イスラーム初期歴史ドラマ「Alqaqa Bin Amr Al tamimi」(3) 第九回から第十一回 ヤルムークの戦い

  2011年カタールテレビ製作正統カリフ時代を扱った歴史ドラマ「アル・クアッカー・イブ ン・アムル・アル・タミーミー(タミーム族のアムルの息子ク アッカー)」より第九回から第十一回。ローマとの攻防。ローマとアラブ軍との決戦、シリアのヤルムークの戦いを描く。本ドラマの サーサーン朝との決戦カー ディシーヤの戦いを扱った第十二 話から第十四話はこちら。あらすじにご興味のある方は「More」をク リックしてください。


 行軍で疲弊してゆくワリード軍。倒れる兵士が続出し、砂漠を掘り返して水を補給したりしてる。
いきなりローマ軍との対陣場面となる。それまでの会話で登場しているのだろうけど、もう少しローマ側政府の動きとかあればいいの に(前回(第八話)のホルムズ総督は内部だけだけど総督府が出てきた)。今回は一度もローマ人が登場しないうちに対陣となり、少 し唐突な展開。
 今回は、ワリードら武将数名がローマ軍の陣営まで出向いて一度交渉している。その後、ローマ軍司令官とワリードが再度、さしの 交渉に、両陣の中央地点まで出向くいて交渉する。


その後、今度はローマ軍司令官がそのままワリードと一緒に単身イスラーム軍の陣営に招かれる。という少しよくわからない展 開。。。。

  一方、メッカのアブー・バクルの部屋が、ローマとの戦場と交互に映る。こうして時間稼ぎ(?)が行われ、なかなかローマとワリー ド軍との戦闘が本格化しな い。その間に、アブー・バクルは病気になり、ウマルが後継者に選出される。下記がメディナでのウマルのカリフ選出の様子。

 その後、ワリード軍から、クアッカーと兵士数名が徒歩で進み出て、ローマ兵との一騎打ちを提案(ローマ軍司令官はいつの間にか ローマ陣営に戻っている)。ローマ側は騎兵が一騎出撃するが、あっさりクアッカーに敗北するのだった。
 場面は再びメッカとなり、病気の床のアブー・バクルの傍らにウマルが座り、アブー・バクルの教えを聞いている場面。

 戦場では終にローマ軍とワリード軍が全面衝突。

 進撃するローマ軍。右手は騎兵。


第十話

  冒頭でアブー・バクル死去。しかし考えてみたら、ヤルムークの戦いの最中にアブー・バクル死去というのは史実と違う。アブー・バ クル死去は634年で、ヤ ルムークの戦いは636年の8月である。ドラマでは、ローマとの戦闘は6日間にわたった為、その間にアブー・バクル死去の報告が ワリードの元に届く。

  今度はローマ将校のひとりとアブー・ウバイダが一騎打ち。(第八話の)ホルムズ総督よりも手ごたえがあり、アブー・ウバイダは一 度は槍で切りつけられ、崩 れ落ちる。ローマ兵達は盾を叩いて歓呼する。ローマ将校がとどめを刺そうとして切りつけた時、居あいぬきの要領でウバイダがロー マ将校を切り払う。悔しが るローマ司令官。

 ついで、両軍全面衝突。

 ムスリム軍は、直径60cmくらいの、ギザギザの鉄を二頭の馬で引っ張り、
 

 下記のように、ローマ亀甲陣に突撃し、陣形を潰す。

 或いは、2人の兵士がローマの亀甲陣の手前でうずくまり、踏み台となり、別の兵士が飛び乗って跳ね上がり、亀甲陣の上部に落下 する、という作戦でローマの陣形を崩す。
 

 こうしてローマ軍は総崩れとなり、総司令官が止めるのにもかかわらず兵士達は退却を始めてしまうのだった。

 ヤルムークの戦いは第十回の前半で終わり、後半は政治情勢が語られていた。

第十一回

  前半はよくわからない展開。ワリード軍はシリア侵攻を続けていると思われる。ワリードの陣営に深夜忍び込んだ男(誰?)が、女官 (?)に振られたりするエ ピソードが出てくる。その後、この回の中ほどで突然ローマ軍と遭遇する。しかしこの戦いの指揮をとっているのはアブー・ウバイド でワリードは副官のように なっている。

今回はイスラーム軍が突撃し、ローマ軍は弓隊が迎撃するパターン。そしてクアッカーは単身でローマ軍の盾を飛び越え敵陣の真っ只 中に飛び降りローマ兵を蹴 散らすという、映画「レッドクリフ」の関羽のような無双というより無謀な活躍ぶり。番組時間にして5分程で終わってしまった戦闘 だった。

 その後相変わらずウバイド軍(ワリードもクアッカも参加している)は進撃を続けるが、ダマスクスとかホムスとか、有名都市を攻 略しているような場面が全然登場しないのだった。

 Die-Muthanna bin Haritha が軍に参加したようである。突然陣営で日干し煉瓦で土木工事をしている場面が出てくる。日干し煉瓦って結構大きいんですね。

 進軍中のナレーションでカディシーヤと出てきたから、そろそろ本格的なサーサーン朝への侵攻となるのだろう。
 第十一回は対した見所も無く終わった。アミール・ムウミニーンという言葉がしょちゅう登場するようになったから、きっとウマル の政策が次々と遂行されているのだろう。

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