サーサーン朝映画「ヤズダギルドの死」(原題「Marg Yazdgerd」)

 本作は、最初2009年に視聴したものですが、当時は字幕が無かったので、筋がよく理解で きませんでした。今回(2013年)、英語字幕版を視聴することができ、内容が把握できました。前の感想は下段に残して、補 足・修正部分を追記しました。

 一言でいうと本作は、シェークスピア風イラン版「藪の中」(芥川龍之介原作、黒澤明の映画「羅生門」)。サーサーン朝最後 の王ヤズダギルドは、逃亡先の粉引き小屋で死体となって発見される(ヤズダギルドが粉引き小屋で殺害されたのは史実とされて いる)。そこにやってきた家臣達は、粉引き小屋一家を追及する が、家族は様々な言い訳をする。曰く、「私達は殺っていない」「彼は王とは思えなかった。王の所持品を奪った追剥だった。だ から王の着物や宝石を持っていたのだ」「我々は王を殺したのでは無い。自分が王だと思い込んでいる頭のおかしい男を殺したの だ」。。。
 さて真相は。。。。という話です。


 まず、前回ヤズダギルドの娘と側室だと思っていたのは、ヤズダギルドを、そうとは知らず殺してしまった粉引き職人の妹と母 でした。

 物語は、知らずに王を殺してしまった(と主張する)職人家族を、王の家臣が糾弾し、職人の家族が反論する場面から始まり ます。左が妻、中央が粉引き職人。右が娘。家族は、我々は殺ってない、ここに来る前に既に死んでいたのだ、と主張する。娘 は、 唯一の目撃者はここで眠っている、と何度も繰り返す。

 家臣達の武装は侍を感じさせます。家臣達は、粉引き臼に大量の血がついていることを証拠として重視する。

もったいぶった身振りと台詞が舞台劇調で進む。下右二人は上右二人と同じ人物。右 端の人物(大司令官)は、化粧している感じ。中央は、鎧の様子がよくわかる映像なので、撮って見ました。左端はゾロ アス ター神官(モウバッド)。主要登場人物は以上の6名。

 家臣の一人と兵士達は、小屋の外で、処刑台を作り始める。恐れをなした家族達は 王が粉引き小屋に逃げ込んできた時の様子を語り始める。追剥から逃れてきた旅人のように小屋に入ってきた。ランプを 吹き消し小屋の隅に座り、窓を閉めるように言った。彼は泥棒か物乞いに見えた。。。。その時の様子を再現し始める家 族。娘がヤズダギルドを演じる。演技は迫真性を増し、まるで憑依しているが如くである。

-何か食うものは無いか。腹が空いておるのだ!。肉をくれ(娘(王役の時))。乾パンしかないだと?どうやって食う のだ、これは。
-彼が私の夕食を食べてしまった(娘(娘役の時))
-煩い泣くな売女!水を持って来い!
-おやまあ彼はこの家の主人のように振舞っているよ(妻)。物乞いではなく、主人のようだ(職人)
-彼の偉そうな振る舞いは、所持しているという黄金があるからじゃないかねえ。彼の物持ちを確かめなきゃねえ(妻)

 一家は、逃げてきた男が王とは知らず、王を襲って所持品を強奪した追剥だと思ったと主張する。しかし老家臣は槍を 手に、粉引き職人を処刑しようといきり立つ。壮年の家臣(大司令官)はそれを止めて、ゆっくり、じわじわと、10倍 の時間をかけて苦しませな がら処刑するのだ、と脅すのだった。思わず擦り寄る家族。

 一家は再現を演じ続ける。小屋に入ってきた人物が王だと名乗るも、頭の おかしい追剥だと思い、頭を殴打し打ち殺す。「何と言うことを!魂は死後3日間、肉体の上に留まるというこ とを知らんのか?」とモウバッドが詰め寄る。すると一家は、王の魂が逃げ出さないように粉引き小屋の窓とい う窓を板で塞いで家の隅々まで王の魂を探し、粉引き職人は魂に真実を語ってもらおうと考え、妻は魂を破壊し て口封じすること画策するのだった。夫は妻の口を思わず塞ぐ。家臣達が、王を罵る妻の舌を切りろうとする と、妻は今度は、 「私は王の見た夢を知っている」と口走り、モウパッドが「王の夢には解き明かされるべき秘密がある」と指摘 したことから、妻は王になりきって、王として語り始める。かく語る。

-私はアラブの兵に突撃したが、味方が裏切った。鍛冶屋(カーヴェーの旗)はどこにいった。八方から石つぶ てが投げられた。

 このまま粉引き職人一家の変幻自在の演技と言い訳が、様々に方向を変えつつ家臣達を欺き通すのかと思って いたところ、家 臣達は、「この一家は飢えて頭がいかれてしまったのだ」と醒めた判断を下す。最早呆れているのか、家臣達も悪乗りした のか、王の最期の状況を演じる職人に、金箔の王冠を被せ、職人は、悲惨な逃亡の様子を語る。どこへいっても 招かれざる客だった、と。粉引き屋一家の再現劇によると、王は、このみすぼらしい小屋を金貨で購入しようと 提案する。左はそろばんを弾く妻。こんなぼろ屋に金を使うなんて!隣近所はもう逃げてしまっているのに!と 妻。右 は冠を被って段々王になりきってゆく粉引き職人。


 娘は言う。
-この人は泥棒じゃないわ。だってお金の使い方を知らないもの。
妻、
-こんな粉引き屋を買って何に使うのよ。
夫(王)
-人生を終わらせる為にだ(自ら命を絶つ為だ、という意味)。

 家臣一同驚いて立ち上がる。「自殺だって!?」
 更に王(粉引き小屋の主)は、驚くべき告白をする。

-綱を用意してくれ。短剣では、手が思うように動きそうもないのだ。手助けしてくれれば金は全部やろう。 眠っているうちにやってくれ。私が知らないうちに。

 家臣一同更に驚く。「王は死を恐れたのか!?ありえない!!」

 いまや、主人が王、妻が亭主、娘が母の役を演じている。妻(演:娘)は、夫を止める。「王は忠誠心を試し ているんだよ。もし同意したら、彼は別の顔を見せるに違いない」「そもそも本当に王だったら、コイン全部な んて言う筈が無い。せいぜい数枚で話をつけるだろうし、そもそも王が死のうとなんてするかい?」

 王は三度頼み、我々は三度断った。と主人(演:妻)が話を締めくくる。

 口々に信じられん、と家臣が驚く中、一人の下級老家臣(王の馬丁)が、「私は戦場で王が逃げようとしてい るのを見た」と証言し、物議をかもす。そこに好機を見出したものか、一家は更に演技を続ける。

王(演:粉屋の主)
 -王の法律書に書いてある。命令に従わない者は恥辱の死よりも暗い終末を迎えるのだ。悪霊が手足を打ち砕 き、9千年間、地獄で悪夢を見ることになるのだ。今やそなたの手にかかっているのだ。粉屋よ、命ずる。私を 殺せ。

粉屋の主(演:妻)
 -王の死は国の滅亡だ。国の滅亡に手を貸せというか?
妻(演:娘)
 -殺っちまいましょうよ。国なんか滅んでも、また新しいのが生まれるわよ。

娘(演:娘)
 -アフラー・マズダーに背くことはできないわ。
粉屋の主(演:妻)
 -王の命令はクティフォンだけで通用する。ここでは従えない。
王(演:粉屋)
 -なんと!王の命令が背かれるとは!

 王はここで、作戦を変える。自らの莫大な富を逐一、延々と上げ続け、砂漠の中の貧相な粉屋の惨め さを思い知らせ、王への殺意を呼び起こそうとする。王役はここから、妻が演じることになり、粉屋は 粉屋自身を演じる。

 王(演:妻。遺体から取り外した王の仮面を顔の前にかざす)は誇る。
 -色とりどりの宝石で飾られた豪奢な生活、数々の宝庫、黄金の宮殿、エメラルドのゲーム、エメラ ルドの庭、年ごとの100万ドラクマの795倍の全土からの税金、12000の奴隷女、1200の 戦象、13000の駱駝隊、70万の騎士、30万の足軽兵士、乗馬用の10万の馬、10万の黄金の 剣、

 どうだ。腹が立たないか。

 粉屋(演:粉屋)
 -(ひたすら平伏して)あなた様は客人です。どうか、先行き短い老人に不幸を気づかせないで ください。みすぼらしいなりをした旅人を、どうして王などと思えましょう。私をお試しになるの はおやめくださいまし。足に口付けをさせてくださいまし。

 王はひたすら粉屋に手を上げさせるネタを探し続ける。
 -お前は余の宮殿の番犬にも劣るようじゃ。お前の娘は病気というが、見目悪くはないではない か。余の足に口付けなど不敬な!まず埃まみれの床に口付けしろ!(といって粉屋の頭に足を置 く)。どれ、娘 に余と床を共にする名誉を与えようぞ。

 王は娘に迫る。悲鳴を上げて父親に助けを求める娘。演技とは思えない、まるで、日頃から妻 が、腹にためていた夫のふがいなさへの雑言がこの機会に口をついて出てきたかと思える程。とは いえ、家臣達は信じない。王は3千人もの女奴隷を後宮にかかえ、よりどりみどり。このような田 舎の奴隷娘に懸想するとは考えられぬ、と。しかし娘は汚されてしまったようである。遂に粉屋は 王を殺害する仕草をする。思わず目を覆う家臣達。そして大司令官は剣を振り上げ粉屋を成敗しよ うとするが、粉屋の妻は言う。


-でも、あなたは殺っていない。

答える粉屋
-「そう、私はやっていな い」


 なかなか真相に到達しない。まさに「藪の中」な展開。しかしその次に粉屋主人が「やっていな い、王が私と共に演じるまでは」と続け、粉屋一家の演技が続くのだった。


 驚愕の事実が判明する。娘を汚されたと思った粉屋が激怒して王を打ち据えるが、娘が殺された 男の遺体に「お父様」とすがりつくのだった。


-ここで眠っている男は父なの。一生を報われることのない粉屋として生きた。
 
 混乱する家臣。見ている私も混乱してくる。抱きつく娘に、遺体が「娘よ、私の娘よ」と言いな がら起き上がるが、それは娘が口調を変えて呼びかけ、遺体を抱き上げているのだった。もうわけ わからん、と思った瞬間、大司令官が、「この一家を捕らえよ。この遺体は王ではない!」と命 じる。更に驚いたことに、(薄々そんな気はしていたが)、大司令官が他の家臣達に向かい、「誰 も王を間 近で見たことのある者はいないのか」と確認すると、王の従者だった老兵士(馬丁)は「彼はいつ も黄金のマスク越しで、一 度も王の顔を見たことが無い」と答えるのだった。宗教長官(モウバッド)は遺体を確認して、血痕が顔じゅうに こびりつき、口はだらしなく開き、死に瀕してゆがんだ顔つきをしていて判断し難いという。大司 令官は、王とは、黄金のマスクや、カーテン越しでしか会ったことは無いという。寝室係や奴隷 も、常にか しずいていて、王の顔を見た者はいないという。つまり、遺体が王かどうか、誰も確認できないの だった。


 この遺体が粉引き屋だったとしたら、この男(粉引き屋)は誰だ?と大司令官がつぶやく。

 その時、アラブ軍が攻めてきて、出陣せねばならなくなる。大司令官は、我々が戻る迄に遺体を 洗浄しておけ、といい置いて家臣一同粉引き小屋を後にするが、窓、扉、天窓全てを板や布で封印 し、逃げられないように一家を閉じ込めてしまうのだった。

 閉じ込められた一家は相談する。

主人
-私が王で無いとすると、王殺しの殺人者となるしかないのか?

-王殺しである場合処罰されて死ぬしかありません。王であるか、死ぬか、どちらかを選ぶしかあ りません

-この遺体が粉引き屋であることはここの全員知っている。(母に向かって)あなたは父を愛して いないんだわ

という会話から、粉引き屋一家を装っていた面々は、ヤズダギルド三世、側室、娘であることがわ かる。ヤズダギルドは粉引き屋を殺害し、自身は死んだことにして生き残りを図ったのだった。娘 は錯乱しており、 遺体を父親だと思ってしまっている。

 この時点では、粉引き小屋の3人は、以上の人物として振舞う。


 やがて、家臣達が合戦から戻り、粉引き小屋に入ってくる。アラブは東方に進撃し、当面この周 辺には襲来しなくなったとされる。粉引き小屋に戻ってきた家臣達は、今度こそ真実を明かせを迫 り、粉轢き職人一家は、遂に、遺体は粉屋であることを認める。

 最初に、若い武人(2番目の画像右側の人物)が、粉引き小屋の主人は王であると認める。しか し他の家臣達は納得しない為、粉引き小屋の主人は、王冠と王の装束をつけて歩かされる。次々に 質問が飛ぶ。愛馬の名前、飼い鳥、もっとも 愛した側室、クティフォン宮殿の部屋数、側室の数等々。王に代わって側室が全部答えるのだった。- シャブラング、シャバーヴィーズ、シャバーハング、叛乱者の為の暗室、楽師、愛妃の部屋、 210人等々。

 これで粉引き屋を装っていた男が王であることが証 明されたように思えるが、そうではなく、突然男が、「何故お前(側室)はそんなことを 知ってい るのだ?俺は知らぬぞ。俺は粉引き屋だ!」と主張し始め、男を粉引き屋だと思い込んで しまった娘は、「彼は粉引き屋だ!」と主張する。そうして娘は、自ら王冠を被り、鎧を 着け、私が誰だかお言い!と男に命令する。男は娘の前に平伏し、「あなた様は国王陛下 です。私は卑しいあなたの飼い犬、粉引き屋です。色々の事は国宝陛下から教わりまし た」と答える。

 王女は、男を罵り、出てゆくよ うに命じるのだった。深夜の凍るような雷雨の中、男は去った(と思ったが、ま だ小屋内にいる)。
 
 王女は、いつの間にか、自分をヤ ズダギルド三世その人だと思い込んでしまったようである。最早目付き は尋常ではなく、この嵐でアラブは私の痕跡を失うだろう、私は髭と頭 を剃り、変装して、ヤズダギルドだとばれないようにし、この先何年も 生きるのだ、アラブ軍が私が死んだと思ってくれればよい、捜索を中止 して くれれば良い、私は死んだ肉体を見つけ、それに私の衣服を着せる、全てはうまく行く。この女とその娘を除けば。彼らは全てを知っており、 それを誰かに知らせるかも知れない。娘は愚か者だ。女の方を残してゆ こう。と独白する。

 一方、女は、「彼は私とともにいる。王と私だけ」と独白する。

 この時点では、王が娘に憑依し、邪魔な娘を排除し、側室とともに逃 げ おおせることに成功したように思える。少々ひねり過ぎのようなので、 そろそろ終わりにして欲しいと思うのだが、まだ続く。

 この前後の部分では、母、娘の役どころが、頻繁に入れ替わり、かな りわかりづらい。

 続く女の告白では、女は粉引き小屋のおかみとなっている。彼女はつ まらない人生に退屈しており、逃亡 中のヤズダギルドの登場は、そんな生活から抜け出す糸口となったのだという独白を行う。更に、娘は女を母と呼び、一瞬娘自身の役どころに戻ったと思える一 方、続く台詞では、王として、「亭主を軽蔑していたのならば、私とと もに幸せになれたかも知れないのに、粉引 き屋の妻よ」、と呼びかけ剣で刺そうとする。いよいよ台詞は混沌として くる。女は、娘に、王(パーディシャー)と呼びかけたり、娘と呼んだ りする。娘は母と呼んだり、或いは、「お前の体は居心地が良さそう だ。この娘は私に価値が無い」と告げたりした挙句、「私はお前と 粉引き屋の手にかかって死にたい」「摩り替わりの死体を用意しよう。 私の財宝で永遠に私と満足して暮らせるぞ。粉引き小屋なんて無価値 だ」と口走る。そうして、迷っている粉引き屋の妻に、夫を殺すよう説 得するのだった。この時の会話からすると、娘は奴隷ということのよう である。そうして、王は女に娘を殺すようにささやくのだった。

 
 ところが、そこに話を聞いていた粉屋の主人がやってきて、 娘(王)に剣を振り下ろす。血が流れ、王は死ぬ。


 どうやら、漸く真相に辿り着いたようである。王は、自分で は死ねないので、粉屋に殺してもらうか、或いは、粉屋を殺し て身代わりにて生き延びようと粉屋の妻をそそのかした。王殺 しをためらった粉屋の主人も、妻との逃亡をそそのかす話を聞 いてしまったことで王を殺害した。結局冒頭の通り、粉屋 の三人は、粉屋の主人とその妻と娘であり、遺体は王なので あった。家臣達は王が自殺ではなかった点を確認する。

 家臣の一人が粉引き小屋に入ってきて、墓は掘りあがり、火 あぶり の処刑台も準備ができたと告げに来る。正気に戻った(最初か ら全て演技だったのかも知れないが)娘と、母、粉引き屋が抱 き合って泣く。しかし、大司令官は親子に告げる。

 私は判決を変えた。処刑台は取り壊して火にくべると。宗教 長官(モウバッド)も王の馬丁も同意する。王の遺体は担ぎ出 される。しかしその時、既にアラブ軍が攻めてきていた。「彼 らは何も問わず、何も答えず、ただ剣の言葉を話すのみ」と伝 令が伝える。粉引き小屋の前に、黒旗を掲げたアラブ軍(下 右)が殺到してくる。審判の日が訪れたのだった(下左は最後 に武装し、アラブ軍を迎え撃つ家臣達。サーサーン朝の旗はア ラブの黒旗に対して白地の旗となっている)。


最初の記事(2009年)

 1982年イラン製作。サーサーン朝の最期を描く。

  イスラム勢力に敗退を続けたサーサーン朝主力は、東北周辺部メルブ(現トゥルクメニスタンマリー)へと追い詰められるのですが、 651年粉引き小屋で、そ れと知らず国王ヤズダギルドが金銭目当ての現地住民に殺されて王朝は滅亡します。本作は、ヤズダギルド死の直後の数時間を扱った 作品。下記は冒頭、クレ ジットの背後に映る粉引き用轢き臼器。なんかクレジットの後ろで扇風機のように回っていると思っていたら、碾き臼。



本 作は、最後まで舞台が粉引き小屋から出ることは無く、数人の家来と取り巻きによる舞台劇と言える展開となっています。左下写真 は、国王の遺体を囲んで演技 する家来と取り巻き。オーバーなアクション、観客に向かって語りかける姿、歴史劇というよりはギリシア悲劇だと思ってみた方が良 いかも。字幕が無いので何 を言っているのは不明だけど、きっと前衛的なことをしゃべってるんだろうなぁ。パーディシャーとか、聞き取れたのはパタールとか の単語だけ。一応若い女性 が国王の娘だとはわかったけど。



  しかも劇調は黒澤調。ソヴェト映画のような雰囲気もある。右上と左下写真に登場している家臣の鎧はまるで日本のサムライ。特に奥 に映っている武者はラスト サムライに登場するトムクルーズそのもの、という感じ。ゾロアスター神官と思わしき人物は、日本古代の神官のよう。胸の飾りはま るで日本古代の銅鏡のよ う。見れば見るほど黒澤劇に見えてくる。女性が上着をかぶる場面は、古代日本女性の衣を連想させ、遂には糸車まで登場する始末。 「蘇我一族の滅亡」「義経 の最期」とかの題名で日本語吹き替えをつけてもドラマとして成り立ちそうな感じ。




下記黄金の鎧をまとって横たわる王と糸車を回す姫。





  最後の方では、どういう経緯から不明だが、下人に国王の装束を着せ、それまで婢女のようなみすぼらしい着衣を着ていた王妃か側室 と思わしき女性も、王冠と 装束をつける。サーサーン王家っぽい雰囲気が味わえた唯一の場面。本作は、1982年のイラン作品とのことらしいが、この時期は まだチャドル着用が徹底し ていなかったことが、女性が髪を出していることからわかります。



 映像はGoogle Videoに上がっていて、こちらで見れます。なんにしても、サーサーン朝映画を見ることができて満足。
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