イランの建築様式が取り入れられ、イスラムのもとで発展しました。 ただし学問の面では古代ギリシャの知識イスラムに引き継がれているなど単純にイスラームの古典時代を古代イランだけに求めることは出来ないところが西洋・東洋と異なっているところでしょうか。 しかし現代西洋における古代ギリシャ・ローマ程では無いにしても イスラム世界が多くのものを古代イランに負っていることは確かだと言えます。 現代イランに限るならば、イランの古典古代は古代イラン(紀元前後-ササン朝時代)ということになるでしょう。