ポーランド歴史映画「鉄の手」(シュテファン・バートリー時代)

   1989年ポーランド製作。ポーランド史上輝ける王朝ヤギェウォ家断絶後、200年ぶりに 外国から君主を迎える事になり、有力者達が権力争いを行い、シュテファン・バートリーが即位するまでの混沌の時代を描く。

  主人公は「鉄の手」の異名を取る伝説の人物シモン・ムロチック。彼はサムエル・ズボロフスキーの旧友ながら、トランシルヴァニア 公シュテファン・バート リーをポーランド王につけるべく、特務工作員のような汚れた任務をこなす故に「鉄の手」と呼ばれる。サムエル・ズボロフスキーは 当初はシュテファン・バー トリーに協力するが、ポーランドで権勢を持ち、現宰相であるヤン・ザモイスキーと対立し、やがて弟のアンドレイ・ズボロフスキー を処刑されたことから、勝 手にオスマン領を攻撃し、ポーランドの法律を犯すようになり、旧知のシュテファン、シモンも敵に回さざるを得なくなる。権謀蠢く 複雑で混沌とした時代を描 いた珍しい作品。まさに、ポーランドが転換を迎えていた1989年という年を象徴する年に製作されたドラマです。

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 冬、戦い終了後の、うっすらと雪が地面を覆う、、遺体があちこちに散らばる丈の高い葦の原の中をシモン・ムロチェクがサムイル・ズボロフスキーを探して歩き回っている。やがてサムイルは生きて見つか る。

 場面は「Siedmiogród 1575年」とテロップが出る。Siedmiogródはトランシルヴァニアのポーランド 語。

その城に、シモンとシュテファン・バートリーが入ってゆく。ポーランド王家の後継争い(ハプスブルクvsバートリー)の話をして いるようである。城の外でジグムンド二世の妹と思われるアンナ・ヤギェロンカと話すシュテファン。

 左がシモン、右がシュテファン・バートリー。ポーランドというより、コサックな装束。

  続く場面は、傷を癒すサムイルを見舞うシモン。「ニェ・ツァール、ニェ・ハプスブルク」という言葉が出てくるから、反モスクワ、 反ハプスブルク派のズボロ フスキーの立場に言及しているのだろう。そして見舞い客達とサムイルは「シュテファノス(シュテファン・バートリー)に乾杯!」 をする。続いてシモンの一 隊がバートリーの城を出発する場面が出てくることから、サムイルの見舞いの席にシュテファンはいなかったものの、サムイルはシュ テファン・バートリーの元 で治療しているものと思われる。

 シモン一行は民衆に木に縛られ火あぶりにあっている女のもとを通りがかる。シモンは理由を聞き、女を助ける。フード姿の男(修 道士)が警告するがシモンは取り合わない。救った女がシモンの家で湯浴みしている。そこに入ってくるシモン。裸を見せつけ誘う 女。ことにお及ぶのだった。

  恐らくクラクフの町のようだが、ヤン・ザモイスキーの家にバートリーの手紙を届けるシモン。ザモイスキーはあちこちの使節とあっ ている。その装束はどこか みなコサック風。とてもポーランドとは思えない。下記は、ザモイスキーの執務室の前で陳情の列に並ぶ商人・貴族と思われる人々。

 部屋から出てきて客人を送るザモイスキーは、シモンの姿を認め、シモンを招き入れる。シモンは持参したバートリーの手紙を見せ る。下記がヤン・ザモイスキー。

 その夜町では民衆軍か小貴族軍と思われる連中が集まり、バートリーの名を上げて乾杯している。

 翌日、教会の前に人々が集まっている。司教はハプスブルクと口にしていたようだ。やがて司教が出てきて輿に乗る。それを群集と ともに、シモンが見ている が、その時、司教が狙撃される。イスパニア人とともに犯人を捕まえたシモンは拷問にかける。イスパニア人はザモイスキーの秘書官 のReinhold Heidenstein(ヘイデンステイン)。拷問の結果 Emerlich Sonntag(エメルリッヒ・ソンタック) の名が出てくる。

 シモンはヘイデンステインとともに、郊外のある小貴族の家を訪ね、おそらくソンタックの場所の情報を仕入れて去る。下記がヘイ デンステイン。イスパニア風なのだろう。いろいろな衣装が登場している。

 二人は続いて、ソンタックの元を訪れる。

  続く場面は、夜、松明を持ったシモンが、虐殺された人々の遺体が並んでいるところを見て、衝撃を受け、ヘイデンステインに何事か 囁く。続いてシモンは ザモイスキーに会いに行く。このあたりの展開はよくわからないが、とにかくシュテファン・バートリーをポーランド国王にすべく、 シモンが密かに行動してい るのだった。シモンの家で相談するシモンとヘイデンステイン。いつの間にか、シモンの家の家政婦になっている火あぶりを助けられ た女。

  シモンは一隊を率いてヘイデンステインとともにトランシルヴァニアのバートリーの城に向かう。シュテファンのポーランド国王在位 を告げに来たのだった。下 着姿のシュテファンの前に跪くシモンとヘイデンステイン。そこにサムエルも入ってくる。シュテファンは正装をし、再びシュテファ ンの前に跪く一行。

 城の調理場では宴会の準備がなされる。なにやら会話しているサムイルとその妻。妻の装束は、ウクライナの村娘という感じ。 ひょっとしたら本当にウクライナ人だったのかもしれない。

 バートリーの城での国王即位の宴会。左がシュテファン。右が妻。

 そこにサムエルが入ってきて国王に何が告げるが、退出させられてしまう。

 宴会の後シモンがサムエルの元を訪れると、4人の娼婦を呼んで自堕落に過ごし、シモンにも加われと言うのだった。

 クラクフに入ったシュテファン・バートリー。シモンとザモイスキーが会話している。サムエルの話が出ている。シモンはシュテ ファンと面会するが、ここでもサムエルの話が出ている。

  一方、郊外の処刑場で男が斬首刑とされようとしている。シモンなど役人も見ているが、そこにサムエルの一隊が駆けつけてくる。処 刑されそうになっている男 は、サムエルの弟のアンジェイ・ゾブロフスキーなのだった。サムエルは執行をやめさせようとするが、シモンは、強行させる。単騎 で去るサムエル。それを追 うシモン。シモンが追いつくと、サムエルは土手で泣き伏しているのだった。シモンが声をかけると、激情したサムエルがシモンに殴 りかかる。しばし殴りあっ た後、二人とも天を仰いで寝転がるのだった。

 しばらくして、サムエル配下の兵が追いついてくる。サムエルはなんでもないと立ち去らせる。彼らの装束はほぼコサックかオスマ ン風。

  サムエルの居城で夜宴が開かれる。宴会のメンバーの装束はコサック風。サムエル・ザブロフスキーは、シュテファン即位後の 1580年頃のモスクワ公国への 遠征で活躍したにも関わらず、何の恩賞も得られなかったことを不満にコサックに逃亡しているので、弟のアンジェイ・ゾブロフス キー処刑時に率いてきた一隊 はコサック隊なのだろう。

 シモンも参加する。昔のサムエルとの友情の記憶にふけるシモン。やがてサムエルに誘われ、テーブルの上で踊りだすサムエルとシ モン。

 緊張感のある場面だった。恐らく、これが二人が仲間である最後の時だと二人ともわかっていたのではないだろうか。本作でもっと も印象に残る場面のひとつだった。

 やがて突然「終わりだ!」と叫び、楽手ウィタチェクを鞭打つサムエル。少し精神状態が不安定な印象も受ける。そして「ウ ラー」と乾杯するサムエル。部屋の隅で打ちのめされた楽手は恨みがましい目つきで見るのだった。

 翌日帰途についたシモンの一行の前に楽手ウィタチェクが飛び出してくる。(違約金と今後の活動費として)シモンは金を渡すの だった。

 一方、サムエルは軍を率いて勝手にオスマン領の襲撃を繰り返していた。これは、オスマンについては融和路線をとろうとしていた シュテファンの怒りを買った。しかも戦場で、サムエルは、ゾンタックと出会うのだった。

 シモンがザモイスキーと天幕で会話していると、楽手ウィタチェクが盗み聞きしていた(ように思えた)。取り押さえるシモン。し かし、楽師は情報を伝えに来たのだった。そして、ゾンタックの名が出ると、シモンは驚愕し、ゾンタックの家を襲うのだった。

  ゾンタックから手紙を押収し、更に手の甲にナイフを刺して、サムエルの動きを聞き出す。手紙を持ち、シュテファンの元に向かうシ モン。シュテファンと会談 の後、シモンはゾンタックを連れて、サムエルのもとに派遣される。どうやら、サムエルを説得して、シュテファンに帰属させること が目的だったようである。

 とりあえずこの策は成功し、どこかの平原でシュテファンが天幕の前に座す前に、サムエルが馬で乗り付けて旗を投げ出すのだった (帰属の儀式のようである)。

 宴会。左がシュテファン。右が前ポーランド国王ジグムント二世の妹アンナ・ヤギェンカ。いいおばあさん(この時53歳)が妻で愉快そうではない表情 のシュテファン。アンナは、ジグムント1世妃ボナの娘のアンナ。ドラマ「王妃ボナ」の子供の頃の場面で、アンナは、「王妃になり たい」と母親のボナに夢を告げていたが、その幼い頃の夢が、53歳にして漸くかなう時が来たのだった。

  この宴会にクルシュストフ・ザブロフスキーとその紹介者が入ってきて、ヤン・ザモイスキーに挨拶、この紹介者は、どうやら宴会の 席で、サムエル・ザブロフ スキーのウクライナの支配を主張したようである。その紹介者の隣に座る男はGoslawski(ゴスラウスキー)であり、シモン は彼を見た瞬間、陰謀を察 知した様子。そしてシモンは、その夜、数名の娼婦と戯れるのゴスラウスキーの寝込みを遅い、彼を捕縛、拷問し、陰謀者の名を聞き だす。それはシモンがもっ とも聞きたくないサムエル・ザブロフスキーの名だった。動揺したシモンは、ゴスラウスキーを刺し殺し、牢獄の壁にすがり付いて涙 ながらにサムエルの名を口 にするのだった。

 シモンはサムエルの居城に向かう。宴会中のサムエルは、「中に入れ」というが、扉のところに立ちすくすシモンを訝んで 扉のところまで出てくる。人払いをしてシモンと話すサムエル。だが、シモンは、クルシュストフ・ザブロフスキーのことを思い出し て、「少し待て」といいお いてサムエルの館を出てクラクフに戻ろうとする。しかし、その道中、サムエル逮捕を目的とした貴族と役人一向の一隊と出くわし、 既にサムエル逮捕の命令が 出ていることを知るのだった。結局サムエルの館を急襲し、サムエルの子供を人質にとったシモンがサムエルをおびき出し、女達の部 屋に紛れて込んでいたサムエルを捕まえるのだった。

 自宅の寝室でうなされるシモン。シュテファンとザモイスキーも処置を決めたようである。

 牢獄のサムエルを訪ねるシモン。サムエルは鼠の徘徊する牢獄にいた。判決状のようなものを渡すシモン。二人の最後の会話なので 重要な場面なのだが、内容がわからなかったのが残念。

 翌日処刑が行われる。処刑場に向かう途中、シモンを見て振り返るサムエル。処刑台に上がる前に、サムエルは、シモンに白いハン カチを送り、握手し、処刑台にあがり、斬首されるのだった。

 処刑場にはサムエルに恨みを持つ楽師ウィタチェクもいる。

 その夜、シモンは酒場で深酒する。そこに、サムエルの部下達がやってきてシモンを襲うがシモンはあっさり一人の首を跳ね、他の 連中は腰を抜かして後ずさり。剣をテーブルに刺してシモンは酒場を去る。

 シモンが祈っていると(場所不明)、そこになぜか楽師ウィタチェクが来る。楽手を痛めつけるシモン。ウィタチェクは恐らくサム エルを陰謀者に仕立て上げる陰謀に加担していたのだろう。

 軍の指揮を任されたシモン。しかし兵士はぴくりとも動かない。全てに嫌気が差したシモンは、装備をシュテファン王たちの前の テーブルにたたき付け、一人馬に乗って去ってゆくのだった。
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