オスマン朝歴史ドラマ「オスマン帝国の復活(Bir Zamanlar Osmanlı Kıyam)」(2)第7話から13話

 前回の 続き。

 6/4日放映の第十三話でシーズンファイナルとありました。しかし公 式ホームページには特に記載が無く、話としては続いているので、6/11日も放映されるのかも。面倒なので調べてい ませんが。。。。

  出だしの2話は面白かったけど、その後つまらなくなり、視聴をやめようと思ったところで若干盛り上がったりしてずるずると見続け てしまいましたが、これで ようやく解脱できそう。長い連続ドラマはあまり見たことが無く、レンタルビデオ店に長い韓国ドラマが沢山置いてあるのを見て、 「こんなのよく見てられる なー」と思っていましたが、なんとなく理由がわかった気がしました。連続ドラマを見るというのは、生活習慣のようになってしまう からなんですね。

  最初の2話と、10話後半から11話前半と、その中間の要所・部分的な盛り上がりどころを適当な長さにまとめれば、そこそこ面白 いドラマと言えるのではな いかと思います。ところで、「壮麗なる世紀」も先週で第二部が終了しています。ついにライバルのマヒデブランとの決着が着き、 ヒュッレムが後宮の頂点に 立ったところで終わる。無念な表情でバルコニーに立つヒュッレムを見上げるマヒデブランの表情がいい。一斉にかしずく大勢の女 官・宦官達を見下ろすヒュッ レムとその侍女達の上から目線も最高だ。紅潮し、惚れ惚れと母親を見上げるミフリマの眼には危いものすら感じる。既視感すら覚え る演出である。ヒュッレム の立つ後宮のバルコニーは木造で、見下ろす後宮の吹き抜けも狭い。壁も石組みがむき出しの粗末さが目立つ。にも関わらずヒュッレ ムの手に入れた権勢と権力 の巨大さと敗れた側の絶望感が際立つ。最後の4分半は何度見なおしても背筋がぞくぞくする。中国王朝ドラマでの広大な宮殿と数千 人の宦官・役人といった セットに頼った描きぶりよりも鮮烈に巨大な権勢を印象付ける最後の映像は、歴史ドラマ史上に残る名場面だと思います。

 「オスマン帝国の復活」7-13話にご興味のある方は「More」をクリックしてください。


第七話

 今週はもう新聞や本を読みながら見るくらいに関心低下。でも見てしまう。連続ドラマをずるずる見てしまう典型的なパターンには まってしまった。90分、大して面白くも無いのに、10分に一回くらい、興味を引く場面や新展開が出てくるので、ずるずる見てし まう。

  前回終盤で発生したハリル扇動のデモは、途中からハリルとその友人が抜けだしても誰も気づかない程勝手に進行し、イブラヒーム・ パシャ自ら説得に出てきて 収拾する。デモ中心となった民衆は逮捕され牢獄に送られるが、途中で抜けだしていた首謀者の筈のハリルとその友人はぬけぬけと翌 朝居酒屋で祝杯などあげて いるのだった。下記はその後、処刑され、荷馬車で遺体を市中引き回しされているデモの中心メンバー達。ハリル達に煽られただけな のに。気の毒。。。。

 第一話以来久々にサファヴィー朝登場。どうやら、ムガル帝国(ヒンドゥスターン)に送り込んだ女性間諜が任務に失敗し、自害す るようにシャー・タフマスブから剣を渡されるところ。

 自害した間諜の遺体を前にカースマがどうの、と言っていたから、推測だけど、「カースマも失敗すれば同じ運命だ」とか言ってい たのかも。女性間諜の衣装がいかにもアラビアンナイトな感じ。単にインド風なだけなのかも知れないけど。

  次の新展開は、突然登場したイブラヒーム・パシャの正妻ハヌマン。ひょっとしたら視聴率が悪くてのテコ入れなのか!?と疑ってし まう程突然登場して、イブ ラヒームがファトマに強要された感じで泣く泣く愛人させられた時に妻に相談している場面を回想。続いてハティジェに相談に宮廷に あがり、呼び出されたファ トマと火花を散らすが、気迫でファトマ負け。ここで怯まないでとことん強い悪女でいて欲しかったんだけど。更にどうやらファトマ は妊娠した模様。ファトマ (右)の帽子とハティジェ(左)の帽子のインパクトが強かった場面。

  同様にテコ入れなのか、ハリルの恋人が金髪から黒髪になっていた。染めたのか、染を落としたのか不明。あと展開らしい展開は2点 だけ。ムラトがイブラヒー ム・パシャに呼び出され、イェニチェリの剣を返還させられたのと(どうしてかは不明。デモ騒ぎの時にカースマの手下に襲撃され (第六話)負傷して寝込んで いたので、職務怠慢とされたのかも)。もう一つは、第一話でジャンセザと一緒にイスファハーンを発ったメフメト少年が麻疹にかか り、当初ミールザーが看病 していたが手に負えなくなり、ジャンセザに看病を頼み、ジャンセザがムラトに家に連れ帰ってムラトの母親とジャンセザが看病する ことになる。はっきりした 事は不明だが、メフメト少年はオスマン王家の人で、王位争いに敗れてサファヴィー朝に亡命していた王子の子供だと思われる。サ ファヴィー朝はこの少年にオ スマン王位を継がせる陰謀を巡らしていると思われるので、つまりはムラト家はどんどん深みにはまっていってしまっているのだっ た。。。。

 これは町中の茶屋。右手に水飲み場がある。

第八話

  どんどん主筋が逸脱している感じ。ムラトとジャンセザが、湖の見える森の中の風光明媚なロッジのような場所で結ばれるが、その 夜、ミールザーが差し向けた 刺客軍に襲撃され、ムラトをかばってジャンセザが負傷してしまう。ジャンセザはムラト家で看病されるが、なかなか意識が戻らない 為、ムラト母がハティジェ に願い出て、宮廷で治療してもらうことになる。カースマはムラトとジャンセザが深く愛し合っていてどうにもならないことに苛立つ のだった。

  一方、ファトマ・ハトゥンがハヌマンの元を訪ねつかみ合いの喧嘩となり、倒れた弾みでファトマは気絶し、どうやら流産してしまっ た模様。それに気づいたハ ヌマンは、夫が嫌々ながらではなく、内心ファトマに心が傾いていたのではないかと疑い、ファトマのふりをしてイブラヒムを訪問 し、夫の本音を探ろうとす る。

 更に一方、ハティジェは、アセスバシに命じて、庭園を散策中のアフメドを、アセスバシの雇った暗殺者に襲撃させる。これは、暗 殺が目的ではなく、最初からアセスバシに襲撃者を撃退させる筋書きの、ハティジェの自作自演なのだが、何故このようなことを謀っ たのかは不明。

  ムラトは、襲撃者が再度襲撃の機会を狙い、ムラトを監視していると推定し、首尾良く襲撃者を見つけて追跡するが、夜になり、森で 見失う。しかしそこで、ハ リル達と遭遇し、ハリルに背後から歩み寄られ、首にナイフをつきつけられるところで今回は終わる。下記は、ハリルとその友人がセ ンジャーデの墓に墓碑を建 てるべく訪問した墓碑屋さん。


第九話

お約束の展開、夢オチと、今回遂に前半で挫折。一点だけ今後の展開に関係するかもしれない点をメモ。
負傷後宮廷のハティジェの元で療養していたジャンセザはたまたま、アセスバシとハティジェの密談を聞いてしまう。

第十話

前 半は早送り。ムラトは何故か牢屋にいる。面倒なので第九話の後半は見ないけど、おおかたカースマの陰謀か何かに嵌められたのだろ う。で、ハティジェの独断 で釈放されることになり、ムラトはハティジェ配下に入ることになるのだった。ハティジェの登場回数が徐々に増え、いままでクレ ジットの先頭にあったのが不 思議だったが、ようやく主役としての存在感を出し始めた感じ。流れとしては、宰相イブラヒムやスルタン・アフメドの存在感がどん どん下がり、表の政治はと もかく、裏の陰謀では、ハティジェとカースマ(サファヴィー朝)の対決、という流れという感じ。そのハティジェ。今回も目に付く 衣装。

ア フメド三世時代は、チューリップ時代と呼ばれるほど、オスマン宮廷でチューリップが流行したとのことですが、本ドラマでは下記右 画像のように、宮廷の通路 にチューリップが置いてある程度しか登場していなかった印象があります。今回下左画像のように、宮殿の庭にチューリップが咲いて いる場面が出てきます。こ れは、ムラトがメフメト少年に剣の稽古をつけ、陰からジャンセザがそっと忍び見る場面。もう家族のノリ。

今回のポイント

・ 使い道があまりなくなったのか、カースマの仲間だった筈のミールザーが独走し(恐らくジャンセザがムラトとくっついてしまい、組 織を裏切ったことが許せな かったのだろう。カースマは妹を切り捨てることはできないのだろう)、最後はムラトと対決している最中に、カースマが陰からナイ フを投げ、ミールザーを処 分してしまう。それなりに味のある役柄でしたが、生かしきれないうちに退場となってしまった感じ。

・ムラトとジャンセザ、遂に結婚。しか も結婚式はハティジェ主催で宮廷で行われる。以下がその時のハティジェ(左)とジャンセザ。ハティジェの衣装は相変わらずの絢爛 ぶり。主要登場人物はすっ かりハティジェ陣営(ムラト、ジャンセザ、ハヌマン、アセスバシ、ムラト両親) VS カースマ陣営(ハリルとその友) +その 他(アフメド三世、ファト マ・ハトゥン)に別れた感じ。イブラヒム・パシャは、ハティジェの介入度が増え、権力がそがれてゆくことに不満を感じ、それに気 づいたカースマのささやき に、徐々にカースマに取り込まれてゆく感じ。

・ ハリル友(面倒なので名前を調べてない)はハリルの恋人のチェスミディルに惚れていたのだが、なんと、チェスミディルもハリル友 に心が傾いている様子。ま あハリルに冷たくされ続けなので、当然な展開だとは思うけど。そのハリルは、いつの間にか裏社会の無頼集団のひとつを率いてい る。以下中央、いかにも顔役 という感じで座っているハリル。

 カースマの指令で、ハリル率いる無頼集団は、他の無頼集団に喧嘩をしかけ、夜間、市街で死傷者のでる乱闘騒ぎを起こす。で、こ の隙に宿屋に潜伏していたミールザーが逃亡を図り、カースマが仕留める、という展開。

最 後、ミールザーを倒した後、ムラトの前に現れたカースマは、またも戦いとなるが、ムラトを心配して追ってきたジャンセザが、弓を 射てムラトを救うのだった (といっても直接兄を射たわけではなく、兄の気を反らせただけだけど)。久々にかっこ良いジャンセザが見られたラスト。


第十一話

今 回は割と面白い回でした。まず、ミールザーは死んでおらず、牢獄に運ばれ、手当を受ける。が、カースマは部下とともに牢獄を襲撃 し、警護の兵を殺害し、 ミールザーに止めを刺すという挙に出る。殺害に協力した部下をその場で始末する徹底ぶり。一方、ムラトはミールザーの服に縫いこ んであった鍵を発見し、町 の鍵屋に持ち込んで調査を依頼。下記はその鍵屋。壁に鍵が展示されています。

  ところが、これを察知したカースマは、鍵屋を殺害。鍵屋が解析していた図面を回収する。翌朝遺体を捜査に来たムラトは、鍵屋が息 を引き取る直前に血で書い た図面を見つけるのだった。それは、鍵が設置された場所の地図だった。それが下記の場所。単身地図の場所に向かったムラトは、鍵 で家屋に侵入し、本棚の裏 にある秘密の通路を発見する。そこはカースマ一味の秘密集会所だった!

  その一方、ミールザーは実は生きていた。牢獄には身代わりの遺体が置いてあり、カースマは、毛布がかかっていたため、身代わりの 遺体を毛布の上から刺して しまったのだった。ハティジェの指示で秘密の場所で療養し、回復したミールザーは、ハティジェ、イブラヒム、カースマらの尋問を 受ける時が来る。ハティ ジェの尋問に、口を開くミールザー。カースマは、自分の事がばらされないかとハラハラし、いよいよとなればミールザーの口を塞ご うと、剣を鞘から抜くの だった!!というところで次回へ。

今回は、祭日の描写もありました。下記は、パトローナ・ハリルが催した市井の祭りの様子。裏社会の無頼 集団が下町の祭りを仕切るのはいつの時代も同じなんですね。きっと。下左は、無料の食事提供に列を作って並ぶ人々。下左画像の奥 の家屋の部分は、下右画像 の部分。パントマイム劇が演じられ、手前の観客席に子供たちが寝そべり、奥の仕切りにもたれて母親達が観劇しています。

  宮廷でも宴会が催されているのですが、庭にテントを張って宴会している程度なので、映像は省略。あと今回珍しい映像は、下記のア フメドの私室。他の部屋 は、幾何学模様や、草花をあしらった同じパターンのくり返し模様なのですが、この部屋には、多数の花瓶に活けた花が描かれている のが特徴(実際のトプカプ 宮殿に残るアフメド三世の私室の画像はこちらのサイトにあります)。

 あと、ハリルの親友と恋人の画像。二人とも衣装がぱっとせず、ハリルのつけたしのような位置づけのキャラなので、なかなか画面 ショットを取る機会がありませんでしたが、今回少し目立つ装いをしてくれました。

最後は今週のハティジェの衣装。どうにも面白くて毎回画面ショットをとってしまう。ゴージャスを通り越して、クリスマスツリーや デコレーション・ケーキにしか見えなくなってくるのだった。



第十二話

ム ラトもミールザーも逮捕され、両方が対面し言い分を言っている場面から開始。どうやら、ミールザーが逆にムラトを一連の事件の犯 人として告発したらしい。 アセスバシは、ムラトが発見した陰謀団の集会所の捜索を行う。既にもぬけの殻だが、何やら思うところがあるらしく、アセスバシ は、牢獄の護衛を脅してムラ トを逃す。アセス、ムラト、ジャンセザ、納屋で飯くいながら相談。ムラトとアセスバシ、再度陰謀団の集会所を調査し、カースマの 指輪を発見するが、カース マが直接アセスバシにナイフをつきつけて人質にし、ムラトから指輪を取り戻すのだった。直後カースマ指揮下の官憲が二人を逮捕す る。宮廷でのアフメド、イ ブラヒム、ハティジェ隣席の尋問が行われ、その後、カーヌーンによる裁判が行われることになる。以下がその裁判映像。右に裁判 官、左にムラトとアセスバシ がいる。

何の建物か忘れてしまいましたが、市街地。



第十三話

  今回ムラトとアセスバシはずっと牢獄に入っているので、彼らに関する部分は、両親が面会に来たりする場面とかで、進展は無い。進 展らしきものは4点。一つ は、ファトマが服毒自殺を図り、半身不随になってしまう。これはちょっと意外な展開だった。次は、カースマがミールザーを騙して 服毒自殺させ、ムラト無実 の遺書を偽作し、それをジャンセザに渡す。カースマは結局妹が可愛く、任務に非情になりきれなかったんですね。アセスバシとムラ トの公開処刑となり、処刑 場へミールザーの遺書を持ってジャンセザが走る場面で終わり。最後の10分は盛り上がりました。4点目は、公開処刑の場面が冒頭 に置かれ、その後、処刑に 至る経過が描かれるという構成が新しめ。毎回のように夢オチが登場していたので、意外な展開が出てくると、「これは夢オチだな」 と予想できてしまっていた のですが、今回は夢では無く、倒叙法。そーか。そーきたか。という感じ。

 まあ、どうせ次の回でぎりぎりジャンセザが間に合って、少なくともムラトは助かるのだろうけど、このままムラトが処刑され、第 二シーズンで主役が入れ替わるくらいなことがあれば、またしばらく見てしまうかも。

オスマン朝歴史映画・ドラマ一覧表はこちら

BACK