BBCドラマ「Ancient Rome The Rise and Fall of An Empire」第5話「コンスタンティヌス」感想

  BBC/Discovery Channel/ドイツZDF製作。

 正直なところ、どちらもお金がかかっていそうなのに、流れをなぞっただけで再現ドラマに近い感じでしたが、コンスタンティヌス は別の観点で楽しめました。

  たとえば、ミルウィウス橋の戦いの直前に、「これにて勝て!」と、キリスト教の象徴を真昼の空に見た、との伝説がありますが、こ の場面は、行軍するコンス タンティヌス軍の前はるか荒野の先に、もうもうと煙の尾を引く隕石が落ちてきて、煙の尾が十字架のような形を一瞬とったかとらな いか、というような、そ れっぽいものをみせられ動揺しているところに、教父老ラクタンティウスやってきて、あれを見たか?見たろ?信じろー信じろー、と 畳み掛けるように説得・洗 脳。

 ミルヴィウス橋の戦いでは、敵将マクセンティウスが、予め橋に仕掛けをしておいて、意図的に退却する軍を追って、コンスタン ティヌ スが橋をわたるところで、かんぬきを外す、という作戦のはずだったのに、本番では、コンスタンティヌスは退却するマクセンティウ ス軍を呆然と見送るだけ。 なかなか橋を渡ろうとしないコンスタンティヌスに業を煮やし、勝負しろーとばかり橋の途中まででてきたところでかんぬきが外れ て、マクセンティウス勝手に 溺死。何もしないまま勝利するコンスタンティヌス。こんなだったの?自らしかけた罠にひっかかって、河に落ちて溺死? 勝手にこ けただけ?

  これはひょっとして、歴史の真相は案外こんなものだったのかも、とシニカルに描いた高度なドラマなのかとも思ったが、続くローマ に入場したコンスタンティ ヌスの演説の場面では、これはパロディなのかも、との思いが強まる。というのも、帝国唯一の宗教と宣言するのだー。するのだー。 だー。だーだー。と耳元で ささやく老ラクタンティウスは、まさにアナキンウォーカーにダークサイドをささやくパルパティーン卿にしか見えない。憑かれたよ うに、民衆に向かって「1 つの帝国、1つの宗教」と絶叫するコンスタンティヌスの目の色はもう尋常ではない。にやりとほくそ笑む老ラクタンティウス。

 ラスト リ キニウス忙殺の場面は、ゴッドファーザーPART1かエリザベスPART1。暗い教会(の様にに思える屋内)の玉座に座り、神を 称えながら、一方でリキニ ウス暗殺に向か刺客たち。マイケル・コルレオーネもエリザベスも、暗殺場面では教会で祈っていた。このドラマは、コンスタンティ ヌスから、キリスト教勃興 期の貢献者という聖性を引き剥がすことを意図しているとしか思えない描きぶり。また、このラストは、やはりスターウォーズのパロ ディとしか思えない側面も ある。例えば、オビワンとアナキンの決闘で、仮にアナキンが勝って、オビワンがアミダラ女王を連れて逃亡、タトウィーンに潜んむ ことになっとする。庭で子 供を囲んで平和に暮らしているところに、ある日アナキンの刺客がやってきてオビワンを絞殺し、ルークを連れ去る。神に殺されろ! と絶叫するコンスタンティ ヌスの妹にしてリキニウスの妻。じゃなくてアミダラ姫。

 うーむ。でもまぁ、面白かったです。youTubeの映像はこちらをどうぞ

:古代ローマの歴史映画一覧表はこち ら 
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