イスラーム初期歴史ドラマ「Alqaqa Bin Amr Al tamimi」(4) カーディシーヤの戦い

  サーサーン朝崩壊の決戦となったカーディシーヤの戦いを扱った作品の紹介。

  2011年カタール製作「Alqaqa Bin Amr Al tamimi」の第十二話から第十四話。この三回は、サーサーン朝ペルシアとイスラーム勢力との決戦、636年のカーディシーヤの戦いとその後のクテシ フォン占拠までが描かれています。アル・クアッカー・ビン・アムル・タミーミーとは、”タミーミー族のアムルの息子クアッカー” という意味で、正統カリフ 時代初期の英雄の一人。タバリーの史書にも登場する実在の人物です。アブー・ウバイダやハリード・イブン・ワリード、サアド・イ ブン・アル・ワッカースな どと同じ世代の武将。彼は662年頃まで生きたようで、彼の人生を通じて正統カリフ時代を描く大河ドラマ。

第十二話

 これがクテシフォン。全然サーサーン朝の建築物っぽくない。推測だけど、CGではなく、リゾートホテルではないかと思う。まあ でもいいや。製作スタッフがクテシフォン(テロップには「マダーイン」とある)の映像を出しただけでも、うれしいところ。

 これがクテシフォン王宮の広間。中央奥に玉座がある。

 玉座から見た広間の入り口。手前に国王ヤズダギルドに報告をする兵士がいる。

 ヤズダギルド三(在632-651年)世陛下。直接家臣に顔を見せず、仮面で顔を隠して応対する。史実かどうかは知らないけ ど、なんとなくサーサーン朝っぽい。

 仮面の向こうの王の顔。

 王女(左)とヤズダギルド(右)。中央に拝火壇が見えている。

 これは何の写真だったか。。。忘れてしまった。

 ヤズダギルド三世と王女。サーサーン朝の帝王っぽ雰囲気が出ています。

 ヤズダギルド。

 王女と侍女達に囲まれる玉座のヤズダギルド。

 サーサーン朝王(キスラー)の宮廷とウマルの部屋が交互に何度も繰り返し写る展開。カーディシーヤの決戦に至る経緯が描かれて いるようである。

 ヒムス(現シリアのホムス。ダマスクスの北150kmの都市)の宮廷。

 ヒムスの王のようである。カーディシーヤの戦いとどう関係しているのかわからなかったが、後々この宮殿は、イスラーム軍の司令 部として利用されるようになる。

 再びクテシフォン宮殿。イスラーム軍の使節がサーサーン王宮を訪れ、ヤズダギルドが嘲って砂を贈り物として与えるエピソードの 場面。

 これがイスラーム使節達。右手手前の使節が首から提げている袋に砂が入っている。

 サーサーン王宮の柱。

 これはサーサーン軍総司令官ロスタムの部屋。

 これがロスタム将軍。

 これはヤズダギルドの娘だったと思うのだがロスタム将軍の妻かも知れない。記憶が曖昧。まあ、この画面ショットでアピールした いのは装束なので、誰でもいいや。取りあえずサーサーン朝の高貴な女性。

 ヤズダギルドの王座。

 砂を持たして返した使者の後、更にもう一度イスラーム軍の使者達がサーサーン朝王宮に来る。

  ロスタム将軍の帷幕に夜、ムスリムの武将が来て交渉したりしている。イスラーム側総司令官サイアド軍の帷幕ではヒーラ(ラフム王 国の都、クテシフォン近 郊)という言葉がでているので、既に戦場近くまで進軍してきている様子。帷幕にはワリード、クアッカーもいる。この場面でクアッ カとワリードが抱き締め 合っているから、恐らくワリードはシリアに残ることになり、カーディシーヤの戦いには参加しなかったエピソードだと思われる。

 進軍するムスリム軍。シリアからカディシーヤに出撃した模様。ロスタムが帷幕が映る。手紙を読んでいる。そばに妻が。こんな感 じでこの回は双方の陣営の場面の繰り返し。


 アブーバクルは部屋の場面ばかりだったが、ウマルは街中を歩き回る場面が出てくる。人々も「アミール・ムウミニーン」と呼ぶだ けで、特にひざずいたりとかしない。ウマルがマディーナの町中を気軽に歩いたというエピソードを描いていると思われる。


第十三話

 サーサーン朝方面軍総司令官サイアド(サアド・イブン・アビー・ワッカース)の司令部。彼はこの頃足を負傷していたので、ベッ ドに伏せたまま。

 上から見るとこんな感じ。

 カーディシーヤに陣取ったサーサーン軍。手前に六頭の象が配置されているのが見える。

 こちら対峙するムスリム軍。

 サーサーン軍。

 サーサーン軍の隊長と兵士。

 サーサーン朝の象軍。パラソルが印象的。

 これもサーサーン軍。「カーディシーヤ」とテロップが出ています。

 これはサーサーン軍総司令官ロスタムの帷幕。テントというより建築物のような感じ。屋根の上には塔のようなものまで見えていま す。

 ロスタムの帷幕内部。天井はテントのような布地ですがやはり中心に塔のようなものが。。。。セットではなく、リゾートホテルか なにかの休憩施設なのではないかと思うのでした。

 帷幕の中でふんぞり返るロスタム将軍。右と左隅にライオンか虎の彫像が見えています。他にも色々な備品が。ロスタムの演出で気 に入らないのが、落ち武者見たいに乱れた長髪の点。しかも最初からあまり自信が無さそうだし。

 戦いの冒頭で、まずは一騎打ち。ムスリム側からは下記人物が一騎打ちを呼びかける。

 応じてサーサーン軍からも騎士が出てくる。サーサーン軍側は歩兵が盾を連ねて陣営を固め、一騎打ちの騎兵が出てくる時に盾を 割って出撃する。騎兵の装備はこんな感じ。

 イスラーム軍から出てきたのはタミーミー一族のひとり。その名前を聞いてペルシア騎兵は退却して笑いものになるのだった。下記 はサーサーン朝側の隊長のひとり。この化粧ぶりがサーサーン軍ぽくっていい感じです。

  これは戦場からクテシフォンの王宮まで連綿と立てられた伝令。戦況を王宮に伝え続ける。声を張り上げて、次の伝令にメッセージを 送っているところ。遠くに 次の伝令が映っている場面も出てきますが、だいたい5,600m間隔のようです。カーディシーヤから王宮まで400人くらいとい うところでしょうか。


 戦闘開始。サーサーン朝軍は象軍が進撃。

 象が鼻をつかって器用に槍を、乗っている兵士に渡しているところ。兵士は象の鼻を坂のように駆け上がって象の背に乗るんですね え。

 サーサーン軍の隊長のひとり。装備が参考になります。

 象の上から弓を射るサーサーン兵士。クテシフォン宮殿の概観の映像はいまいちだったけど、軍隊の映像はよさげな感じ。


 一日目は終了。夜の場面は無かったが、ムスリム側が体制を立て直しているので、以降の場面は二日目だと思われる。また急援軍が 到着(クアッカーの軍)している。クアッカー軍の登場に、ムスリム軍側はアッラー・アクバルの大歓声!

 一騎打ちを挑むクアッカー。

 ペルシア側は盾をたたいて応援する。盾を叩いて応援するのは映画のローマ軍によく登場するが、サーサーン軍もそうだたのだろう か。

 一騎打ちの場面。かっこよさげなショットですが、ペルシア兵はあっさり敗れるお約束の展開。

 夜になる。まだ優劣は決していないのに、うな垂れてるロスタム将軍が映る。長髪が乱れて本当に落ち武者に見える。

 四日目。ムスリム軍の服は白地なので、返り血が目立つ。

 クアッカーと最初の一騎打ちに出てきたタミーミーはともに象の右目、左目に向けて槍を放つ。どうやって撮影したのだろうか。象 役の象も大変そう。

 象の鼻を切り落とすムスリム兵士。

 象軍が破られ、サーサーン軍は総崩れとなる。下記は、討ち取られる直前のロスタム将軍。

 ロスタム死去が伝令で王宮に伝わる。天を仰ぐ国王。

 ムスリム軍総司令官サイアドは勝利の手紙を口述筆記。その手紙をマディーナで受け取ったウマルは、勝利をアッラーに感謝するの だった。こうしてカーディシーヤの戦いは終わった。

 その後10分くらい、マディーナの町の様子やサーサーン王宮の様子が描かれ(どうやらこの間に、クテシフォンまで進撃すること が決定した模様)、粛々と進軍するムスリム軍の映像にナレーションがかぶる。

  続いて次の戦い。テロップは”クーシー”という場所のように思えるがどこのことか不明(タバリーの史書の目次を確認したけど、 カーディシーヤの後はシリア 征服の記載となり、クティフォン征服前に目次のある戦いはバビロンとブルスという二つの都市の征服戦だけ。装備からすると明らか にペルシア系なので、属国 か地方軍なのかも。ヤマーン・ザミーンという言葉が出ているから、イエメンなのかも。イエメンのサーサーン軍は632年に征服さ れ、ムハンマド死後の再征 服も634年に行われているので、辻褄が合いませんが、そのうちわかるかも。

 ムスリム軍側にはクアッカーもサイアドもズバイダもおらず、司令官は黒人。下記はペルシア側司令官。

 各々の司令官が一騎打ち。そしてあっさりムスリム武将の勝ち。

 戦闘にはならず、一騎打ちで終わる。


第十四話

 最初の10分はマディーナの様子やヒムスの王宮が映るなど、あまり遠征と関係なさそうな場面が主に続き、その一方で、ワリード とクアッカーが会話しているので、ワリードと再び合流したのだろう。ズバイダとワリード軍はシリアに進軍する。

 クテシフォンへ向けて疾駆するイスラーム軍。

 クテシフォン王宮では、守備隊長のような人が退避をすすめ、王は首都退避に反対しているような場面。

 退避が決まり、荷物を持ち出す役人を眺める侍女(か娘)。この後、国王は脱出。

 サーサーン人が退去し空となったクテシフォンの宮殿に入城するムスリム軍。宮殿の入り口を入り、巨大な広間を見上げているとこ ろ。

 この城でワリードが軍議を開いている。イラク方面ではなさそう。 إِياياء(イリヤ)と読める気がするが検索しても一語もヒットしない。

 そしてそこになんとウマルがやってくる。ウマルがやってきた場所とはどこか。ワリード、スバイダがウマルを出迎える。よく見る と、ズバイダの横にはアムル・アース(後のエジプト征服司令官)もいる。

キリスト教司祭が登場。知名のテロップが出なかったので、どこかは不明。


イラクの砦jalawla(ジャルラ)攻撃場面でこの回は終わる(ジャルラ攻撃は第十五話で引き続き描かれる)。
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