イラン製古代ローマ・キリスト教伝説映画「洞窟の男達(7人の眠り男)」

  コーランにある、「Ashaab-e Kahf」の伝説のドラマ化。原題「Mardane Angelos(Men Of Angelos)(مردان آنجلس)(Mardan-e-Anjelosの表記もある模様)」。イランのテレビドラマシリーズ。一話80分で全11話(最終話のみ45分)。ちゃ んと調べていないのですが、2007年頃の放映の筈です。

 日本語では、「7人の眠り男」の伝説として知られていて、英語では、 Seven Sleepersとか「The Companions of the Cave」とかの表記となるようです。私はこのあたりには詳しく無いので、キリスト教の伝説と、コーラン記載の伝説との相違などはわからないのですが、キ リスト教伝説の方は、こちらの「7人の睡眠者の洞窟」に よると、ローマ皇帝デキウス帝(在249-251年)のキリスト教徒弾圧を避けて、トルコのエフェソス近郊の洞窟で眠り込んだ七 人のキリスト教徒が、テオ ドシウス(在408-450年)時代に目覚めるという話です。トルコのエフェソスでは問題の洞窟とされる場所は観光地となってい たと思います。一方、コー ラン記載の伝説の方は、場所も時代もはっきりせず、キリスト教とコーランで一致しているのはテオドシウス時代に目覚めた点だけ で、眠りに入ったのはトラヤ ヌス時代などの説があり、場所も、エフェソス以外にスペイン、シリア、イエメン、ヨルダンなど様々な説があるようです(こちらのサイトに詳細が記載されています)。

  本作は、ハトリアヌス(在116-138年)時代の、フィラデルフィア(現トルコのアラシェヒル)が舞台となっていて、眠りから 覚めるのはテオドシウス時 代のようです。なぜデキウス帝時代の話がハドリアヌス時代となっているのか、理由はわからないのですが、ひょっとしたら皇帝を登 場させて番組を盛り上げる 為なのかも。デキウス帝がエフェソスやフィラデルフィアに行ったのかどうかは定かではなくても、ハドリアヌスなら、エフェソスは 訪れているし、フィラデル フィアを通過していてもおかしくは無いので、ハドリアヌス時代という設定にしたのかも。

 7月27日は、エフェソスの7人の眠り男の日なのだそうです。

 本作は、なんとなく見出したら止まらなくなり、結局全部見てしまいました。何故か毎晩見たくなる映像なんですよね。毎晩寝る前 に40分ずづ、約3週間かけて見終わったのですが、前回の記事で少し触れたホラー映画同様、疲れ ている時にぼーっと見るのにちょうどいい内容なのでした。なんというか、外国を旅行している気分になる映像なんです。ペルシア語 はわからないので、神経に 障らないし、好きなローマ時代の景色をぼーっと見眺めているだけ、という気分。リラックスできる映像なのは他にも理由があって、 登場人物の話し方がほとん どみな柔らかいんですよね。皆朴訥とした話方というか、とても心地よく響くのです。例外はフィラデルフィア総督のディオクレティ アヌスくらい。彼は結構喚 いてました。なので40分も見ているとちょうど良く眠くなってきて、寝る前の癒し効果というか、そんな感じ。しかも大筋は最初か らわかっているし、ストー リー展開も、あまり複雑ではないようなので、まじめに見ると退屈なのかも知れませんが、言葉のわからない異国の世界を旅している 感覚も味わえる、不思議な 映像でした。町の映像も、だいたい同じ箇所ばかり登場するのですが、これも、普通の映画だと手抜きのように思えても、本作の場合 は、だんだんとフィラデル フィアの町に詳しくなっていくような感覚があり、物語に取り込まれていく感じになったのでした。

 あと、音楽も良かったと思います。衝撃的な場面とか、哀しい場面では毎回同じ曲がかかり、曲数は多くは無いと思うのですが、そ れが煩く無く、癒してくれる感じ。あと、主人公が美男でないのもよかったかも。ヒロイン(主人公の奥さん)は美人なのですが、イ ランドラマということで、髪を完全に隠している修道女姿なので、あまり魅力的に見えない。美男美女って視覚的に神経を刺激するも のなので、それが無かったのも、本作が徹頭徹尾、穏やかな印象を与えたのだと思います。

 以下あらすじ(といってもペルシャ語がわからないので、画面から判断した概要です)と画像です。一応各話ごとにあらすじと画面 ショットを取っています。


第一話
 ハドリアヌス帝時代のフィラデルフィアの町。キリスト教徒が、一人、広場で火炙りの刑にされる。主人公のマクシミアヌス(フィ ラデルフィアの総督に次ぐ地位にある模様)が通りかがリ、助けようとするが、適わない。下記はフィラデルフィアの町。

 この町の俯瞰映像は何度も登場しますが、映像は単なる書割ではなく、よく見ると、町中を人々が行き来するのが見えるという凝っ た映像。
 総督の名はディオクレティアヌスという人物。マクシミアヌスも宮廷に出仕する場面もあるが、殆ど自宅にいたり、町中を輿で回っ たりしていて、一見職業がわからない。下記はフィラデルフィアの政庁。

 こちらはフィラデルフィアの町。結構凝ったセット。イラン製ドラマなのに、ちゃんとローマ映画となっています。

 下記はディオクレティアヌスと、その立派な玉座。最初はあまりに偉そうなので皇帝かと思ってしまった。

 第一話の終盤でマクシミアヌスの知人夫妻が処刑される。どうやらキリスト教徒だったようである。夫は斬首。婦人は火炙り。その 婦人とマクシミアヌス夫人のヘレナが知り合いのようで、夫に泣きつく夫人。説教している男(キリスト教指導者)が登場して終わ る。

第二話
  マクシミリアンは、市場でやたらと奴隷に鞭打っている役人を見かけて注意するが、役人に剣を抜かれ、戦いとなってしまう。そして 油断した隙に刺されてしま う。ディオクレティアヌスの宮廷では、ユダヤ人司祭と思われる人々が会話していて、ユダヤ人とローマ政府の関係が深いことがわか る。地下で活動しているキ リスト教徒たちは、第一話で火炙りになった人の遺体を夜、ローマ兵の護衛を襲い回収する。しかし、ユダヤ人による密告によりキリ スト教徒の一斉摘発が行わ れる。マクシミリアヌス邸に入ってゆく男をつけるユダヤ風の男。マクシミリアンは、キリスト教徒や奴隷に同情しているのであっ て、キリスト教徒では無いよ うに思えるのですが(その証拠に、キリスト教徒の集会に参加していないし、個人的に礼拝もせず、「アーメン」という言葉も口にし ない)、キリスト教徒側に 立つ行動をとっているのでした。

第三話
 マクシミリアンの妻のヘレナと、ディオクレティアヌスの妻が庭園で会話している。一方、 市内では、またも連行されるキリスト教徒達。ディオクレティアヌスの元に抗議にゆくマクシミアヌスとその一派の2人の兵。広場で は、ローマ神像が設置され ている。設置する器械が見もの。水車のような回転式の器械を人力で回してクレーンを動かす仕組み。

 剣闘士の練習を見るマクシミアヌス(普通はマクシミアンとしか聞こえないが、ディオが、「マクシミリアーヌス」と嫌味っぽく発 音したことがあり、マクシミアヌスが正式名称だと思われる)。剣闘士の競技場と試合も結構しっかり古代ローマしています。

  マクシミアヌス婦人ヘレナが通りで連行されるキリスト教徒を見て、家に帰ると、密談中の夫たち。岩山へ一人むかうマクシミアヌ ス。それをつける男。洞窟の 中で祈るマクシミアヌス。十字架が無いので、正式に改宗したわけではなさそうだが、キリスト教の神に祈っているのかも知れない、 と思わせる場面。追跡者は その声を聞く。追跡者が町に戻ってきたところで、ローマ将校が金を与えて聞き出することを条件に場所まで案内させる。実はこの ローマ将校はマクシミリアン の一派で、森の中にあるマクシミリアン達の利用している隠れ家へつれてゆき、追跡者を処分するのだった。ところが、今度は偶然洞 窟のそばを通りがかった羊 飼いがマクシミアヌスの祈りを聞いてしまうのだった。
 マクシミアヌスとは別に、洞窟の礼拝堂で説教者とそれを聞く多くのキリスト人々。

第四話
  信徒の洞窟崇拝場を急襲するローマ軍。連行されるキリスト教徒の人々。彼らは拷問にあう。一方、フィラデルフィア市では、公式行 事としてユピテル神への儀 式が行われ、総督のデォクレティアヌスも出席。総督のところに連れて行かれるキリスト教指導者アントニオース(若干イエスに似て いる)。夜、郊外で三人の キリスト教徒代表者アントニオース含む)が十字架に磔にされる(といっても、完全に処刑されるわけではなく、十字架に両手の手の ひらを釘で打ち付けられ、 数日さらし者にされるだけで、刺し殺されたわけではない)。雷と雨がやってくる。翌朝、磔になったキリスト教徒の前をユダヤ人の 団体が馬車で通りがかり、 石を投げつける。見張りのローマ兵士は、最初は止めるが、買収される。そこに洞窟の祈りから出てきたマクシミリアンが通りがか る。覆面をして襲い掛かるマ クシミアヌス。アントニオはマクシミアヌスの知り合いで、町で開業している陶芸工人だった。

 宮廷では、珍しく武装して剣の練習をしているディオクレティアヌス。そこにマクシミアヌスがやってがくる。おそらくキリスト教 徒弾圧政策について異論を口にしたものと思われる。その頃、マクシミアヌス派のローマ人将校達が森の隠れ家で密談していた。

第五話
  珍しく自宅で軍装姿のマクシミアヌス。フィラデルフィア政庁ではディオクレティアヌス始め、軍人・ユダヤ人などが集まり会議して いる。そして一向は隊列を 組んで出陣。町の門を出てゆくローマ軍。どういうことかと思っていたら、皇帝ハドリアヌス夫妻を出迎えに出たのだった。そして、 ディオクレティアヌスやマ クシミアヌスが先頭に立って隊列を組む中、ハドリアヌスと皇后がそれぞれ輿に乗り、フィラデルフィア市内に入場する。門を入った ところから、道路の両側の 観衆に歓呼で迎えられる皇帝夫妻。
 広場の兵士と民衆に手を振って答えるハドリアヌス。左端が出迎えるディオクレティアヌス。右が皇后。

 広場とその周辺が満場の民衆であふれかえる映像は、なかなか迫力がありました。イラン、やるじゃん、という感じ(ローマ帝国 は、ペルシア語でザミーン・インペラトゥーリーエ・ルームということをこの場面で初めて知りました)。

 夜、ローマの彫像が多数置かれている建物に侵入し、彫像をを破壊しまくるローマ兵士二人(多分マクシミアヌス一派)。
 鹿狩りに出るハドリアヌス。それを矢で狙う暗殺者。しかし皇帝が鹿を射ろうと動いてしまった為、矢はあたらず暗殺は失敗する。 暗殺者はローマ兵一人を殺して逃亡。

  皇帝が政庁で歓迎会を受ける。その席でディオクレティアヌスは、重要人物を次々に皇帝に紹介するのだが、紹介されたマクシミリア ヌスは、皇帝に挨拶するの ではなく、何かを訴える。おそらくキリスト教徒の問題だと思われる。歓迎会は剣呑な雰囲気になるが、マクシミアヌスに更に、マク シミアヌス一派の5名の将 校が加わる。皇帝は取りあえず寛大な感じで意見を聞くところで終わる。

第六話
 ところが、やはり段々皇帝も皇后も気分を害してき て、ハドリアヌス夫妻は退場してしまう。逮捕されるマクシミシアヌス一派。逮捕を知ったヘレナ婦人が政庁に向かう。ハドリアヌ ス、ディオクレティアヌスと 側近、皇后サビーナが今後の措置について相談している一方、6人は拷問される。ヘレナがディオクレティアヌスの妻にとりなしを願 う。そこにディオクレティ アヌスがやってきて、ヘレナを拷問しているところにつれてゆく(ヘレン婦人は「バーヌー・ヘレン」というのですね。またひとつペ ルシア語を覚えました)。

  第一話でのキリスト教徒火あぶりの刑で、宣告状を読み上げていた兵士は、陶芸工人アントーニオの磔刑の時にもいた男だったのだ が、6人を牢獄に訪ね、なぜ 馬鹿なことをしたんだ、と問う。マクシミアヌスの話を聞いてあきれ返った様子で牢獄を出るが、牢獄を出た直後、過去のさまざまな 情景(火あぶり、アントー ニオの磔など)を思い出し、悩み始めるのだった。そして門番をどこかに行かせ、牢獄に入り、六人の縄を解くのであった。彼の名は フィディアスということも ここで判明する。しかし、6人を逃がすところを別の将校に見つかり、彼とフィディアスは戦うことになり、そして敗れて死んでしま うのだった。

  六人は、逃げ込んだ屋敷の書棚の裏に作られている秘密の出入り口から脱出する。この書棚は移動式で、ずらすと、裏の壁に石の扉が あり、そこから地下道に入 れるのだた。脱走した六人の捜索は町中に広まり、ついに兵士たちが、六人が逃げ込んだ家を調べにきて、秘密のドアがばれてしま う。地下道の追跡が始まる。 しかし、六人は城壁手前の出口へ出て、城壁を越えて逃げ延びる。そして郊外にあるアントニーオの家に逃げ込んだところで終わる。

第七話

  アントニーオス含め、七人は、フィアデルフィア市郊外の、岩山の中腹にある洞窟に入る。アントオースが飼っている犬もついてく る。捜索を続けるローマ兵。 森の中の、六人が利用していた隠れ家は摘発される。ディオクレティアヌスに政庁に呼び出され質問されるヘレネ。ヘレネが帰宅した 後、ハドリアヌスが政庁に 登場。しかしこの後ハドリアヌスは出てこなくなるので、この後フィラデルフィアを去ったようである。洞窟の中の六人は急に眠くな る。そのまま寝てしまう。

 市民から情報を提供させたディオクレティアヌスとローマ軍が、奥さんたち、衆人監視の中、ローマ軍が洞窟を襲撃するが、爆発が 起こって入れない。2度突入して二度とも爆発が起こり、兵士たちは飛び出してくる。下記がその洞窟。

  ついにディオクレティアヌスは自分で洞窟に入るが、激しい光とともに神の声を聞き、恐れて洞窟から逃げ出す。そして洞窟を封印す るのだった。岩とコンクリ で封印された洞窟の上には、下記のような石版が掲げられる。恐らく、罪人が封じ込められており、開けたものは厳罰に処す、とでも 書いてあるのだろう。


第八話。
  マクシミアヌスの友人やキリスト教徒数名が夜陰に乗じて洞窟を襲撃する。洞窟の前にいたローマ兵士と戦いになるが、生き残った一 人が火矢を放ち、山の麓で キャンプを張って見張りをしていたローマ軍に知られてしまい、襲撃は失敗する。その襲撃には、ローマ軍兵士も一人加わっていた。 襲撃失敗後、仲間の家に 戻った時に、その兵士(名はペトルスといい、剣闘士の教育担当者をしている)が、仲間に過去を語る。今は剣闘士の指導者だが、そ の昔は剣闘士であり、剣闘 士試合で勝ったものの、相手にとどめを刺すのを放棄した時、観戦していたマクシミアヌスに弁護され、マクシミアヌスに恩義を感じ ている、ということのよう である。

 ヘレネはディオクレティアヌスに、洞窟開封の許可を求めに行く。恐らく、既に餓死していると考えたのか、ディオクレティアヌス は許可する。そして襲撃した時のメンバーが洞窟を空けて侵入するが、やはり爆発が起こり、どうしても中に入れずに終わる。

 一方、ユリウス将軍は、ヘレネに結婚を申し込むが、ヘレネは断る。下記はヘレネとマクシミアヌスの家の書庫。家人が本を開いて 読んでいる場面。

 2世紀は、冊子本が出始めた時代。この冊子本がどれだけ史実に忠実かは不明だが、表紙が木でできていて、扱いづらそうな感じが 良く出ていた。

 キリスト教徒の洞窟の会合にヘレネも出席している。アーメンで終わる(アラーという言葉は出てこない)。
  ヘレナにしつこく言い寄るユリウス将軍。ついに、見かねたヘレネ家の奴隷頭のガルスは、ペトルスを口説いてユリウスを暗殺させる のだった。ペトルスは町中 で、得意の槍で一撃の元にユリウス暗殺に成功するが、自身もローマ兵に切られて死んでしまうのだった。ガルスは目の前でペトルス が死ぬところを見ていたの だが、当然ながらヘレネに害が及ぶことを避ける為、黙って立ち去るのだった。

 ハドリヤヌース死去の報が伝わる。新皇帝にはアントニウースとマルクス・アウレリーウスがついたとの知らせが来る。アントニ ウースは慈悲深い皇帝なので、これでキリスト教徒政策も変わるかも知れない、と明るい雰囲気が町によぎる。

 せっかくユリウスがいなくなったというのに、ヘレナは体を壊して死去してしまう。そして洞窟のある山の麓に埋められるのだっ た。下記は葬儀に集まった人々。


第九話

 冒頭のナレーションでコンスタンティーンの名が出ているので、月日が経ち、キリスト教が公認された史実を述べていると思われ る。
 フィラデルフィアの町には教会ができている。司教二人が洞窟のある山にゆく。皇帝は、コンスタンティノープルのインペラトー ル・テオドールと呼ばれており、テオドシウス二世(在408-450年)のことだと思われる。
 フィラデルフィア総督の名はわからなかったが、彼の持つ王錫の頭には十字架がついている。ローマ兵士の軍装も300年前とは変 わっている。

 政庁前の広場の中央には噴水ができ、町の城門の前にも高い杉の木が生えていて、城門の上部の形状も少し変わっている。城門を 入ったところの市街の建物はまったく異なっている。

 そして、洞窟の七人(と一匹)についに起床の時が来る。下記は起きて伸びをする七人。

 最初にアントニオースが家にいくが、彼の家は完全な廃墟になっている。驚いて洞窟に戻るアントニオース。

  続いてマキシミアヌスが町にゆく。町の城門に十字架がついていて驚くマクシミアヌス。ここはどこか?と道行く人に尋ね、フィラデ ルフィアと答えられる。教 会や、道路脇にある子供のイエスを抱くマリア像をみて何度も驚くマキシミアヌス。取りあえず仲間の為にパンを買って戻ろうと、パ ン屋でパンを買い、銀貨を 一枚渡す。下記が支払うところ。

  見慣れない貨幣に店員はいぶかり、そのうちそれは、ハドリアヌース・アントニアーヌースのコインだと気づく。会話の内容はわから なかったが、ハドリアヌス 時代の銀貨の方が純度が高い筈なので、恐らくそれを指摘したのだろう、店員が去ろうとするマクシミアヌスを追いかける。しかしマ クシミアヌスは手荒く振り ほどく。すると、店員は町ゆく人々に呼びかけ、人々に囲まれて立ち往生することになるのだった。騒ぎを見つけた役人がやってき て、マクシミアヌスは政庁に 連行されることになるのだった。

第十話

 マクシミアヌスは政庁で役人に調べられるが、結局牢に入れられてしまう。鞭打ち もされる。マクシミアヌスを待つ洞窟の六人は、やがて入り口の風化した石板に気づく。実は第一話くらいから、何度も登場している のだが(ここで伏線だった とわかる)、マクシミアヌスの家には、彼の肖像画があり、現在もまだ、彼の家も、肖像画もそのまま残っているのだった。その肖像 画を何度も見ていた司教 が、連行されたマクシミリアヌスを見て、元のマクシミアヌスの家の肖像画を見に行き、伝説の男だと気づく。司教のとりなしで、一 応罪人扱いから解放され、 司教と町を見て歩くことを許される。マクシミアヌスは、自宅の前で馬車を止めてもらう。すると、そこにはヘレンとうり二つの女性 が住んでいた。元自宅は外 壁に蔓草が茂っているものの、当時のままに残っていた。女性はマリーという。マクシミアヌスは、その家の者しか知らない書棚の裏 の抜け道を示し、更に、地 下通路の奥にある秘密の壁のドアの中から、ヘレナの肖像画を持ち出してきて司教や、マリーとその家族に見せるのだった。

 マクシミアヌスは政庁に戻り、総督や司教の元に、昔の罪人名簿(銅版。紙だと残らなかったと思われる。芸が細かい)を持った役 人がやってくる。そして、マクシミアヌスに六人の名を口にさせる。

イェバニス スディアヌス  デナシウス  テルミハ マルティヌス  アントニオス

 名簿を見ていた役人は、マクシミアヌスが口にした六人と名簿の名前が一致することを確認する。こうして、マクシミアヌスにとっ ても、この時代の人々にとっても、信じがたい出来事が起こっていることが認識されたのだった。
翌 朝、早朝、ヘレンの墓に案内されるマクシミアヌス。その後、洞窟の皆のところに行く。司教とマリーも一緒に来ていて、当初、六人 は口々に「やあ、ヘレン」 などと言う。事態を理解しているマリーは苦笑するばかり。マクシミアヌスは、六人を洞窟の中に誘って、事態を説明するのだった。 六人の中には、家族に会え なくなったことに咽び泣くものもいる。

第十一話

 一方、フィラデルフィアでは、政庁、軍、市民総出で、洞窟の七人を迎えるべく、総督と司教を先頭に大行列が組まれ、洞窟の山に 向かう。下記は洞窟の麓に集まった大群衆。ほぼ市民総出だと思われる。

  市民に向かってマクシミアヌスが演説し、市民の質問に、他の六人が答えたりする。こうして、七人は市民に受け入れられるのだっ た。ところが、一応市民と の”会談”を終えた七人が洞窟に戻ってしばらくすると、洞窟の外にいた、アントニオースの犬が、ばたりと倒れてしまう。その音に 気づいた司教とマリーが犬 のところにゆくと、犬は死んでいた。驚いて洞窟に入る司教とマリーが見たものは、神に祈る姿で頭を下げて跪いた姿勢でなくなって いる七人の姿だっ た。。。。。。


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