中世チェコ歴史映画「全てに抗いて(15世紀)」

  1958年チェコ製作。中世末期チェコ宗教改革を描く三部作の第三作目。1420年を描く。 三部作の中では一番つまらなかった。しかし、フス派内部が、 単に穏健派(これまでの成果と命を確保する為ある程度で国王側と和約しようという妥協派)と、過激派(徹底抗戦)だけではなく、 更なる派閥に分裂し、混乱 してゆく様子は見て取れた。ロシア語(チェコ語字幕)版視聴。

  荒野をゆく若い女性と二人の使用人。馬を下りて木の根元で休憩しているところに、聖歌を歌いながら行進するフス派の隊列に出くわ す。隊列が近づいてきて、 三人は逃げる。彼らは入信したばかりの修道女マーティと修道院の守衛で、争いを避けて逃げてきたのだ。彼らはCtibor Hvozdenskýという地方領主の、要塞と化した城館に避難する。

し かし近くの村にも、フス派がやってきて家を燃やす。この時期、フス派はカトリック教会や修道院を襲撃していたのだった。 Ctibor Hvozdenský自身はフス派を受け入れていたけれども、Proboštov一派をフス派が破ったことは受け入れがたかったのだ。この城でマーティ は、Ctiborの叔母のOndřejem家のMartaと出会う。この城には、Zdena Ondřejem(ズデナ)とその幼児も避難していた。休息した後、マーティは、護衛とともに、ローゼンベルク家の城Příběnice城へと向かう。 Ctiradと彼の娘とズデナはフス派の陣営に向かい、フス派の拠点ターボル城の建設に加わる。ターボルでは財産が共有されると ころだった。ここに来た人 は、全員が、貨幣や宝飾品などを喜捨するのだった。

 建設の活気あふれるターボル城内。教会の中では神学生が人々に教えを説いている。その中にはズデナの姿もあった。

ウルリッヒ・フォン・ローゼンベルグのPříběnice城

ここでは反フス派の司教や騎士が打ち合わせを行っていた。
クトネ山脈では、井戸に突き落すリンチが行われていた。

 黄金の衣装の国王シギスムント。


 彼の宮廷には、イスパニアの騎士やタタール騎士と思われる面々もいて国際色豊か。フス派穏健派が出入りしているのだった。

  一方のフス派司令部は意見の食い違いでおお揉め。ジシュカはプラハ進撃を行うことで同派をまとめようとする。聖歌を歌いながらプ ラハに進撃するフス派軍。 プラハに無血入場し、市民に花びらの吹雪と歓呼で迎えられるのだった。Ctibor Hvozdenský はプラハ進軍に参加し、ズデナはターボル城で負傷者の看護にあたっていて、そこで、兄弟団の一員であるJan Bydlinskyと恋に落ちるのだった。

 シギスムント軍は何度もプラハに攻撃を加えるが、激闘するも破ることができない。恐れずに攻撃に参加し、攻撃しながら、歌うフ ス派軍に恐れを抱くジギスムント。反対にプラハ市内は勝利に沸き返るのだった。

 一方手薄になったターボル城はシグムント軍に囲まれていた。大砲や投石器で応戦するターボル軍。

 時には砦から打って出て、国王軍の天幕に襲撃をかける戦法で急場をしのぎ続けるのだった。

  ジシュカはCtiborをローゼンベルクのPříběnická城に派遣、奪還し、そこでCtiborはマーティに再会すること ができた。彼らは愛を確か め合うのだった。しかし、ローゼンベルクは、館に大量の藁を放り込まれ、戸口を打ち付けられ、家ごと火をかけられてしまうのだっ た。

 抵 抗を続けるターボル城だが、城内では、勝利の凱旋とともに、死傷者も増大していた。そこに「神の衆」といわれる、Adamitů je Kánišをリーダーとするカルト的な第三の派閥が流行してきた。彼はzfanatizovat派を率いていた男だった。彼らの儀式はサバト的な熱狂を含 み、服を脱ぎトランス状態になるというものだった。 そして Adamitů は、ズデナとビドゥリンスキーに嫉妬し、ズデナの家の窓を打ち付け、家ごと燃やす。兵士達に救出に来るが、時遅く、家は焼け落ちるのだった。

 プラハの要塞化を勧めるジシュカは、国王軍との決戦に備える。そして今回も、火器と戦術を駆使し、最後は歩兵ばかりの市民・農 民兵が砦から打って出て、騎士を中核とする国王軍を撃退・最後は騎兵を出撃させ、国王軍を追撃、勝利するのだった。


 勝利に沸き返るプラハ市内。そこには、Ctiborやマーティの姿もあった。その後も各地をキャラバン隊を率いて戦い続けるフ ス派軍の映像で映画は終わるのだった。 

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フス戦争を描いた珍しい漫画。大西 巷一著『乙 女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(1) 』2014/01発売
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