25/Aug/2018 created

古代アルメニア歴史ドラマ『古代の諸王』(2016年)

 2016年アルメニアのテレビ局アルメニアTVが 製作した古代アルメニアのティグラネス大王(在位前95-55年)の即位前の暗闘を描いた作品です。一話約35分全15話。 アルメニアTVの公式らしきサイト(こちら) や、youtubeの公式らしきアカウントで全話公開されています。アルメニア語のローマ字転写では、”Hin Arqaner”というらしく、これで検索すると主要登場人物の画像が出てきますので、わざわざ画面ショットを取らなくてもよかったかも知れないぐらいで す。そうして今この記事を編集していて、更に主要登場人物のうちの二人を取り忘れていたことに気付きましたが、面倒なので省 略します。

 本作は、『古代の諸王』という題名なのにも関わらず、王は誰も登場しません。ティグラネス一世(在 前115-95年)の没後直後から開始し、ティグラネス二世即位直前で終了するためです。遺体となったティグラネス1世は登 場します。当時、ティグラネス二世は、人質として超大国パルティアの都に滞在していたため、アルメニア本国の家臣たちが、次 の王位を巡って暗躍する、という陰謀ドラマです。殆どの場面が屋内で展開します。近年IT業を中核に経済発展しているそうで すが、人口300万人の国ではあまり壮大な映像は難しいため、このような脚本となったものと思われますが、工夫は感じます。

 本作は、IMDbにもWikipwdiaにも、テレビ局のサイトにも配役表が無いため、登場人物の名前と関係が殆どわから ないのが難点です。通常だと、言語のわからない映画やドラマの場合、親族名称くらい学習するので、だいたい人間関係はわかる のですが、今回そういう気にもならず、アルメニア語は何も学習しなかったため、登場人物の関係がよくわからない部分も多いの ですが、一応紹介します。

 左上は、ハザルパッド(当時のアルメニアの行政府長官の役職名)。次の王位を狙う悪役。その右はスハフパド(当時の将軍の 役職名)の善玉。この二人が一応主役。登場人物は、双方のどちらかの派閥に属しているため、わかり易い展開です。老人が主役 というところにまじめさを感じます。その右は、スハフパドの配下の兵士。本来なら主役らしきポジションの筈なのですが、あん まりそういう活躍はしません。悪役との乱闘場面では負けたりしてますし。快刀乱麻な活躍をしないところも、まあ、まじめなつ くりなんでしょうね。右端は、モウバド(宗教長官の役職名(モウパドと呼ばれていたかどうかは不明だが職務的にモウパドの 筈))。彼はハザルパッド派(ティベリウスという名前かも知れない)。



 左端は不明。装束からするとユダヤ人かも。どっち派だったか忘れました。あまり 重要人物ではありません。その右は道化。スハフパド派。途中で陰謀を盗み聞きしているのがばれ、舌を切り取られる。 中央の青年は、スハフパドの娘(妹)の恋人。途中で結婚したかも。軟弱そうに見えるが上の主役ポジの兵士より強い。 右端が恋人。スハフパドの次女。二人の間にいる黄色のヘアバンドのショーン・コネリーみたいなおじさんも神官らしき 人物なのですが、上のモウパドとの関係は不明。王族かも知れませんが、王位を狙うようなそぶりもなし。よくわからな い人物でした。もしかしたら、上右端が宦官長(容貌的にもそんな感じ)で、下のヘアバンドがモウバドかも知れません (ハザルパドに王冠を与えようとする場面が出てくるため)。



 左端(及び右から二番目)は悪女役。ハザルパド派。当初、下中央の髭の男性(名 前はヴォルティネスかも知れない)の妻 か恋人で、二人ともスハフパドの家に住んでいたが、二人してスハフパドを裏切り、終盤では悪女はハザルパドの愛人と なったようである。髭の男は当初スパフパド派だったが、途中でハザルパドに寝返り、しかし理由は不明だが、ハザルパ ドにより地下牢に監禁され(妻を寝取ったから邪魔者になった?)、スハフパドの娘婿と兵士に救い出され、最後はスハ フパド派として討ち死に。



 上左から二人目は、ティグラネス一世の王妃だと思われる人物。基本ハザルパッド 派。右端はスハフパド家のメイド。名前はザリー、或いはザレー。他にスハフパドの長女が登場していて、ちょっと要望 が悪女の人に似ているので混同 して画面ショットをとり間違えました(本来なら上右から二人目が長女となる予定だった)。この長女は、上中央の髭に 強姦され(この事件がきっかけで彼はハザルパドに寝返ったのかも)、最後は道化と恋に落ちて道化の妻になる。もうひ とり画面ショットを取り忘れたのが、ハザルパドの娘(唯一の金髪)。スハフパドの部下の兵士と恋に落ち、ロミジュリ 的展開になりかけるが、首吊りを装い暗殺される(結局はハザルパドが命じたのかな?しかしそうなると、父親が娘を暗 殺するのはさすがになさそうなので、娘ではなく、なんらかの理由でハザルパドに囲われていた若妻か愛人とかだったの かも)。他に名前の判明している人は、スハフパドの右腕の老将校アレク。

 下は都のアルタシャット。左端の中央に小さく王冠のように見えているのがアルタシャト。手前両側に峻厳が断崖があ り、都も断崖の縁にあることがわかります。中央は、断崖の下方から都を見上げたところ。左の山頂部分に円形の要塞が 見えています。下中央画像の右側は断崖。右端画像は、アルタシャットの城壁と、その外側にある断崖。この三枚のCG が使いまわされていました。



 それ以外に登場していたのは、下記二枚の画像です。円形の城砦の中に宮殿がある 程度で、市街地らしき場面はまったくありませんでした。一部道化が登場する市場(露天の集まり)が出てくるぐらい。



 これ以外に登場するのは、スハフパドの家の中庭ぐらいで、建築物の概観映像はほ ぼ上の5枚だけ。

 下左は王宮の中央ホール。円形のホールで、上左の夜間の場面は、都の外壁ではなく、王宮の概観かも知れません。こ の円形のホールは、中央に木造の円形の高台があり、その端に更に演壇のようなものがあり、演壇の上に五つの椅子があ り、その中央が玉座です。まあなんか、現代のコンサートホールをそのまま撮影に流用したような感じです。



 上右は、宮殿ホールに召集されたアルメニア貴族たち。女性も普通に参加していま す。下左は、その玉座の手前に立つ王妃(中央)、その左がスハフパド、右がハザルパド。国王の遺言状のようなものを 読み上げる場面。それに対する貴族たちのリアクション(ブーイング)が上右画像。右下は、王宮ホールの入り口概観。 衛兵二人が立っていて垂れ幕があるだけ。中央画像は、ヘレニズム的な彫刻。ギリシア本土のものに比べると、かなりイ ラン化した彫像となっているのが特徴。



 下左は、拝火壇の前に立つハザルパドとモウパド(ショーン・コネリー似)。右 は、ラストに登場したティグラネス王。推測ですが、スハフパドの妹婿と兵士の二人がパルティアに使者として派遣され (その途中ハザルパ配下の手の者に暗殺されそうになる)、ティグラネスをアルメニアに呼び戻したものと思われます (ただし途中で刺客に襲われた後の場面はなし)。



 ハザルパドの即位式の場にティグラネスが登場し、ハザルパドの野望が費えたとこ ろで終わり。ラストで、玉座に座るティグラネスの映像(上右)が映り、「こうして彼は古代アルメニアの栄光の時代を 築きました」と推測されるナレーションとともに、王の映像が、以下のように貨幣の肖像に変化して幕。




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