中世メロヴィング朝歴史ドラマ『狼の子』(1991年)

 フランスのベストセラー小説『サントクロワ修道院異変―狼を率いる王女』(邦訳があります) のドラマ化です。一話約85分、全三話。6世紀のイタリア出身の詩人フォ ルトゥナトゥス(530年頃-609年)が語り手です(番組中修道士のような感じでなにげなく修道院にいる男性 がフォル トゥナトゥス。576年頃叙階された)。主要登場人物は実在の人物で、メインの事件も実際にあった事件(トゥールのグレゴリウス『フランク史』9-10巻 に記載がある)なのに、主役のヴァンダだけが架空の人物 というお話です。史実とされる事件の部分は面白いのですが、フィクションである筈の狼少女のエピソードはそれほど面白くもな く必然性もないので、もしかしたら実際に中世の狼少女の伝説があり、それを組み合わせたということなのかも知れません。


第一話 ヴァンダ(Vanda)

 6世紀中頃に王妃ラ ゲグンデ(520年頃-587年)はポワティエの聖 クロワ修道院(聖十字架修道院)に隠棲した。ある冬、王宮に 戻るように説得に国王ク ロタール(497-561年)とその一行がやってくる。斧と剣を振り上げて開門を迫り、修道院長アニエス(アグ ネス)が門を開けて拒否したところ、王はすかさず隣の下男に斧を投げつけ殺し、強引に修道院に入る。王は、祭壇で祈祷中のラ ゲグンデを見つけ説得しようとするが、ラデグンデの固い決意を翻意させることができずに空しく引き上げる。王の一向が引き上 げた後、ラゲグンデは剃髪する。下はクロワ修道院の概観と内装。バシリカ風。

 

 下左は、修道院の外壁。木造。クロワ修道院はポワティエの市壁に接して建てられ ていたとのことですが、市壁は木造だったのでしょうか。下右は国王修道院を訪れた国王一向。中央の人物がクロター ル。各騎士の背中の剣の挿し方が、アーサー王風のいかにも中世という感じ。



 下左は開門した修道院。修道院長と尼僧・下男(奴隷)たち。下男(奴隷)のみす ぼらさは初期中世 の映像ならではかも。下右は、国王の部下たちの修道院の庭での食事風景。いかにも野蛮に描かれています。


 左が王妃ラデグンデ。中央がクロタール一世。ラデグンデと院長の衣装は簡素です が高級そう、国王の装束はみすぼらしく蛮族の王という感じ。右は祈りをささげる修道院の女性たち(手前の白衣の女性 は、世 俗人のまま修道院に預けられている女性で、原作では修練女と呼ばれている。後方灰紺色服の女性が修道女たち)。

 

 ある冬、猟師ロムルフとアルビン兄弟は森の中で亡霊を見る。近づいてみると、木の根に真っ黒に汚れた子供がいる。狼が近づ いてきたので斧を狼に投げつけ、気絶している子供(5歳くらい)を回収する。あたりの様子を見ると、どうやら、旅する一家が 狼に襲われ虐殺された模様にも見えるが、詳細は不明である。猟師は拾った子供を連れて引き上げてしまうが、子供はもうひと りいて、木の上に取り残される。猟師兄弟は見つけた子供をクロワ修道院に預ける。ここは女子修道院だと思い込んでいたのです が、女子が多いというだけで男性の修道士もいました。

 子供は、首に下げていたメダルに、”ヴァンダ”と読める文字が刻まれていたことから、ヴァンダと名付けられ、洗礼も受け る。この時代の猟師の牛車の画像が珍しいので撮ってみました。枝の寄せ集めの車体と布の天幕です。右は墓地。






 数年後、ペストが流行する。多くの病人が修道院で介護される。ヴァンダが保護された時に木の上にいた子供も修道院に担ぎこ まれ、治療される時にうめき声を聞いたヴァンダは、その子供のもとに駆けつける。

 春。王宮では王が家臣や貴族たちを前に地図を広げている。兄弟間での王国分割の告知の集会だと思われる。その後宴会。宴会 の様子や装束は、古代ローマが残るメロヴィング時代の雰囲気が良く出ているように思えます(ステレオタイプなメロヴィング朝 イメージに忠実ともいえる)。



宴会で長椅子に寝そべる様子はまさに古代ローマという感じ。右後方の女性がフ レデグンデ、手前がキ ルデベルト




 フレデグンダは夫をそそのかし、前妻の娘であるバシナを兵士達に輪姦させる。それを杯を傾けながら見入るフレデグンデとキ ルデベルト。フレデグンダ、登場するなり最高の悪女ぶり。翌日、キルペリク王はバシナを修道院に追放する。下左がキルデベル ト、右がフレデグンデ。



 
 まだ雪の残る森の中で狩をしていたロムルフは盛りで数等の犬(原作では狼だが、映画ではシェパート等の大型犬に見えた)に 囲まれるが、そこにヴァンダがやってくる と、犬は彼らを置い て去ってしまう。

 数年後の春。少女に成長したヴァンダとバシナは仲良しとなっている。しかし修道院の日課は退屈な模様。右下は教室での授 業。右下の女性は机に突っ伏して居眠りしている(机は斜めの板となっている)。奥に本棚が見える。



 ある日、些細なことから、修道院の下男たち(奴隷:全員坊主頭で特徴がある)が修道院の 雇い人たちと乱闘になりそうになり、雇い人ひとりが殺され、止めに入ったロムルフは下男の一人を殺して取り合えず鎮める。

 第一話の終盤で、修道院にいる少女の一人が、お堂に入って修練をするといいだし、修道院の人々の聖歌に見送られながら、以 下のような石組みのお堂に入れられ(なんとなくドルイド風)、 石で蓋をされ閉じ込められる(このエピソードのその後の部分は記憶ではドラマでは覚えていないのですが、原作では小窓から食事を貰い続けていたが、数ヵ月 後くらいに狂ってしまい、その後修道院を逃げ出して森で狂人として暮らし続ける、という悲劇で終わっていました)。

 

 冬、初代修道院長が病没し、その葬儀の場面で第一話終了。以下な葬儀の場面。右奥祭壇手前中央に院長が安置されていて、修 道女たちが順番に遺体にキスをして廻る。修道院の大ホールの細部がわかる数少ない場面。これはセットではなく、恐らくロケだ と思われ、もしかしたら有名なバシリカ聖堂をロケにつかったのかも知れない(以下の画像は細部がわかるようにだいぶ明るく修 正をかけていま す。このドラマは影の部分が多く全体的に暗い映像です)



 第一話では主人公のヴァンダはあまり登場していない感じで、彼女が修道院にやっ てきた由来や、時代背景中心に描かれていた感じです。


第二話 彼女の狼の肌( La Peau de la louve )

 ある冬の夜、数等の狼がポワティエの町に現れ、人々に襲いかかろうとする。人が かみ殺さ れる事件も発生。町人(村人にしか見えないが)が総出で修道院にやってくる。修道院の治療院では、病人の介護が続く。ラデグンデも介護に参加している。し かし当時の技術力では病人に対し無力で、事実上安らかに死ねるよう介抱し、見取ることしかできない。町人は、どうや ら狼を操ると付近の住民に考えられているヴァンダを町の防衛のために貸し出して欲しい、と交渉しにきたようであ る。ラデグンデがなにやら説得しようとするが、結局ヴァンダは村に送られる。下は町人の前で演説するラデグンデ。王 女っぽい正装。右は村人が掲げているキリスト教像。あまり見たことのない種類の像である(顔が仏像風。遺物的根拠が あるのか興味がわきます)。



 ポワティエの町に到着したヴァンダが狼の遠吠えをすると、町に入り込んでいた狼が集まってくる。町は要塞のようにバリケー ドが作られている(が、町の全体像がわかる映像は出てこない。残念。街路も雪が積もっていて舗装しているのかどうかもわから な い)。一人の村人がヴァンダの制止も聞かずに一匹の狼を斧で殺してしまう。男は逃げ、町人が狼用に仕掛けた罠に引っ かかり脚を負傷する。雪の上に残った血を辿って自宅に逃げ込んだ男をヴァンダは追い詰める。ヴァンダは男に死んだ狼の遺体 の毛皮はがさせ、その後狼をけしかけて男を殺すのだった。教会で祈祷をしているところに、血だらけの毛皮をかぶって、顔中血 だらけのヴァンダが戻ってくる。ヴァンダをとがめる二代目修道院長レウボヴェラに対して、ラデグンデはヴァンダを弁護する。 修道院に預けられている少女たちの間でもヴァンダを受け入れない空気があり、バシナは、ヴァンダを罵った少女と取っ組み合い の喧嘩になる。

 結局ヴァンダは修道院を出て、ヴァンダを最初に拾った猟師ロムルトの元にゆくことになる。涙ながらヴァンダを見送った後、 ラデグンデはその場で倒れてしまう。下左が詩人フォルトゥナトゥス(この後ヴァンダをロムルトの元に送り届ける役目とな る。下画像はひょうひょうとした感じがよくでています)、その右がバシナ。こっそりもってきた王家の豪華な衣装を来てヴァンダに見せているところ。その右 がヴァンダ。右端はこ の修道院の女官長。いつもがみがみとやかましく、危険な相手にも無謀に説教するところがいい。



 その頃王家では、クロタール1世の子カリベルト一世(516-567 年)の娘クロティルドを聖クロワ修道院に送り込むことに決めた。そのクロティルドを乗せた牛車。木造の骨格で、布または革張 り。王家の牛車にも関わらずこのしょぼさがメロヴィング朝らしくていい感じです。しかし、牛車はインパクトありました。この 作品の1/4のイメージは牛車です。残り1/4はクロティルド(原作よりキャラが立っている)、次の1/3はラデグンデと ヴァンダ、最後の1/4はメロヴィング朝の全体的な雰囲気です)。



 クロティルドを修道院に送っている途中、見つけた村人の集団をなぜか虐殺する(原作に該当する場面がなく、虐殺の動機は不 明。単純に農民の命をもてあそぶ残虐な人々として描いたものなのかも知れない)。命乞いをしている女性まで刺し殺す理不尽 さ(インディアンが西部開拓民を虐殺しているかのよう(これもステレオタイプだが)な映像)。左下が虐殺後の状態。手前に横 たわる男性も死体。中央画像の右側がクロティルド。いかにも傲慢そう。左側のおつきの奴隷が薄汚くて、いかにもメロヴィング な感じ。右側は、野原の隅で虐殺を目撃したユダヤ人医師のモーセ(ヴァンダを拾った猟師アルビンも一緒。モーセは実在の人物 かどうか不明。原作にも登場しない)。クロティルドは虐殺から戻った従兄弟のチルデリクを牛車の中で裸で迎えて誘惑するの だった(と思ったらもともと婚約者という設定らしい。が、その後配下の隊長兵士のカーボンに局部のあたりを直接触られて平然 としていたから、カーボンとも肉体 関係があるのかも知れない。とにかく危険そうな女性)。



 そして何故かそのまま牛車は雪の中をいく場面となる。雪の峠を越えているのかも知れないがカリベルト一世はパリの王なの で、ポワティエに向かうのに雪の峠を越える必要はないのでよくわからない。旅をしているうちに冬になった、というのも不自然 なのでこの場面は良くわからない。とにかく本作は雪の場面が多い。一方、雪の中、グレゴリウスとアルビンは遭難してしまう。

 ロムルフと一緒に猟師として生活していたヴァンダは、ある日狩猟中、遭難している弟アルビンとユダヤ人医師モーセを発 見する(ヴァンダの髪は当初栗色だったような気がするが、今や北欧的なブロンドとなっている。下左、黄金のブロンドと青い服 の対比が鮮やか。右は修道院の回廊でヴァンダを抱きしめるラデグンデ。柱のデザインの詳細がわかる映像)。



 一方修道院では、到着するなり超わがままぶりを発揮るすクロティルド。修道女の居室を見るなり、僧院をでてゆこうと、きた ばかりの牛車に乗り込む。院長も見捨てるが、病床のラデグンデに諭され、クロティルドを説得するのだった。誰の説得が効きた のか不明だが、クロティルドは修道院に残ることになる。夕食の席、早速修道院の貧相な食事を見て、おわんごと叩き割るクロ ティルド。あまりにも想定内の展開。院長は激怒するが、クロティルドは涼しい顔。それを見て笑いさざめく若い少女たち(バシ ナも)。そこにヴァンダを送ったフォルトナトゥスが戻ってきたものだから、彼に縋るように相談する院長。

 病床のラデグンデは、うなされながらヴァンダの名を口にする(どうしうてそこまでヴァンダを気に入ったのか良くわからない が)。夢にラデグンデを見たヴァンダは翌日修道院を訪ねる。昔の仲間と挨拶を交わしたおり、偉そうなクロティルドを突き飛ば すヴァンダなのだった(いくらはずみでもちょっとやりすぎでは)。病床のラデグンデと会話できたものの、ヴァンダと言葉を交 わした直後にラデグンデ死去。葬儀が行なわれる。この回はこのまま静かに終わるのかと思っていたら、葬儀中クロティルドが、 ヴァンダの狼の毛皮を放り投げて取っ組み合いの大喧嘩に。両者顔から出血するほど。更に止めに入った院長とクロティルドが殴 り あいに。ヴァンダとクロティルドは一緒に懲罰室(独房)に放り込まれるのだった。


 第三話 修道女たちの反乱(La Révolte des nonnes)

 翌朝柩が墓に向けて運び出される。ラデグンデを母親のように慕っていたヴァンダは牢屋から絶叫する。事情は不明だが、なぜ かヴァンダとクロティルドは院長への反抗で一致してしまい(この部分は原作でもいまひとつ納得できなかった)、牢屋から出さ れた クロティルドが再び院長と格闘をはじめると (実際院長がクロティルドを羽交締めにしていてなかなかすさまじい)、ヴァンダが加勢するのだった。院長かなりヒステリック になっていて、フォルトゥナトスは、ヴァンダとクロティルドではなく、院長の方を止めるのだった。

 夜、クロティルドはヴァンダを含めた修練娘や修道女たちを説得し、更に中庭で下男下女修道女たちをも集めて煽動して院長に 対する抗 議活動を開始する。服を脱ぎ捨て燃やして半裸で踊りまくるという、、、、、厳しい修道生活にストレスがたまってはじけちゃっ たという感じ。反乱に加わらなかったのは女官長だけかも知れないくらいの勢い(看護長のベッガさえ参加していた(もっとも直 ぐ後悔した様子)。こ の反乱事件は、トゥー ルのグレゴリウスが史書に詳細を記載している事件。グレゴリウスの姪が修道院に院長派として在籍していて、裁判 にもなり、多くの人が関与したもので、グレゴリウスが噂を書いたという類ではなく、確実にあった事件とのこと。グレゴリウス による と修道院に在籍していた女性は200人、反乱に加わったったのは40人)。

 

 翌日、何故か配下の兵士カーボンとその一味が来ていて、クロティルドは当然のように迎え入れているから、もともと何らかの 連絡があったのかも知れない。武装した兵士に僧院を占拠され、院長はクロティルドの前に跪く.。しかし院長は結局反乱をおか した修道女たちに殴りかかり、兵士は面白がって院長に剣を渡す。やみくもに剣を振り回す院長は、剣の重さに振り回され、兵士 達はその姿を面白がって笑いものにする。見かねた女官長が院長を抱えて屋内に連れ戻す。
 
 クロティルド一味(ヴァンダ、バシナ含む)と一部の修道女たちは、牛車にのって、カーボン等兵士に護衛されながら、聖クロ ワ修道院を後にし、トゥールに向かう。森の中でアルビンをカーボン配下の兵士が拷問している(何故こうなったのかは不 明。アルビンは反乱前に牢屋の前にきてヴァンダと密談していたから、あらかじめ落ち合うことを打ち合わせ済だったのかも知れ ない)のに出くわしたヴァンダは、止めさせるが、介抱している時にクロティルドがやってきてアルビンの股間をなでたりと油断 ができない。

 その夜、野営地で兵士たちが不道徳な演劇をやっているのに、流石に一部の修道女たちは拒否反応を起こし、翌日、恐らく近く の村の女 性にその内容を告げたのだと思われるが、この噂が、一向が到着する前に町中に知れ渡っていて、トルールの町に着いた時、町は騒然とし、町民総出で総スカン にあうのだった(いきりたった町民たちが農具を差出し、ものを投げつ け危険な程である)。建築物は壁しか登場しないので、町の概観はよくわからないが、グレゴリウスのいる教会は、扉の枠組みや 柱が大理石となっているなど、古代ローマ建築を継承していると思われる部分も一瞬映って嬉しい。下は騒然とする町の民衆。下 左の中央の人物などはロー マ人装束に見えます。



下の両端画像がグレゴリウスのいる教会の正面部分。古代末期のバシリカ風です。中 央画像は 内部の大理石の柱。柱の感じがローマ風。



 クロティルドは、グレゴリウスに会いにゆく(当時トゥールは司教都市で、グレゴリウス司教は市長の位置を占めていた)。グ レゴリウスは、先にフォルトゥナトゥスに相談を受けていて、委細を承知していたのだった(トゥールとポワティエの間は約 70km)。下左がグレゴリウスの書斎。本棚の映像が嬉しい。右がグレゴリウス。



  クロティルドはいろいろ主張するが、グレゴリウスに怒鳴りつけられる(あたりまえ)。クロティルデは捨て台詞をはき出て ゆく。一向は、文字通り町民に石持て追われて町を出てゆくことになるのだった。

 あてもなく続く旅と野宿の生活に、トゥール到着前に既に疲労が見えていた参加者の一部はもう限界に来ていた。一部の少女た ちは兵士の情婦のようになってしまっていたが、それまで放っておかれたやや年配女性たちが強姦される。さすがにカーボンも兵 士を殴り倒して止めるが、従わない女性たちは簡単に作った木造の牢屋に入れられてしまう。ある夜、ヴァンダとアルビンは二人 だけで逃げ出す。森で数匹の狼たちが現れ、そこにはヴァンダを育てていたと思われる狼アヴァもいた(アヴァは冒頭から何度か 登場しているのですが、あまり本筋に関係ないので略してました)。アヴァと出会いヴァンダは残された修道女たちを助けること にする。

 一方その頃修道院では、ヴァンダの養い親ロムルトが院長に呼ばれ、修道院に残った下男たちでクロティルド軍の再来襲を迎え 撃つべく修道院の要塞化と下男の剣を訓練中(攻防戦では弓も使えるようになっていた)。女官長も参加しているのだった。この あたり、少しコメディ要素があります。

 が、実際に兵士達に攻めてこられるとあっさり陥落し(殆ど負傷者もなかったようである)、ロムルトだけが最後までカーボン と戦う(下右中央で二人が戦っている。わかりにくいですが)。カーボンが刺されたところでヴァンダとアルビンが戻ってきて、 カーボンと兵士たちを射殺す。

 

 ヴァンダとアルビンに見取られてロムルト絶命。その直後に、ヴァンダによって開放された修道女たちが、クロティルド一味を 捕らえて帰還する。そこに疲労困憊のフォルティナトゥスが戻ってきて、バシナとクロティルドに無罪を言い渡す。喜ぶバシナと クロティルド。。。。。。。。。。。。。。。(流石にこの展開はないですわ。クロティルドには最後まで悪女でいていただかな いと)。ラデグン デの墓に詣でたヴァンダとアルビンをフォルトナトゥスが祝福し、ヴァンダとアルビンはキスし、修道院の皆に見送られて、ヴァ ンダとアルビンとモーセの三人は馬に乗ってスペインへと去っていくので あった(なんでモーセも一緒?ユダヤ人だからスペインに人脈があるので途中からアルビンと一緒にいた、という設定だと思いま すが、、、その後原作を読んだところ、アルビンがスペインに行く理由は、西ゴート王に医師として招聘された、とされていまし た。モーセは原作には登場していませんでした)。

〜Fin〜

 第三話の途中までは面白かったのに、最後がB級冒険活劇時代劇のようになってしまったのが残念。どうせならグレゴリウスの 史書の 通り、事件後の裁判などをやって、しっかり終わらせたほうがよかった。グレゴリウスの証言によると、クロティルドは最後まで 反省しなかったそうですし、院長レウボヴェラも裁判でみっともない言訳ばかりして、いかにも人間ドラマという感じがします。

 モーセはなんででてきたのだろう?どうせなら、ブルンヒルデが西ゴート王家の出身なので、ブルンヒルデを登場させて、その 関係でラスト、スペインに向かう、という展開にすればよかったのに。第三話の45分地点で見るのを終了すれば、本作は十分歴 史ドラマといえるのではないかと思います。あまりになんじゃこりゃ?な終わり方に、原作を読むことにしました。いやもう、第 三話の45分以降はまったく別の作品になってしまったような感じです。

 クロティルドとバシナがもっと活躍するのかと思い、クロティルド、バシナ、ヴァンダの三人をこの記事の扉にしたいと思って とっておいたヴァンダの画像、貼るところがなくなってしまったので最後につけます。この人、オスカル・フランソワの幼年時代 を演じると非常にフィットするのではないかと思います。左下は、クロティルド軍から修道女たちをヴァンダが助け出す場面。歴 史作品の雰囲気を壊したくなくてあらすじ紹介にはどうしても入れたくなかったので、こちらに入れました。第二話での狼対策の 時のようなミステリアスなイメージで最後までやればよかったのに。面白いネタを途中まで結構うまく料理できていたので、最後 が残念です。クロティルドは、今思えば、大西巷一氏の漫画『乙女戦争』に登場する皇帝ジギスムントの正妃バルバラ王妃に似て る感じでした。



※追記
その後結局原作を購入して読みました。基本設定は同じですが、細部はだいぶ違っていて、目立った違いをいくつか挙げ て見ますと、

・原作ではクロタール王は登場しない(つまり、映画冒頭の場面はなし)
・クロティルドは物語りの最初から修道院にいる(ドラマの登場場面での、その性格の悪さに盛り上がる部分は殆どな い)
・ドラマでぐだぐだになった第三話の後半はなく、冒険活劇的要素はほとんどない(ヴァンダの活躍もほぼ普通の活動的 な少女の範囲内)。原作では史書の通り裁判が行なわれて物語が収束してゆく。
・ラストも少し違う

等(他にもいくつか)ありました。第三話後半を除けば、ドラマは見応えがあり、原作もドラマ第三話後半のよ うな作品イメージが違う方向に向かうような展開はなく、普通に収斂していて面白く読めました。原作では、ブルンヒル デは、名前だけの登場に終わっていたのは残念でした。

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