オスマン朝映画 「Kuruluş」

 1987年作。Kuruluşとは、「建国」という意味合いの言葉のようです。今回字幕が無い ので、映像だけを見て筋を追ってみました。

  


  1280年、父親のエルトゥールルの死の前年からはじまり、オスマン朝勃興期、初代スルタン・オスマン・ベイの後半生を描いた作 品です。冒頭の方で当時の トルコ族の生活や、ビザンツの地方領主であるアクリタイとの抗争が描かれ、ビザンツの城を開城させ、領主一族の退城の場面などが 描かれます。その後ベイリ クに選出され、ロマンスが訪れ結婚し、父親が死去。葬式の場面などが描かれます。当時のトルコ族は、下記のようにテント生活とし て描かれています。



  当時のトルコ族とビザンツ人が同じ市場で買物をし、共存している様子が描かれているのですが、市場での揉め事から戦闘に発展、通 常このような小競り合い は、ビザンツ領主とトルコ族の幹部との間で話し合われて収めてきたらしいのですが、今回は大規模な戦闘に発展。有力部族の息子を 失う程の戦争になります。 以下は決戦前のオスマンの演説。



  野戦に勝利し城攻め。交渉の為に送った使者が城壁上からつき落とされ、決裂。しかしビザンツ側のトルコ族の青年に惚れていた女騎 士の裏切りにより、夜間内 側から開城し落城。ニケフォロス・アンドロニコスという名の、このあたりの有力領主一族は滅亡し、族の一人であるホロフィラは、 オスマンの息子オルハンと 結婚することに。その後オスマンは、コンヤのスルタンからスルタンに任命され、オルハンには、ムラトとスレイマンの2人の息子が 誕生(下は2人の孫に語り かけるオスマン)後顧の憂い無く死の床につくオスマン。



 この作品はどうやら、TV版と映画版があるようです。ネットで見つけることができたのは、TV版は3話まで。映画版の1/3程 のところまでの内容となっています。1話目の題名は不明ですが、第2話と3話の題名は下記の通り。
2. Kaf Daği yolcusuna Zümrütanka gerek
3.Badem Çiçekleri(アーモンドの花)
3 話で終わりなのか、その先もあるのか、調査しきれていない状況ですが、仮に映画版のラストまでテレビ版で扱われているとすると、 TV版は全部で12話程に なるのではないかと思います。映画版が120分程度ですが、TV版は680分、11時間相当の大河ドラマである可能性もありま す。

 映画 版にあってTV版に無い主な場面のひとつは、ベイリクへの選出式の場面や、オスマンの結婚式、更に、ビザンツ領主とともに、別の ビザンツ領主と戦う場面な ど。当時の国境地帯が、トルコ族とビザンツ勢力に明確に分かれていたわけではなく、隣人として友情が成立していたり、同盟したり していたとされる史実が描 かれています。ビザンツ領主ミハイルを招いて宴会を催したり、ビザンツ領主の(多分)夫人がオスマンに懸想したりと、雰囲気現在 の米国のヒスパニック社会 と白人社会の関係のような感じがしなくもない感じ。



戦闘場面は、大人数を繰り出してリアルでしたが、オスマン軍に比べてビザンツ軍の衣装が安っぽく見えたのが残念。赤と青の統一さ れた制服なのですが、デパートの屋上でやっているヒーローショーの衣装のような感じ。





迫力満点のオスマン軍突撃場面。


 トルコ系以外の人々にとっては珍しい地域・時代を描いた作品であるため、思わず何枚も画面ショットを撮ってしまいましたので、 もう少し紹介したいと思い ます。本作の中で、もっとも印象に残ったのは、野外で月を見ながらあれこれと思いを馳せつつ寝入ったオスマンの胸から、木の芽が 生えはじめ、やがてそれが 成長し、大きく枝葉を広げた大樹に育つ場面。


テレビ版の方では、成長した樹の後で、全盛期の領域がオーバーラップされます(この領域図では、ロシアも勢力圏に入ってます ね。。。)。声をかけられ、はっと目覚めるオスマン。目覚めるとともに夢の中の樹は忘れてしまったのでしょうか。。。

下は父親のエルトゥールルと語るオスマン。いかにもイスラームという雰囲気が良く出ています。

こちらは、一族の女性たち。19世紀頃までのトルコやバルカン半島の民族衣装となんら変わりはない感じ。

合戦前に演説する老いた日のオスマンと、篭城戦でのビザンツ兵と包囲するオスマン軍。

安っぽさを感じさせるビザンツ軍の制服が、何かに似ていると思っていたら、たった今気づきました。ルパン3世カリオストロの城に 登場する、伯爵の親衛隊の制服。

あ と、見ていて思ったのは、騎馬合戦場面はかなりの迫力なのですが、殺陣がまったくだめ。相手の振りに合わせて剣を合わせていると いう感じで、スローモー で、チャンバラというより、ダンスでも踊っているような感じ。このあたり、日本のチャンバラや中国の武侠製作者から学んだ方が良 いのではないでしょうか。 一方、馬の扱いは慣れているからか、すごい迫力。下記は、馬同士が激突する場面。日本映画のみならず、欧米作品でもちょっと見た 記憶がありません。


オスマン朝歴史映画一覧表はこちら
BACK