古代ローマ歴史映画「二人のグラディエーター」

  1964年イタリア製作。原題「I due gladiatori」これをGoogle翻訳で英訳すると、「Two Gladiators 」となるが、内容からすると、「双子のグラディエーター」が正しいのではないかと思います。本作は、驚いたことに、日本語ブログに感想記事がありました (「片 腕ガンマンvs盲目ドラゴン」さんのブログ記事「二人の剣闘士」)。更に驚いたことに、これまでご紹介してきた作品「Hero of Rome」「マラトンの戦い」および本作を含む、なんと50作ものイタリア製ソード・サンダル映画を含みながらも、たったの18.99ドルで販売されてい る、「Warriors 50 Movie Pack Collection (2006)」 というDVDも、上記ブログ氏の記事にて知ることができました。日本から購入する場合でも送料10ドル程度ですから、3000円 程度で購入できることにな ります。これは凄い!!!残念ながら、本dvdに含まれている作品中歴史映画だと思っているものは4,5本しかないので、購入は 見送りましたが、これに、 「戦車を駆る女王 テオドラ」 が、入っていたら、絶対買ったのに。それにしても、ネットにアップされている多くのSS映画の原版はこれなのかも。で、考えてみ ると、この50作をネット で見ようと思ったら、インターネット接続料金だけで、このDVDの代金を上回ってしまう。そう考えると、ネットアップの著作権問 題はともかく、ユーザーの 立場からすると、DVDを買った方が安上がりになるのだった。さて、本作は日本語情報がありますが、私もこの作品は結構気に入 り、上記ブログ氏が言及して いない特徴もアピールしたいので、あらすじを記載させていただこうと思います。なお、本作を見ての第一の感想ですが、私は、リド リースコット2000年作 の「グラディエーター」は、筋としては1964年作の「ローマ帝国の滅亡」のリメイクだと思っていたのです。しかし、同じ1964年製作 の本作が、同年制作の米国製「ローマ帝国の滅亡」と基本的な筋が似ている点に興味を持ちました。それは下記の点です。

・コンモドゥスを最後に殺すのは主人公
・コンモドゥスと主人公が最後に円形闘技場で戦う。
・最終的に共和政を尊重する終わり方になる
・マルクス・アウレリウス帝(在161-180年)の治世末期、帝がマルコマンニ戦争に赴いている時期から始まる。


〜あらすじ〜

  冒頭、円形闘技場で、剣闘士として無敵のコンモドゥス。マーカス・ウィリアス皇帝(マルクス・アウレリウス)からパンノニアに来 るようにと指令が来る。と ころが次に来た伝令が皇帝の死去を伝える。剣闘士姿のコンモドゥスが新皇帝となるのだった。しかし新皇帝となって、町は飢えてい た。穀物倉庫を開けようと 集まった民衆を兵士(リトー)が追い散らす。老人の手には鼠が握られていた。その一方で贅沢三昧の皇帝の宴会。眉を顰める一部の 元老院議員達。宴会に出て いたエミリアに目をつけた皇帝が、横に連れてきてさわりまくるが、そのうち酔いが回った隙に逃げ出す。元老院議員レイシャス・ク ラティカスは考えがある、 と宴会を去る。

 レイシャス・クラティカスは供とともに、ガリア人との前線に向かう。そこでは兵士達がガリア人と戦闘の真っ最中。激闘の末敗退 する蛮人達。
  ローマ軍の百人隊長ルーシャス(ルキウス)のところに、元老院議員のクラティカスが会いに来る。30年前、マーカス・ウィリスの 妻ファウスティーナは双子 を生んだ。双子は不吉だったのでひとりを川に捨てた。しかし結局助け、ルーシャス・クラシスと名づけた。ロムルス・レムス、シー ザーの遺産を守る為に、 Madなコンモドゥスに代わって新皇帝を立てようと思う。。だが、この話は密偵に聞かれていて、その日のうちにコンモドゥスに伝 わる。野営地で寝ている ルーシャスが狙われるが、寝ている兵士の一人が、寝ていて頭にあたる石が邪魔で放り投げたら、近づいてくる暗殺者兵士の兜にあた り音が響く。驚いた兵士は 他の2人を起こし、3人で戦う。3人とも強い。あっさり敵をやっつけてしまう。
 本作の楽しさの一つは、この無性に強いルーシャスとその同僚オラツィーとマーカス・パヌンシアスであろう。三人組だと、誰かが 抜きん出て強かったり、それぞれ得意分野が違ったりするが、この三人は三人とも同じくらい強い。

  そしてこの手の作品ではありがちな展開として、誰か一人が敵の罠に嵌ったりして死んでしまう、という悲しい場面が登場したりする が、この三人の場合、そん なことは無い。信義に篤く、決して裏切らない。娯楽作品としては、安心していて視ていられるキャラなのだった。この三人の仲間は 隠し事もしない。前皇帝の 兄弟という話は、既に残りの2人にも伝えてあり、二人が、「お前はコンモドゥスの兄弟でしょ」と言うと、ルーシャスは、そりゃ ファンタジックストーリー だ、と一笑したりしている。さわやか、さっぱりとした関係である。

 さて、野営地を襲われて逃げる三人。でも海岸で包囲されてしまう。しかし、あっさりと包囲を突破し、逃走。逃げ延びる。

  どこかの隠れ家で隠れている三人(後でわかるが、ここはルーシャス・ポンペイという商人の家)。手当てしてもらっているルーシャ ス。タルリアスの家にいく と、彼はすで死んでいた。そこにコンモドゥス側の兵士が。しかし今回は逃げ切れず策謀家のクリアンダーにつかまってしまう。サラ リア地下牢に閉じ込めてい るとコンモドスに報告するクリアンダー。ルーシャスは、多人数が一緒に収容されている牢に放り込まれ、そこで、「水が・・・」と 言って気絶してしまう美女 に出会う(何故男女混合の牢獄なのだろうか。まあいいや。どうせヒロインと出会う為の設定なんだから)。そこに、ゴールであなた の部下だった、というサラ リア牢獄の隊長が来る。右手を失ったので、牢獄長になった。という。この隊長が水をくれる。水を美女に飲ませ、どうしてここに? と問うルーシャス。娘の名 はエミリア。娘の父は、マーカス・ウィリアス(マルクス・アウレリウス)のファーストカウンシルだった。父に会いにきたところ、 捕まってしまった、とのこ と。「クリアンダーはコンモドス側の危険な男だ」というルーシャス。

 エミリアはルーシャスに尋ねる、

 エミリア 「仲間は?」
 ルーシャス 「2人いる」
 エミリア 「家族は?」 
 ルーシャス「兄が」
 エミリア 「その人は力があるの?」

 そりゃコンモドゥスなんだから力はあるさ、と答える前に、牢番がパンを配りに来る。エミリアとルーシャスは一緒にとりに行き、 この話はそれ以上続かずに終わる。

  一方仲間の2人はルーシャスがサラリア地下牢にいる情報を察知する。牢の隊長は、ルーシャスに、「あなたのために働きます」とい う。そしていつのまにか 「i love you」とエミリアにつげ、キスしていると、コンモドゥスの女房が地下牢にやってくる。エミリアに逃がすから条件がある、と相談していると、クリアンダー が、ルーシャスを連れに来る。宮廷でコンモドゥスと対面するルーシャス。しかし、コンモドゥスをけり倒し、窓から逃げるのだっ た。とりあえず仲間の隠れ家 に逃亡する。かくまってくれた親父も人手を出してくれる。

 夜歩きしている浮浪者ふう老人を兵隊が詰問し、兵隊が刺してしまう場面を見て 飛び出す3人と支援者たち。更にローマ一般市民も加わり、小隊を全滅させる。で、松明をもった群集を率いて、一気に宮殿に進軍す る。途中でどんどん声をか け、一気に暴徒集団に膨れ上がる。ルーシャスの部隊は牢獄へ。他は宮殿へ。牢獄襲撃は成功するが、誰もいないことが判明。次の場 所を目指すルーシャスた ち。隊長がエミリアのいる牢をあけてくれ、皆で逃げる(あれ?エミリア以外は全員罪人じゃないの?反コンモドゥスの政治犯とは限 らないのでは?)。群集は ついに宮殿に突入。最初は数十人だったのに、いまや1000名規模にふくれあがっている。日ごろからコンモドゥスへの不満が強 かったのだろうか 

 コンモドゥスの部屋にいくと、皇帝は雄弁な言い訳をする。 私はみなのことを考えてきた。何が不満だ。
  民衆は「飢えている」と答えると、コンモドゥスは、こいつが悪い、とクリアンダーを放り出すのだった。民衆はクリアンダーを担ぎ 上げて宮殿を出て行く。コ ンモドゥスうまい! 更に皇帝は、剣闘士を開催する!皇室倉庫をあけて配布する!と、パンとサーカスを提案する皇帝に民衆は説得 され、引き上げてしまう。 宿(ルーシャス・ポンペイ)の親父が「みんな!どこにいくんだ!」と叫ぶが、群衆を引き止めることはできない。

 一方ルーシャスはローマ に侵入。しかし門のところの戦闘で牢獄の隊長が死ぬ。「名前もしらなかった。。。」と死を痛むルーシャス。宮殿に向かう途中、引 き返してくる宿の親父 (ルーシャス・ポンペイ)にあう。親父は、作戦を誤った。皇帝は民衆をよくわかっている。パンとサーカスだ。と告げる。

 取りあえず隠れ 家に戻る4人+エミリア。ルーシャスは、オクタヴィウス・クラディカスをつれてきてくれ、とチームの1人に頼む。元老院議員の家 をたずねる髭の隊長リ トー。クリアンダー亡き後、彼がコンモドゥスの手下のリーダーとなったようだ。下記はその元老院の家の概観。ローマ元老院の家の 概観が映るのは珍しい。

  リトーに皇女マーツィアを与える皇帝。嫌に決まってるので、宮殿から逃げる皇女。部下にあとをつけさせるリトー。街中でマーツィ アはエミリアに偶然会う。 リトーがマツィアを殺そうとしているという。ところが、その会話も全部間諜に聞かれているのだった。リトーに報告がされ、ルー シャスがの隠れ家がわかりま すよ。はっはっは。と余裕なリトー。

 ルーシャス達が、円形闘技場に乗り込んでコンモドゥスを殺す、との相談しているところに、マーツィ アが来る。ところがマーツィアは扉をたたき、「空けないように!」という。しかし扉を開けてしまい、背中をさされたマーツィアが 倒れこんでくる。その背後 からリトー配下の兵士達がなだれ込んでくる。相変わらず強い3人。地下に逃げるトンネルから郊外へ脱出するのだった。

 場面は円形闘技場 へ。いよいよルーシャスとコンモドゥスとの対決の場面となるのだが、肝心の場面で画像が壊れていた(77-84分の7分 間*1)。多分戦車とコンモドゥス が入場したのだろう。そして、謎の覆面剣闘士が皇帝を倒してしまったのだろう。その剣闘士が面を取る場面から映像が復活。その剣 闘士はルーシャスだった。 ルーシャスを裏切り者!と叫ぶリトー、観客席からアリーナに飛び降りて支援する仲間2人。空白の7分に何があったのか!?近衛兵 リトーとルーシャス、仲 間、正規軍との乱闘になる。ルーシャスよく見ると左利きだ。そして敵を退治したルーシャスは、闘技場の観衆に向かって言うのだっ た。

*1 この作品はGW中に視聴したのですが、そのサイトは、現在ユーザー承認が必要となっており、別のサイトでは、早送りができ ず、77分地点まで見る時間が無いので、本記事ではこの7分は省略したままにします。

  「皆が見たように、フェアな戦いにおいてコンモドスを殺したのは、私、双子の兄であるルーシャス・クラサスだ」と宣言するルー シャス。そして、元老院議員 も出てきて、助け舟を出す「私はレイシャス・クラティカス。ローマの将軍で東方地区の司令官だ。マーカス・ウィリアスの子 ルー シャスを新皇帝と認め る!」と宣言する。「彼によってローマは尊厳を取り戻すだろう。もうひとつ。ロムルス・レムスも兄弟だった。ルーシャスに栄光あ れ!」
 ということでひとまず民衆は納得したようである。

 宮殿。皇帝となったルーシャスは、元老院議員を集めて皇帝として布告を出す。昨夜まで親友だったのに、一夜あければ皇帝 か。。。。とぼやく仲間2人。
 ルーシャスは、2つの布告を出すという。

  「最初の布告。人民にとって便益なシステムあること。名誉と公正な政府、公正な税が必要である。そこで、ゴールの総督にオラ ツィーを任命する。マーカス・ パヌンシアスはゴール(ガリア)の軍団司令官。ルーシャス・ポンペイを徴税請負人とする」 という、仲間3人への思いっきり身び いきの指令。

 「ルリアス・クラサスを皇帝に推戴し、自分は皇帝を退く。「私はもう皇帝ではない」として、理由を述べる。「私は兵士だ。コン モドゥスは力強かったが、酒飲みだった。兵士は皇帝に向かない。皇帝には文人が相応しい」

 そして、ルリアス・クラサスが皇帝を受け、新皇帝が歓呼され、ルーシャスは仲間とエミリアのもとに行くのだった。

〜The end〜

 いや、面白かったです。古代ローマでは、「パンとサーカス」とよく言われますが、サーカス(円形闘技場での剣闘士試合や戦車競 争)はよく映画に出てきますが、「パン(穀物の配給)」場面は見たことがありません。映画かドラマで配給場面を見てみたいもので す。

IMDbの映画紹介はこちら。
古代ローマ歴史映画一覧表は こちら。

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