【1】ササン朝イラン遺跡写真集「From Pasargadae to Darab」 イランのファールス州の遺跡を扱った写真集です。アケメネス朝遺跡であるパサルガダエ以
外はササン朝の遺跡が多く、実質ササン朝写真集といえる内容となっています。全頁カラーです。Amazonから注文できます。
Yasavoli( 1997)- Persian Hardcover, 104pp, Dimensions(in cm): 24.5x31.5 Price: $26 サ イトによって値段が違うようですが、上記サイトでは26ドルとなっています。テヘランで印刷されていますが、先進国で出版し たようなクオリティです。これで26ドルは、海外発送料金(大 体10ドル程度)を入れても、お買い得かと思います。イランのササン朝大遺跡である、ビシャプール、フィルザバードや、サル ヴィスターン遺跡写真、復元図 などが載っています。この書籍は ササン朝にご興味のある方にお奨めします。購入して損はありません。 【2】 書籍「The Sasanian Era (The Idea
of Iran)」
本書の扉裏に、 この巻は、Mary Boyce(1920-2006)とBoris Marshak(1933-2006)の記憶に捧げる とあり、最近講談社学術文庫から復刊された「ゾロアスター教3500年の歴史」の著者メアリー・ボイスの名が掲載されていま す。いいですね、こういうの。古代イラン学者たちの繋がりが見えて気持のいい巻頭句となっています。目次は下記の通り。 1.How Pious Was Shapur I? 2.Early Sasanian Coinage 3.Formation and Ideology of Sasanian State in the Context of Archaeological Evidence 4.Kingship in Early Sassanian Iran 5.Image and identity: Art of the Early Sasanian Dynasty 6.The Sasanians in the East 7.Religion in the late Sasanian Period:Eran,Aneran,and other Religious Designations 8.State and Society in Late Antique Iran 9.Prices and Drachms in the Late Sasanian Period 10.Late sasanian Society between Orality and Literacy こ のうち、1、3、4、6、7、8、9を読みました。このうち、3章の考古学遺物に見るイデオロギーと、90年代以降発見され たバクトリア文書に基づき、 サーサーン朝時代のバクトリア史を探索した6章、ほとんど情報の無かったサーサーン朝時代の物価情報を、同じくバクトリア文 書や中世ペルシア語文書などを 駆使して復元を試みた9章などが面白かったです。これらについて紹介したいのですが、前回パルティア本の紹介では、長文と なってしまったので、今回は要約 をサイトの方にまとめてみました。まず本日は、3章の「Formation and Ideology of Sasanian State in the Context of Archaeological Evidence」を纏めてみましたので、こちらの記事をご覧ください。 次回以降、6章と9章についても紹介してゆきたいと思います。なお、1章の、シャープールの寛容とは、シャープール個人の話 というより、当時、多様な宗教 が雑居していたパルティア時代の西アジアの状況が語られ、シャープールはそれをただ受け入れていただけ、という解説がなされ ていました。彼が、意図的にマ ニ教に肩入れしたとか、マニ教とゾロアスター教を競わせた、というわけではなく、シャープールにしてみれば、マニ教はゾロア スター教の一種くらいにしか思 われていなかったのではないか、という話。言われてみれば、そうかなぁ、という感じです。 本書は、現在UKアマゾンで割引価格が28ポンド。内容からしてみれば高くはない、という感じ。すくなくともパルティア本 よりも有用でした(私にとっては、ですけど)。 なお、パルティア本でも紹介しましたが、今はGoogleで、相当量が読めるようです。本書については確認していませんが、 恐らくgoogleで一部を読 むことができるものと思われます(フィルダウシーの「シャーナーメ」はGoogle Bookに掲載されていることがわかりました。こちらにあります)。 |