2002年シリア・レバノン製作。今回ご紹介する12話から18話では、セルジューク朝の
1089年のカラハン朝遠征から山の老人サッバーハの暗殺教団との対決、セルジューク朝の宰相ニサーム・アル・ムルクと君主マリ
クシャーが死去する1092年までが描かれる。
個人の人生を扱った大河ドラマではよくあるパターンなのだけれど、大河ドラマの前半は、主人公が子供だったりして、ドラマの実質
的な主人公は寧ろ、その頃
の歴史上の大物だったりすることがあるが、物語後半ともなると、ドラマの主人公が文字通り主人公としての位置で活躍するようにな
る。しかし、本ドラマの場
合、後半になっても主人公オマルの影が薄いのだった。オマルと比べて飛びぬけて登場場面の多い人物がいるわけではないが、オマル
のポーションは、他の主人 公級の人物、サッバーハ、ニザーム・アル・ムルクとあまり変わらない。
この時代イランで活躍した著名人としては、ペルシアの思想家ア
ル・ガッザーリー(1058-1111年)がいます。彼はイラン史上最大の詩人の一人フィルダウスィー(935-1025年)の
出身地と同じトゥース出身
であり、トゥースは、本ドラマの主要舞台であるニーシャープール近郊です。更にガッザーリーは、1077年にニーシャープールの
ニザーミーヤ学院に入学し
て学び、1085年にはセルジューク朝の都イスファハーンで宮廷に出仕し、宰相ニザームルムルクに仕えたとされるので、本ドラマ
でもどこかで登場していた のかも知れませんが、わかりませんでした。
12-18話は、全体的に進行がもたついた感じ。若干中だるみ&冗長感のある回でした。
第十二話
サマルカンド宮廷。サッバーハが西カラハン朝王アフマド・ハーン(在1080-89年)の元にやってくる(下アフマド・ハー
ン)。
サマルカンド総督アブラハは人払いされ、サッバーハの動向を心配するセルジューク王の弟トゥトゥシュもサマルカンドに来ていて、
アブラハはトゥトゥシュに
サッバーハの危険を伝える。アフマドはニーサーブールのオマルの元にやってきて、タバリスターン(カスピ海南岸地方)とサマルカ
ンドはサッバーハの手に落
ちてしまうとその脅威を捲くし立てる。話を聞いたオマルは、アブラハを連れて宰相ニザームの元へ行く。ニザームは、インペラトー
リー(ビザンツ帝国(イン
ペラトーリーヤローマと呼ばれる時もある)、タバリスターン(サッバーナの本拠)、サマルカンド(西カラハン朝)、ブハーラとい
う、セルジューク朝包囲網 ができつつあると指摘する。
マリクシャー夫人トゥルハン・ハトゥンは、侍女であるオマルの妻に、サマルカンド情勢を心配している。トゥルハン・ハトンは、
どうやらカラハン家の出身らしい。
ニザームは自邸にトゥトゥシュ、アブラハら高官を集めてサッバーハ対策を協議し、トゥトゥシュをオマルの元に向かわせる。ニザー
ムの書簡を受け取ったオマ
ルは激怒して書簡を握りつぶしているから、オマルとサッバーハの友情を利用した策謀なのかも知れない。アブラハはマリクシャーに
も直接訴え出る。結局マリ
クシャー率いる親征軍が派遣されることになるが、目的地はサマルカンド(サッバーハがサマルカンドにいるかららしい)。ニザー
ム、オマル、トゥトゥシュも 従軍している。
マリクシャー軍は、夜サマルカンドを陥落させる(1089年)。サッバーハと部下達は地下の秘密通路から脱出してしま
う。アフマドは、民家に潜んでいたが、サマルカンド総督アブラハに捕らえられ、サマルカンド宮廷に連れ戻される。宮廷に戻ると、
心配した王妃に迎えられる のだった。家臣が誰もいない宮廷で、アフマドは王座に座る(左手の後ろ姿は王妃)
こうして西カラハン朝はセルジューク朝の属国となった。深夜、サマルカンド総督アブラハはサッバーハ一味に暗殺される。
カスピ海南岸タバリスターン地方のエルブルス山脈中に逃げ延びたサッバーハは、しばらく洞窟を拠点とする。その洞窟の中で、教団
(通常暗殺教団と呼ばれ
る)に今後の方針を説く。そうしてエルブルス山脈の山中の峻厳な山の上に城跡を見つける。サッバーハはここを教団の根拠地とする
のだった。ここがアラムー
ト砦と呼ばれる暗殺教団の拠点となり、モンゴル帝国のフラグに陥落させられるまで西アジアの諸王朝を恐怖に陥れるのだった。左画
像が、砦跡を見つけたサッ
バーハ達。中画像が、断崖に面したアラムート砦を見上げたところ。右は砦の城門(砦を整備して教団員が出入りするようになった時
(次回以降)のショッ
ト)。この砦跡は現在でもイランに遺跡が残っていて観光地となっている(これはシリアとレバノン制作のドラマなので、ロケ地はア
ラムート砦跡ではなく、シ リアかレバノンのどこかだと思われる)。
サッバーハ対策を巡り、オマルは宰相ニザームと激論となる。物別れに終わり、机の上の書類をぶちまけるニザーム。その後、オマル
はマリクシャーとも会話す
るが、サッバーハの名前が出ていなかったので、この部分の会話はよくわからなかった。以下はニーサーブール市街。民兵(?)が暗
殺教団員をリンチにして首 を撥ね、首を晒しながら街中を走り回っている。
この回の最後は、オマルが幼年時代を過ごした、今は無人の家を訪問し、昔の備品がそのままに置かれ、机の上の羽根ペンを手に取
り、感慨にふけるところで終わる。
第十三話
サッバーハ一味(暗殺教団)は、洞窟からアラムート城に移る。ダーイー(イスマーイール派の宣伝工作員)達の教育風景や、軍事
訓練などの場面が描かれる。
下左は荒涼とした風が唸りをあげるアラムート砦の屋上での集団祈祷の場面。下右は軍事訓練風景。
砦の地下では拷問が行われている。スパイでも拷問しているのだろうか。詳細不明。ある日教団にジャアファルという青年が訪ねてく
る。彼は暗殺教団で教師を
勤める男の知人で、そのまま教団に加わる(名前からすると後の教団の軍事指導者キヤー・バー・ジャアファルかとも思ったが、そう
ではなく、最後まで一般兵
士だった)。半裸になって自らの体を鞭打ちする修業も行われる。いかにもシーア派(の一派のイスマーイール派)らしい修業風景。
オマルは生家で暮らすようになった。奥さんが訪問してきている。やっと名前判明。トゥライヤというらしい。
この装束はトルコ風にも、西アジア風にも見える。ニザーム・アル・ムルクは老境に達し、病臥する日々となっていた。オマルは医者
でもあるので、ニザームを
診療する。病床のニザームは書籍を書いている。もしかしたら(今年あたり岩波から翻訳が出る筈の)「統治の書」かも知れない。
この回は、あまり話が進展している感じはしない。暗殺教団の日々の生活描写は興味深かったものの、少々退屈な回。
第十四話
激怒しているマリクシャー。暗殺教団の活動にだろうか?しかしまだ暗殺が行われている場面は無い。ニザームは相変わらず自宅で病
臥中でオマルに往診しても
らっている。書き上げた書籍をオマルに渡すニザーム(「キターブ・アミール」と聞こえた。「統治の書」かな?)。ニザームがアル
コール・ランプをオマルに 見せる。珍しく思えたので撮ってみました。
サッバーハはこの回からスキンヘッドに。
オマルは、ニザームから貰った書籍を徹夜で読む。読みながら、彼は、枯れ木を引っ張って荒野を歩く老いたオマル自身の幻想を見
る。そしてその幻想は、宮廷
に侍女として仕えているオマルの妻の夢に現れる。目覚めたオマルの妻は涙を流す。そしてオマルの家を訪ねると、まさにオマルはま
だ書物を読んでいた。黙っ
て椅子に腰を下ろして静かに涙を流す妻。オマルは本を閉じ、妻に寄り添う。妻はオマルの胸に顔を埋めるのだった。この場面は良
かった。
アラムート砦にセルジューク朝の都イスファハーンから白旗を掲げた使者がやってくる(後半でアミール・ハマダーンとも呼ばれてい
たようなので、役職はハマ
ダン総督かも知れない。以下彼はハマダン総督としておく)。使者はシェイク・ムワッハルと呼ばれているようだが、セルジューク朝
の役人なのか、セルジュー
ク朝とは関係の無い団体からの使者なのか不明だが、次回でセルジューク朝正規軍と戦闘となる展開から、セルジューク朝からの使者
だと推測される。迎えた暗
殺教団の幹部の一人はアブー・アリー(デフダール・アブー・アリー・アルディスターニーだろうか?)。他に幹部は3人いるので、
それぞれハサン・ブン・
アーダム・カラーニー、キヤー・バー・ジャアファル、キヤー・ブズルグ=ウミードに該当すると思われる(幹部四人の画像。左はア
ビー・ミルチャ、左から二
番目がアブー・アリー。右から二番目はアバー・スラーフ、右端はテオロドフと呼ばれているようである)。
当初、使者を迎えたのは幹部四人で、サッバーハは出てこない。サッバーハは托鉢僧のような身なりで城の奥深くにいて滅多に人に会
わないようである。ア
ブー・アリーがサッバーハへの面会を求めにゆき、許可が下りたので使者はサッバーハに会いに城の奥に入りサッバーハに面会する。
左の白い海坊主のようなの がサッバーハ。中央が使者。右が幹部アブー・アリー。
会談は特に険悪だったようには見えないが(最後はサッバーハが書簡を後述筆記させて使者に渡す)、次回で戦闘となるので、その前
座としての場面だったもの
と思われる。使者(ハマダン総督)が引き上げた後、今度は王弟トゥトゥシュがマリクシャーの使者としてサッバーバに会いにくる。
ハマダン総督と違い、幹部
との会談→サッバーハとの会談という段階を踏まず、トゥトゥシュは直ちにサッバーハに面会している。トゥトゥシュは使者として来
たというより、内応してい る(つまりマリクシャーへの陰謀を巡らしている)ようにさえ見える。
ラスト近くで殆ど臨終の床のニザームを看病するオマルが映るが、全体としては、戦争への道を描いた回としては冗長な感じの回
だった。
第十五話
オマルと妻、夜中、天文台のある湖の辺に並んで腰かけて星を見る。流れ星が走り、「流れ星よ」と妻が指をさす。
アラムート砦では、鍛冶屋が兵器を製造し、生活用の陶器など、必需品は内部で調達できるようになっている。セルジューク朝軍が
アラムート砦へ攻めてくることは確実となり、暗殺教団の兵士達は砦内のホールに集まり勝鬨の声を上げる(左下)。
攻城兵器を持って出撃するセルジューク軍。
アラムート砦では、近隣在住の教団関係者の一般市民が続々と砦内に避難してくるのだった。教団員全員籠城することにしたのだと
思われる。
ハマダン総督はオマルが書いたルバイヤート(四行詩)の本をサッバーハに渡して引き上げるのだった。
軍事訓練に余念に無いサッバーハ軍。
夜、アラムート砦を抜け出したトゥトゥシュは夜道で暗殺教団配下の兵士に暗殺されてしまう(史実と違うケド)。サッバーハと幹部
達はマリクシャー軍迎撃作
戦を立てる。サッバーハ軍の司令官はアブー・アリー。林に隠れた一隊がマリクシャー軍をやり過ごし、丘陵地の頂に配置された兵士
が進軍するセルジューク軍
に一斉射撃を浴びせかける。続いてアブー・アリーに率いられた騎兵が襲い掛かる。夕方には大勢が決まり、セルジューク軍は退却す
る。ひとまずサッバーハ軍
の勝利となる。夜・アラムート城内は勝利の祝いで湧き上がる。兵士達は焚き火の上を飛び越えたりして勝利を祝うのだった(火の上
を飛び越えるのは、ペルシ
ア文化圏の春の祭りノウルーズとも関連しているのかも)。しかし野戦では大敗したものの、その後セルジューク軍は砦を包囲し、籠
城戦が続く。下はサッバー ハと四人の幹部。
宰相ニザームは回復したようで、自宅の居間で客を迎えている。しかしその顔色はもはや死相が漂っている。ニーサーブールのマドラ
サの中庭で、絨毯を敷いた
台に座って話をするオマル。髭に白いものが目立っている。彼は無心論者として世間の糾弾を受けたから、これは釈明の場面なのかも
知れない(裁判では無かっ た)。オマルは主張するだけして、最後は勝手に台を降りて去るのだった。
第十六話
アラムート城では攻城兵器を用いた攻撃が夜も続いていた。砦側では騎馬を用いた訓練も行われ、どうやら軍事力による勢力拡張方針
に向かっている模様。サッ
バーハが教団員のジャアファル(第十三話で教団に加わった青年)を呼び出し、短剣を与え個別に任務を与える。暗示にかけているか
のようにも見える場面。
ジャアファルには暗殺訓練が課される。標的は特別な人物のようである。その人物は誰なのか。訓練が仕上がったところで出発する
ジャアファル。
久々に宰相ニザームは宮廷に出仕する。その夜ニザームがオマルの元を訪ねる。この頃オマルは天文台に住んでいる。ニザームは咳き
込みがちで見るからに弱弱
しい。別れ際、オマルは涙ぐんでいるから、今生の別れだと思ったのかも知れない。マリク・シャーとニザーム、更に今回は王妃も含
めて、ニーザーブールに移
動している。ということは、彼らはニーサーブール以外の場所にいたことになるが、じゃあ数分前に死にそうなニザームが天文台を訪
ねているのは、イスファ
ハーンからわざわざ移動しているのか?などと疑問に思ってしまう。このドラマでよくわからないことのひとつは、ニーサーブールが
舞台な筈でありながら、
「ニーサーブールに行く・戻る」と思わしき展開が何度か見られることである。私の読解が間違っているのだとは思うけれど。右下は
駱駝の上の輿の王妃。左
は、教団員ユースフ(中央)から報告を聞くサッバーハ。どうやらターゲット(ニザーム)が移動してしまい、暗殺計画練り直しと
なったようである。サッバー ハの、しだれ柳のような輪郭はまるでイワン雷帝。奥の二人は幹部。
宮中と天文台で夜、人々が観測している。月食である。オマルと同僚の学者達は、天文台の屋上で観察している。ジャラーリー暦の正
確さが確認できお互いに仕
事の成果をねぎらい合う。一方町中では、タライや食器を打ち鳴らして「シャイターン(悪魔)の現象だ!」と騒いでいる人々がいる
一方、建物の屋根の上で静 かに観察している人々もいる。
月食の闇にまぎれて、宰相ニザームは暗殺教団に襲撃される。直接の暗殺場面は無く、人々が月食に気を取られているうちに、ニザー
ムの首が切られ、暗殺教団
の告知状が置かれているのを家臣が見つけるのだった。瀕死の状況のニザームをマリクシャーが見舞いに来る。マリク・シャーに看取
られてイスラーム史上の大
宰相ニザーム・アル・ムルクは死去した(左はニザーム暗殺の報告を受ける王妃トゥルハン・ハトゥン。その右側にいるのが侍女のオ
マル妻トゥライヤ。
第十七話
アラムート砦では攻城兵器による攻撃が続いていた。外見が似ている為マリク・シャー自ら指揮を執っていると誤解してしまった
が、後々彼は単なる将軍だと判明。ニザーム暗殺に激怒して再度出陣したのだど思われる。
セルジューク軍の将軍は交渉の使者を出す。この時の使者の会話では、カラハン朝のヤークーブ・カーディル・ハン
(1089-95年)の名前が登場していた。
天文台の一階の執務室で酒を飲んで自堕落に過ごすオマルを妻が訪ねてくる。一瞬しか映らなかったが、ルバイヤートの詩調そのも
のの退嬰的刹那的なオマル・ハイヤームのイメージそのものの場面。
奥さんはオマルを元気付けようとして、強い口調で励ますが、オマルは机の上のものを叩き落として外へ出て行ってしまう。何がそ
んなにオマルをすさませたのだろうか(普通に考えればかつての友人サッバーハがニザームを暗殺した件が大きな要因だとは思う
が)。
アラムート砦では夜間も火の玉が城内に投げ込まれ、城側では消化に追われている。
そんな時、セルジューク軍の将軍の元になにやら緊急報告がもたらされ、攻城兵器も含めて全軍撤退することになる(恐らくサッ
バーハの策謀だと思うのだが、どうしてこういう展開となったのか台詞がわからないのが残念。右下は、砦の屋上で一人祈るサッバー
ハ)。
将兵達は撤退してゆくセルジューク軍を見て”アッラー・アクバル!”と歓声を上げる。撤退は、やはりサッバーハの策謀だったよ
うで、撤退の報告を聞いたマリク・シャーは激怒するのだった。
アラムート砦は、高い山の上にあることを強調する為か、城にはいつも強風が吹いている。サッバーハは幹部のアブー・アリーに、マ
リク・シャーに向けた書簡
を筆記させる。宛名は”スルターン・マリクシャー・マリク・マルキーン・マグリブ・マシュリク”(西方と東方世界の諸王の王、ス
ルターン・マリクシャー)
となっていた。この番組でのセルジューク朝は、何とはなしに古代イラン的な印象を与えるが、この称号も古代イラン風である。これ
はどうやら、王族(?名前
はハッサン)の青年を誘拐して人質にとるテロの通告のようで、次の場面で青年が拉致されてきて砦の地下室に監禁され、次いで暗殺
教団の青年がマリク・
シャーへサッバーハの手紙を届け、マリク・シャーは激怒し、使者を逮捕する。一方人質はサッバーハの前に引き出され口論となる
が、特に前向きな展開とはな らなかったようで、その後幹部四人が人質の処遇について判決を出したところでこの回終了。
ラスト近く、マリク・シャーが悩みにふけりながら風呂に潜る場面が出てくる。これがその風呂。大理石か何かでできている模様。
潜っている人物はマリク・シャー。
第十八話
マリク・シャーの宮殿の前で、サッバーハからの使者が見せしめ磔になっている。暗殺教団に拉致された人質はアラムート城内で斬首
される。マリク・シャーは
サッバーハへの手紙を書記に口述筆記させる。下右側がその書記。画板を肩から紐でかけ、画板の右にインク壷を置き、手元は殆ど見
ずに筆記している。
その書簡は、イスマーイール・タミーミーという兵士に託されてサッバーハの元に送られる。
マリク・シャーは酒びたりとなっている。玉座の下に平服で座り込んで直接酒壷から酒をあおっている。何かすさんでしまってい
る。何で急にこんなに荒んでしまったのだろう。オマル同様ニザーム暗殺が原因だろうか。オマルは宮廷に呼び出され、ひとくさり愚
痴を聞かされる。
息子をあやすマリク・シャー。帽子が特徴的。まだ38歳だというのに髭には白髪が混じり、50歳くらいに見える。王妃が庭に出
てくると、なぜかふいと席を外して単身遠乗りに出るマリク。なにか王妃ともうまくいっていないようである。そのマリクの馬の装束
も興味深い。
サッバーハへの使者として送られたイスマーイール・タミーミー青年は、砦に到着したところで捕らえられ、サッバーハと幹部の下
に連行され、しばらく砦に滞在した後、やがて釈放される。この間に洗脳された可能性がある。
マリク・シャーは王妃トゥルハン・ハトゥンと侍女達と郊外にピクニックに出たところで、イスマイル・タミーミーに暗殺されるの
だった。享年38歳。 |