新版岩波講座世界歴史シリーズの目次(2)第十巻から第十八巻


第 十巻 イスラーム世界の発展
第 十一巻 中央ユーラシアの統合
第 十二巻 遭遇と発見
第 十三巻 東アジア・東南アジア伝統社会の形成
第 十四巻 イスラーム・環インド洋世界
第 十五巻 商人と市場
第 十六巻 主権国家と啓蒙
第 十七巻 環大西洋革命
第 十八巻 工業化と国民形成

第十巻 イスラー ム世界の発展

はしがき(佐藤次高)

構造と展開

   イスラーム国家論     −成立としくみと展開− 佐藤次高 3
     序−「イスラーム国家」を問う意味             3
     一 イスラーム国家の成立                 8
       (一) 初期イスラーム国家の見方          8
       (二) 「イスラーム国家論」の再検討        12
       (三) スンナ派国家とシーア派国家         19
     二 イスラーム国家のしくみ                24
       (一) 国家と社会と法                 24
       (二) 軍隊と官僚                   28
       (三) 都市と農村と遊牧社会の統治        33
     三 イスラーム国家の展開                38
       (一) カリフと大アミールとスルタン         38
       (二) イスラーム国家とイクター制         43
       (三) マムルークと民衆               48
     四 イスラーム国家の特徴               51
       (一) 領域国家か個人国家か           51
       (二) 王権の正当性                 56
       (三) イスラーム国家と商人・知識人・聖者   60

境域と局所

   ビザンツ帝国とイスラーム     太田敬子       71
     はじめに                       71
     一 イスラーム勢力の拡大とスグールの発展 73
     二 スグール社会の形成と発展  −シリアのスグールの事例− 79
     三 スグールにおけるムスリム社会  −特殊性とその限界−  84
     むすびにかえて −スグールにおける人と物の移動−       89

   マグリブ中世社会のユダヤ教徒 −境域の中のマイノリティ−    私市正年    97
     はじめに                         97
     一 ユダヤ教徒の移住とマリーン朝期までの歴史 97
     二 マリーン朝期のユダヤ教徒           106
     おわりに                         118

   イスラームとモンゴル     北川誠一     127
     はじめに                  127
     一 テグダル・ハンの改宗        129
     二 ガザン・ハンの改宗         138
     むすび                    142

論点と焦点

   イスラーム世界の参詣  −聖者とスーフィズムを視野に入れつつ−   大稔哲也     149
     はじめに                    149
     一 イスラーム世界における参詣小史   151
     二 エジプト「死者の街」の参詣慣行    160
     三 「死者の街」とエジプト社会       170
     四 むすびにかえて −参詣と聖者、スーフィーたち 175

   イスラーム法と統治システム     柳橋博之     181
     はじめに                     181
     一 統治の分類                 181
     二 権力関係                  185
     三 後見的作用                 186
     まとめ                       197

   イスラームの少数派とジャマーアの成立     花田宇秋    201
     はじめに                     201
     一 問題の提起                 201
     二 ジャマーアの起源             203
     三 少数派としてのハワーリジュ派     205
     四 少数派としてのシーア派         216
     おわりに                     220

   マムルークとグラーム     清水和裕         223
     一 マムルーク朝マムルーク軍団とアッバース朝グラーム集団 223
     二 奴隷軍人の起源             226
     三 奴隷とイエ                 237
     おわりに                     243

   王権とイスラーム都市  −カイロのマムルーク朝スルタンたち−   長谷部史彦   247
     はじめに                    247
     一 聖域都市の記憶と改造 −バイナル・カスラインとカサバ 248
     二 スルタンと民衆の対話 −王権とルマイラ広場  253
     三 大河文明の王権    −ローダ島とミスル運河 258
     四 粗衣を繕纏うスルタン−「砂漠」−   261
     おわりに                     265

   イスラーム社会とワクフ制度     岩武昭男     269
     はじめに                    269
     一 イスラーム法上のワクフ −ワクフとは何か−   270
     二 歴史上のワクフ             272
     三 ワクフとイスラーム社会         277
     むすびにかえて −ワクフ制度の広がり 287

   サイイドとシャリーフ  −ムハンマドの一族とその血統−    森本一夫  293
     はじめに                      293
     一 サイイド、シャリーフの血統とその意味  296
     二 ナギーブ制と血統の統制          305
     おわりに                      313


第十一巻 中央 ユーラシアの統合
はしがき(杉山正明)

構造と展開

   中央ユーラシアの歴史構図 −世界史をつないだもの−    杉山正明  3
     はじめに −中央ユーラシア史とはなにか−       3
     一 巨大な乾燥地帯における二分法           14
     二 九世紀までの道程 −中央ユーラシアをめぐる歴史大流(1)−         31
     三 多極化・流動化するユーラシア −中央ユーラシアをめぐる歴史大流(2)−  44
     四 モンゴルによる大統合 −中央ユーラシアをめぐる歴史大流(3)−       61
     五 新しい世界史への眺望                                 78

境域と局所

   《シルクロード》のウイグル商人    −ソグド商人とオルトク商人のあいだ− 森安孝夫   93
     一 オルトク問題解決のための新出土史料       93
     二 ウイグル農業社会の土地共有            95
     三 ウイグル商業文書中のオルトクとルビー      97
     四 ウイグル・回回・ムスリム               101
     五 ウイグル語の手紙と商業               103
     六 一○世紀頃のウイグル=ネットワーク       106
     七 ソグド商人からウイグル商人へ           108
     八 オルトクの源流                     111
     九 モンゴル時代のウイグル=ネットワーク      113
     おわりに                           116

   チベットとモンゴルの邂逅  −遥かなる後世へのめばえ−    中村淳  121
     はじめに                           121
     一 アウルクチのチベット遠征              124
     二 クビライとパクパ                    130
     三 アルタン・カアンとダライ・ラマ            137
     四 十七・十八世紀の東アジア世界とチベット仏教  140
     おわりに                           143

   ティムール朝とその後  −ティムール朝の政府・宮廷と中央アジアの輝き−   久保一之 147
     はじめに                           147
     一 政府・宮廷と行政機構                150
     二 政府・宮廷における最有力者の実像        160
     おわりに                           171

   江南史の水脈 −南宋・元・明の展望−     中砂明徳   177
     一 マンジの国                        177
     二 <伏流する>江南史                  181
     三 <取水地点>                      184
     四 流入と溢出                        197
 
論点と焦点

   とこしえなる天の力のもとに     小野浩     203
     はじめに                     203
     一 モンゴル命令文と冒頭定型句      204
     二 モンゴル時代のさまざまなヴァージョン 208
     三 モンゴルとヨーロッパ           216
     四 ポスト・モンゴル時代への影響     222
     おわりに                     224

   ソグド語資料から見たソグド人の活動     吉田豊    227
     はじめに                     227
     一 ソグド商人の活動とソグド語資料    228
     二 遊牧騎馬民との関係           235
     三 仏教ソグド語文献とソグド人       238
     四 遅い時期のソグド語文献とテュルク族 243
     おわりに                     245

   モンゴルとペルシア語史書  −遊牧国家史研究の再検討−   志茂碩敏   249
     はじめに                     249
     一 これまでのモンゴル帝国史研究の誤り 252
     二 ガザン・カン勅撰の『モンゴル史』     255
     三 モンゴル帝国の国家構造         263
     結び                        271

   キプチャク草原とロシア      川口琢司       275
     はじめに                     276
     一 キプチャク平原世界の浮上 −ジョチ・ウルスというかたち− 276
     二 十四世紀のジョチ・ウルスの変動    278
     三 トカ・テムル家による草原再編      287
     四 クリム・ハン国とロシア           292
     
   初期明帝国体制論     檀上寛          303
     はじめに                    303
     一 元・明革命の意義            306
     二 明朝支配の意味            313
     三 明初体制の実体            317
     おわりに                    322

   ポスト・モンゴル時代のモンゴル −清朝への架け橋−    森川哲雄   325
     はじめに                      325
     一 十四世紀後半から十五世紀のモンゴル 326
     二 ダヤン・ハーン政権             332
     三 アルタンの時代               336
     四 清朝のモンゴル支配            339
     おわりに                      344


第十二巻 遭遇と発見

はしがき(樺山紘一)

構造と展開

   遭遇と発見−異文化への視野   −異文化への視野−  樺山紘一  3
     一 「発見」の時代の諸相           3
     二 旅の世界史 −体験と言説       16
     三 問題の構造のありか           32

交流と比較

   二つのインカ帝国像     染田秀藤  −ラス・カサスとインカ・ガルシラソをめぐって− 43
     はじめに                                43
     一 ラス・カサスの描くインカ帝国                 44
     二 インカ・ガルシラソの描くインカ帝国             52
     おわりに                               60

   『東方見聞録』とその読者たち     大黒俊二        63
     一 「見たこと」と「聞いたこと」             63
     二 マルコとルスティケッロ              65
     三 ブッチとボナグイージ               70
     四 『驚異の書』                    74
     五 コロンブスとラムージョ              79
     六 物語から事実へ、そして物語へ        84
    
   ブレーメンのアダムと北方世界の「発見」 −『ハンブルク司教事績録』を読む−   甚野尚志 89
     はじめに −「発見」の諸相             89
     一 時間と空間の遠近法 −『ハンブルク司教事績録』の特色− 90
     二 ハンブルク・ブレーメン大司教と北方世界への布教     93
     三 大司教アダルベルトの時代           95
     四 北方世界の記述                 98
     五 北方世界の「怪異」               101
     結びにかえて                     105

論点と焦点 

   古代ギリシア人のスキュタイ観     篠崎三男      111
     はじめに                         111
     一 遊牧民の理想化                 113
     二 ヘロドトスの「スキュティア誌」          117
     三 否定的ステレオタイプの完成          124
     おわりに                         129

   異人は中国人によっていかに描かれたか     武田雅哉      133
     はじめに                         133
     一 「人」と「鬼」                     134
     二 『山海経』図の誕生                136
     三 近世中国の「外国人」図像            139
     四 李時珍『本草綱目』の怪物論           142
     五 近代中国の画報に見える「世界」の情報    145
     おわりに                          151

   東アジアからの地理的世界認識     応地利明     155
     はじめに −東アジアからのアジア認識−     155
     一 「五天竺図」の世界認識             159
     二 ヘレスフォード図の世界認識          164
     三 「インドの発見」                  167
     四 インド洋海域世界とアラビア世界        171
     おわりに −「混一疆理歴代国都之図」を読む− 177

   中世中東世界から見たヨーロッパ像 −学術文献と文学作品を中心に−    杉田英明  181
     一 ヨーロッパと中東の相互認識           181
     二 ヨーロッパ認識の枠組               183
     三 歴史資料のなかのヨーロッパ人像        189
     四 遭遇と反撥                      195

   イブン=ハルドゥーンと歴史の発見     森本公誠    205
     一 激動する地中海世界                205
     二 野心家イブン=ハルドゥーン            214
     三 苦悩するイブン=ハルドゥーン          220
     四 歴史を動かすもの                 223

   太平洋「探検」とメディア     山中速人          229
     一 「探検」のまなざしとしてのメディア        229
     二 十八世紀の太平洋探検と印刷メディア     233
     三 十九世紀の太平洋へのまなざし −博物館、博覧会、紀行写真− 237
     四 二十世紀の太平洋へのまなざし −観光と映画− 241
     五 擬似環境としての太平洋 −メディア観光産業複合体の形成− 245

   人類へのまなざし  −近世日本の想像力と視覚人類学の誕生−   ロナルド・トビ  251   
     はじめに                         251
     一 内から差異をイメージする            254
     二 すばらしき新世界 −万国の人々を望遠顕微鏡で覗く  255
     三 百科全書的視座 −分類された他者の中に自己を位置づけるい   267
     四 「万国」の視覚民族誌に向けて         270


第 十三巻 東アジア・東南アジア伝統社会の形成

はしがき(岸本美緒)

構造と展開

   東アジア・東南アジア伝統社会の形成     岸本美緒   3
     はじめに                          3
     一 明初朝貢体制秩序の解体(−一五七○年代) 10
     二 新興軍事勢力の成長(一五七○年代−一六三○年代) 18
     三 明清交代と十七世紀の局面転換         31
     四 伝統社会の形成(一六八○年代−一八○○年) 44
       (一) 華夷秩序の構造転換            44
       (二) 土地・家・村 −伝統秩序の諸形態    56
     おわりに                          68

境域と局所

   琉球王国の展開     ―自己変革の思念、「伝統」形成の背景― 高良倉吉  77
     一 王国をめぐる厳しい状況             77
     二 羽地朝秀の「内部闘争」             80
     三 変貌を遂げる琉球社会              84
     四 「琉球的」なるものの形成            91

   モグール・ウルスから新疆へ     ―東トルキスタンと明清王朝― 浜田正美   97
     はじめに                         97
     モグール・ウルス                    98
     清朝の征服と東トルキスタン             110
     おわりに                         117

   北方世界とロシアの進出     菊池俊彦   121
     はじめに                  121
     一 ロシアの東方進出          122
     二 ロシアのシベリア進出と毛皮    128
     三 アムール河をめぐる露清関係   137
     四 オホーツク海とカムチャッカ半島  143

論点と焦点

   上座仏教と国家形成     石井米雄       151
     一 上座仏教の東南アジアへの伝播    151
     二 伝統的「仏教国家」の構造        155
     三 ビルマにおける国家形成と上座仏教  158
     四 タイにおける国家形成と上座仏教    161
     五 十六−十八世紀における発展      166
     おわりに                     170

   清朝国家論     石橋崇雄            173
     はじめに                   173
     一 清朝支配の確立            179
     二 多民族国家清朝の成立と清朝支配構造 186
     三 華夷思想と『大義覚迷録』      189
     おわりに                   191

   東南アジアの港市国家     鈴木恒之     193
     はじめに                   193
     一 ネットワークの変遷          195
     二 浮揚への諸政策           202
     三 宮廷会議と寡頭支配         206
     四 国王への集権化           208
     おわりに                  212

   朝鮮の身分と社会集団     吉田光男    215
     一 近世の身分構造           216
     二 身分と「職役」             219
     三 身分と人口              223
     四 身分と地域              224
     五 身分とリネージ            229
     おわりに                  233

   「気質変化」論から「礼教」へ   ―中国近世儒教社会における<秩序>形成の視点  伊東貴之 235  
     問題の所在                237
     一 儒教研究のパラダイム転換 ―「解放」史観イデオロギーを超えて―  237
     二 「気質変化」論とその帰趨  ―ソフト面における「礼教」化の必然―   242
     三 朱子学から陽明学へ ―「礼教」化の視点から―              248
     四 「礼教」化の諸過程  ―明清思想と「礼教」―                254
     結びにかえて                                      261

   地方社会と宗教反乱     山田賢    269
     はじめに               269
     一 十八世紀中国社会      270
     二 「宗族」と地域          276
     三 宗教結社            282
     おわりに               291



第十四巻  イスラーム・環インド洋世界

はしがき(羽田正)

構造と展開

   三つの「イスラーム国家」     羽田正       3
   はじめに                       3
   一 オスマン朝                   11
   二 サファヴィー朝                 34
   三 ムガル朝                    59
   おわりに                       80

境域と局所

   イラン、トゥラン、ヒンド ―ペルシア諸文化圏の発展と変容―     近藤信彰  93
     はじめに                     93
     一 書簡集の世界               95
     二 勅令の世界                99
     三 詩人伝の世界               103
     四 地方史の世界               108
     おわりに                     112
    
   ペルシア湾と紅海の間     福田安志       115
     一 ポルトガルの進出             116
     二 オスマン帝国の進出と二聖地メッカ、メディナ   120
     三 アラブ人の海洋通商活動の再開    123
     四 ワッハーブ派とサウード朝の勃興    127
     五 ブーサイード朝とオマーンの海洋国家 135
     
   インド洋とインド商人     長島弘          141
     はじめに                     141
     一 十六―十七世紀のインドの商人と商人コミュニティ 143
     二 十六―十七世紀のインド洋交易とインド商人(一) 147
     三 十六―十七世紀のインド洋交易とインド商人(二) 155
     四 十八世紀のインド洋貿易とインド商人―結びに代えて   161

論点と焦点

   イスラーム法の刷新    ―オスマン朝における新賃貸契約制度の誕生をめぐって  林佳世子 169
     はじめに                     169
     一 イスラーム法におけるワクフ賃貸契約 170
     二 前史―十六世紀前半まで        172
     三 イジャーレテイン契約の導入―十六世紀後半 174
     四 イジャーレテイン契約導入の社会経済的背景 183
     五 イスラーム法を変えるもの―結びにかえて   189

   ユダヤ教徒ネットワークとオスマン朝     宮武志郎   193
    はじめに                         193
    一 スファルディームとマラーノ            194
    二 オスマン朝とユダヤ教徒             199
    三 ナスィ一族とモーゼス・ハモン          201
    四 モーゼス・ハモンとアマトゥス・ルスィタヌスの関係 209
    結びに代えて                      212
  
   前近代イスラーム帝国における圧政の実態と反抗の論理 −一七八四年アレッポの事例から−     黒木英充  215
     はじめに                        215
     一 都市騒乱の展開                 217
     二 圧政の会計簿                  220
     三 さらなる圧政と駆け引き交渉         225
     四 むすびにかえて―都市の政治とイスラーム法官の役割 229

   ムガル帝国の国家権力と土地制度     佐藤正哲   235
     はじめに―問題提起                 235
     一 「ムガル王朝」の成立              236
     二 皇帝権力の確立過程              240
     三 貴族層の支配と軍事集団の構造       244
     四 国家の支配と土地制度             250
     おわりに ―結論と課題               254

   ムガル朝とヨーロッパ人     小名康之         257
     はじめに                        257
     一 ムガル宮廷とカトリック宣教師         258
     二 ジャハーンギール時代とヨーロッパ人    263
     三 ポルトガル人との対立事件          267
     四 おわりに                     273

   日本人のアフリカ認識   ―アフリカおよびアフリカ人をめぐるイメージ形成とその変遷 ― 藤田みどり 277
     一 はじめに―「暗黒大陸」という神話      277
     二 日本におけるスタンレー探検記の受容   279
     三 十六世紀の日本とアフリカ          281
     四 江戸時代のアフリカ知識           284
     五 明治初期日本人のアフリカ理解       290
     六 結びにかえて                  293

   建築から見たイスラーム・環インド洋世界     深見奈緒子   299
     はじめに                        299
     一 継承と発展                    300
     二 イスファハーンの建築と都市         311
     まとめ                         324


第十五巻 商人と市場

はしがき(松井透)

構造と展開

   商人と市場     松井透           3
     はじめに                 3
     一 市場とは              6
     二 市場・情報・その具体相     17
     三 貨幣商、「フロンティア商人」   33
     四 世界史と市場           50
     むすび                  70

交流と比較

   ソグド人の移住聚落と東方交易活動     荒川正晴   81
      はじめに                        81
     一 移住聚落の形成と東方交易活動        83
     二 北朝系諸王朝・隋代の移住聚落        85
     三 唐帝国の成立と聚落               92
     おわりに                        100

   東南アジアと「交易の時代」     大木昌         105
     問題の所在                      105
     一 交易ルートと交易圏               108
     二 市場と商人                    113
     三 交易の商品構成                 118
     四 東南アジアと交易の時代            123
     結語                           128

   奴隷貿易からみたブラジルとアフリカ ―十八世紀ブラジルにおける「ゴールド・ラッシュ」と大西洋システム―    布留川正博  131
     はじめに               131
     一 「ゴールド・ラッシュ」と国内経済ネットワークの形成 134
     二 奴隷貿易と奴隷商人     151

論点と焦点
 
   古代ギリシアの商業と国家     前沢伸行  157
     はじめに                  157
     一 研究史の整理と問題の所在    157
     二 前五世紀・四世紀前半の穀物取引と商人 161
     三 前四世紀後半の海上貿易と国家 169
     むすび                   176

   ヨーロッパ商業空間とディアスポラ     深沢克己   181
     一 概念と対象              181
     二 経済活動の諸条件         183
     三 離散過程と分布構造        189
     四 商業発展と事業ネットワーク    196
     五 文明史上のディアスポラ      203
    
   中東イスラーム世界の国際商人     坂本勉           209
     問題の所在                            209
     一 広域的な交易市場圏で卓越する非ムスリム商人   212
     二 近代になって拡大する非ムスリム商人のネットワーク 219

   商業の時代と民衆    ―「イズミル市場圏」の変容と民衆の抵抗―  永田雄三  235
     問題の設定                 235
     一 イズミル市場圏の原風景       236
     二 イズミル市場圏の成立        239
     三 名士と民衆               244
     四 国家権力の変質と国際経済への従属 252
     おわりに                   259
                   
   貨幣が語る諸システムの興亡     黒田明伸       263
     一 見えざる合意                    263
     二 二つの貨幣 ―地域流動性と地域間兌換性 265
     三 銅貨の世界と金銀貨の世界           270
     四 分水嶺としての十三世紀             277
     五 本位貨幣制と世界経済システム        280
     
   「商人と国家」の経済学  ―経済史の地域性―    原洋之介   287
     はじめに                   287
     一 市場経済論              289
     二 市場経済発達史の非普遍性    293
     三 経済史の地域性           300


第十六巻 主権国家と 啓蒙
 
はしがき(近藤和彦)

構造と展開

   近世ヨーロッパ     近藤和彦              3
     はじめに ―主権国家と啓蒙           3
     一 近世ヨーロッパの歴史的諸前提       6
     二 史料と統計                   17
     三 十六世紀の政治・文化・宗教         26
     四 十七世紀の「危機」と調整           49
     五 長い十八世紀における兵站競争       54
     六 啓蒙と公共圏                  65

境域と局所

   オスマン帝国とヨーロッパ     新井政美       83
     一 スレイマン一世時代のオスマン帝国とヨーロッパ 84
     二 スレイマン以後のオスマン帝国とヨーロッパ 90
     三 十八世紀のオスマン帝国とヨーロッパ    95
     
   ロシア帝国とヨーロッパ     土肥恒之        103
     はじめに                      103
     一 ロシアにおける西欧商人          105
     二 ラテン文化圏の影響             113
     結びにかえて                    119

   クリオーリョ・啓蒙・ナショナリズム ―スペイン帝国における言語のせめぎあい―    安村直己  123
     はじめに                                123
     一 帝国支配のイデオロギーとクリオーリョ・アイデンティティ  125
     二 公定ナショナリズム、啓蒙、スペイン・ナショナリズム    129
     三 クリオーリョ・ナショナリズムと啓蒙               133
     おわりに                                 139

論点と焦点

   国家・教会・民衆  ―宗教改革と近世イギリス社会―    小泉徹    147
     一 ドーチェスタの「改革」             147
     二 改革を取り巻く状況              157
     三 改革のもたらしたもの             161
     四 改革・文化・国家                167

   近隣関係・都市・王権     ―十六−十八世紀パリ― 高沢紀恵 171
     はじめに                              171
     一 近隣関係と街区システム(一五五○− 一六五○年) 173
     二 ポリスの侵入                         180
     三 教区と名望家                         185
     おわりに                              191
 
   バロック期のジェンダーと身体 ―国境地域ロレーヌから考える―     長谷川博子    195
     はじめに                     195
     一 十七世紀の悲惨              199
     二 産むことをめぐって             206
     むすびに                     218

   近世共和主義  ―「君主のいる共和国」について―    佐々木武     223
     一 政治、言葉、歴史              226
     二 「コモンウェルス」              232
     三 「イングランド共和国」の実在と「共和主義者たち」 ―「君主のいない共和国」― 237
     結びにかえて ―「アメリカ共和国」の創造 ―ジョン・アダムズ、ニーダムに出会う  240

   公共圏の成立     高橋順一            247
     一 理論史的背景 ―「公共性」の概念史 247
     二 近代初期における公共圏の諸相    258
     三 公共圏の行方               263


第十七巻 環大西洋革命

はしがき(川北稔)

構造と展開

   環大西洋革命の時代     川北稔           3
     はじめに ―近代世界の転換          3
     一 七年戦争と二重革命             7
     二 イギリスの産業革命             13
     三 アメリカの独立―最初のクレオール革命 30
     四 フランス革命                  41
     五 パックス・ブリタニカの予感          55
     おわりに                       68
   
境域と局所

   消滅した国家ポーランド     小山哲          75
     一 「王たちの菓子」 ―問題としての「ポーランド分割」―   75
     二 「自由の劇場」 ―ザクセン朝時代―    78
     三 「クサンティペとの結婚」 ―スタニスワフ・アウグスト、バール連盟、第一次世界大戦―
     四 「穏やかな革命」 ―常設評議会から四年議会へ―    88
     五 「自由、全体、独立」 ―第二次分割、コシチューシコ蜂起、第三次分割―    94
     六 「ポーランド未だ滅びず」 ―「貴族の共和国」の消滅と「ポーランド問題」の生成 98

   ハイチ革命とラテンアメリカ諸国の独立     浜忠雄   103
     はじめに                          103
     一 「カリブ海の真珠」                  104
     二 ハイチ革命の性格                 106
     三 ラテンアメリカ諸国の独立とハイチ        114
     おわりに                          123
 
   開発原病の世界史     見市雅俊              127
      一 問題の所在                     127
      二 伝染病の誕生と人口増大            128
      三 アフリカにおける開発原病            130
      四 病気の世界の環太平洋革命 ―黄熱病    138
      五 開発原病論の系譜                141
      六 まとめ                        144
   
   フランス革命・女性・基本的人権 ―「公教育」と統合/排除のメカニズム    小林亜子      149
      はじめに                        149
      一 「一七八九年の人権宣言」と女性       152
      二 政治空間への女性の参入           154
      三 「一七九一年憲法」における公教育と女性  157
      四 権利の平等と公教育 ―グージュとコンドルセ 160
      五 「共和国」と女性の権利             165
      六 「市民」としての女性               167
      七 「共和国」の女性の表象             169
      八 「一七九三年の権利宣言および憲法」と公教育 170
      九 女性の運動の終焉                176
      十 マリアンヌからヘラクレスへ           178
      おわりに                         180

論点と焦点

   ロベスピエール現象とはなにか   ―革命的ディスクールと政治文化ー  松浦義弘         187
     はじめに                187
     一 ロベスピエールのディスクール 189
     二 ロベスピエールの言語行為の社会的インパクト 197
     おわりに                210

   近代家族モデルの成立     姫岡とし子  215
     はじめに                 215
     一 血縁家族概念の成立       218
     二 市民層の台頭と新しい価値観  220
     三 近代市民家族の理念       222
     おわりに                 231

   プロイセンにおける国家と学校     阪口修平  235
     はじめに                 235
     一 旧プロイセンにおける民衆学校 237
     二 過度期における国家と学校   244
     おわりに                 254

   アメリカにおけるナショナル・アイデンティティの形成
      ― 植民地時代から一八三○年まで ―   和田光弘  259
     はじめに                            259
     一 植民地時代におけるアイデンティティ         260
     二 独立革命期におけるナショナル・アイデンティティの生成  267
     三 建国期から一八三○年代までのナショナル・アイデンティティ 296
     おわりに                            274

   プランテーション奴隷の生と死     西出敬一   283
     はじめに                     283
     一 砂糖プランテーションと黒人奴隷    284
     二 奴隷の病気と死              291
     三 マルーンと反乱               296
     むすび                      306


第十八巻 工業化と 国民形成

はしがき(福井憲彦)

構造と展開

   ヨーロッパの世紀     福井憲彦              3
     はじめに                       3
     一 工業化の過程と人びとの存在条件の変化 8
     二 国是としての殖産興業・富国強兵      19
     三 政治の転換・社会の変容           32
     四 国民形成と文化の多様性           45
     五 世界の一体化と知の変貌           60
     おわりに                        67

境域と局所

   東欧のネイションとナショナリズム     南塚信吾    73
     はじめに                         73
     一 ホブスボームとフロッホ              75
     二 ネイションというアイデンティティ         79
     三 ネイションの覚醒と運動              81
     四 ナショナリズムとネイション・ステイト       87
             
   カナダ連邦結成におけるイギリスとアメリカ     木村和男   97
     はじめに                         97
     一 連邦結成への前提                 98
     二 南北戦争と連邦結成の強行           103
     三 フランス系と沿海植民地による抵抗と本国の介入 107
     四 大陸横断国家の成立トアメリカからの「認知」 111
     むすび                          115

   アイルランドにおける自治運動の展開   ―保守派連邦構想から第一次自治法案まで  森ありさ 119
     はじめに                          119
     一 アイザック・バットの連邦構想           121
     二 教育制度改革、農地改革と自治         127
     三 アイルランド国民党と第一次自治法案     133
     おわりに                         139

     帝国主義と自由と人権    ―中東・イスラーム世界からの逆照射― 小杉泰   143
     はじめに                         143
     一 自立の希望と帝国主義              144
     二 フランス革命の影響                147
     三 二重陣形の戦い                  151
     四 中庸の道                      154
     五 マッカ会議                     158

論点と焦点

   イギリス帝国とアジア     秋田茂           165
     はじめに                     165
     一 イギリス帝国とインド            167
       (一) イギリス東インド会社の廃止    167
       (二) 「自由貿易帝国主義」政策の展開 168
       (三) 「本国費」とインド財政        171
     二 イギリス帝国と東アジア           173
       (一) 中国とイギリス帝国          173
       (二) 近代日本とイギリス帝国       178
     三 「アジア間貿易」の形成とイギリス帝国  181
     おわりに                      184

   国民国家と「伝統」の創出 ―一八七○−一九一四年、フランスの事例から―    工藤光一  187    
     はじめに                      187
     一 「共和主義的伝統」の創出         189
     二 「祖国」の連続性と「祖国愛」の神話 ―ガリア人とジャンヌ・ダルク― 203
     おわりに                      213

   国民形成と地域文化     原聖          217
     はじめに                    217
     一 ロマン主義と辺境/地方        218
     二 地方文化の変貌             223
     三 地域の政治化              230
     おわりに                    237

   都市と性の近代    ―ベルリン・ロンドン・パリ―  川越修  241
     はじめに                    241
     一 近代ヨーロッパの都市化と首都    242
     二 都市の近代                246
     三 性の近代                 250
     四 第一次世界大戦と社会国家システム 254
     おわりに                     258

   ジェンダー社会の成立、展開、フェミニズムからの挑戦
       ― 十九世紀アメリカ史の一解釈 ―  有賀夏紀     261
     はじめに ―ジェンダー社会とは              261
     一 市民国家の成立、発展 ―政治のジェンダー化― 263
     二 男の世界の成立 ―労働のジェンダー化―     270
     三 女の世界 ―家族のジェンダー化―         276
     おわりに ―フェニミズムの限界と新たな可能性    279
 




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