アルダビール



紹介

 サファビー朝(1502-1722)の都といえばイスファハーンが有名ですが、ここアゼルバイジャン地方のアルダビル
はサファビー朝発祥の地として重要な場所です。もっともこの地だけの単なる地方勢力がいきなり強力に発展したわけではなく、 チムール朝の衰退によって生じた混乱期にアナトリアからアゼルバイジャンに勢力を持ったトルクメン人王朝である白羊朝・黒羊 朝といった王朝と血縁関係があり、サファビー朝王家はイラン統一以前の15世紀後半に西アジアの国際関係に既にデビューして いたと言えます。
 またサファビー朝は1722年の滅亡後も後継者が直ぐに即位したのではなく、サファビー王家の子孫を立てながら統治すると いう形態をとり「サファビー」という影響下にあり続けたことから「サファビー朝の時代」と言えるのは15世紀後半から18世 紀後半の約300年近い年月であったと言えるのではないでしょうか。
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  サファビー朝時代は現代イランに直接つながるイランを形成した王朝としても重要です。この時代にシーア派 が国教として採用され領土的にもほぼ現在のイラン国境に近い領土に落ち着きました。
 扉の写真はサファビー家で最初にシャーを名乗りイランを統一したイスマーイールの肖像です(後世の作品)。彼は若干13歳 でサファビー教団教主となり15歳でシャーを宣言、24歳でほぼイランを統一した人物。少年の頃は「悪魔の様に美しい」と称 された程の美貌だったとか。
 イスマーイールに限らずこの時代多くの若い王が活躍ししかもライバルとして競い合うという、映画や小説、コミックの主題に 格好の材料を提供しているのではないかと思うのです。
 たとえばー>(右欄へ)
                   1520年当時の年齢
バーブル    (1483-1526)    37
イスマーイール (1487-1524)    33
スレイマーン  (1494-1566)     26     
ラースロー2世 (1506-1526)    14 
カール5世   (1500-1558)    20
フランソワ1世  (1497-1547)     23 
ワリシー3世   (1479-1533)          41

旅行情報 旅行日記
 さて写真ですが、アルダビルにはサファビー朝発祥の地ということで教団の一族の霊廟があり、ここには始祖サフィーの霊 廟、イスマーイールの霊廟、更に一族の墓がある。なんとなく雰囲気は日光東照宮という感じがしないでもありませんが、東照宮 と違いここは街中にあります。
 アルダビルは西北アゼルバイジャン地方の中心都市。結構な都会である。
 霊廟は街の中心部から歩いて数分のところにある。
写真右上は外側から霊廟のおおむね全体の南からの概観。撮影時背後には車道で通勤ラッシュだった。写真左上は霊廟入り口から 中庭奥の霊廟の建物の東概観。下写真中はサフィーの霊廟。左下はイスマーイールの霊廟。
右下は霊廟のあるホールのアプス部分(イスラム建築でもアプスというのかどうかわからないが)。奥にサフィーの霊廟、左手の 壁にイスマイルの肖像ががあり、その下に写真左の穴がありイスマイルの霊廟がある。
 また別棟には明の嘉慶帝時代の陶器など明との交流の品々が結構沢山陳列されている。まオスマン朝のトプカプ宮殿とは比較に ならないけど。
 テヘランとはバスで10時間。エルブルス山脈を越える。
 タブリースからは4時間。
アルデビールは1500mくらいの高原にあるが、やっぱり茶色の大地に浮かぶ緑の島である。

遺跡見取り図
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