2011/June/07 created
2010年エジプト製作歴史ドラマ「クレオパトラ」

   エジプトのテレビ番組製作局Arab Screen Production Companyが2010年に製作したテレビドラマシリーズです。一話約40分。全30話。主役のSolaf Fawakherjyさんはシリアの女優さんで、ロケ地の多くはシリアの古代遺跡が利用されています。エジプトの映画やテレビ番組には詳しく無いのです が、現在のエジプトテレビ映像の水準や規制度などを知る参考にもなり、結構楽しめました。映像については、冒頭のオープニングに 特徴が良く出ているため、 最初にオープニングやアレキサンドリアの映像画面ショットを掲載し、その後、各話を画面ショットとともに紹介したいと思います (相当だらだら書いてます。 長いです)。

 最初の映像は、Arab Screenのトレードマーク。番組の冒頭で毎回出てきます。

  次の2つはアレキサンドリア(番組中の名称はイスカンダリーア)の空撮3DCG。現在トルコで放映中の「壮麗なる世紀」に出てく る聖ソフィヤや、トプカプ 宮殿、カイロのショットは、殆ど静止画に近く、視点の移動が殆ど無いのですが、「壮麗なる・・・・」と比べると、結構な移動が見 られ、よりリアルな印象を 与えています。

 こちらはギリシア式劇場。パルミュラ遺跡だと思われます。

 ギリシア式神殿。これはパルミュラ遺跡で確定。

 軍隊が激突する瞬間。

 ローマ元老院

 夜のアレキサンドリア。ファロスの灯台が見えています。なぜかアラビア語のクレジットの中に一部ローマ字が登場しています。

下記は、オープニングの映像ではなく、番組中に登場するローマ。紀元前なのにコロッセウムが見えているのがご愛嬌。これが無いと ローマという気がしないのもまあ、わかります。

 下記はアレキサンドリア


海辺の宮殿。この画像は頻繁に登場する(夜の場面もある)。この宮殿から見た美しい海の景色も頻繁に登場する。

 続いて登場人物の画像紹介です。エジプトとシリア人がどのようにローマ人やギリシア人との混血プトレマイオス家の人々を演じて いるのかに興味があるので掲載しました。
 下記はクレオパトラの父、プトレマイオス12世。

 主人公クレオパトラ(以下タイピングが面倒なのでクレオ)。だいたいこういう印象ですが、

たまには左下のような表情を見せます。

 右下は妹のアルシノエ。

 左下はクレオと共同統治のプトレマイオス13世。このショットは年長のクレオに主導権を握られ、幼い頃から拗ねた感じの表情が 定着してしまった13世の特徴が良く出ています。

 ポンペイユス(番組中はポンペイ)

 カエサル。いつもこんな邪な表情ではないのですが、これがもっとも特徴が出ている感じ。

 オクタヴィアヌス(左下)とアグリッパ(右下)。イメージが違うなぁ。。。アグリッパはオクタヴィアヌスより年長との説もある らしいのですが、それにしても老人過ぎ。哲学者という感じ。納得できるアグリッパの配役に出会ったことがありません。


 これ以外にもデメトリウスやプルタルコスという臣下や、宗教家・商人・社会運動家など主要登場人物がいるのですが、名前が良く わからない人もある為、省きます。

  以下、各話の概要です。全30話中6話分未見の回があり、かつ、アラビア語なので、会話は名前と地名以外全然わからなかったので すが、、大よその流れは把 握できていると思います。見て一つ思ったのは、第一話の年代が何年かわからなかったのですが、どうやら、ほぼクレオパトラの人生 全部を描いているようなの で、最初の方の回は子役にしても良かったのではないかと思いました。クレオパトラ映画というと、ポンペイウス死亡以降のものがほ ぼ全部ではないかと思うの ですが、本作はほぼ全生涯を描いているようです。

 第一話
   笛を吹いている父王に赤頭巾姿のクレオが話しかけるところから始まる。宴会に明け暮れ飲んだ暮れの王。酔っていなければ笛を吹いている。ローマからの使者 が来た時さえ、謁見直前まで笛を吹いていた。

 何度もやってくるローマの使者に対して、ポンペイとカエサルの対立を利用してうまく事態を切り抜けるようとするが、うまくいか ないようである。ローマの方が二枚も三枚の上手な感じ。クレオは侍女(か妹のアルシノエ)と結構自由に市内を歩き回っている。

 第二話
  アレキサンドリアの歴史を教師から教ったり、ハープを弾いたり、才能を磨くクレオの様子が描かれる。市場を見て回ったりして、市 井にも詳しくなる。市場の 商人がクレオに向かってローマとかダマスクスとか言っているので、輸入場所をアピールしているのだろう。その後どういうわけか染 物屋に出入りするように なってしまう。町で、兵士に護送される男に陳情され、その後、男を牢獄に訪ね、更に男が釈放された後、彼の染物屋(と思われると ころ。間違いかも知れな い。が、以下彼を染物屋、と呼ぶ)のガーリィを訪問するようになってしまい、訪問しても男がいないときには、染糸に頬ずりしたり している。なんだろう。恋 かしら。

 第三話
 遂にローマから使者が小隊を率いて到着する。王と長い交渉をするが決裂し、使者とローマ軍小隊は引き上げるこ とになる。港に向かう途中で、道の両側を埋める市民から、「ローマへ帰れ!」というようなシュプレヒコールを浴びる。その夜はま た王宮で宴会である。とこ ろが、王は途中で音楽を止めさせ、演説を始める。こうしたところを見ている限りでは馬鹿王には見えないのだが、しゃべっている内 容はひょっとしたら、どう しようも無い内容なのかも知れない。途中で側室の女が、懐妊を申し出る。ところが王は、その側室を目隠し、自分をあてさせるゲー ムをやらせる。そうして、 臣下を間違って選んでしまった側室を満座の前で絞め殺してしまうのである。何か事情があるのかも知れないが、少し異常さを感じさ せる王である。

 第四話
  市内で食糧倉庫を襲う暴動発生。首謀者を処刑するとともに、王は宝石箱を開けて、黄金細工を手に酔っ払ってうふふと笑うなど、結 構末期的な感じである。御 曹司として大企業を引き継いだが、まったくその器ではなかった為の悲劇という風情。一方、クレオは気楽に舟遊びなどを楽しんでい て危機感は無い。そして舟 遊びをしている時に、水の中から染物屋の青年が突然あらわれ、クレオに花束と木の札を渡す。嬉しそうなクレオ。第二話から怪しい と思っていたが、やっぱそ うだったのか。。。。

 第五話
 ローマ元老院。カエサルもポンペイも王冠をしている。

   クレオは舟遊びの最中。染物屋からもらった木の札のペンダントかお守りのようなものを首にかけたりしている。海を見ながら友人 にぼやく染物屋。アラビア 語はまるでわからないが、どう考えても恋人を思って友人にどうでもいい相槌を打っているところである。とはいえ、時折ローマとか 言葉が出てくるので、政治 情勢についても語っているようである。場面は船上のクレオに戻る。札だと思っていたのは、皮を折りたたんだものだった。何が書い てあるのか知らないが、そ れを開いてみて幸せそうに口付けするクレオ。しかし青年は、以前クレオからもらったケープを海に流す。政治活動に身を投じること に決めたのかも知れない。 以下は王宮に戻った、いかにもクレオパトラなクレオ。

  名前が発音されれないので誰だかわからないが、ベレニケと思われる女性が夜、臣下の一人と密談している場面が出てくる。どう見て も陰謀談義であるが、臣下 の方が強気で女性の方は「そこまでしなくても」みたいな表情を見せている。ローマでは、ポンペイユスとカエサルは執政官になった ようである。ギリシア式の 劇場で何故か剣闘士試合が開催される。観客席にはクレオもいるのでこれはアレキサンドリアということがわかる。しかし、試合の主 催はカエサルである。いつ の間にエジプトに来たのだろうか(恐らく冒頭の元老院の場面は、カエサルの派遣を巡ってのものだったのかも知れない)。敗北した 剣闘士の首が切られる場面 で思わず目を背けるクレオ。この劇場は間違いなく、パルミュラ遺跡の劇場をそのまま利用している。原型を留めている遺跡があると 撮影は楽だろうなぁ。。こ の回は見所が多く、クレオが観客席から遠目にカエサルを初めてみる場面と、海辺に一人立ち尽くすアントニオを初めて見る場面があ る。下記、その戦う男の悲 哀の背中を見せるアントニオ。暑苦しい映像が多かった中東映画も、洗練されてきたなぁ、と感じた場面。

 そしてカエサルとプトレマイオス12世王との会談となる。この時もカエサルも王冠と紫衣。どうみても国王然。

 第六話
  囚人として民衆の中を引きずりまわされる夢を見て飛び起きるクレオ。カエサルはローマに戻ったようで、ポンペイと会談している。 二人とも常に冠をつけてい るのがかなりな違和感。エジプト王でさえ殆ど王冠をしていないというのに。続いて元老院ではポンペイの提案が可決され、憮然とす るカエサル一派。一方、ク レオを呪う儀式をしているベレニケと思われる女性。自室の窓から海を眺めるクレオ。地中海は本当に美しい。

 クレオへの陰謀は、とうとう毒殺を行うことになったようである。一方クレオは、染物屋を尋ねるが、盲目の黒人の友人レオしかお らず、レオとしばらく歓談 する。「名前は?」と聞かれ、「ク・レ・オ・パ・ト・ラ」と答えるところなど、茶目っ気演出。この回の最後も、戻ってきた染物屋 を後ろから驚かしたところ で終わる。ニヤケ顔のクレオ。

 第七話
 夜、砂浜で焚き火をしながら、いいムードの二人。キスに行きそうになるが、寸前で焚き火の煙でクレオが咳き込んでしまう。エジ プト映画ではまだキスはご法度なのだろうか。王宮まで送ってもらいご機嫌で帰還するクレオ。
 場面は変わり、ある海辺の王城にローマの軍船が多数押しかけていた。国王(下記)は自決する。侵攻してきたローマ軍の中に、ガ ビニウスがおり、彼と部下の兵士たちが王の自殺を確認した後、後継者と思われる(恐らく国王への反乱をローマ軍が支援したと思わ れる)男も殺す。

 この、ギリシア系と思われる王とその国がどの国で誰なのかわからず悔しい。一方のクレオ。海岸でガーリィとピクニックをしてい ると、ガーリィが突然海に 入り、そもまま水平線まで泳いで去ってしまう夢を見、飛び起きてガーリィのもとを訪ねて当り散らすのだった。夢だってのに。世の 中の世情(街中では反ロー マ集会が行われ、王宮にデモ隊が押しかけたりしている)と関係なく青春している感じのクレオである。しかし、そのクレオも、父が 政務室で臣下と深刻な話題 に疲れ果てているのを柱の影から見て、心を痛めたりしているのだった。下記は王宮に向かう長蛇のデモ隊。

クレオの部屋にヘビが忍び込んで来たところで終わる。

 第八話
  蛇に気づいて悲鳴を上げるクレオ。ところが護衛が駆けつける前に蛇の首をつかみ、胴体を肩にかけてペット扱いするのであった。気 持ち悪いんですけど。。。 よく見ると胴体直系15cmくらいあるし。護衛が蛇を受け取り出てゆく。これ、ベレニケ(と思われる)一派が仕組んだんじゃない かなぁ。その後湯浴みをす るクレオ。この女優さん、エリザベス・テーターに似ているように見えたり、下記のように、アンジェリーナ・ジョリーに似ているよ うに見えたり、顔つきが結 構変わる不思議な方です。

  一方、ベレニケと深夜に陰謀相談していると思われる男が、エミリオスと言う男と密会し、資金を渡している。このエミリオスは、後 にポンペイユスを刺し殺す アエミリオスと同一人物なのではないだろうか?しかも、反ローマデモを煽っていた男にも似ている。すると、民衆デモは王宮内の権 力争いが関わっているのか も。王宮では深夜になってもデモ隊がデモを続け、執務室で空しく笛を吹いている国王。完全に逃避してますね。。。。
 毒蛇の陰謀解明が行われ、侍 女があっさり口を割る。直後、その首を折る臣下。そしてベレニケ(と思われる)に会いに行く。ベレニケ(仮)はクレオを相当罵っ ていた。その後どういうわ けか、クレオは郊外の軍営に馬で赴き(乗馬はこの場面が初めてだと思う)、そこに縛られているガーリィがいる。彼が捉えられる場 面は無かったように思う が、恐らく推測通り、政治運動に参加していたのだろう。意気消沈して王宮に戻るクレオ。そして、恐らく反政府デモは成功したので あろう。深夜歩いて王宮を 退去する国王とクレオ、お付の人々。そして翌日王座に座ったのはこの人。

 あたった。やっぱこいつがベレニケだったか。これでこの年が前58年だということもわかりました(するとクレオは11歳な筈な ので大分勘定が合わないけ ど。。。)。ところで、クーデターは成功したため、ガーリィはは釈放となった。しかしこのベレニケ、今まで夜にあっていた、クー デタに協力した臣下と、今 度は昼とはいえ、やっぱり隠れて会っているのだった。なんなんだ。今回は、クレオパトラと国王一座がローマに亡命したところで終 わり。

 第九話
  なんだか段々悪党面になってゆくガーリィ。クレオのローマでの日々が映されているが、パルミュラ遺跡そのまんま。ほぼ完全な建築 物もあるとはいえ、少しは CGで「修理」したらどうなんだ。せっかくここまで洗練された映像なんだから、1960年代のSS映画なことはしなくてもいいん じゃないか。ローマで王家 を受け入れたのはポンペイユス。クレオの案内役のポンペイユスの息子(ケイウスという名なので、恐らく架空の人物)といい感じな クレオ。一方べレニケは、 結婚式を挙げている。相手が杯を取り落としたりして不吉な式となる。その相手の装束が、第七話で自殺した王と同じなので、ひょっ としたらセレウコス朝の王 子かも知れない。ベレニケ正式即位。右が旦那。

 そして、アレキサンドリアではガーヴィがついに殺人を犯し罪人に傲慢に振舞う悪党看守にになってしまう一方、ローマではポンペ イユスの息子と青春しているクレオ。

 第十話
 深夜、ベッドの隣に夫がいないことに気づき、外へ出ると、侍女を手篭めにしている夫を発見。石で夫を撃ち殺すベレニケ。鬼気迫 るものがあった(しかしそのベレニケにも愛人がいるのであった)。

 この回は、ローマ元老院での議論(ポンペイ派とカエサル派の対立が延々と続く)と、プトレマイオス12世とローマの政治家の会 談場面が多かった。ベレニ ケと共謀してきた臣下が新たな陰謀で刺殺される。そしてローマからの使者が読み上げる手紙にベレニケが愕然とするところで終わ る。恐らくプトレマイオス 13世をエジプトに戻す、という元老院決定だと思われる。同時にガーリィが役人全員薬で眠らせ、奴隷全員を脱出させる。これまで のはどうやら役人を信用さ せる為の芝居だったらしい。元の善人顔に戻っているガーリィ。

 第十一話
 この回で気づいたが、ベレニケはベレニース、と英語発 音なのだった。場面は変わって軍服姿で、森で兵士を徴発検査するクレオ。更にアントニオも軍を率いてクレオの軍に合流している。 初めてクレオと言葉を交わ し、軍装のクレオに跪くアントニオ。父親はどこだかわからない部屋でローマの幹部と会話ばかりしていて、軍を率いているのはクレ オな感じである(少なくと もこの時までは。この後、本格的な進軍になって父王は軍装で戦線に出ている)

  本格的な戦闘開始となるが、この時、ローマ軍側は亀甲陣をしき、矢を盾で防ぐのだが、盾の内側から撮影したのは初めてみた。そし て、皆と同じように盾をか ざして矢を防いでいる隊長と思わしき兵士が笛を吹き、陣形の組みなおしを合図するのである。映像でないとわかりにくいので画面 ショットは撮らなかったが、 この場面は他の古代ローマ映画で見た記憶が無く興味深かった。エキストラが少ないからであろう、戦闘場面はアップの場面が多く、 カットも早回しなのでこれ も画面ショットを取るのは難しかったが、恐らく少人数と数頭の馬の割には上手く撮れていた。戦闘での敗北が王宮に届くと、兵士や 役人が次々に脱出を図る。 一人必死で食い止めようとするベレニケが哀れだった。というか、この演出はちょっと可哀想過ぎないか。


 王座に座り、復位した王。ベレニケと愛人を処刑するのだった。

 第十二話
  これで完全にエジプトはローマに牛耳られることになってしまった。復位はしたものの、ローマ人が王宮を占拠し、もはや傀儡政権で ある。更にアレキサンドリ アの民衆に文字通り豆まきのように金をばら撒くローマ軍。アントニオといい感じ会話するクレオ。なんか、アントニオと結ばれる伏 線な感じ。そうなるとカエ サルとどうして結婚したのか、ということになるわけだが。。。。結局そういう傾国美女だということか。で、国王はまた宴会の日々 に戻ってしまう。この後、 村で行われている侍女(?)か誰かの結婚式をお忍びでクレオが見に来る。続いて反政府運動をしていたエミリオスとガーリィが逮捕 されるが、どうやらガー リィはクレオの手配で(多分)追放処分にされたようである。

 第十三話
この回では、始めの方で3分程、アレキサンドリアの市井の姿が映される。市場のガラス細工屋(下記)、野菜屋、得体の知れない煮 物を作っている店、壷をもってどこかに行く子供たち、鍛冶屋。こういう映像を見るのは大好きなので嬉しい映像。
 

 最後に街行く人々の中に荷物を抱える兵士が映り、彼らがクレオの部屋に荷物を運び込む、という展開。そしてその部屋にはこれか ら物語り中盤の主要登場人物となる幼児のプトレマイオス13世がいた。
  王宮ではいつもどおり、宴会が続いているが、違和感無く溶け込んでいるローマ人高官達(中にはあきれている様子の人もいるが)。 ほんとプトレマイオス12 世は変わらない。夜毎宴会をしては一人になると王座で悲しげに座って過ごす。が、ついに宴会中酔って踊っている時に倒れてしま う。

 第十四話(前半のみ。後半の映像は壊れていた。ネットに別の映像があると思われるが、時間が取れない為探すのは延期)
  病に伏すようになった国王。しかしなかなか死なない。ベッドにがっくり伏し、次の場面で部屋の扉が開いて担架を持つような格好の 使用人が出ていたので、 てっきり亡くなったかと思ったら、輿に乗せて王座の前まで運ばせたのだった。どうせだったら座らせてあげるところまで使用人が やってあげればよかったの に、王座に手を伸ばし、届かずに絶命するのであった。国王の遺書が読み上げられ、子供のプトレマイオス13世とクレオが王位につ くことになる。この時前 51年。クレオはまだ20歳前。おおむね年齢と物語の進行速度が一致していることがわかる。ところで、またしても陰謀が進行中の ようである。今度はアント ニオ失脚をもくろむエジプト駐在ローマ高官のようである。

 第十五話
 駄目駄目なプトレマイオス13世の場面が多い回。第二話で クレオが様々な学習に励んでいたのとは異なり、あまりにも幼くして権力の座についたが為に、プライドと実力と努力のバランスが取 れずにひねてしまっていく 様子が見て取れる。確か学習の場面で、「イスカンダール・アクバル」と登場していた。アレクサンドロス大王のことだろう。下記は マッサージ中のクレオ。化 粧品のCMみたいな場面である。

 こちらは写本室の機材。こういう細かいアクセサリーへの拘りは嬉しい。


 第十六話 未見

 第十七話
冒頭、砂漠を散歩するクレオ。まるでブランド衣料品や化粧品メーカーのイメージビデオ。インド映画でもこういう感じの映像が突然 挿入されるのを見かけます が、それに近い感じ。何度か登場していました。あまり目立ったエピソードは無い回でした(この部分は大分前に見たので、内容のあ るメモが残っていなかった のでした。いづれ見直したいと思っています)


 第十八話
 またしてもイメージビデオ風な画面登場。

  市内は少しずつ騒然としてくる。民衆に向かって王家へ押しかけて不満を訴えようと演説をしている男。やがて民衆を率いて王宮に向 かう。クレオが朝、騒々し さに目覚めると、王宮前に人々棒をもって詰め掛け、シュプレヒコールをしており、それは終日続いた。しかしクレオはお構いなしに マッサージなんかしてい る。そこに侍女があわててやってくる。思わずガラスの小瓶を落とすクレオ。どうやらアルシノエの妊娠が発覚したようである。(何 故か)幽閉されているアル シノエの元に行き、口論になる(第十四話の後半で、権力争いがあったのかも知れない)。そして、思わずアルシノエのお腹を突き続 け、アルシノエは出血して しまう。市内ではいつの間にか市民が鎮圧されたようで、死体が多数転がっている。下記はクレオの寝室。なんか、現代の豪華ホテル のスイートのようである。


 第十九話
 常々不満を募らしてきたプトレマイオス13世は、ついに蜂起し、軍装して軍団の先頭に立つ。

  当初はアルシノエと抱き合ったりしていたクレオだが、どういうわけか、プトレマイオスの配下の筈のアエミリオスという男の手引き で地下から脱出する。その 後も市内は緊迫した状態が続く。一方、クレオも軍装し、軍隊を率いる。王家内やアレキサンドリア市内の様々な対立が、ついにプト レマイオスとクレオパトラ 軍に分かれて爆発した、と言う感じ。一触即発な感じとなって終わる。下記中央がクレオ。


 第二十話
 プトレマイオス13世の陣営では、ポンペイ、カエサル、どちらにつくかの相談がされている。そうして、アエミリオスに率いられ た軍隊が迎えに行ったの は、護衛兵数人だけでアレキサンドリア郊外の貧相な埠頭に小船で乗りつけたポンペイユスだった。下記右がポンペイユス。左が13 世の臣下。

  しかし、次の瞬間、13世の部下はポンペイを刺し殺す。続いて軍隊を率いたカエサルが到着する。宮殿で面会した13世は、ポンペ イの指輪と首をカエサルに 渡す。しかし13世に色々苦情を言う感じのカエサルに、早くも13世はウンザリした様子である。そうして、夜、作戦会議をしてい るカエサルの元に絨毯届 く。中からクレオが登場。この部分、クレオの外見といいモチーフといい、エリザベス・テーラーの「クレオパトラ」と非常に良く似 ている。

 お気に入りの香料と花びらで満たした風呂に入るクレオ。エジプトはここまで映していいんですねぇ(このような場面は何度も登場 している)

 翌日、カエサルに改めて正式にカエサルに会見し、「チッチッチ」と舌打ちするクレオ。ポンペイユスを破って世界一の権力者に なった男の前でこの態度は凄かった。



 第二十一話
  この回も、リズの「クレオパトラ」と似た展開。癲癇を起こしたカエサルをクレオが介抱するのである。これを格子窓の外から13世 が覗き見している。ローマ 軍兵士が王宮内を忙しく動き回り、13世は壁に押しのけられたりして悔しい思いをする。そしてとうとう13世は、市内広場で民衆 に向かって演説。王冠を地 面に叩きつけ、反ローマ・反クレオの煽動をする。これに対して、カエサルは自ら出て行ゆき演説する。聞いてる民衆の中に「普通の 子供」のように13世がい る。カエサルの演説に民衆は静まってしまう。13世の負けである。続いてカエサル毒殺未遂事件が起こる。部下がワインを飲んで死 んでしまったのだ。13世 に説教するクレオ。一方ローマ軍は、毒の入った壷を持ってきた侍女を拷問して処刑する。

 第二十二話から第二十四話は未見

 第二十五話
ローマから来た手紙をアントニオ(マルクス・アントニウス)に読ませるカエサル。続いて庭園をクレオと散歩。この時のクレオは異 様に肌の色が白かった。

  一瞬オクタヴィアヌスの陣営が登場。陣営で女を膝の上に乗せるオクタヴィアヌスはちょっとイメージに合わない。クレオとカエサル の間には既にカエサレオン が生まれていて、3、4歳に見える。カエサレオンを叱ったりしているクレオ。ローマに凱旋するカエサル。この時カエサルが通過し た回廊は、間違いなくシリ アの遺跡である。これも恐らくパルミュラだと思われる。
 

 元老院にに入ったカエサルは、そこでよってたかって元老院議員に刺され絶命する。刺された時ブルータス、という名前を発言して いたから、例の台詞を口にしたと思われる。そして荼毘に付される場面でこの回は終わる。

 第二十六話と第二十七話は未見

 第二十八話
女王自ら小麦を民衆に配給する場面が出てくる。続くこの回の大半は、洗練された結婚紹介所の宣伝ビデオでとしか言いようが無い、 アントニオとクレオのデートの場面である。

二人でナイル川をセイリングしたり、ナイルの岸辺で小石を投げていたり。音楽もアラブの暑苦しい曲ではなく、透明感あふれる曲。 そして子供が3人に増えて いて、3人の子供と夫婦で散歩。このように、アントニオとクレオが青春している時にオクタヴィアスは元老院でアントンオの弾劾に 全力を挙げているのだっ た。相手が着々と攻めに出ている時に釣り遊びをする二人。もう、世界は二人のためにあるの、とゆー感じである。

 第二十九話
   相変わらず釣りなどして過ごすアントニオ。元老院でアントニー弾劾を続けるオクタヴィアス(以下オクタ)。遂にオクタが兵を率い て出陣する。ローマ軍船団 の空撮CGが一瞬でるが、戦闘場面は断片的なカットがわずかに続いたくらいで、5分くらいでエジプトの敗戦。屍累々の戦場跡が映 されて終わる。アクチウム の海戦など一切スルー。下記は作戦会議をするアントニオ(右)とクレオ(中央)。

 下記は進軍してくるローマ軍。とうとう決戦か、と思っていたら、エジプト軍はこの軍と合流してしまった。裏切りなのかも知れな い。


 第三十話

 ファロスの灯台から見るアレキサンドリア。アグリッパがアントニオ配下の将軍たちをオクタの目の前で殺す。アントニオは王宮で 自害する。クレオが駆けつ けた時にはまだ意識があった。続いてオクタヴィアスがクレオのところに来て、直接引導を渡す。クレオは、アグリッパに市中を引き 回されることを想像し(第 六話でクレオの夢に出てきた)、嘆き、自殺を決意する。最後の湯浴み。本当にこの場面はよく登場したように思う。

 最期は、毒蛇ではなく、粉末の毒をあおった。意識が遠のいてゆく顔のアップと、ベッドからズームアウトし、部屋を後退していく ショットが交互に入れ替わる映像は良かった。息をとめたところで終わる。
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