イスラム歴史ドラマ「ウマル」第二十一話から第二十三話 ホラズム戦からヤルムークの戦い まで


   第二代正統カリフ・ウマルの半生を描く2012年サウジアラビ ア製大河ドラマ。全30話のうち第21話から第23話。一話45分。youtubeのMBCアカウントに英語字幕版全30話(こ ちら)が公開されています。

 第二十一話 ホラズム戦

 リッダ戦最終局面。ムサイリマが逃げ込んだ町を包囲するハーリド。

 勇敢な兵士が一人内部に梯子で飛び込み、兵士をうちたおしてかんぬきをあけて全軍突入する。ワシーらしい。黒人兵士が放った槍 で ムサイリマを仕留める。最高の男ハムザとしとめ、今回最悪の男ムサイリマをしとめた。これで人びとの間を胸を張って歩けると喜ぶワシー。今回の戦闘には女 性兵士も活躍している。第13話で矢を撃っていた女性もいる。

 ヤマーマの戦いでコーランの内容をよく知るものの多くが戦死したため、ウマルはアブー・バクルに、結集を行なうことを提案。背 教者ムサンマがペルシアを引き込んだので、軍はペルシア軍国境まで展開している。とのハーリドの手紙がバクルの元に来る。自分を 知事に任命してくれと。 ウマルは、バクルに、ペルシア戦争は部族内部の復讐心を忘れさせて一致させると説く。


 以下は、Kadhimah(カドヒマ)の地でペルシア帝国と行なわれた初の戦闘場面。ペルシア軍の緑の赤と白の旗がイラン国旗 をイメージさせる。



 ペルシア兵は、鎖で足を繋いでいる。



 ペルシア軍の司令官。大きく分けると将校の装備はこの二種類となっているようです。



 装甲を付けたペルシア騎兵。



 ハーリドとホラズム総督の一騎打ち。ハーリドは相手司令官を倒すが、ペルシア兵に囲 まれる。その時派遣されたクアッカー軍が助けに来たため、戦局はイスラム軍有利になる。



 雄たけびを上げるクアッカーの姿は、クアッカーの生涯を描いたドラマ 「クアッカー・イブン・アムル・アル・タミーミー」第八話に登場した、以下の姿と同じ。これは、史書や伝承 にこのような姿の記述があるか、或いは、ドラマ「クアッカー・イブン・アムル・アル・タミーミー」がこのイメージを確立 してしまったか、いづれかではないかと思います。クアッカーの勇姿は、主役なのだから当然ですが、「クアッカー・イブ ン・アムル・アル・タミーミー」の方がかっこよかった。


 これもペルシア軍将校とペルシア軍。



 クアッカー軍の加勢もあり、イスラム軍が勝利する。

 ペルシア軍との次の戦闘は、Al-Madharで行なわれた。今回はペルシア貴族が司令官。

 その次の戦闘はAl-Walajahで行なわれた。このあたりの戦闘は全部、ハーリドからアブー・バクルへの戦勝報告を、バク ルがメディナで読み上げるという形で進む。

 次の戦闘のペルシア軍司令官はBahman Jathaweih。イスラム軍は、軍を3つにわけ、背後と側面から襲う方法で勝利。

次 の戦闘は、Ullaisというユーフラテス川に面した場所で行なわれる。下は海岸に軍営を張るペルシア軍隊。




 ペルシア軍営を急襲し、イスラム軍は、軍船を奪うことに成功。奪った艦隊を用いてヒーラ王国の都、ヒーラに装備を輸送する。 ユーフラテス川の東岸を北上する軍(右下)。




 ヒーラ王国の都(左下)。これは書割かと思ったら、後の回で実在の市街のように見える映像が登場しているので、実在の町でロケ を行なったか、撮影用セットなのかも知れない。ハーリド軍はヒーラを征 服する。



 ここでメディナの幹部会が描かれ、アブー・バクルから、ペルシア侵攻中のハーリドの軍をビザンティンに差し向けたい、との提案 が出る。広場でビラルが 民衆にビザンティンへのジハード戦闘に向かうと布告する。ビラルはバクルにビザンティンとの戦闘に参加したいと申し出る。


第二十二話 ヤルムークの戦い(1)

 皇帝ヘラクレイオスはイスラムとの戦争の為、アンティオキアに来ている。左はCGですが、右の近景部分はセットか実際の史跡で のロケの模様。



 皇帝は作戦を説明する。イスラム軍は、ホムス、ダマスカス、ボスラ、パレスチナのArabanとあと2箇所に兵を分けている。 ビザンツ軍 もこれに対応して4つの軍団を派遣し、それぞれが相手の各軍を上回ることから、各軍を粉砕し、それぞれの軍の間を分断する。一方パレスチナの軍団7万は、 Arabanとパレスチナの軍を抑さえる。続いてアンティオキアの20万の軍 は、他の三軍にあたる。パレスチナの軍を率いているのはアムル・アースの軍らしい。アブー・バクルはこの情勢をみて、ペルシアのハーリドをシリアに転戦さ せる提案を行なう。

 アブー・バクルのウバイダ、ハーリド、アムル評が面白い。
 アムルは賢い戦略家だがリスクを計算しすぎて長考しすぎる恐れがある。行動が遅い。ウバイダは、死を恐れないが、損失に至る軽 率な 行動をするという恐れがある。彼は国家を治めるのには相応しいが、戦闘における洞察はハーリドの方が優れている。決定的な戦闘にはハリードの方が適任であ る。ハーリド以外はイクリマもヤジードも誰も決定的戦闘を経験していない。ハーリドは猫 の忍耐とライオンの跳躍力を合わせ持つ。

 アブー・バクルからの指令が届く前に、ハーリドからウバイダに、シリアへ転戦するとの手紙が届く。ウバイダは、一読後、全軍の 前で手紙を読ま せる。ウバイダ軍にはアブー・スフヤーンも参加している(アブー・ウバイダはアブー・スレイマーンとも呼ばれている。ハーリドも アブー・スレイマーンと呼ばれているので紛らわしい)。左下がヤルムークのローマ軍軍営。右下は、ヒーラからシリアへのルートを 検討するハーリドが見ている地図。ペルシア湾周辺が記載されている。



 左中央がハーリドに総司令官の座を明け渡すことになったアブー・ウバイダ。右下はヤルムークで対陣する両軍。手前がローマ軍。 遠方がイスラム軍。



 ローマ軍の装備。歩兵の盾が木製で、中央上部に円形の展望窓が開いている。



 皇帝にいるアンティオキアの総司令部。




 ヤムルークの戦いにアムル・アースも参加している。ローマ軍は最初から逃げ腰。初日は数分間の映像でローマが蹴散らされている ところで終わり。

 メディーナでは、健康を害しているアブー・バクルは後継者を選定する。アッバースやアリーに根回しし、ウマルを後継者にする。 広場で後継者を宣言するバクル。バクルにアイーシャが挨拶に来る。アイーシャも視点からしか描かれない。

ヘジュラ暦13年Jumada月の21日月曜日、ウマルがカリフに即位する。

 珍しく奥さんと(AtiKah)会話している映像。





第二十三話 ヤルムークの戦い(2)


 ウマル、即位して施政方針演説を民衆に行い、家で家族にもする。

ヘジュラ暦13年Jumada月28日 数日間続いていたヤルムークの戦い最終日。以下中央がハーリド、右側がウバイダ。



 ローマ軍の様子。この回の後半全部ヤルムーク川の戦いを描いている。





 この日の戦闘開始早々にアブー・スフヤーンは矢を受け負傷する。ローマ軍が押し気味 でムスリム陣営になだれ込む。アブー・スフヤーンが陣営いる女性達に、逃げてくる兵士がいれば石で打て、と命じていたこ ともあり、輜重隊の女性達は敗走してくるムスリム兵に対し石を打つ。そうして遂に女性達 も剣を抜いて戦い出す。素人の 女性に倒されるローマ兵士達。



 ローマ騎兵が騎上から弓を射るところ。この場面は決まっていた。



 激戦が続くが、ハーリドが敵陣に飛び掛り、ローマ軍司令官(左下)に向けて突撃し、 司令官を討ち取る。



 とうとうローマ軍はヤルムーク川岸の断崖に追い詰められ、崖から落下してゆく。



 このドラマのヤルムーク川の戦いでもっとも印象に残った場面(他のドラマや映画では見た記憶が無いので、本ドラマ独自 の演出かも)。断崖に追い詰められたローマ軍部隊の一部に対し、アムル・アースが、右手を差し出して、自部隊の横を空け て、逃がしてやる場面。2枚目画像は、ローマの将校が、アムルの仕草を見たところ。その後この将校に率いられたローマ軍 部隊は、もうもうと砂塵を巻きながらアムル部隊の横を通過して退却してゆくのだった(3枚目)。
 


 こうしてローマ帝国は、約700年間支配したシリアを失ったのだった。

 この戦闘でムスリム側の主要登場人物の中では、イクリマが射られ、Suhailの次男ジャンダルが戦死し、片目を負傷したスフ ヤーンがこの後隻眼となる。

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