イラン製ウマイヤ朝ドラマ「ムフタールナーメ」

  イラン映画・ドラマサイト、ペルシアンハブを漁っていてたまたま見つけました。ウマイヤ朝ド ラマ「ムフタールナーメ」は、686年にイラク南のクーファで反乱を起こしたムクタールの半生を描いた作品とのこと。2003年 から2009年にわたりテレビで放映され、こちらのWikiに若干の映画紹介があり、それによると、各40分全42回。

  Wikiの映画紹介だと、青年期から、ムアーウィアの時代を経て、ムクタールの死までの16年間を扱っているようなのですが、こちらのWikiのムフタールの 記事では、622年生まれとなっており、「死までの16年間」とするなら、670年以降を扱っていることになり、その時彼は46 歳。とても勘定が合いませ ん。しかし、第一話に登場するムフタールは、どう見ても30歳以上、ぎりぎりでも25歳以上に見え、40代と見ても無理がありま せん。彼の生涯に関する情 報は少なく、「The Cambridge History of Iran Vol4 From the Arab Invasion to the Serjuqs」でも、言及しているのは36-37、 40-41、49、488の6ページだけ。中でも反乱の経緯を追った、一番詳細な記事である36-37ページは、Google bookで読む事ができます。得られる情報は Wikiと大して変わりませんが、反乱に至る半生については記載がありません。なお、Wikiでは、タバリーの言及箇所が記載さ れていて、それによると、The History of Al-Tabari Vol21 : The Victory of the Marwanids A.D. 685-693/A.H. 66-73 (Suny Series in Near Eastern Studies)に掲載されているようです。

 なお、ムフタールについての日本語情報は、大部なP=K=ヒッティ著、アラブの歴史 (上) (講談社学術文庫)にも記載が無く、「頑固猫の小さな書斎」さんのサイトのトップページの左側、「預言者とハリーファの 歴史」の中の

・アブド・アルマリクの治世(685-705)
  (1)ムフタールの乱
  (2)内乱の終わり

に詳細な記載がありますので、ご参照ください。

  さて、私はちゃんと見たのは第一回だけで、後は各回、20分おきに2,,3箇所をちょっと見するだけだで、実はもうこれ以上見る つもりは無いのですが、な ぜかといえば、反乱や戦争にあまり興味が無いからで、第一回を全部見たのは、冒頭で、地図が出てきて、ムスリムがアラビア半島か ら北へ侵攻し、サーサー ニー・イラン、マダーインなどの用語が出てきて、物語が始まる最初の場面で、「マダーイン」という言葉が出てきた為、クテシフォ ン征服か、あるいは征服後 のクテシフォンが出てくるのではないか、と期待した為です。

 上写真の上がクテシフォンの遺跡、下部がペルシア湾ですね。更に冒頭では、下記の、ペルシア風の軍装をした、主人公と親しげな 軍人が登場しています。

クーファの建造は637年ですし、クテシフォンは征服時に破壊されたわけではなく、完全に消滅したのは、バグダッドの建設時に材 料として建材が運ばれたからなので、「ひょっとしたら、往時のクテシフォンが見れるかも知れない」と期待したのですが、どうやら 無理そうです。

 ざっと見たところでは、第七回目で反乱に突入しているようですし、舞台もずっとクーファとその近郊だけの模様。

 というわけで、本作についてはさわりを紹介だけして終わりたいと思います。

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