2011年11月3日作成


第二次ブルガリア王国歴史映画「クニャーザット」(1970年/テオドル・スヴェトスラフ王 即位迄を描く)


 第二次ブルガシア王国王、スミレッツ王(在1292-98年)末期からテオドル・スヴェトスラ フ(在1300-1322年)の即位までを描いた1970年 ブルガリア製作。モノクロです。原題 Князътは「王子」の意味ですが、「王子達」という意味の方が相応しいかも知れません。本作には多くの王子達、例えば、キプチャック汗国から逃れてき た王子チャカとその息子、ゲオルギ・テルテル王(在1280-92)の息子で主人公のテオドル・スヴェトスラフ、更にこれは推測 ですが、ルーシの諸公国の 王子と思われるユーリーなど、多くの王子が登場します。

 テオドル・スヴェトスラフは、モンゴルの侵入と、その後キプチャック汗国へ臣従 し、国内的には分裂にあったブルガリアを再興に向かわせた君主です。本作では、モンゴルとの戦いに敗れ、家族とともにビザンツに 亡命していたゲオルギ・テ ルテル王の息子、テオドル・スヴェトスラフが単身ブルガリアに帰還し、権謀の限りを用いて即位するまでを描いています。その過程 で恋人に去られ、友人を失 い、どんどん孤独になりながらも、国を救うために王位に固執する孤独な姿が良く描かれており、あまり期待していなかっただけに、 拾い物だと思いました。と いうか、非常に気に入りました。このような映画に出会えることができて幸運です。このところ連続してブルガリア映画を見続けてい るので、大分ブルガリア語 を思い出してきた、ということもありますが、本作は、意外に聞き取れる部分が多く、詳細なあらすじを記載することができました。 自分でいうのもなんです が、本作のあらすじに関しては、インターネット上で世界で一番詳細な情報なのではないかと思います。 本作は、ブルガリア語ですら、ネット上に殆ど情報が無く(実のところ、今のところはネット上では映画の映像自体と、題名と制作年 以外の情報は見つけること ができていません)、IMDbにすら掲載されていないようです。


〜あらすじ〜

  馬に乗った青年が羊飼いにタルノヴォへの道を尋ねている。町(第二次ブルガリア王国の都タルノヴォ)につく。騎士の行列に、通りがかった女が跳ねられそう になり、女を道 の脇にとける青年。「おお、 こりゃいい娘さんだ。名前は、どこに住んでるの」といきなり訪ねるナンパな青年。男はテオドル・スヴェトスラヴと名乗ると、女はマ リアと応え、「ああ、父親 がビザンツに逃亡した」という。どこに住んでるか聞いたら、女は、色々知りたがるのね、と、去ってしまう。テオドルは、どこかの 扉を(旧知の家)叩いて入 る。

 夜、口笛で合図して、マリアを呼び出し、いきなりキスする2人。女をデートに誘うが、女は土曜日は、テルニ・ペトロフスキー修 道院 にいかなきゃいけないの。という。いくなよ。だめよ。など、これ、歴史映画か?と思ってしまうような展開だが、これにはちゃんと 意味があるのだった。

 更に夜。早速昔の仲間ティホと監視していると、スミレッツ王の宮廷に仕えているモンゴル兵が闇にまぎれてやってくる。ティホと 喧嘩しているふりをし、スヴェトスラフはモンゴル(タタール)兵の警備兵に捕まり、連行されることで、うまく王宮に入り込むこと に成功する。

  タルノヴォの王宮。寝台から起きあがるスミレッツ王。総主教とあって会見しているところに、スヴェトスラフが連行されて来る。こ の場面では、飲み物を運ん できた召使もモンゴル(タタール)風である(以下、タタールで統一する)。スミレッツ王は、内心余計な奴が戻ってきたものだ、と 思いながらも、三人で乾杯 する(ただし、ツァール(王)だけ飲んで、スヴェトスラフと総主教は引き上げる。2人は教会へ行ってしばらく座って会話する。

 翌日、マ リアが町の街路脇の椅子にすわっている。スヴェトスラフを待っているのだが、彼はなかなか来ない。そのうちに乞食が横に座って来 た為逃げるマリア。その頃 スヴェトスラフは、何故かまた捕らえられているのだった。だが、今回は、捕らえた男達の親分は昔の友人だった。抱き合って喜ぶ二 人。その後スヴェトスラフ はようやくマリアを訪ねることができるが、喧嘩してしまう。出会って間もないというのに、痴話喧嘩。その後野原へ散歩に出る二 人。そしてキス。そんなこと をしに戻ってきたスヴェトスラフではない筈なのだが、青春してるのであった。野原で戯れあう2人。

 一方、総主教と王、家臣達はキプチャック汗国らの使節を迎えていた。使節が親書を読み上げる。「スラヴニア・ボリャレン・スミ レッツへ。税2500ヒルキチを支払え。タタルスキハンとブルガリア・ツァールの間において」という内容*1

*1スラヴニアは、スラヴ人の国。ボリャレンは貴族。ヒルチキという単位は不明。タタルスキハンはキプチャク汗国

  使節は、期限は明日の朝迄だという。とりあえず払うと答える王。あからさまに「払えるのか?」と疑問を呈する使節。とりあえず重 臣会議が開かれる。金は無 いという臣下の一人。冠をつけている者が多い。これはつまり、当事のブルガリアが、多くの君侯国から構成されていたことを意味す るものと思われる。キプ チャク汗国の内紛で亡命してきているチョキ*2に頼ろう、という意見も出るが、何も決まらないうちに総主教が解散、という。そし て王に、コンスタンティ ノープルのアンドロニケ・リケイゴ(アンドロニコス二世)に手紙を書け、という。

*2 日本語での一般名称はチャカ。冒頭に背景説明のテロップが出ていて、そこではцоки(チョキ)と書かれているので、ブル ガリア語では「チョキ」という発音のようです。

 その頃スヴェトスラフはマリアとベッドの中。おまえの子供が欲しい、などとのろけている。そこにノック。知り合いの兵士だっ た。既にスヴェトスラフの従者となっている(昔父が王だった頃からの従者だと思われる)イヴァンにマリアを送らせる。

  翌日、スヴェトスラフのところにチョキの部下のタタールが訪ねて来る。私はスヴェトスラフの息子だとタタールの使節に自己紹介す る。そしてそこは、マリア が住んでいるところだった。いつの間にやらマリアと住んでいるのだった。マリアに着替えさせてもらったりしている。マリアの家か ら総主教のところに出勤す るスヴェトスラフ。その後、スヴェトスラフは、タタール人から金をもらう。それはチョキの部下で、実際の出所はチョキである。そ れを持って総主教のところ に行くスヴェトスラフ。どうやらスヴェトスラフはチョキの支援を得てキプチャク汗国への税金を支払うことを提案しているようであ るが、総主教は反モンゴル で徹底しているようである。支援を得る先として、ロシア、セルビア、ヴェネツィアなどがあがり、ビザンツに亡命しているイヴァ ン・アセンの名も出ていたが これは、ビザンツに亡命中のイヴァン・アセン三世のことであろう。明日、兵士が来る。と総主教。スヴェトスラフはちょっと待って という。スミレッツと話せ ないか?あるいは、スミレッツにチョキが準備している、と言っていたと伝えてくれ、とお願いするのだが、総主教は今すぐアンドロ ニクに手紙を書く、と取り 合ってもらえない(この総主教はどうやらディヤドという名前らしい)。


 マリアの家に戻り、家の前で待機していたイヴァンに指示をだすスヴェトスラフ。
  一方野原でタタールとスミレツが賭け事をして遊んでいた。そこに総主教が馬車で来る。スミレッツを呼び出し、スミレッツは、俺に 代わるやつは見つかってい ない、というが、総主教は既に見つけた。という。誰だ?とスミレッツ。スヴェトスラフ。と総主教が答える。クッツ!と悔しがるス ミレッツ。そして馬車に乗 ると中にスヴェトスラフがいるのだった。どうやらスヴェトスラフは総主教の説得に成功したららしい。総主教が王に手紙を渡し、サ インをさせる。馬車から降 りた王にタタールが近づいてくる。賭け事の場に戻って続ける王(サイコロ遊び。半丁賭博と同じ)。

 密かに町の教会に入るスヴェトスラ フ。従者のイヴァンは扉を閉めて左右を伺う。教会内には壁画にイコン画を書いている画家がいて、彼に、教会の奥に隠れている男の ところに案内してもらう。 そして手紙をコンスタンティノープルに届けるように依頼するのだった。スミレツはビザンツに亡命する、というスヴェトスラフ。直 ぐいけ、と男に命じる。

  川で泳ぐ男2人。一人はスヴェトスラフ。ひとりはイヴァン。川辺にあがると、たまたまそこで休憩していた男たちの一人は、ビザン ツに恨みがある。このお尻 の傷を見ろ!とズボンを半分脱いで尻の傷をスヴェトスラフに見せる。この場面は、色々市井の人の意見を聞いていた、ということの ようである。家に戻ると、 タタールの男が家の入り口でスヴェトスラフを襲う。イヴァンたちが助けにきて、襲撃者を捕まえる。誰がよこした?と聞くととスミ レツ、とあっさり白状。 ちょっと簡単に白状しすぎでなないのか。

 イヴァンがメッセージを持ってくる。何通かある。チョキは簡単では無さそうだ、とコメントする スヴェトスラフ。そしてマリアのところに戻る。マリアはスヴェトスラフの腕に怪我をみつけ、心配する。スミレツが人をやって襲わ せたのだ、という。あなた ツァールになりたいの?とマリア。君は王妃になりたいのか?とスヴェトスラフが言うと、マリアはNoという。スヴェトスラフは、 おまえの母のところに避難 していろ、というが、マリアは、ここに残るわ、と主張し、また喧嘩になり、とうとうマリア怒って部屋を出て行ってしまう。下記は そのマリアの部屋。右手に 暖炉、左手にベッドがある。

 チョキの本陣に向かうスヴェトスラフ。亡命とはいえ、大部隊を引き連れてきているようで、多くの天幕が見えている。部下にはス ラブ人も混じっている。チョキに手紙を見せる。部下が手紙を読みあげる。

 「アンドロニク2世・・ビザンティアのインペラトル・汝の兄弟クリステフへ。チョキを支持する。スミレッツ・ブルガリテ」

 これは、スミレッツがサインしたアンドロニコスへの手紙だった。

  チョキとスヴェトスラフは会談し、直ちにタルノヴォへいくから、支援するんだぞ。とスヴェトスラフにいうチョキ。スヴェトスラフ が天幕を去ると、イスラー ムの礼拝の時間となり、チョキは天幕の中で礼拝するのだった。スヴェトスラフは王妃のような女性のところにいく。それはチョキ夫 人であり、スヴェトスラフ の姉エレーナだった。チョキがタルノヴォに行かなかったらビザンツにいくしかない、スミレッツとは手を切れ、チョキはタルノボに こなくてはならない、など と姉に吹き込むスヴェトスラフ。その時子供が召使に連れてこられる。まだ3歳くらいである。そこにチョキが入ってくる。もう一人 子供が欲しいか?となどと 親馬鹿風なチョキ。その夜はチョキの陣営の天幕の一つに泊まるスヴェトスラフ。寝ているスヴェトスラフのところに、ユーリとい う、チョキの元で働いている ロシア人が来る(彼はロシア諸侯の人質かも知れない)。ユーリーは、チョキの情勢を伝えに来たらしい。チョキはまだ判断は保留中 で、あなたの地位は不安定 だ、と言いに来たらしい。

 翌日。子供をあやすチョキ。子供をスヴェトスラフに抱かせて弓を構える。的の木に的中する。今度は子供をチョ キが持ち、スヴェトスラフが射るが外れる。多分わざと外したようだ。そこにスミレッツの動向を臣下が伝えに来る。タルノヴォは平 静だ、と報告する。ブルガ リアへ行くと決意するチェキ。ユーリと会話するスヴェトスラフ。「あんたを支援したい。どうすればいい」とユーリー。「生き ろ!」と言い捨てて去るスヴェ トスラフ。Thank youと返すユーリ(ここでのThank you(実際の台詞はブルガリア語のブラゴダリャー(日本語のありがとう))は、せっかく協力を申し出たのにはぐらかされたので、「こっちの命の心配して くれて、ありがとうござんしたね」「そりゃどうも」、というニュアンスである。日本語の「ありがとう」よりThank youの方がニュアンスが出そうなので英語にしてみました)。下記、中央がチョキ、左がチョキの子供を抱えるスヴェトスラフ、右がユーリ。

 市井の人々の会話。ビザンツか、チェキか、現状維持(スミレッツ&キプチャク汗)か、などと論議している。壷に色を塗っている 職人が、井戸端会議に参加してる連中に、「さあ、塗れよ」と言われて、「俺は芸術家だ!」というのが面白かった(以下、彼は塗装 家と呼ぶ)。

  マリアが町の通りを通ると「タタールの犬め」という市井の人々。みんなスヴェトスラフとマリアがつきあっていて、スヴェトスラフ がチョキと通じていること は知ってるようである。丘の上の教会に向かうマリア。総主教の家を訪ねるが、入れてくれないので、無理やり上がりこむ。「スヴェ トスラフのことを教えて よ。彼はどこ?」と聞くが、「知ってるだろ」と返される。マリアが食い下がると、「彼はチョキの方に行った」と総主教。

 マリア 「彼はツァール(ブルガリア国王の称号)は望んでないんでしょう?」
 総主教 「望んでる。おまえも王妃になりたいんだろう?」
 マリア 「そんな!」

  冷たく階段を上がってゆく総主教。階段の下に座り込むマリア。帰り道でタタールの子をみかける。マリアはフラフラしながらおなか をかかえて歩いている。よ く見るとおなかが膨らんでいる。妊娠しているらしい。ついに道の真ん中で座り込んでしまう。タルノヴォ市街は舗装されていること がわかる。

 通りがかりの人2人が助けに来てくれて、家に連れ込んでくれ、水を出す。助けてくれたのは、塗装屋だった。マリアにイコンを見 せ、子供に語りかける感じで話しかける。苦しむマリア。その頃イヴァンとスヴェトスラフは、馬でチョキの陣営からタルノヴォに戻 る途中だった。

  とうとう宮廷にチョキの使節がやってくる。しかし侮辱をうけ、スミレッツにつばをはきかける仕草をして去る。王は、総主教に向 かって、もう一度ビザンツに 頼むんだな、と言い捨てる(まとめると、スヴェトスラフはチョキ派、総主教はビザンツ、ロシア、セルビアなど、正教会派。スミ レッツはキプチャク汗国の後 ろ盾で王位を維持しているキプチャック派)。

 タルノヴォ城門を出たところで、王冠をチェキに渡す儀式が行われる。下記は城門を出る王スミレッツと総主教たち。結局スミレッ ツにも、総主教にもどうにもできなかったようだ。

 しかし、スミレッツがチョキに王冠を渡した後、チェキがその手で、スミレッツに戴冠するのである。チョキの右側にいるのがス ヴェトスラフ。

 私はブルガリア好きですが、正直、東アジア人としては、嬉しい瞬間。ヨーロッパの王に戴冠する映像が見られるなんて。

  そのまま王と総主教らを率いてタルノヴォに入城するチョキ。スヴェトスラフは、イヴァンに向かって、直ぐ、マリアに知らせるよう に、という。宮殿に入る チェキ。王座に座ったチェキはスミレッツに何かを命じ、彼が別の部屋に行った時、部下が殺害。悲鳴だけが聞こえる。そして部下が 王冠をもって現れ、王冠を 椅子の手すりに置くチェキ。その後、臣下の一人(ケシンベック)を呼び出し、スミレッツの指示でスヴェトスラフ暗殺に関わったと して、裁く。 チェキの王 妃エレーナが王子を抱えて宮廷にやってくる。王座で王子に王冠をかぶせるチョキ。王妃はそれを見ただけで一人引き上げる。下記は 子供と王座に座るチョキ。 東アジア人としては、嬉しい画像なので、何枚も画面ショットを取ってしまいました。子供といる時は、朗らかな表情をしています。

 概ね普通の人として描かれているチョキですが、一瞬だけ、東欧・ロシア人が描く、ステレオタイプなタタール人の表情を見せま す。

 
※ 後世では、チョキ(チャカ)が2年しか在位しなかったことはわかっていますが、例えば、今後100年間、米国で黒人大統領が出な い、と想像してみると、 チャカが王座についたときの恐怖感は大きいものがあったに違いありません。我々は「2年間だけ」と結果を知っているから、チャカ を大して重視していないの であって、本作品では、そうと知らなければ、という状況が非常に良く理解できます。このまま数百年間、タタール人の王に支配され るかも知れない、と人々が 恐れてた様子が非常に良く伝わってきます。同様に、米国での黒人大統領はオバマ氏が最初で最後という可能性もあるわけです。今の 感覚では、「最初の黒人大 統領」であって、今後何人も黒人大統領が誕生すると考えている人は多いものと思いますが、チャカの即位もそれと同じものがあった ように思うわけです。


  スヴェトスラフの執務室。部屋にはユーリがいる。扉の外に誰もいないのを確かめて、ユーリ、君の助けが必要だ、というスヴェトス ラフ。そこに誰かが来る。 マリアが見つからないとイヴァンとおばさん。そこに更に友人(冒頭の方で、部下がスヴェトスラフを捕らえ、親分のところに連れて 行ったら友人だったと判明 した人。名前は不明)がやってきて、タルノヴォまで来てくれ、という。ユーリ、友人、スヴェトスラフの三人でタルノヴォ城に行 く。城にいる貴族を一人連れ 出す。そして彼に手勢を率いさせてチェキの部下を急襲させる(この間スヴェトスラフやユーリはずっと部屋で待っているだけ。つま り、失敗した場合、チェキ に、俺は無関係だった、と主張するつもりなのだろう)。スヴェトスラフは姉のところにいき、タルノヴォを出るようにいう。タルノ ヴォは悪くなる。という。 姉のエレーナはチョキの寝室に入ってゆき、側女を追い出す。何があった、と聞くチョキ。そこにクーデターを起こしたスヴェトスラ フが入ってくる。エレーナ は何も知らない。俺がクーデターを起こした、というスヴェトスラフ。チェキは「義兄より政権(聞き取れませんでした。恐らく政権 のような言葉だと思いま す)を望むのか?」と言い、スヴェトスラフの部下に連行される。ここに留まるもよし、去るもよし、とエレーナにいうスヴェトスラ フ。そして王の間に行き、 王冠をかぶった連中(ブルガリア諸侯)に指示を次々に出す。この時点でスヴェトスラフは、既に皇帝として振舞っているのだった。 ある諸侯にはビザンツに使 者を送るよう命じ、ユーリーにはルーシに使者に行くように命ずる。そこにイヴァンが来る。マリアの居場所がわかったと。更に総主 教も入ってくる。ビザンツ から使者or連絡があったと。戦争か?いや、友人としてだ、と総主教。支援してくれ、というスヴェトスラフに、総主教は、「私は ブルガリアの為にするので あって、お前の為ではない」、と返す。
 
 スヴェトスラフはイヴァンの案内で、郊外の野原で天をあをぐカルトっぽい宗教団体(ボゴミール派)のところにゆく。その中にマ リアがいた。

 マリア 「今日は何がお望み?」
 スヴェトスラフ 「何も。会いに来ただけだ。お前を愛しているから」

  教会。戴冠式に皆集まっているが、総主教が出てこない。スヴェトスラフは後陣の中に入っていく。総主教に、いつまで待たせるの だ、と聞くスヴェトスラフ。 まだ総主教はスヴェトスラフに反感と疑問を持っているようである。王冠を寄越せとまでいうスヴェトスラフ。総主教は、私は半世紀 もブルガリアに住んでいる んだ。お前のような奴は信用できん、というような感じで口論となってしまう。結局総主教を説得できず、皆に説明に出てくるスヴェ トスラフ。そして自ら、 「スヴェトスラフ・テルテル、ツァール」。と宣言する。皆マノーガーヤ・レーターの合唱(こちらで聞くことができます)。一人戸惑っている姉エレーナ。かなり強引な展開で ある。やがて姉も含め、全員、スヴェトスラフに跪くのだった(総主教は後陣から出てこないままで終わった)。

 例の塗装屋が、教会の内壁画を完成させる。スヴェトスラフを模した王の像を書いた。弟子の子供に説明している。子供が、スヴェ トスラフは良いの?(良い統治者なの、という意味)と聞く。塗装屋は、スヴェトスラフの新らしい年に、といって壷の酒を飲み干 す。
 

 スヴェトスラフの執務室。
  エレーナが子供をつれて入ってくる。ビザンツと戦争になったらどうするんだ、というスヴェトスラフ。エレーナは(私達も小さい 時)子供の時親がいなかった でしょ。子供は置いていけないわ。愛している人にそういうことができるの?、と言う。しかしスヴェトスラフは、(この部分、 ちょっと聞き取れなかったので すが)チョキなどを用済みだ、とでもいったのか、姉に殴られる。

 一方、ロシアに向かって出発するユーリー。スヴェトスラフは、「また会 えるか?何故なら遠い」という。イヴァンに剣をもってこさせ、ユーリの剣と交換する。お別れに抱きしめあい、ユーリースキーとい う修道院を作るというス ヴェトスラフ。5騎のお供とともに出発するユーリー(この場面を見ていると、ユーリーは、実はロシア諸侯の王子であり、ルーシ・ クニャージ(ロシア諸侯 国)の支援依頼の使節云々も、実際は帰国して、ロシア諸侯を説得する、とう話なのではないか、と思いました)

 再び総主教とスヴェトスラフ。総主教に手紙を書くよう依頼するが、またも拒否される。何度も粘るが、最後まで拒否される。

 一方、カルト教団で踊るマリア。それを見に行くスヴェトスラフ。スヴェトスラフに呪いあれ!と叫ぶ人々。マリアも叫ぶ。それを 葉陰で見て辛そうに顔をゆがめるスヴェトスラフ。

 民衆は民衆を理解することができる。と臣下にいうスヴェトスラフ(この前後、聞き取れなかったのですが、前後の文脈から、民衆 の支持を集めさえすれば、総主教も説得できる、ということなのだと思います)。

  崖の上に総主教が立っている。崖下の野原に次々と集まってくる人々。塗装屋と弟子も来る。総主教が振り向くと、王装束のスヴェト スラフもいる。「ツァール (スヴェトスラフのこと)に同意するといえ」、とイヴァンに伝える総主教。スヴェトスラフに伝えた後、イヴァンがペンを持って総 主教のところに行く。集 まってくる民衆を見て、総主教がついに折れたのであった。

 スヴェトスラフの執務室。イヴァンに手紙を渡して南にゆくように指示を出す。そして、一人、王の広間に行く。

 王座に腰掛け、一人つぶやくスヴェトスラフ。

 神よ、あなたならわかっているでしょう? 色々やらなくてはならないことがある。それが私の仕事だ。急がなければならない。 人々の命を守らなくてはならない。ボゴミール派も対策しなくてはならない。強くて隷属しない国を作らなければならない。

 そして、ボリャーリテ!(貴族達!高官たち!)と召集をかけて王座を立ち上がるところで終わる。
 恋人、家族、友人を、一切を失い、孤独な王として続けることになる。彼はこれから22年も王として過ごさねばならないのだ。印 象的なラストだった。

〜幕〜

ブルガリア歴史映画一覧表

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