ウマイヤ朝歴史ドラマ「クライシュの鷹」(4)754年から756年迄(第17−20話)


  前回の続き。 2002年シリア・モロッコ共同制作ウマイヤ朝歴史ドラマ「クライシュの鷹」の紹介4回目。ウマイヤ家の王子アブド・アッラフ マーンが、シリアから流浪の 果てにジブラルタル海峡に到達した第十七回(754年)から、アンダルス(イベリア半島)征服に上陸する第二十回(756年)の 紹介です。


第十七話

 冒頭でサーリムが去ってゆく。それを三階から見下ろし、頭を痛めるラフマン(以下は三階のラフマンの視点から、別れの挨拶をす るバドルとサーリムの様子)。
その頃カイラワンの政庁ではラフマンをアッバース朝に差し出すことが決まったようで、夜ラフマンの家に使者が来る。ラフマンとバ ドルは脱出すし、田舎(現アルジェリアの地中海沿岸のケビリー周辺のナフザ族の村だと思われる)ベルベル人を頼る二人。

  ナフザ族は、奴隷だったラフマンの母親の出身部族とのこと。ベルベルの村落では部族長が村民に向かって、ラフマンの正式な身分を 紹介し、村で公式に匿うこ とになるのだった。村では歓迎の祭りが開かれ、ベルベル民族舞踊が展開。興が乗ったバドルも踊りだす。ラフマンも、部族長の奥さ んに、あなたも踊れと引っ 張られるが恥ずかしがってなかなか踊らないラフマン。最初は恥ずかしげに肩を揺らしているだけのラフマンだったが、その内ベルベ ル・リズムに乗り始め、全 身で踊りだすのだった(青い服がバドル。もう一方がラフマン)。

  さて、それでもアッバース政府(前回登場したカイロワン知事イブン・ハビーブ)のスパイがいて、村にアッバースの使者が来る。今 回は黒服騎士一人が来る。 慌てて少年が知らせに来て族長の家ではラフマンを隠す。族長はとぼけるが、部族民の中のスパイが口にする。そして族長のテントを 検分させられる。捜査官が 覗くと奥さんが髪を解いていて、「無礼者”!」と一喝。捜査官も首を引っ込めざるを得ない。族長は捜査官に向かって、一杯やって いかないか、と杯を上げる が、捜査官は無言で去る。スパイも不敵な笑顔を残しながらその場を去るのだった。族長が奥を覗くと、奥さんのスカートの中からラ フマンが顔を出すのだっ た。とはいえ、ここも危険になったので、村を去る二人。盛大に村民に見送られるが、その中には不敵な笑顔を見せるスパイもいるの だった。


 妻と口論が絶えないアブー・ムスリム。アブー・ムスリムは再度上洛する。楽隊を率い、大名行列のようなものものしく騒々しく大 人数の隊列を組み、堂々の行軍。

  都へ上がったアブー・ムスリムは、カリフの手に口付け。アブー・ムスリムは典型的な野望に満ちた成り上がり男として描かれてい る。帰郷する時も街道沿いの 遊牧民のテントを通りかかると、村民が出てきて、彼らに銭袋を多数投げ与えて人気を得るアブー。跡をつけていてその様子を目撃し たジャアファルは、一層ア ブー・ムスリムを危険だと考えるのだった。しかし、そんな振る舞いも実は不安の裏返しだったのだろうか。メルブに戻った後のある 夜、、アブーは、自宅で寝 ていて、暗殺される夢を見て飛び起き、驚いて起きた妻に慰められるのだった(左下が妻と一緒に眠っているアブーの寝台。結構豪 華)。

  そうして、アッバースが死去しアブー・ジャアファルが即位する(上右は、逝去したアブーアッバースの顔に布団をかけるアブージャ アファル。ジャアファルの 即位式は郊外で行われ、彼の手の甲にキスする人々。彼の即位は、生前からアッバースが玉座で高官に後継者はジャアファルだと宣言 していたことが根拠らし い。

 アブドッゥラー・アリー(ウマイヤ朝カフリ・マルワーンとの決戦時の司令官。アブー・アッバースとアブー・ジャアファルの叔 父。下右画像の左の人物)がジャアファルへの反乱を部下に説く。最初は怪訝に聞いていた兵たちは最後は歓呼で蜂起に賛成する(下 左画像)。

  宮廷で反乱と聞いて驚くジャアファル。そしてなんと、討伐にアブー・ムスリムを召集するのだった。いいように使われているなあ。 忠誠を示すいい機会だと 思ったのだろか、或いは、「君の力が必要なんだ」とか言われたのだろうか。自宅に戻ってクッションをたたいて、「ははは。やっぱ 俺は必要とされている!」 と高笑いするアブー・ムスリム。妻はまたも呆れて夫を眺めるのだった(右下画像。妻は本台を利用して本を読んでいる)。左下は即 位したアブー・ジャアファ ル。暗黒大将軍といった風情。

  「俺は認められているんだよ」とアブー。妻は「あなた落ち着いて」という感じ。「ホラサーン」云々といいながら、首を切る仕草を する妻。多分、「あなたが ホラサーンを離れる理由を作っているのよ」とでも言ったのだろう。奥さん冷静。しかしアブーも少しずつ冷静になる。奥さんが出陣 したアブーを途中迄見送り に来ていたが、アブーの陣営を去る時、駱駝に乗る前と乗った後、しばらくアブー・ムスリムと奥さんが無言で見つめあうの場面が良 かった。この頃にはアブー も相当自分の置かれた状況が見えてきていて、妻と会うのはこれが最期だと思ったのかも知れない。

 奥さんの輿が出発した後、馬に乗って見送るアブー。しばらく奥さんの輿に沿ってアブーも馬を歩かせる。見詰め合う二人。奥さん の目には涙が溜まっているようにも見えた。

 口論が絶えない夫婦だったが、奥さんはアブーの事を本当に真面目に考えていた人だったように思う。

(場面は無かったが、この後史書では、アブー・ムスリムは、アブドッゥラーをナシービーン(古代のニシビス)の戦いで破り、叔父 は七年間の幽閉の後殺されている)

 場面は変わって、岩山で物思いにふけるバドルとラフマンが映り、アンダルスに向かって旅する二人が海(ジブラルタル付近の地中 海)に到達したところでこの回は終わるが、この場面も良かった。

  海を見るのは初めてだからというわけではなく、アッバース朝の追跡を逃れる為に街道を避け、内陸を旅行してきたからだろうか、二 人の喜び様は尋常ではな い。しかし、このドラマを最後まで見終わって思うのは、この苦しかった逃亡生活が、二人にとってもっとも幸せな時代だったのでは ないかということです。二 人が苦しみを分かち合い、共通の目標に向かって生き、そしてジブラルタルの海に向かって走ったこの瞬間こそが、二人の人生とその 友情の、まぎれなきピーク であったと思うのでした。


第十八話

 遂にジブラルタル海に出たラフマーンは、「俺は遂に来たぞ!」と、自らの名をフルネームで叫びながら腕を振り上げる。

−アミール・アブドゥルラフマン・ミブリ・ムアーウィア・ダブリ・ヒシャーム・ミブリ・アブド・アルマリック
 (私、アルマリクの息子のヒシャームの息子のムアーウィアの息子であるアミール・アブドゥルラフマン/ 
  Abd al-Rahman ibn Mu'awiya ibn Hisham ibn Abd al-Malik ibn Marwan)


  サブタ(現モロッコのセウタ)にあるベルベル族のマギーラ族の町にラフマンとバドルが到着すると、ラフマンの歓迎式典が開かれ る。この町はセウタとテロッ プが出たのか記憶が曖昧。タンジャ(現タンジール)という言葉も出ているのでタンジャかも知れない。この城砦遺構のロケ地は、モ ロッコの観光地ワルザザート近郊のアイット=ベン=ハドゥの集落。ジブラルタル海峡から南へ800km程のアトラス 山脈の南麓にある。

 ラフマンは、族長夫人(以下伯母さんと記載することにする)に熱烈な歓迎を受ける。この女性が何者で、何故ラフマンを歓迎する のか、台詞がわからないのが残念。ベルベル人であったラフマンの母親と関係があるものと一応推測しておく。

 サブタの民は、ベルベル・ダンス(左画像)や、騎馬戦、曲馬などを催し盛大な歓迎式を行う。右画像中央が、青いベルベル風の ターバンを被ったラフマン。その左が族長。右がバドル。

 バドルは踊りたくてムズムズしている。

  バドルとラフマンが滞在を始めた後のある日、伯母さんがラフマンに少女を紹介しに連れてくるが、ラフマンは妻子がいるので、気が すすまなそうにする。そこ にバドルがやってきて伯母さんに叱られるような事を言ったらしく、杖で叩かれたりしているが、見ているラフマンはニヤニヤしてい て、伯母さんもそのうち自 分で笑い出すのだった。バドルの憎めない性格なところが良く出ている場面だった。

 一方のアッバース宮廷とアブームスリム。本当に忍者屋敷というか、いつも葬式みたいなアッバース宮廷。

  アッバース宮廷とアブーの軍営が交互にラフマンの映像と平行して挿入される。ジャーファル(カリフ・マンスール)とアブー・ムス リムの間で何度か使者と書 簡がやりとりされる。アブー・ムスリムは遂にジャアファルの前に出頭するが、入り口で剣を取り上げられるのだった。しかし、ア ブーは短剣を腰に帯びてい た。しかし、それもジャアファルに見せてくれ、といわれて差し出したところ、ジャアファルは腰の後ろに短剣を隠してしまう。もう 冷たい緊張関係がありあり とわかる映像。そして一方的にジャアファルに罵倒され、驚愕し、ひざまづいてすがるアブーは次の瞬間護衛兵によって刺殺され、白 目を剥く。

 アブー・ジャアファルが遺体を跨ごうとすると、アブー・ムスリムまだ絶命しておらず、ジャアファルの足をつかんだので、今度こ そ護衛兵達によって蜂の巣に刺されるのだった。

 メルブではアブー・ムスリムの妻が、夫の最期を予見し、部屋で泣いているのだった。こうして本ドラマ前半の主人公の一人ア ブー・ムスリムは退場となった(ドラマ前半のもうひとりの主人公は、イベリア半島をかき回したスマイル)。

  136年(755年)のコルドバ。久々のコルドバ映像登場である。金持ちの男が楽隊を率いて宮殿から出てきて金袋をばら撒いた り、広場の隅の女奴隷の競り が映ったり。平和な喧騒に満ちたコルドバの様子が描かれる。アンダルス知事ユースフ夫人とその娘が市場で女奴隷の競りを見て、売 られている態度の悪い女奴 隷を購入する(左画像右がユースフ夫人、左がその娘)。

  購入されて侍女となった女奴隷は宮殿に連れ込まれ、態度が悪く口論が絶えない。ユースフ夫人の後ろで舌を出したりと素行不良ぶり は他の奴隷からもため息も の(この女奴隷は後にアンダルスを平定するラフマン夫人となるのだが、ラフマン夫人となる頃の落ち着きからは想像できない性格な のだった)。ネックレスを ユースフ夫人につけるときわざと首を絞めるようにしたので、夫人が侍女を叩いたりして平和な世界(以下傀儡知事ユースフと口うる さい妻とその馬鹿息子)。

 その頃トレド(?)の宮廷ではトレド知事が、ジャアファル・マンスールからの手紙と黒旗を受け取っていた。



第十九話

  前回市場で購入されてきた問題侍女がユースフ夫人に鞭打ちされているのを見かねた夫人の娘が止めに入る。部屋で問題侍女が膨れて いると、先輩侍女が慰めに 来てくれるのだった(以下コルドバのアンダルス知事ユースフ家の食卓。家族で歓談。右手に立って給仕しているのは問題侍女)。馬 鹿息子は問題侍女が気に 入って付け回し、それが気に入らない妹は、兄の目の前を憤然という感じで横切るのだった(妹ではなく妻かも知れない)。

 その頃スマイルは、サラクスタ(現スペイン北東部サラゴサ)の知事として赴任していた。

 バドルがアンダルス(イベリア半島)へ使者に出されることになる。別れ際、臣下としての手の甲へのキスを許さず、友としてバド ルを抱きしめるラフマン。

 目が覚める程美しい海。波止場から小船に乗り、沖合いの大船に乗り移るという仕組みとなっている模様。大船は岸まで来れない、 浅瀬の港ということなのだろう。

 ジブラルタル海峡を越えてバドルがイベリア半島に上陸したの場所はアルヘシラス(現ジブラルタルの北西部)となっていた。

  まず、馬を買うバドル。旅の途中で会った人物にアンダルス情報を色々と聞くバドル(下左画像は、その旅人と途中まで一緒に旅を し、休憩中に会話する二人。 アンダルス(イベリア半島)は、これまでラフマンとバドルが旅をしてきた北アフリカと異なり、格段に緑と水のあふれる場所だと良 くわかる映像となってい る)。右はバドルが最初に訪問した エルヴィーラのハサン・ズズシュの居城(とテロップが出ていたようだが、この居城の主の二人 は、ダマスクス出身のシリ ア人軍閥のアブー・ウスマーンとアブドッラー・イブン・ハーリドである)。

  バドルはエルヴィーラ(現グラナダ地方)代官に、ウマイヤ朝を支持するマワーリー(ウマイヤ朝の被征服民)を探している、と告げ ラフマンの親書を渡す。エ ルヴィーラ代官とハラージュ(地租)がどうとか会話している。高度に政治的な交渉の模様。一時は決裂しそうになるが、最後は交渉 がまとまる(以下は代官城 の中庭)。

 アブー・ウスマーンとアブドッラー・イブン・ハーリド、およびバドルは軍隊を率いてスマイルが代官を務めるサラゴサに向かう (以下サラゴサの城と、スマイルの政務室)。

  当時、サラゴサのスマイルは、トレドの代官(前回ラストで、アッバース政府から手紙と黒旗をもらっていた)に攻められて籠城して いたようで、アブドッラー とウスマーンは、(トレドの代官が戦場にいる場面が出てこなかったので推測だが、話の流れとしては)バドルを連れてスマイル救援 に向かったということのよ うである。スマイルはウスマーンとアブドッラーを大歓迎するが(上左画像で城壁上の兵士が大歓声を上げているのも、アブドッラー とウスマーンの軍がサラゴ サ救援に駆けつけ、城の包囲を解いたからだと思われる)、サラゴサ解放後、エルビーラに引き上げるアブドッラーとウスマーンとコ ルドバに赴くスマイルは途 中まで一緒の道中だったが、そこで二人はスマイルにバドルを紹介する。スマイルは、彼がウマイヤ家のアブド・アッラフマーンの使 者だとわかると、バドルに 上着を投げつけて、お前は来るな、と言う。バドルはウスマーン達とエルヴィーラで待機することになる。つまり、アンダルス知事 ユースフを傀儡につけた実力 者スマイルとしては、新たな勢力の介入は面白く無い、という心理があり、バドルを直接ユースフに会わせるには避けたいと考えたも のと思われる。コルドバに 赴いたスマイルは、ユースフを思い通りに動かそうと説得する(圧力をかける)のだった。

 そのコルドバでは、知事ユースフの馬鹿息子は相 変わらず問題侍女を追い回していた。とうとう侍女を命令で自室に呼びつける。嫌々警戒しながら入ってくる問題侍女。馬鹿息子、一 瞬見とれたりして、なんで すか?という具合に侍女に見返される。わかり易過ぎ。そして会話の弾みで触ろうとするのだった。最後に肩を抱こうとしたところ、 突き飛ばされて侍女は逃げ ようとするが、馬鹿息子はドアの前に立ちふさがって力づくでとめる。侍女が大声を出したところ、馬鹿息子は口を塞ぐ。という最低 な挙動に。問題侍女は最後 は力ずくで逃げ出すが、結局また知事妻に鞭打ちの刑になるのだった。今回は容赦ない。流石に他の侍女達は気の毒そうに眺めている のだった。鞭打ち刑の後、 侍女は監禁されるが、先輩侍女オレインが天井近くの小窓からパンと水を差し入れするのだった(この頃は、この侍女の態度はあまり 粗野ではなくなっていて、 普通の女性になってしまっているので、初登場時の生意気な態度がいつの間にか無くなっている分、気の毒度が増すのだった)。


第二十話

 エルヴィーラで、コルドバでのスマイル−ユースフ会談の結果待ちとなったバドルは待ちかねて、ウスマーンとアブドッラーに質問 するが、「まあ待て」と宥められる。一方ラフマンは、毎日海岸に出て海峡を眺め、事態の行く末に思いを馳せるのだった。 

  جيــان الأندلسと地名のテロップが出て、ユースフとスマイルは遠征中の山中の軍営。そこにウスマーン&アブドッ ラーが訪ね、アブド・アッラ フマーンの件を相談しにゆく。二人組みは自軍の軍営(彼らも遠征中のようだ)に引き返してきて、バドルに結果を報告する。再度ス マイルとユースフの軍営に バドルを連れて二人組みがラフマンの件について相談に来る。スマイルは「ああ、あの件か」みたいに思い出したように返答するだけ だが、とりあえずバドルは 喜んで浮き足だち、スマイルのテントから出た時には飛び上がって万歳する。おそらくスマイルは適当な、そしてバドルにとっては嬉 しい回答をしたのだろう。 帰路、馬に乗っても落馬しそうにはしゃぎまくるバドル。ところが使者が追いかけてきて、ちょっと待ってるように、と告げ、続いて スマイル自身が早馬を飛ば して来る。おそらく前言修正なのだろう。バドルは馬の鞍に顔を伏せていかにもがっかりした様子。言うだけいって戻るスマイルの背 中に向かって弓矢を射る仕 草をするバドルなのだった。
 
 バドルと二人組みは、今度はセビーリャ代官を訪問する。セビーリャ代官はアブド・アッラフマーンを迎え入れることに賛同する。 バドルはガッツポーズ。

 待ちくたびれた感じでいつものように海岸に出たラフマンは、小船から手を振るバドルを見つける。

 バドルは、セビーリャのサキーフ族のハマーム(ハンマン)・アルカマとアブドゥッル・フラヤーを伴っていた。二人をラフマンに 紹介するバドル。

  サブタでは、ラフマン出立の儀式が行われる。ベルベル民族音楽と舞踊でアンダルス(イベリア半島)に向かうラフマンを見送る叔母 さんと族長と民衆達。左 は、船上から手を上げて見送りに答えるラフマン。右は、アブド・アッラフマーン、イベリア半島上陸の瞬間。上陸したラフマンは、 ひざまずいて海岸に口付け するのだった。

 海岸ではセビーリャの代官(下左画像の右側)と、エルヴィーラのウスマーンの二人が出迎えに来ていた。

 ラフマンはエルビーラの城に入る。城中の民衆から歓呼で迎え入れられるのだった。

  コルドバ。ユースフの妻は、出入りの商人だか家臣だかから、ウマイヤ家の王子がアンダルス(イベリア半島)に上陸し、エルヴィー ラに入った情報を仕入れ、 娘にその話をする。それを横で聞いていた問題侍女(ハキーム、またはハキーヤスという名前らしい)。もうすっかりしおらしい女性 となっていて問題行動は無 くなっている)は、先輩侍女オレインに「王子様ですって!どんな人かしら」と話をしに行くのだった(下左が問題侍女ハキーヤス。 左が先輩侍女オレイン)。

  ユースフ妻は、ハーキムとオレインをエルヴィーラのラフマンの元にやることを計画し、侍女二人を呼び出して説明する。ラフマンへ の付け届けということかも 知れない。馬鹿息子は反対するが、二人の侍女は、ユースフの書簡を届ける使者とともに出発する。しかし、侍女がエルヴィーラに入 るのは、書簡を携えた使節 がラフマンを訪問した後という話になったようで、侍女二人と護衛の一行はエルヴィーラ郊外で待機することになる。書簡を持った使 節はエルヴィーラ城に入 り、ラフマンは、使節とウスマーン&アブドッラーなどの前で、書簡を読み上げるが、だんだん雲行きが怪しくなり、最後には激怒す る。ウスマーンは激怒のあ まり使節の顔を二度はたき連行する。恐らくラフマン側は、ウマイヤ家への忠誠とラフマンへの服従を提案したものと思われるが、 ユースフ(とスマイル)から の返答は、拒絶ということだったのだろう。拒絶、即ち戦争となるのだった。副使が郊外で待機する侍女一行の元に戻り、「交渉は決 裂した。コルドバに戻る」 と伝える。

 ラフマン軍とウスマーン&アブドッラーは軍を率いて進軍。出陣してきたセルビア代官と合流する。

-参考資料
 スマイル

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