25/Feb/2013 created
09/Jul/2017 updated

ウマイヤ朝歴史ドラマ「クライシュの鷹」(1)740年から746年(第一話から第七話)まで


  2002年モロッコ・シリア共同製作の連続テレビドラマ。監督のハリル・アリは 本作でカイロ・ラジオ・テレビフェスティバル最優秀監督賞受賞。アンダルス・イスラーム歴史三部作の第一作目(アンダルスとは現 スペインの南部のアンダル シア州の語源となった地名だが、イスラーム時代は、イスラーム側はイベリア半島をアンダルスと呼んでいた)。一話40分、全30 回。今回は740年から 746年を扱う第一回から第七回の紹介です。

 ウマイヤ朝末期の安定政権とされるヒシャーム(在724-743年)の治世末期、ヒジュラ 暦119年(740年)から開始。アンダルス・ウマイヤ朝(後ウマイヤ朝)の開祖アブド・アッラフマーン一世(731-788 年)のほぼ全生涯を正攻法で 描く大作。とはいえ、物語の前半では、アブド・アッラフマーンは子供なので、主役はアッバース朝建国の最大の貢献者アブー・ムス リムと、イベリア半島末期 ウマイヤ朝の権臣スマイル(シリアから移住したアラブのキンナスリーン地方(現アレッポあたり)のカイス系キラーブ族の有力者) の二人が主役級に描かれて います。


第一話

  西はイベリア半島、東はインダス川まで広大な領土を治めるウマイヤ朝第十代カリフ(本番組ではハリーファの用語が用いられること は稀で、一般にアミール・ ムウミニーンと呼ばれる)ヒシャーム・アブド・アル・マリク(アブド・アル・マリクの息子ヒシャームの意味)は、治世17年目に 入り、安定した統治を続け ていた。この頃50歳くらい。厳しそうなじいさんです。

これがヒシャームの執務机。クイズ番組の回答席みたい。

 治世はウマイヤ朝一の安定を誇ったとされるが、問題が無いわけではなかった。一つは後継者問題。息子ワリードは、知性も能力も ありそうなのだが、取り巻きに堕落させられていた。下記左が息子ワリード。右がワリードを堕落させる佞臣。

取り巻き達に歌や踊りの宴会漬けにさせられ、まともな君主教育をうけれないまま、才能を育てる機会の無いまま日々が続いてゆくの だった。

  ヒシャームの抱えるもう一つの問題は、密かに企てられている各地の騒乱にあった。ウマイヤ朝は成立の当初から何度も対立カリフと の対決やアラブ部族間の内 乱に悩まされてきた。ヒシャーム時代はカイス部族系(北アラビア)とシリアに移住したヤマン部族系(南アラビア・イエメン)アラ ブ族が、帝国全土で反目し ており、ウマイヤ朝初代ムアーウィアはヤマン族をシリアに移住させ自己の勢力基盤としたため、正統カリフ時代・ウマイヤ朝を通じ てイスラーム帝国全土に進 出したカイス族とヤマン族との反目は全土にわたって展開されていた。以下はヒシャームの宮廷。中央がヒシャーム。左右に侍るのが 大臣達。

 家臣の後ろの窓はガラスをはめ込んだ窓である。この頃のシリアのガラス窓はどうだったのか。史実に興味のわくところです。

 この頃、セイエド(サイド・ブン・アリー:第三代イマーム・フサインの孫)が反乱を計画していた。セイエドはクーファで、そし てホラサーンではスレイマーンが反乱を起こすことを計画していた。

 この年(740年)、本ドラマの主人公、ヒシャームの孫の一人、アブド・アッラフマーンはまだ十歳。狩の最中父親が落馬して死 去してしまい、一族の中での政治的立場は不利な状況に陥ってしまうのだった。



第二話

 アブド・アッラフマーンの自宅。母親とアブド・アッラフマーンが会話しているところ。寝室の内装や寝具が興味深い。

 一方、741年、北アフリカ西部タンジャ(現モロッコのタンジール)でもハワリージュ派の反乱が起きていた。カイス系キラーブ族の有力者スマイルは、シリ アの宮廷でヒシャームじきじきの指令を受けて鎮圧に赴く。白い方がウマイヤ朝軍で、青い方がベルベル族の反乱軍。ウマイヤ軍の司 令官は北アフリカ(イフリキーヤ)の総督Kulthum ibn Iyad al-Qasiだと思われる。スマイルはシリ アからの増援軍。この戦いは、741年10月に、現モロッコ・フェズ西方100km地点のSebou川のほとりで行われた、Battle of Bagdouraだと思われる。

 柔道の投げ技がばんばんでて首が吹っ飛んでころがる場面がとか出てくる。激戦となるが、司令官のクルスム・イブン・イヤードが 討ち取られてしまい、ウマイヤ軍は散り散りとなる。

  一方、ホラサーン地方のメルブ(現トゥルクメニスタン東部)の町の市場で布地雑貨屋を経営しているイスマーイール・イブラヒー ム・アブー・ムーサー(一般 にアブー・ムスリムと呼ばれる)は、市場に侍女とともに買い物に来た女性(後の奥さん)を見初め、いい寄るが、相手にされない。 左画像が侍女と市場を歩く 後の奥さん(右側の女性・名前不明)。右画像がイブラヒーム。(後の)奥さんの装束はウイグル族風。初登場時から最後の登場回ま で一貫してウイグル風装束 だった。

  とはいうものの、イブラヒームが市場に戻ると、後の奥さんの父親(町の有力者らしい)の手下に拉致され、父親のところに連れてゆ かれ詰問される。よくわか らないが、イブラヒームは、自分が由緒正しい出自だということなどを説明しているようである。結局娘から遠ざけることもあり、こ の父親に雇われて、イブラ ヒームはメルブを後に、クーファ(イラク南部)に移住するのだった。これがイブラヒームの運命を変える。以下が、郊外まで来たと ころでイブラヒームが振り 返ってみたメルブの映像。

 その頃シリアの宮廷では、皇太子ワリードは、足に重りをつけたまま馬に乗ってみせて力自慢をしたりと、何か違った方向で君主の 力量をアピールしたりしているが、佞臣や美貴達に喝采され悦に入っている馬鹿皇太子なのであった。

  場面は変わってサブラ(現モロッコのセウタ。ジブラルタル海峡の南岸)では、ベルベルの反乱鎮圧に失敗したスマイル達カイス系ア ラブ軍は、イベリア半島へ の侵入を決意する。この背景には、もともと当時の遠征は、人口過剰のアラビア半島西部のアラブ部族の土地確保という側面があった 為である。敗戦して北アフ リカに領地を持つことができなかった軍部族民の不満を埋めることと、スマイル達部族有力者の野望とが、遠征軍をイベリア半島への 野心を抱かせたのだった。 その通知を受けたコルドヴァ宮廷では総督と思われる人物が激怒している。以下がコルドヴァの宮廷。コルドヴァ側では騒乱の元にな る軍隊に来て欲しくないの である。

 こちらはコルドヴァの城壁と城門。このショットはシリーズを通じて頻繁に登場する。

  第二話のラストでは、イブラヒームはクーファの市場ででいつもどおり普通に市場で店を出している感じだが、自宅では(後の嫁)の 父親とその知人が集まり、 ホラサーンがどうとか打ち合わせしている。その打ち合わせを聞いて恐れおののくイブラヒーム。恐らく、イブラヒームは密談の場所 を提供しただけだと思われ るが、密談している連中は、アッバース一族か、アリー党(シーア派)で、ウマイヤ朝転覆の相談をしていることに、イブラヒームは 衝撃を受けたものと思われ る。それと同時に泣き出してもいるので(嘘泣きかも知れない)、恐らくアリー党)だとわかり、純粋にアリーやその息子フセインの 受難を想って泣き出した か、あるいは陰謀団に取り入る為に泣いて見せたのだと推測される。いづれにしても、イブラヒーム・アブー・ムスリムが、クーファ の有力者である(後の妻 の)父親との関係から、ウマイヤ朝転覆運動に参加することになってゆく経緯が描かれているのだった。


第三話

 冒 頭は、前回に続きで、イブラヒームが、父親ムーサーの話をして、シーア派運動に加わるところから始まる。話を終えた後のイブラ ヒームがひそかに見せた鋭い 目つきから、話は嘘か、または一抹の真実があるにしても、取り入ろうとの魂胆があってのことだとわかる。以下は密談するシーア党 の人々。

 シーア党の幹部に父がシーア派で、命を落とした事を語るイブラヒーム・アブー・ムスリム。


  ウマイヤ朝の都。宮廷の窓からアブド・アッラフマーン一(長いので、以下ラーマンと書きます)が、イスラーム法学者のような人か ら、「アンダルスのアミー ルとなる」と予言されるところを見るヒシャーム。ヒシャームはこの一件をきっかけに、自分の息子を差し置いてラーマンを後継者に しようと考えたわけではな いと思うが、まるで後継者の如く、ヒシャームはラーマンを指導するようになる。

  ラーマンはヒシャームの執務室ばかりではなく、ヒシャームの私室どころかベッドの上でまでで色々と指導を受けるのだった(「ベッ ドの上」とは性的な意味で はなく、普通に「一日中孫を手元において指導する」ということ)。友人達にも「アンダルスのアミール」とからかわれるラーマン。 以下はヒシャームに執務机 の横で政務を習うラーマン。

 ヒシャームの私室で教えを受けるラーマン。

 一方、イベリア半島では、遂にスマイル達の軍団の一部が上陸し、コルドヴァの宮廷に向かう。以下はこの時のアンダルス総督イブ ン・カタン。

 コルドヴァ。

 サプタ(現セプタ)の宮廷ではスマイルら、シリア・アラブ軍団の首脳会議が開かれている。以下が一代の梟雄スマイル。

 シーア派の指導者イマーム(ムハンマド・バーキルかも知れない)に紹介されるイブラヒーム。イマームはテント の中で順番に支持者達に面会している。

 イブラヒームは嘘泣きしながら父親の話をして取り入るのだった。

 シリア。相も変わらず、連日宴会中のワリード。能力はあるのに、場が与えられずフラストがたまりまくっている様子。一方ヒ シャームのラーマンへの教えは続く。三話のラストは、コルドヴァの門と市場が映って終わる。

 コルドヴァの城門。



第四話

  コルドヴァのアミール(総督)の元に出向いたスマイル達は、交渉するが決裂する(711年のイスラームによるイベリア半島征服時 から定着したアラブ勢力を バラディーユーン(国人)と呼び、741年に到来したスマイル達指揮下のシリア・アラブ軍団をシャーミーユーン(シリア人)と呼 ぶ。バラディーユーンは シャーミーユーンが領土を奪うことを警戒し対立した)。城門の前で剣を上げて歓呼する兵士達。スマイル達は、ひそかにアンダルス 総督の部下と取引し、クー デタを起こさせて、総督イブン・カタンを拘束し、新しくヌーリミー・ヤマニーヤを総督に就ける。左下がスマイルとその部下。中央 がヌーリミー(が、聞き間 違いかも知れない。ベルベルの反乱で戦死したイブン・ハビーブ(第二話)の甥のバルジュかも知れない。右はイブン・ハッタール (後述)。夏八木勲に似てい る俳優さん。

 アルバナ(?)(ナルボンヌという可能性があるとのご指摘をいただきました)の戦いでバラディーユーンとシャーミーユーンが激 突し、総督ヌーリミーが負傷する。




  致命傷を負ったヌーリミーは、スマイルの相棒(名前不明。上左画像の左側の人物)を後継者に任命するが、その直後、シリアから、 ヒシャームの命令で到着し たイブン・ハッタール(上右画像)が、「アミール・ムウミニーン(ヒシャーム)の命令で私が新総督に任命された」と命令書を差し 出し、新総督に納まってし まうのだった。スマイルと相棒はあてが外れてあからさまに不満顔。新総督イブン・ハッタールは、バラディユーンとシャーミーユー ンをとりあえず和解させ、 一人満足顔なのだった。


 一方パレスチナの死海近郊にあるフマイマ村。時のイマーム・ムハンマド・バーキルは死の床にあって、 シーア派幹部の面々に最後の命令を与えている。臨終を取り巻く人々の中に、アブル・アッバース(後の初代アッバース朝カリフ)が 登場している。イマームは 死去し、葬儀となる。以下は葬列。
 

 新しい指導者がつくが、誰だか不明。ムハンマド・バーキルの息子ジャアファル・サーディクはアッバース革命に参加していないの で、これは叔父のザイド・イブン・アリーかも知れないし、アブー・アッバースの兄イブラヒームかも知れない。

 時を同じくしてウマイヤ朝カリフ・ヒシャームも臨終の床にあった。ヒシャーム死去時、ラーマンが寝台に縋り付いて泣き伏す。

 ヒシャーム死去後、早速クーデターが発生しワリードを新カリフ(アミール・ムウミニーン)の座につけるのだった。郊外でピク ニックしているワリードの元に即位の報告が来る。飛び跳ねながら宮廷を跳ね回るワリード。


 花風呂でぶくぶくおぼれて喜ぶワリード。

 ダマスクスに入城するワリード一行。最初から馬鹿王っぽい。宮廷で演説するワリード。第四話終わり。


第五話

 ダマスクス市外を馬で練り歩き、住民の歓呼を受けるワリード二世(在743-44年)

 玉座のすわり心地を確かめるワリード。嬉しくて仕方がない様子。子供っぽい振る舞いにしらけ気味の家臣。

  ヒシャームの息子、名将でもあるスレイマーンが反抗的な言動をしたことで縛り付けて公開の場で髪をそって坊主頭にする処刑するワ リード。刑場でワリード は、ラーマンを見かけ、「ああ、アンダルスのアミールになる」と珍しそうに見る。ラフマーンは、途中で見かねて父の墓のもとに行 き、木の根に座り、慨嘆す るのだった。夕暮れによろよろと自宅に戻る。弟はもう寝ている時間だ。母が心配しているのだった。

 カリフになってもいっかな君主の振る舞いとならないワリード。大臣に怒鳴り散らし、金の輿に乗って妾の元を訪ねる馬鹿王ぶりが 描かれる。

 以下は妾の館。ワリードは次第にこの城に篭るようになり、宮廷に出仕しなくなってゆく。


 ここで舞台はヒジュラ暦126年(744年頃)に飛ぶ。弟のスレイマンがダマスクスを訪問した時の話。

 この時ダマスクスでスレイマンとあっていた人物は後のヤジード二世。ワリード廃位に向けた陰謀が進んでいる模様。

  フマイマ村のアッバース家の会議にはイブラヒーム(この頃からアブー・ムスリムの名が使われるようになる)も出席している。長老 達の会議に口を挟んで、指 導者(イマーム)から何か感心されてたりしている。アブー・ムスリム、着々と組織の中で地歩を固めているようである。アブー・ム スリムがイラクに派遣され たところで終わる。



第六話

 宮廷でクーデタ勃発。アッラーアクバルの声とともに入城する兵士たち。ヤ ズィードの宮殿に向かって進軍する軍隊。ワリードは妾の館を政庁としていたが、家臣たちは勝手に引き上げてゆく。それを窓から見 守るワリード。館には愛人 と宰相だけが残るのだった。とうとう反乱軍が宮殿に到着する。軍営では宰相一人が逃亡する兵士達を止めようとするが誰も聞かな い。妾の宮殿。結構立派。

 ワリードの寝室。もうワリードと妾と宰相ぐらいしか残っていない。

 妾の宮殿の城門の内側の映像。下の、ワリードが城門から行く場面の映像が、外側から城門を見たところ。

 一人で城門から剣を持って出てゆくワリード。最後の最後で君主らしい振る舞いができた。


 斬られる場面はなかったが、城門から颯爽と出てゆく場面の後に、野原にいるワリードの映像がはさまれ(恐らく天国を象徴)たの で、ここでワリードは討ち取られたようである。

 ダマスクスでは新カリフに即位したヤジード(以下右)が玉座につくが咳き込んだりしている。早くも健康に難がありそう。左側は 家臣のスレイマーン。

 ダマスクスの、ヤズィードの宮廷。

 ダマスクスの映像。この頃、マルワーンは、ハッラーンに向けて進軍していた。マルワーン軍の動きを警戒するヤジード。

 スレイマーンは、ヤジードの宮廷とマルワーンの軍営の間で使者を務め、両者の和解を策するが、そこにヤズィード死去の知らせが 来る。

 ヘジュラ紀元127年(西暦744年)、マルワーンは軍勢を率いてにダマスカス入城する。
 一方フマイマ村では、アブー・ムスリムが、アッバース指導者からホラサーンに赴くよう、指令を受ける。

 コルドヴァ。市場の城門(左)と市場の中の様子。咥え煙草(のようなもの)がトレードマークのスマイルが、賑やかな市場の様子 を見て歩いている(この咥え煙草のようなものは、アラブ圏で歯ブラシがわりに使われているMiswakというも ののようです)。


  127年(745年)。スマイルが自宅で仲間と食事をしているところが出てくる。肉を手づかみ。当時のコルドヴァもそうだったの か。そこに伝令が。アンダ ルス総督アブル・ハッタールのヤマン系部族を優遇する政策の模様(スマイルはカイス系部族)。スマイルはハッタールに抗議に行く が、言い争いになり、宮廷 を追い出されてしまう。スマイルは、アンダルス地方の اسـثـجة (エスティ?)地方に逃れ、地方有力者を見方につけようとするのだった。


第七話

  129年(747年)、アブームスリムはホラーサーンのメルブに到着する。数年前、半ば追放の身でメルブを去ったアブー・ムスリ ム。メルブを遠望するとこ ろまで来て遠目に町を見、感慨深げ。現地有力者と交渉するが、文鎮を投げつけられ頭に怪我を負ったりして反ウマイヤ組織拡大はな かなかうまく行かないが、 第二話でアブー・ムスリム(以下面倒なのでアブー)が見初めた娘の父親の支援などもあり、なんとか地元有力者との交渉がうまく行 き、娘の父親の家で娘と再 会するのだった。
 (後の妻)の父親に、クーファから持ってきた文書を見せるアブー(右)。父親が手にしているのは羊皮紙で、アブーの前の机の上 においてある円筒形の金属の筒に巻かれていたもの。

  この後、娘とアブーが結婚する。娘は市場で会った頃から、からかい半分ではあるものの、父親にアブーを呼びつけさせたりして、駆 け引き的なところがあった ので、結局は相思相愛だったということなのかも知れない。言ってしまえば、上流階級の女性と結婚することで成り上がりを証明した い男と、野心的な男に惹か れる上流階級の女性との結婚ということで、今後痴話喧嘩が絶えなくなる二人なのだった。

 さて、メルブの有力者達は、各地でのアッバース朝の布教活動を開始する。各地の町や村で演説している映像が映る。

 パレスチナのフマイマ村では、アッバース一門がホラサーン情勢を心配している。下中央がイマームの部屋。実に質素。右画像の右 端から、イマーム、アブ・アッバース、アブー・ジャアファル(後のマンスール)。

  一方アンダルスでは、咥え煙草男スマイルが、ユースフ・アブディッラフマーンをアンダルス総督に担ぎ出そうと説得に訪れる。慎重 なユースフは断るものの、 単に贅沢と権力を素朴に欲しがる浅知恵の奥さんに強力に説き伏せられて、アンダルス総督になることを了承するのだった。

 帰途についたスマイルをユースフが追いかけ、OKと伝えた時の、振り向いたスマイルの表情がよかった。

 以下はユースフ家にあったガラスの室内灯。当時このようなものがあったのでしょうか。


 夫が総督となり、総督府の宮殿に居住することになり、総督府にやってきたユースフの妻は、壁や天井等見事な室内装飾を眺め回し ておのぼりさんである。権力争いに巻き込まれると碌な末路がないことが多いのだけど、この時はそんな事はまったく考えてない様 子。

 この回の終盤は、アンダルスのスマイルと、ホラサーンのアブー・ムスリムの活動が交互に描かれる構成。アブー・ムスリムは蓄財 に励み、財宝入れの小箱に金銀財貨を溜め込んでいる。それを見ている奥さんは、呆れてしまい喧嘩になったりしている。

 この回のラストで、反ウマイヤ運動の旗(黒旗)とコスチューム(黒服)が出来上がり、反ウマイヤ組織はそれらを身につけ、気勢 を上げるのだった。


以下第八話に続く。

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