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2020/Mar updated

ビザンツ帝国 主な史書資料一覧



 
 

 ビザンツ帝国の史書資料は殆どが教会関係者が記載した歴史書か年代記で、殆どがギリシャ語で記載されていま す。 ビザ ンツ史は日本ではマイナーな為、殆ど邦訳がありません。幾つかの資料について邦訳を進めているサイトがありますが、一番面白そうな 「秘史」、有名な「帝国 統治論」などを日本語でも読めるようになって欲しいものです。
 
 一覧を見てみると、概ね全期間についてカバーされている様です。しかしところどころ薄い部分(7、8世紀、バシレイオス2世時代) などがあるのがわかり ます。また、これらの資料は皇帝とコンスタンティノープル中心に記載されている為、地方の状況は考古学資料やここに記載のない、更に 細かい引用でのみ残る 断片や、史書以外の原資料(法律書や農業書、行政文書、手紙、外国の資料)などを動員して歴史像を再構成することになるようです。


 
カエサレアのエウセビオス (265-340年) Ekklesiastike historia /Eclesiastical History  「教会史」
        対象 324年までの教会史  「教会史」 (秦剛平訳、山本書店刊) 、「コンスタンティヌス大帝伝」 (京都大学出版会)

サルディスのエウナピオス(Eunapios of Sardis )(346-414年)
        対象 270-404年 断片

テーベのオリュンピドロス Olympidoros of Thebes
        対象 407-27年 断片

ゾシモス(Zosimos) 「新しい歴史」 Historia Nea /New History   
        対象 アウグストゥス-410年 特にディオクレチアヌス以降

ソクラテス(Sokrates Scholastikos  379-440年) Ekklesiastike historia /Ecclesiastical History   「教会史」
        対象 306-439年

ソゾメノス(Sozomenos )(400-450年) Ekklesiastike historia /Ecclesiastical History  「教会史」
        対象 324-440年

キプロスのテオドレット(547年頃)「教会史」 Ekklesiastike historia / Ecclesiastical History
        対象 325年-428年

プリスコス(Priskos) 5世紀 断片
        対象 433-468年

総監マルケリヌス(-534年)Marcellinus Comes 『年代記』
    対象 379-534年 ラテン語

プロコピオス( -565年)
        「戦史」「秘史」「建築について」(「建 築について」英訳書はこちら)  552年までのユスティニアヌス時代
    (一時「戦史」が京都大学出版会から翻訳予定 とされていたが、現在は不明)。
    「秘 史」の英語版書籍はこちらオ ンラインソースはこちら
         「プ ロコピオス『秘史』 ―翻訳と註(1)」橋川裕之・村田光司訳註(以下(3)までで全訳完了。
    『秘史(京都大 学学術出版会)』和田廣訳

「年代記」 Chronographia
      作者 ヨハネス・マララス アンティオキアの人 490頃-570頃
      対象 563年までの世界の歴史
      特徴 マララスとはシリア語でマララ、雄弁家の意味。アナスタシウスからユスティノス2世の時代の人
      時代錯誤、伝説、一貫しない記述はその後のビザンツスタイルとなった。 英 語訳はこちらこ ちら

ミリナのアガシアス Historiarum Libri Quinque   
        対象 552-559年 「歴史」 プロコピウスの後継

メナンドロス
      対象 559-582年 「歴史」 

テオフュラクトス・シモカッテス Theophylakt of Simokatta  (580-641年) 「歴史」 
      対象 582-602年 英 訳書はこちら

エヴァグリウス(Evagrius) 536-595年 「教会史」
     対象 431-594年

John of Epiphaneia (6-7世紀)
     対象 572-  断片

「ニキウのヨハネス年代記」
  作者 エジプトのニキウの僧侶ヨハネス 7世紀後半の人物 
  対象 天地創造から7世紀後半
  特徴 基本的にギリシャ語で書かれているが、エジプトについてはコプト語で記載されている。
      フォーカスの没落とヘラクレイオスの継承、7世紀のエジプトについては他では見られない。

セベオス(アルメニア人) 
  ペーローズからササン朝滅亡まで。ホスロー2世時代の対ビザンツ戦争についての重要資料。英訳サイトはこちら英 訳書はこちら

「復活祭(過越蔡)年代記」( Chronicon Paschale )
      7世紀初 作者不明 英 訳書はこちら

「教皇伝」

エフェソスのヨハネスの年代記

「簡約歴史」 Historia Syntomos   Nikephoros, Pat
     作者 ニケフォロス  9世紀?
     対象 602-769年

The Chronography of George Synkellos: A Byzantine Chronicle of Universal History from the Creation。英 訳版書籍はこちら

   対象 天地創造-810年

ニケフォロス 年代記 Chronographia
     対象 アダム-829年

George Monachos  Chronicle
     対象 アダム-842年

「テオファネス年代記」  Chronographia
    対象期間  284-813年 特に602-813年
   作者 修道士テオファネス 752-818年
   特徴 7-8世紀の重要資料  ニケフォロスの10大悪政などはここから知れる。邦 訳サイトはこちら英 語版書籍はこちらおよびこ ちら

「ヨセフス・ゲネシオス皇帝年代記」(Basileiai / Regum Libri Quattuor ) Joseph Genesios  (912-959年)
      対象 7世紀-886年

「シュメオン・ロゴテデース年代記」(chronicon)
   対象期間   アダム-944/8年
   作者 シュメオン(官僚または貴族らしい)10世紀後半
   特徴  テオファネス年代記以降の時代の重要資料。教会スラブ語にも翻訳された。
        この年代記は幾つかの写本となって現存している。「テオドシオス=メリテノス年代記」、「レオン=グラマティコ ス年代記」、 「続ゲオルギオス年代記A」、「続ゲオルギオス年代記B」、「偽シュメオン年代記」などがある。それぞれの写本は異同がある。 邦 訳サイトはこちら

「続テオファネス年代記」 Theophanes Continuatus
  対象 813-963年(第1部813-867 第2部867-886 第3部886-948 第4部948-961年)
  特徴

「歴史」 (Historia)
  作者 レオン・ディアコノス Leo the Deacon   宮殿の輔蔡 11世紀
  対象 959-976年
  特徴 ヘロドトス風の描写 英 訳書籍はこちら

John Skylitzes  Synopsis Historiarum
 対象 811-1057年 英 訳書籍はこちら

Skylitzes Continuatos Historiarum Compendium
 対象 1057-1079年

George Kedrenos  Historiarum Compendium
 対象 -1057年

「プセルロス年代記」 Chronographia  Michael Psellos  1018-1080年
 対象 976-1078年
  特徴 11世紀の著名な文人 プセルロス記載の年代記。 邦 訳サイトはこちら。バシレイオス2世時代について重要。 英語版書籍はこちらオ ンラインソースはこちら

「歴史」 (Historia) Michael Attaliates
 対象期間 1034-1079年
 作者 ミカエル・アッタレイアテス  11世紀 シリア人。英 語版書籍はこちら

「アレクシオス伝」 The Alexiad  Anna Kommena 1083-1150年
 対象 1069-1118年
  特徴 アレクシオスの実子 アンナ・コムネナによる父親の伝記。身近な関係者による記述である為、都合の悪いことは隠す姿勢は避 けら     れないが、 家族しか知り得ない情報もあり第1級の資料。2019年12月日本語訳『ア レクシアス』発売。 英 語版書籍はこちらオ ンラインソースはこちら

ヨハネス・ゾナラス John Zonaras  「歴史概略」  Epitome historiarum 11世紀後半から12世紀中頃
 対象 アダム-1118年 年代記
 特徴 アレクシオス時代、皇帝のボディガードであり公文書館の秘書官だったが、引退後、 Hagia Glykeriaの修道士となり年代記を執筆した。 英 訳書はこちら
 
Nicephoras Bryennios  Materials for a History,  アンナコムネナの夫
 対象 1057-1080年

John Kinnamos  Epitome 1143頃-1185頃
 対象 1118-1176年 英 訳書はこちら

Eustathios of Thessalonica The Capture of Thessalonica  -1194-
 対象 1185年

Annals Niketas Choniates  b. c. 1155-1215/16
 対象 1118-1207年 英 訳書はこちら

「歴史」 ニケタス・コニアテス Nicetas Acominatus
  対象 1180-1206年 
  特徴 十字軍のコンスタンティノープル陥落の資料として重要

George Akropolites  1217-1282年 Chonike Sungraphe
 対象 1203-1261年

George Pachymeres   1242-1310 年頃 De Michaele et Andronico Paleologus
 対象 1255-1308年

Nikephoras Gregoras  Romaike Historia  1295-1359年 
 対象 1204-1359年

Historiarum   John Kantakuzenos  1292-1383 年
 対象 1320-1357年

Leontios Makhairos  15C Recital Concerning the Sweet Land of Cyprus
 対象 1359-1432年
 


その他

ヨハネス・リュドス John the Lydian 『官僚について』(6世紀)

「メナンドリ・プロテクトリス・フラグメンタ」 6世紀の史家メナンドロスの断片。
  東ローマと西突厥の間の3度の使節(ソグド人マニアク(568年)、ゼマルコス(568年)、ウァレンティノス(576年 ん)の旅行記が残存している。内藤みどり著『西 突厥史の研究』pp376-95に訳注がある。

「戦略論」

 マ ウリキウス帝(在582-602年)による戦略論。英 訳書はこちら

「モネンバシア年代記」

  対象期間 6-9世紀
  作者  モネンバシア在住者 10-11世紀
  特徴  アヴァールやバルカン半島のスラブ化。邦 訳サイトはこちら

「コンスタンティノープル市通覧」 5世紀 (425年頃)
「コンスタンティノープル史跡案内(史蹟案内)」 八世紀

「戦 略論」 レオン6世(在866-912年) 英 訳書はこちら

「コンスタンティノープル案内記」 ハルン・イブン・ヤヒュア 10世紀初

コンスタンティノス7世ポリフュロゲネトス著作
 「帝国の統治について」 De Administrando Imperio (英 語ギリシア対訳版はこちら
    『古代ロシア研究』にロシアの地誌に関する部分の邦訳あり

      第 6号(1965年5月)『帝国統治論』
            第 7号(1966年9月)『帝国統治論』(U)
            第 9号(1968年8月)帝国統治論[III]
            第 15号1983年9月)帝国統治論[IV]


 「儀礼について」 DeCeremoniis
 「テマについて」 De Thematibus

ク レモナ司教リュートプラント著作 英訳はこちら(Amazon はこちらネッ トテキストはこちら)。 2019年12月『コ ンスタンティノープル使節記』日本語訳発売。

ニケフォロス2世 「戦術書」

キエフ年代記(歴 史デジタルクワルナフのサイトに現代語訳があります。リンク先のキエフ公国->『キエフ年代記』の現代語訳(試し)  
 

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