2016/Jan/24 created
2017/Aug/19 updated
ルーム・セルジューク朝時代の歴史冒険活劇ドラマ
『エルトゥールルの復活』(2014年-)第一話から第十二話


 トルコのドラマ原題Diriliş "Ertuğrul"(復活"エルトゥールル)。2014年12月10日から毎週水曜日放映中。第一シーズン2015年6月17日まで、第二シーズン 2015年9月30日から現在(2016年1月)まで放映中。テレビ局はトルコのTRT1。オスマン帝 国開祖の父親、エルトゥールルを主役とした冒険活劇です。人気ドラマ『壮麗なる世紀』に続く二匹目のドジョウ狙いが ありありとわかるドラマ仕立てですが、エルトゥールルは実在は確認されているものの、エピソードが殆ど判明していな いことから、自由な発想で物語を製作でき、歴史的要素は後退し、冒険活劇の要素が前面に出ている娯楽作品となってい ます。

 一話あたり毎回ほぼ約2時間15分あり、『壮麗なる世紀』が1時間40-50分だったのと比べると、30分も長く なっています。毎回冒頭の10-15分くらいは、前回のあらすじとオープニングであるため、実質2時間の放映です が、とても見ている時間は取れないため、画面ショットとあらすじメモをとりつつ1話あたり1時間以内で 視聴できるよう、早送りしながら視聴しました。そのため、登場人物紹介画像が、顔がわ かりにくいものや重複も出てしまいました。当初は、全話見る気はまったくなく、ルーム・セルジューク朝の最盛期カイ クバート二世時代(在1219-37年)(物語は1225年から開始)を扱っているとのことで、ルーム・セルジュー ク朝を見たくて視聴したものです。私は、ルーム・セルジューク朝や、続くベイリク時代の政治史や通史には殆ど興味は ないのですが、11世紀から14世紀の間の時代のアナトリアが、いつ、どのようにビザンツ的景観からトルコ・イスラ ム的景観に変遷したのか、ビザンツ的農村と都市景観が、いつどのように、どの地域から遊牧的になったのか?について は大いに興味があるため、何かヒントとなるものが得られるのではいかと思い、試しに少し視聴したところ、第一話はつ まらなかったものの、取り合えずアレッポの映像が登場する第二話まで見てみたところ、以降面白さに引き込まれ、第一 シーズンについては(早送りして半分の時間しか視聴してな いものの)一応現時点までの放映分(2016年1月迄)は全部見てしまいました。今回から3回にわたりあらすじを紹介しますが、第二シーズンは、視聴して ない回もあります。冗長な 演出と同じパターンの繰り返しが多く、見なくても筋が混乱することはまったくないからです。

 第一シーズンについては、『壮麗なる世紀』並みの面白さでした。『壮麗なる世紀』との相違をあげるとすると、「息 抜き場面」が殆どなく、全編緊張した展開がつづきます。例えば、『壮麗なる世紀』では、宮廷料理長と宦官長スング ル・アーのかけあいや、武官マトラクチェが市場や酒場に出入りしたりと、筋に関係ない場面が一定間隔で差し挟まれて いたので、他の作業(例えばブログ記事の作成や、場合によっては仕事など)をしながらBGM的に流しておいて、重要 な場面だけ視聴する、という方法が取れました。一方、『エルトゥールルの復活』の方は、息抜き場面がまったくといっ ていいほどなく、登場人物も多く、筋も複雑で、場面転換も多く、冗長な演出も少ないため、少しうっかりしていると筋 がわからなくなる、というほどの密度の濃さであるため、集中して見ざるを得ず、そうはいっても80時間(視聴した 1/9-11の三連休当時40話目)もこれに費やすことはできないので、早送りしながらなんとか3日間40 時間程度で視聴を終えることができました。また、『壮麗なる世紀』は、だいたい平均5話で1年分の展開を見せている ことと、オスマン朝最盛期の宮廷ドラマであることから、オスマン史の概要書籍にも登場するような重要な事件(著名な 戦争や要人の死亡)が多数登場するため、その回の見当がつけやすく、重要事件の回の前後だけ視聴すればよかったので すが、本作『エルトゥールル』は史実が殆どわかっていないことから、史実性に捕らわれず自由に脚本が書けたと思われ ることから、脚本の出来具合としては、『壮麗なる世紀』を上回るほどよくできていると思えるほどで、だれた回はほと んどな く、前半(12話まで)張り巡らせた複線やこじれた人間関係や陰謀が、後半段階的に見事に収束してゆく様には唸らさ れました(ご都合主義的な部分もありますけど)。よくできたドラマです。これと比べると、セカンドシーズンの前半は 別のドラマかと思うほど酷いのですが、 『壮麗 なる世紀』も抜群に面白かったのは20話ぐらいまでで、その後はマンネリ展開が多くなったことを省みれば、面白いド ラマは20話(40時間)くらいまでが限界なのかも知れません(『壮麗なる世紀』も、毎回見ていたのは40話の ウィーン包囲の回まででした(※その後第二シーズンを見進めたところ、35話あたりから面白くなってきました)。

 私は、『壮麗なる世紀』は是非、日本でも視聴者が広まって欲しいという思いで何度か紹介記事を書きましたし、ネッ ト でも、視聴した日本の方が面白い!と絶賛しているのを幾つも見ましたが、本作については、たしかに面白いけどお奨め したい とはあまり思わないのでなぜだろうと考えてみるに、『壮麗なる世紀』は、後半ワンパターンで、あきらかなテコ入れキャラの頻出などだらだ ら展開になっても、スレイマン、ヒュッレム、ヴァリデを演じた主要役者の演技とキャラの個性が傑出していてドラマ自 体を 引っ張ることができていたように思えますし、内容自体、オスマン朝最盛期のスルタン・スレイマンという、メジャーな 題材です。一方本作は、エルトゥールルが主人公とはいえ、群像劇に近く、『壮麗なる世紀』ほどアクの強いキャラが少 なく、ルーム・セルジューク朝の歴史が描かれるわけでもなく(ルーム・セルジューク朝は役人と辺境総督くらいしか登 場しない)、歴史作品につきものの大規模な合戦場面があるわけでもなく、基本的には陰謀とアクションが程よく融合し た活劇であり、更に歴史ドラマとはいえない致命的な改変部分もあります。IMDbには3件レビューが書かれていて、 最初のレビューに、「史実性まるでなし。映像はアッサシン・クリード。酷すぎる」てなことが書かれていて、第一話を 見る限りその通りで す。女性達の民族衣装は、一部『壮麗なる世紀』のような、現代デザイナーの創造によるファンタジーデザインが登場 してしまうこともありますが、基本、史実性の高そうな民族衣装で、このあたり、漫画『乙嫁語り』で中央アジアの民族 に興 味を持った方にはヒットするかも知れませんが、生活描写はあまり多くはなく、『乙嫁語り』のようなほのぼの展開もあ りません(反対に『壮麗なる世紀』の後宮女性陣の争いのようなどろどろも、1人を除いてほぼなし)。

 総じて、史実の確認できる事件が登場するわけでもないので、歴史ドラマとは言いがたいから、歴史ファンにはお奨め できないし、中世的冒険活劇ファン向きには、中世西欧ベースのファンタジーものが多数日本語字幕版で出ていますか ら、わざわざこれをアピールする必要もありません。ただ、IMDbの評点が9点台という高得点をた たき出しているドラマ、という意味で、トルコ人はこのようなドラマを喝采するのだ、ということを知りたい人には役立つかもしれませんし、一部歴史改変部分 があるとはいえ、史実性もちゃんとあるので、ニッチな歴史ドラマに 時間を消費するほど何かに飢えている方にはお奨めかも知れません。13世紀のトルコを描いた作品ですと、この時代より少し後になりますが、1280年以降 のオスマン1世の生涯を描いた1987 年の映画『Kuruluş(建 国)』の方が歴史作品として はお奨めです(『Kuruluş』に比べれば、本作の殺陣は格段によくなっていますが、一方、最近のトルコ人は乗馬が縁遠 くなったのか、騎馬の迫力は格段に落ちています)。

 問題の歴史改変部分ですが、実のところIMDbのレビューアが言うほど酷くはありません。トルコ南西部のタウルス 山脈山中にテンプル騎士団(悪役)の城があり、この城を根城にコンスタンティノープルまでの小アジアを征服する、と いう教皇と神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世(在1220-50年)の陰謀が背景にあり(ただし教皇もフリードリヒも 台詞の上で言及されるだけで、映像には登場しない)、もしかしたら、テンプル騎士団の城がタウルス山中にあったかも 知れない、とは言えそうな程度です。より大きな問題は、当時タウルス山脈から南東部分を支配していたキリキア・アル メニア王国がまったく登場していない点ですが、トルコとアルメニアの政治問題を考えると、悪役としてアルメニア王国 は登場させられない、ということのようにも思えます(※2017/Aug追記、テンプル騎士団城のモデルは、キリキ ア・アルメニア王国のヴァフカ要塞ではないかとい気づきました。後述)。あとは、当時ラテン帝国の支配下にあったコ ンスタンティノープ ルに、本作の設定では正教徒の政権が存在しており、そこを含めてタウルス山中のテンプル騎士団が征服計画を実行して いる、というところぐらいでしょうか。こうした歴史的要素もあるので、時代劇とも言い切れず、とはいえ歴史ドラマと もいえそうもないので、歴史冒険活劇、と記事のタイトルに入れてみました。(※2017/Aug/19 更にその後 気づきました。アルメニア王国が登場していないのは、トルコ政府の建前では、現在のトルコ共和国の領土内には、「も ともとアルメニアは存在していなかったことになっている」からだと気づきました。末尾注参照)。

 以下、第一シーズンを、12話までの今回と、26話までの次回、第二シーズンの次々回と三回に分けて登場人物とあ らすじをご紹介したいと思います(TRT1のサイトにも各話の あらすじ紹介がありますが、ほとんど役に立たちません。これにルーム・セルジューク朝が正面きって登場 しているようなことが書いてあったので、どこかで登場するのかと期待して見続けてしまった、というのもあります)



〜主要登場人物〜

 左が一応ヒロインのハリ メ・ハトゥン(後半、ハリメ・スルタンと呼ばれる)。ルーム・セルジューク朝の王子シャーザーデの娘 (Wikipediaではルーム・セルジューク朝の王マスウード二 世の娘とされているが、マスウード二世はルー ム・セルジューク朝の王として1284-1307年の在位なので、年代が合わないので本作えは別の人物 の娘とされている(本作は1225年か ら開始しているので、この時ハリメ15歳と仮定したとした場合、マスウード2世は1195年頃の生誕となり、とても1307年ま で生きたとは思えない)。その右の2枚は主人公エルトゥールル。普段の服装はロビン・フッドのよう。右から4枚目 は、エルトゥールルの兄グンドゥルド。ともに、中央アジアから移住してきたトルコ民族のカイ族の族長スレイマン シャー (右端)の息子。後継者争いをしているが、基本仲がよく、深刻な対立にはならないところが、陰謀あふれる本作中での 救い(二人には年の離れた少年の三男ジュンダルもいる)。右から2枚目は、イスラム神秘主義思想家イ ブン・アラビー(1165-1240年)。実在の人物で、後のオスマン家が崇める教義に大きな影響を与 えた。その左はスレイマンシャーと血盟を結んだ義兄弟コルドール。カイ族と敵対する勢力と結託し、スレイマンシャー の後釜を狙う 陰謀をめぐらし続ける、カイ族にとっての獅子身中の虫。グンドゥルドの嫁の義父でもある。

 

 女性陣。衣装は史実性が高そう。小アジアやバルカン半島でも現在まで残っている民族衣装に近い。左端は、スレイマ ンシャーの妻ハイメ・アナ。その右コルドールの義理の娘ギョクチェ。エルトゥールルに片思いしている。その右はコル ク ト・ベイの妻(第二シーズンで登場)。衣 装 がよかったので撮って見ました。右から三枚目はハリメ・スルタン。その右コルドールの義理の娘でグンドゥルドの妻、ギョク チェの姉サイジャン。唯一『壮麗なる世紀』の後宮的展開を見せる人物。右端はハリメ・ハトゥンの衣装。素敵なので とってみました。鍛冶屋の親父の娘アイクスは後述。アイクスは武勇に も秀で、性格も良い。ギョクチェとも仲が良く、普通ならギョクチェのライバル、ハリメをいじめるところだが、逆に部 族にやってきてばかりで溶け込めないハリメの面倒を見る(転校生の面倒を見る頼りがいのある学級委員長みたいな感 じ)。



  右端、グンドゥルド(既出)。その右、エルトゥールルの幼馴染で側近トゥル グッ ト。アイクスと恋仲。エルトゥールルの側近は他にトガンとバムシがいる(後述)。中央、テンプル騎士団のアザム師団 長の片 腕ティトス。本作最大の悪役。その右カイ族とは別のトルコ部族ドドゥルガ族の族長コルクト。シーズン1では殆 ど登場しない。右端は、ルーム・セルジューク朝の隠密アフシン・ベク。



 下左端、ギョクチェ(既出)、その右、カイ族の定住地一帯を管轄するセルジュー ク 朝の代官。名前は不明。彼は、後述する、カラトイガルという悪代官の後任として赴任する(あまり重要人物ではない。殆ど登場しない)。その右、ハリメ・ハ トゥン の父親で、ルーム・セルジューク朝の王子シャーザーデ・ヌーマン。宮廷の権力争いに破れ、親子ともども追放されたと いう設定。中央は、鍛冶屋の娘アイクス。トゥルグットの恋人。その右トゥルグット(既出)、その右バムシ、右端、ト ガン。トゥルグットと バムシとトガンの関係は、三国志の劉備、関羽、張飛の関係だと思えばOK。エルトゥールル、グンドゥルド、トゥルグットとバムシとトガンは、無双といって い いほど強く(敵側の十字軍兵士が弱すぎるというのもあるが)、決して裏切 らない信頼関係で結ばれている(若い頃のスレイマンシャーとコルドールも似たようなものだったのだろうから、生 涯友情が続くとは限らないが)。アイクスの父親の鍛冶屋の画面ショットだけないが、容貌は『銀河鉄道999』のアン タレスの親父そのもの。リアル・アンタレスだと思えばOK。



 悪代官カラトイガル。非の打ち所のない悪者ぶりだったが、中盤ちょっと変わる。帽子のエンブレムが、セルジューク 朝代官の印(上左から二人目と同じエンプレム)。下の宮殿は、カラトイガルの城館。テロップにはキャラバンサライと 出ていますが、この番組で登場する代官の居城と隊商宿が同一である場面が登場していないので、本記事では、代官の居 城として登場しているキャラバンサライは、城館、宿のキャラバンサライは隊商宿、と記載しています。



 最後。右側は、テンプル騎士団城の師団長ウスターディ・アザム(Üstad-ı Azam)。書きにくいので以下アザム師団長と記載する。彼はアラビア語の文献をラテン語に翻訳したりしている。アリストテレスを読んでいる(もしかした ら、アラビア語から翻訳した書籍がアリストテレスなのかも知れない)。左は、テンプル騎士団城の会議室。典型 的な十字軍装備。



 他にも中途で登場する人物はいるが、シーズン1に一貫して登場する人物はだいた い上記の通り。簡単に敵味方をまとめておきます。

カイ部族とその味方
 族長スレイマン・シャー、グンドゥルド、エルトゥールル、トガン、トゥグルット、バシム、鍛冶屋の親父、イブン・ ア ラビー、クラウディウス(テンプル騎士団員/14話以降登場)、アザム師団長の身内イザドラ(10話以降登場)、ア レッポの宰相シャハベッティン、ルーム・セルジューク朝隠密アフシン・ベイ

テンプル騎士団とその味方、共謀者
 アザム師団長、ティトス、枢機卿トマス、間諜エスマ、アレッポの宰相ナーシル、カイ族のコルドール、ルーム・セル ジューク朝代官カラトイガル

その他仲の悪い関係
 アイクスvsサイジャン・ハトゥン(サイジャンがアイクスを一方的に嫌っているだけ)

その他重要人物
 アイユーブ朝アレッポ太守(アミール)ア ル・アズィース・ムハンマド(実在の人物、アラディンの孫。太守在任1216-36年、以下アミー ル)、アミールの妹レイラ、ルーム・セルジューク朝の王子シャーザーデとその息子イイット

名前だけ登場する実在の人物
 教皇、神聖ローマ皇帝フリードリッヒ2世、カ イクバード1世(番組中では"アラーウッディーン"の名で言及される)


以下、あらすじです。

〜背景〜

 中央アジアから進出してきたトルコ族のセルジューク朝は、1055年バグダードを占領し、王朝を確立、1071年 マンジケルトの戦いでビザンツ軍を破り、小アジアの内陸部を殆ど手中に収めた。しかしその後、イランのセルジューク 朝本家は分裂し、13世紀には、小アジアでルーム・セルジューク朝という、ビザンツ(ローマ(ルーム))を継承した 分家が勢力を拡大し、カイクバード1世(在1219-37年)の時代に小アジア内陸部全域を手中に収めた。一方 1096年以降中近東を占領した西欧十字軍は、1204年にビザンツ帝国を滅ぼし、ラテン帝国を樹立、旧ビザンツ 諸国の領土を占領すべく拡張政策をとっていた。その頃、中央アジアへモンゴル帝国が襲来し、中央アジアで生活してい たトルコ族の一部族であるオグズ族の一部はモンゴルの侵攻を避け西方へ移住を開始し、小アジアに至った。オグズ族は 更に24部 族に分かれ、そのうちのスレイマンシャーに率いられたカイ族が本作の主人公である。本作では、カイ族は、以下の地図 (Googleより)の北東のルーム・セルジューク朝の辺境でアフシン(Afsin(多分アフシン・ベイの名はこれ を採用したのかもしれない)のあたりに定住し、放牧や製造した羊毛製品や工芸品を売り生計を立てていた。一方、以下 の地図のメルスィンからアダナ北方を通り、カフラマン・マラシュのあたりまでタウロス山脈という険しい山脈があり、 この山中にテンプル騎士団の一派が城を築き、勢力拡張を図っていた。番組中登場する場所はほぼ、カイ族の集落、テン プル騎士団の城(以下テンプル城)、アレッポ、カイ族を管轄するルーム・セルジューク朝の代官の城、隊商宿の4箇 所。





 ひょんなことから、ルーム・セルジューク朝の王子親子を匿うことになってしまったカイ一族は、テンプル騎士団の騎 士ティトスの弟を殺害してしまったことから恨まれ、テンプル騎士団の攻撃を受けることになり、アラブ系王朝アイユー ブ朝のアレッポ付近に移住することになる。アレッポは大都会で、勢力もあるが、テンプル騎士団の山中の城は数百名程 度、カイ族も千名程度と、スケールは小さい、辺境地帯での争いの物語であるが、かえってスケールを大きくしないとこ ろが、当時のカイ部族にとっての世界を比較的歴史的等身大に描いていると言えそうである。


〜あらすじ〜

第一話

 1225年。主役のエ ルトゥールル(1198-1281年)はロビン・フッドのような容貌。仲間(トガン、トゥルグット、バ ムシ)等と狩に出ている時、森の中で、テンプル騎士団に護送されるルーム・セルジューク王家の王子シャーザーゼとそ の娘ハリメ・ハトゥン、その弟イイットを救い出す。テンプル騎士団を襲うところは、イングランド王を襲うロビン・ フッドか、映画『ブレイブハート』でエドワード 一世配下のイングランド兵を襲うウィリアム・ウォレスという感じ。エルトウールルが討ち取った護送隊のリーダー は、テンプル騎士団城のリーダーのひとり、ティトスの弟だったことから、カイ族は、セルジューク王族の奪還だけではなく、ティトスの個人的な恨みを買うこ とになる(思うに、単純にハリメ達を奪取して騎士団を追い払うだけでよかったのに、護送にあたっていた十字軍兵士を 逃走を図った者までも含め、全員殺害してしまったことが、この後の騎士団とカイ族の長きにわたる抗争の元になったわ けで、エルトゥールル達がやりすぎたのでは。。。。と思わずにはいられない。史実上十字軍は侵略先で虐殺を行なって いるが、少なくともこの番組では、付近の住民が十字軍に虐待・虐殺されている場面は、第一話でテンプル城内でルー ム・セルジューク朝の兵士と思われる捕虜数名を斬首する場面ぐらいしか出てこない。あとは25話で城内の牢獄に地元 民らしき人々が囚われていたことがわかる程度である。番組上悪役は騎士団とその共謀者で、彼らは多くの陰謀を行な い、その過程で殺人も行なうが、番組中圧倒的に殺害数が多いのは、カイ族側にしか見えない)。

 以下がテンプル城。深い峡谷の断崖上にあり、正門前の橋が峡谷にかかっている。



(以下は、モデルにしたと思われる、キリキア・アルメニア王国のヴァフカ要塞(Vahka))


 IMDbのレ ビューアがアッサシン・クリードだと酷評した場面。まさに中世ファンタジーゲームに登場しそうな要塞。 情勢説明は、冒頭、エルトゥールルの兄が、妻に羊皮紙に書かれた地図を説明するところで、スルタンの都コンヤが 台詞の上で登場するくらいで、キリキア・アルメニア王国やテンプル騎士団、ビザンツ帝国の説明はなし。

 テンプル騎士団ではアザム師団長がティトスに今後の計画を説明する。プトレマイオス地図のジオラマが登場し、 司教がワインをアナトリアと中近東付近にこぼして 「コンスタンティノープルまでの地域全部を征服するのだ」と宣言する。以下左画像の右の人物がティトス。左は(確か)エレオノーラという女性だが、特に重 要人物ではなく、第一話しか登場せずに終わった。下右が騎士団作戦室に設置されているプトレマイオス地図のジオ ラマ。左下がアフリカ、右下がアラビア半島、中央部が地中海。エルサレムのところにイタリア語で Gerusalemmeと書いてある。



 エルトゥールル一行は、彼らの身分を知らずにカイ族の集落に連れ帰る。以下はカイ族の集落。右は遠望、右上に 遊牧民の天幕の群れが見えている。右下の中央3つのテントが族長スレイマンシャーの天幕。この3つは、連結して いて、それぞれを繋ぐ出入り口で繋がっている。中央が広間で、左右が寝室など個室となっている。青い旗には「
IYI」 というカイ族のシンボルが縫い込まれている。「IYI」の意味を知りたいところ。当初は、このように、旗の間はただ の地面だが、その後移住した先では、族長の天幕前は舗装されるようになり、段々富裕となり、勢力が拡大してゆく様子 がわかる。



 女性達の衣装はこんな感じ。左画像の左から、ギョクチェ、ハイメ・アナ、サイジャン。ハリメは当初集落の女性 陣に溶け込めないが、アイクスだけは面倒を見てやり、次第に馴染んでゆく。




 ルーム・セルジューク朝の地方代官カラトイガルは、碧眼 つるっぱげ、残酷という特徴ある人物。買 い 付けたキリスト教徒女奴隷を理不尽に殺害するなど暴虐な人物。スレイマンシャーに代わって族長の地位を狙っているコ ルドール と裏で通じている。カラトイガルは、エルトゥールル達に襲撃された十字軍の遺体を発見・検分し、カイ族製の斧を発見、問い正しにカイ族の集落を訪問する が、スレイマンシャーは追い返す。これが理由かははっきりわからないが、スレイマンシャーは、セルジューク朝の領域 外に移住することを決心したようで、兄のグンドゥルドを差し置いてエルトゥールルをアイユーブ朝アレッポ太守への使 者 に任じる。グンドゥルドは自分の天幕に戻り激怒。更にルーム・セルジューク朝の隠密アフシン・ベイが商人か何かを装い 集落に潜入。滞在しているハリメ一行を監視する。ティトスはカラトイガルと接触する。この結果、カラトイガルはコル ドールに命じ、コルドールの刺客がハリメ・ハトゥンの天幕とアレッポへの途上野宿しているエルトゥールル一行を襲撃 するところで終了。ハリメは、出発するエルトゥールルの荷物の中に、密かにお守りのようなものを入れているから、既 にハリメとエルトゥールルはお互いに惹かれあっていたのかも知れない。


第二話

アフシン・ベイの活躍でハリメ襲撃は失敗するが弟は刺される。アフシン・ベイは、単純に王子一家を守るわけではなく、恐らく 王位への野心の有無を確認し、野心があれば暗殺することを目的に潜入していたものと思われるが、シャーザーデを刺客から救っ た後、王子と会話し、王位への野心が無いことを確認し、暗殺はやめたようである。エルトゥールル襲撃も失敗。エルトゥールル 一行は一人負傷するが、旅行中のイブン・アラビーの手当てで回復。イブン・アラビーの洞窟でエルトゥールルが憩んでいると、 アラブ人商人に変装したティトスが訪ねてくる。イブン・アラビーとともにアレッポに到着し、宰相シャハベッティンに面会す る。 以下がアレッポの再現映像。城砦部分=町そのものだったのかどうかは疑問が残りますが、現在に残るアレッポ城砦の遺跡をうまく映像化しています。



 左下は城門(現在もほぼこのままの遺跡が残っています)、右は宮殿(現在はない)。



 下は市街の様子。右側のトンネルの上が、左画像。このように、屋根の上まで人々 が密 集している大都会であることがわかる。





 アレッポ市街の映像は結構凝っていて、以下のように、多様な角度からの市街映像 が差し挟まれる。





 以下左端が宰相シャハベッティン。その右がアミール。その右が宰相位を狙い高官 ナーシル。その右はアレッポ訪問時のエルトゥールル。装束が若干『壮麗なる世紀』化している。右端はアミールとナー シル。



 高官ナーシルはティトスとつながっていた。エルトゥールルは、最初はアミールに無視されたが、護衛兵を叩きのめし、アミー ルに賞賛される。その後、蒸し風呂に入りはしゃぐエルトゥールル一行。夜、祝宴が開かれる。以下は夜宴の様子。あまり派手す ぎないところが、アイユーブ朝の一地方太守アレッポ太守の位置を示していているといえそう(単に予算が無かったからかも知れ ないが)。左画像右奥は夜宴で演奏する楽団。



 イブン・アラビーは既にアレッポでも権威がある模様。以下がアレッポのアラビーの書斎。右はアレッポ市街。


 ティトスもアレッポに潜入しており雑貨商を装い拠点として市街に店舗まで構えている。夜ティトスの刺客がエルトゥールルの 部屋に入り込んでくるが返り討ち。騒ぎを聞きつけてアミールと宰相もやってくる。失敗にティトゥスは激怒。エルトゥールル は、アミールのバルコニーで会談し、今回の訪問の目的である移住先について地図を示して相談する(地図にアレッポとかバグ ダードとかがローマ字で書いてあるのがいい)。

 アレッポ近郊の草原地帯に決まったようで、エルトゥールル一行は、指定された土地におもむき、カイ族の旗を立てて喜ぶ。そ の後帰国する。

 その頃、集落内では、ハイメ、サイジャン、キョクチェVS、ハリメ、アイクスという構図となっていて、ハリメはまだとけこ んでいない。集落には、異教の雰囲気が残っていて、サイジャン・ハトゥンは巫女(というより魔女に見える)に(多分子供を授 かるよう)願いをしている。




 一方隊商に出ていたグンドゥルドの一行を今度はカラトイガルが襲う。グンドゥルド危機一髪のところで第二話終わり。

第三話

グンドゥルドは仲間を見捨てて単身なんとか逃れるが、追撃され捕まり、カラトイガルの城館に連行される。その頃カイ族集落で は 部族会議が開催され、アレッポ近郊への移住が決定される。その夜の宴に間諜が紛れ込み、毒を盛るが間諜はあっさり自首したか のようにつかまり、自害。サイジャンは、(ハリメを排除することと、ギョクチェがエルトゥールルを好きであることから)ギョ クチェとの中をまとめようと画策し、スレイマンシャー、ハイメ・アン、ギョクチェ、サイジャン、エルトゥールルで食事会をも つが、そこに、グンドゥルド一行の生き残りがたどり着き、それどころではなくなる。カラトイガルのところにティトスが来てい て またも陰謀計画中。

第四話

 スレイマンシャーはカラトイガルのところに赴き、息子を釈放させるかわりに牢獄に入る。カイ集落では、ハリメのテントに 人々は石をぶつける。彼女の一家が集落に来たことがスレイマンシャーが囚われた原因だからだ。しかし、ハイメが説得し、ハリ メはハイメの天幕に移ることになる。カラトイガルはスレイマンシャーとシャーザーデ・ヌーマンとその息子イィットの交換を条 件とし、山岳地帯で交換が行なわれるが、ティトゥス一味もカイ族側も双方岩陰で武装待機し待ち構えている。しかし結局誰も弓 をひかなかったので、スレイマンシャーが戻ったところでエルトゥールルが出てきてカラトイガルの部下を殺害し、カラトイガル を武装解除させ、シャーザーデとイィットも取り戻してしまう。実は、既にアフシン・ベイがエルトゥールルのもとを訪れていて 話はつ いていたのだった。アフシン・ベイとコマンダル・サルグルがやってきて、カラトイガルはお縄となる。悪徳代官はこうして成敗 されたのだった。ティトス一味は見届けただけで引き上げ、作戦を練り直す。ティトスはコルドールと共謀し、コルドールはアフ シン・ベイとサルグルと話をつけ、カラトイガルを護送するが、その途上、(コルドールとティトスが仕組んだ陰謀で)護送途 中、ティトス一味が襲撃し、カラトイグルを助ける。同時にサルグルは殺害される。更にコルドール一派は深夜スレイマンシャー の天幕を襲撃するが、そこには味方につけた筈のグンドゥルドが待ち構えていた。

 一方、アレッポでは、アザム師団長が高官ナーセルと会っていた。またもや新たな陰謀進行中なのだった。

第五話

結局移住反対派であるコルドール一味は引き上げ、カイ部族の集落から深夜出てゆく。アレッポではイブン・アラビーの家を変装 したアザム師団長 が訪れる。本を借りにきた風情を装っている。師団長はアラビア語の本を読むくらいだから、ウラマーと神学論争もできるのかも。その 後イブン・アラビーがシャハベッティンに会っているが目的は不明。アザム師団長がテンプル城砦に戻った時、丁度教皇からの使 者枢機卿トマス(画像後掲)が来ていた。

エルトゥールルは仲間と、狩に出た時に近隣部族と喧嘩になり、勝利する。エルトゥールルが去った後、ティトスが訪れ、喧嘩で ぼこぼこにされた若者たちを全員を始末する。続いてコルドール一派が遺体のある現場を通りがかり証拠の矢を回収する(エル トゥールルに責任をなすりつけるためだと思われる)。

コルドール、深夜病気で寝込んでいるスレイマンシャーの寝室に忍び込み、枕で窒息死させようとするが、グンドゥルドがたまた ま 入ってきたので中止する。

ハリメ、エルトゥールルと仲間との狩の最中ティトスに狙撃され、さらにティトス一味の兵士たちが襲ってくるところで第五話終 り。

第六話

 カイ部族はスレイマンシャーを中心とするアレッポ近郊移住派と、この土地に留まることを希望するコルドール派に別れていた が、結局折り合いはつかず、コルドール一派はとどまり、スレイマンシャー派は移住することになる。先発隊としてアイクスと鍛 冶屋の親父が荷造り。今回、ティトス一味は、変装ではなく、正規の十字軍の服装をしてカイ集落近郊に現れ、ハリメは射られて 負傷し、ティトスは王子イイットを手中に収めることに成功。エトゥールルとハリメ、シャーザーデ・ヌーマンは脱出することに 成功する が、エルトゥールルの側近トゥルグット・アルプと王子はテンプル騎士団に人質にとられる。スレイマンシャーはまだ病床中。結局部族の支配権は コルドールにうつり、スレイマンシャーは病気中であるにも関わらず、移住先に出発させられることになる。グンドゥルドはコル ドール派というわけでないが、妻がコルドールの義理の娘であるため残る。ティトスはイイット王子とトゥルグット・アルプを連 れて城に帰還。この後トルグットは数話に渡って拷問され続けるのだった。

エルトゥールルとヌーマン、負傷したハリメと側近(トガンとバムシ)はアレッポへ赴く。当面亡命させるというこ とのようである。イブン・アラビーとも再会する。しかし今回、アミールは、以前許可した移住許可証をエルトゥールルの前で破 り捨て、移住も保護も断るのだった(多分第四話でアザム師団長がアレッポに来た時に話をつけたのかも知れない)。続いて、 前々からその地位を狙っていたナーシルにシャハベッテインは逮捕されて、ナーシルが新たな宰相位に就くのだった(ナーシルは ティトスと繋がっているので、この時点で、アレッポ政権はテンプル側となったことを意味する)。

 暗殺者が移住途上野宿しているスレイマンシャーを襲うところで終了。

第七話

スレイマンシャーの暗殺者を背後からコルドールが射殺する。そうして、以前(第五話)枕で窒息させようとしたことまで自白。 こいつはカラトイガルだけでなくティトスとも通じていたというのに一体なぜ?。そのころカイ族の集落では疫病が蔓延していた から、悔い改めたのだろうか?よくわからない。

サイジャンは巫女から何やら薬を貰っている(多分子供がなかなか出来ないことを悩んでいたので、その為の薬だと思われる)。 しかしこの回の終盤で結局サイジャンは巫女を殺すことになる(子供が流産したからかも知れない)。

アレッポの街中でエルトゥールルに接触してきた男は、銀の双頭の鷲(ルーム・セルジューク朝の象徴)のペンダントを持ってい た。アフシン・ベイもエルトゥールルのところにいる来ていて、エルトゥールルは、この意味を考え、それをヌーマンにも見せる (アフシン・ベイは、アレッポにも拠点と秘密組織を持っている)。これで遂にヌーマン一家が何者かエルトゥールルも知るこ とになるのだった。夜間街路でエルトゥールルと仲間は数名に襲撃される。逃亡した襲撃犯の一人は女性だった(覆面していたの で誰かは不明だが後々テンプル騎士団の間諜エスマであることがわかる)。

テンプル城ではイイット王子は紳士的に扱われている。枢機卿トマスはキリスト教の叙任式を見せて王子を洗脳しようとしてい る。アザム師団長の身内らしい女性イサドラがテンプル城にやってきてアザム師団長にエレオノーラ(第一話で登場)について質 問しているが、どうやらエレオノーラは亡くなった模様。

 以下、この回から登場した人物。左はアフシンの仲間でイブン・アラビーの宗教団体の一員だが、早めに(確かティトス一味 に)殺害されてしまうので名前は不明。その右はアミールの妹レイラ。アミールに内緒でハリメを匿う。その右は、以前から登場 していたティトスと並ぶテンプル城のアザム師団長の右腕マルコス(しかし彼も結構早い段階で殺害される)。その右はアザム師 団長の姪イザドラ (よく見ると小じわが多く、50歳くらいに見える)。イイット王子に同情し、更に父親がアザム師団長によりテンプル城内に監 禁されていることから、やがて騎士団を裏切ることになる。右端は間諜としてアレッポの宮廷に侍女として入り込んでいて、ア ミールの愛人でもあるテンプル騎士団員エスマ(よくある主人公達を離反させかき回しまくる役回り)。シャハベッティンの失脚 もこいつがアミールに讒言したことも一因である模様。



 前宰相シャハベッテインの裁判が行なわれる(ウラマーの裁定)。エスマも証人に呼ばれる。街中で宰相の死刑が布告され、民 衆は反発する。宰相は罪人として市中を引き回され、宮殿前広場で打ち首となる直前で終わり。以下右画像の上の窓から、新宰相 ナーシルとアミールが窓から覗いている。その斜め下が左画像に相当する。割とみすぼらしい宮殿である感じ。



 射られたハリメはアレッポに来てからずっと闘病で寝込んでいる。ハリメと父は、アミールの妹レイラの元に引き取られる。

 この頃、移住先に到着したスレイマンシャー(まだ病床中)のもとに、アレッポから役人がやってきて、移住は無効だと告げ る。一方、集落に残っていた部族も移動を開始していた。


第八話

カイ族の残りの部族(コルドール一派)も結局移住へと出発した。

アレッポでは、前宰相処刑現場をエルトゥールルたち襲撃、役人を殺害し、前宰相を助け出す(一体どんな義理があるのか不明。 現時点で考えられるのは、アミールを失脚させ、宰相に権力を戻させて、移住先を確保する、ということだろうか。しかし、ア レッポのアミールが見ている前でアミールの兵士たちを大量殺戮。。。。アレッポが正規軍を派遣してカイ部族ごと滅ぼそうとし ても仕方がない展開を見せている)。この時レイラは変装して処刑場を囲む群衆の中にいて、ことのなりゆきを見ていた。大活躍 のエルトゥールルに興味を持った模様。エルトゥールルは、前宰相をイブン・アラビーの知人の髭の男(前回画像紹介した左端の 男)の家の地下に匿う。以降、この地下部屋がエルトゥールル達の活動拠点となる。

 一方、アミールは、妹レイラの部屋を訪問し、ハリメが匿われていることを知り、眠っているハリメに懸想する。

ANTAKYA HAÇHLI KONTLUĞUとテロップが出て、アンティオキアの十字軍の教会を訪れたアフシン・ベイ。特に町の映像が出るわけではないが、このように、毎回登場する おなじみの場所(カイ集落、テンプル城、アレッポ、セルジューク朝代官の館)以外の場所が一瞬でも登場するので、コンヤの ルーム・セルジューク朝の宮廷もそのうち出てくるのではないかと期待して見続けてしまう。アフシンは、アンティオキアのキリ スト教徒の知り合い(実は彼は、セルジューク側の間諜だった)にお願いして、テンプル騎士団の城に使節の一員として入り込む ことに成功する。続いてアフシン・ベイ、捕虜となり日々拷問されているトゥルグットに接触成功。

 テンプル城では、イタリアの服を着て十字軍兵士にかしずかれるイイット王子。ちゃくちゃくとキリスト教化進行中。ティトス がアレッポに来ている。今度は王女と父を捕らに来たのだろうか。ナーシルと新たな陰謀協議中。イブン・アラビーの関係者の 家々が官憲に調査される。

 アミールから移住許可を取り消されたスレイマンシャー一行は、キャラバンサライ(隊商宿)に宿泊し、アイクス、鍛冶屋、 ギョクチェがアレッポに様子を探りに行くことになる。以下はキャラバンサライの概観とその内部の様子。和式と同様、小卓の廻 りに直に座る形式。



 アレッポ街中を歩いているシャーザーデにエルトゥールルは話しかけ、いまどこにいるのか確認する。その後、宮廷に兵士の格 好をして侵入したエトゥールルと仲間三人。しかし、エルトゥールルは、ナーシルとその配下の大量の兵士に囲まれ捕縛されてし まう。

第九話

エルトゥールルは拷問されるが、単身脱出に成功し逃走中レイラに出くわし匿ってもらう。ずっと昏睡状態だったハリメは意識を 取り戻しレイラと会話できるまでに回復する。レイラのの案内でエルトゥールルとハリメは再会することができた。レイラは二人 の関係を知らな かったので複雑な表情。

前宰相シャハベッティンを嵌めたエスマは、シャハベッティンの隠れ家に連行される。

シャーザーデ、アミールに正式に謁見するが、この時ティトスが居合わせ、彼がルーム・セルジュークの王子であることに気づ く。

スレイマンシャーの隊商宿にコルドールが到着する。スレイマンシャーとコルドールはアレッポへ部下数名を率いてに向かい宰相 ナーシルに会い、続いて廊下でアミールに出くわし謁見する。スレイマンシャー、アミールを前にへりくだった様子は一切なく、 アミー ルを怒鳴りつける。その頃カイ族はグンドゥルドが率いて新しい集落を(アミールの許可を無視して)元々の予定地に建設するのだった。

 その頃テンプル城では、イザドラが、アフシンとイイット王子が深夜会話しているのを目撃し、その後、イザドラは、拷問され ているトゥルグットのもとにゆきトゥルグットの恋人「アイクス」の名を出す(なぜイザドラがアイクスの名を知っていたのかは 不明)。

 新たなカイ部族の集落にシャハベッティンが亡命してくる。エスマも人質としても一緒。スレイマンシャー一行とアイクス、 ギョクチェ、鍛冶屋も戻る。

 アレッポでは、妹レイラの部屋にいきなりアミールが訪問、エルトゥールルがいるのがばれ、アミールに剣をつきつけるエル トゥールル。ナーシルと護衛兵がやってきて扉を破ろうとするところで終わり。

第十話

扉が蹴破られ護衛兵達が突入するが、エルトゥールルはアミールを一時的に人質にとり逃亡に成功。激怒したアミールにレイラは はたき倒 される(この時のアミールの吐く息が白いが、アレッポはそんなに寒いのだろうか?)。エルトゥールルは隠れ家に帰還。エル トゥールルとトガン、バムシの三名はカイ族の新集落に帰還する。コルドール一族はじめ反対派の前でエルトゥールルが演説。ま るでスレイ マンシャーを差し置いて族長のよう。皆頭をたれてひきあげる。部族会議でコルドールがいつか回収した矢(第五話)を差し出す が、事なきを得る。

 テンプル城では、アフシンの正体がばれ、騎士マルクスと乱闘になる。アンティオキアの司教(実はイスラム側間諜)はここで 殺される。アフシンは逃走し、イザドラに匿われる。その後アフシンは、死亡した兵士の遺体運び出しの荷車に遺体として紛れて テンプル城を脱出。結局王子を取り戻すことはできず、王子の身柄が安堵されていることを確認しただけに終わる。

 エスマの天幕に刺客が侵入。発見したエルトゥールルが殺害。ただちに幹部会議が開催されスレイマンシャーが方針を決定し、 エスマの後頭部の髪を皮膚ごと切り取る刑がエルトゥールルにより執行される。刺客を放ったのが誰かは不明。

 ティトスがカイ族集落にアラブ人に変装して訪問してくる。コルドールに会いに来たのだった。続いてアミールの武装した使節 十数名が訪問してくる。ティトスはコルドールの紹介でスレイマンシャーとエルトゥールルにも面会するが、エルトゥールルはア ラブ商人がティトスだと気づいていない様子。使者は命令書を読み上げるが、スレイマンシャーも難しい表情(恐らく不法占拠し ている件のことだと思われる)。

 ティトスは商人として訪問したので、一応商人らしく女性達の経営する布地屋で商品を物色している(以下右画像)。左画像 は、この回のスレイマンシャーの華麗な装束。だいぶ『壮麗なる世紀』化が進んでいる。




こちらのエルトゥールルとアミールの衣装もだいぶ『壮麗なる世紀』風。



 エルトゥールル、グンドゥルド、トガン、バシムがエスマを連れてアレッポに向かうところで終了。

第十一話

 道中テンプル騎士団に見つかったエルトゥールル一行、戦闘になる。テンプル騎士団の騎士マルクスとエルトゥールルの初対決 だが、年齢的に相手にならない。なぜかアイクスがつけてきていて、エルトゥールルを救い、マルクスを捕虜にすることに成功す る。さらわれたトゥルグットの復讐のため、マルクスを馬で引き回すアイクス。翌日釈放して、テンプル城に戻るマルクスの後を アイクス達がつけ、城の場所を知るのだった。

テンプル騎士団は、イイット王子をアレッポ宮廷に預けることになり、王子はアレッポの宮廷におくられ、アミールと面会する。

アフシンはひとまずアレッポに戻る。エルトゥールル一行も夜間アレッポに入る(当時夜間城門は閉じられている筈だが、ドラマ 的にはどうで もいいのだろう)。一行はアフシン配下の者となにやら夜間不穏な動き。しかしアレッポ宮廷の兵士に返り討ちにあってしまう。 隠れ家へ退却したアフシン一味のもとを意外な人物が訪れる。元悪代官カラトイガルだった。

エルトゥールルは先に伝書鳩をつかって連絡していたため、レイラの侍女と夜間街路で接触。宮殿に入る。侍女がシャーザーデに メモを渡し、エルトゥールルとシャーザーデは面会する。シャーザーデは戻ることを拒絶し、アレッポに送られてきたイイット王 子と再会。シャーザーデは、家族を再び会えるようにしてくれたアミールに感謝しているのだった。元々王族の出でもあるし、わ ざわざ遊牧民のテント暮らしに戻りたいわけではないのだろう。ハリメも、アミールが差し出した手をとる。それを陰から目撃し たエルトゥールル。

その頃、カイ集落では、商人として乗り込んでいたティトス一味の集会を夜間、スレイマンシャーの三男ジャンダルが目撃し、 ティトスに切りつけられて重傷を負ってしまう。



第十二話

ハリメがアミールとの結婚を承諾する場面を目撃してしまったことで、呆然として夜のアレッポ市街をふらつくエルトゥールル。 郊外で休んでいるところにイブン・アラビーがやってきて慰めてくれ、 エルトゥールルは仲間のいる隠れ家に戻る。

ティトスが刺した三男ジュンダルは死んでいなかった。篝火を倒し、厩に火災を起こさせたところで気絶。シャアベッテインに発 見してもらう(重傷で、この後数話に渡り寝込むことになる)。夜襲をかけようと軍装して乗り込んで来たティトスは、火災に気 づ いて集落が騒然とし、スレイマンシャーの天幕に護衛兵がかけつけたのを見て退却する。

 翌日、ティトスはコルドールとともにスレイマンシャーを訪問。シャアベッティンも同席しているが、ティトスには気づかな かった。 テンプル城の場所をつきとめたアイクスが集落に戻り、ティトス一行は集落を去るが、新たな陰謀をコルドールと計画した様子。 ティトスは久々にテンプル城に戻りアザム師団長との会話でインペラトール・フリードリッヒの名が出る(恐らく後述のアフシン とカラトイガルの会話と同じ情報なのではないかと思われる)。テンプル城では、拷問されていたトゥルグットは、薬をもられ洗 脳されてしまい、十字軍の装備をして登場。イザドラが妻アイクスに見えたりと、意識が混濁している。中庭でティトスを見て一 瞬記憶を取り戻すが、ティトスにぶちのめされ、「俺はお前の兄弟ティトスだ」といわれ、納得してしまうのだった。

 アレッポの隠れ家でカラトイガルと会話するアフシン。カラトイガルがインペラトルとかなんとかいっている。この後の展開か らすると、今回のテンプル騎士団の陰謀の黒幕は皇帝フリードリヒ二世だという情報ももたらしたのかも知れない。


 アレッポではアミールとナーシルがカラトイグルの処遇を相談している。グンドゥルド、スレイマンシャー名代として集落設置 許 可についてアレッポに赴きアミールに面会する。交渉は難航。続いてカラトイガルとアミール面談。アミールとハリメの結婚式の 準備が進行中。ところがアレッポのエルトゥールルの隠れ家にハリメがやってきて密会する(仲介したのはレイラの侍女)。ナー シルは密偵にエルトゥールルの隠れ家(ダルウィーシュの集会所)を探索させていて、突き止める。ティトスがまたもアレッポ やってきていて、ティトスは一味とともにエルトゥールルの隠れ家を急襲するが、エルトゥールルたちは地下室に隠れる。その後 脱 出、街中で兵士と戦闘になる。エスマはお荷物なのになぜかエルトールルたちは連れ歩いているのだが、混乱の最中エスマは逃げてしまう。


IMDbのドラマ紹介は こちら
ドラ マ公式ページ@はこちら(放映局TRTのサイト)
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ドラマ公式ページBはこちら(各話 のあらすじサイト)
Wikipedia の記事(配役表が便利)

註:(2017/Aug/19追記):本作でキリキア・アルメニア王国が存在しないことに なっている点について
 本 日現在トルコ語版Wikipediaのアルメニアの歴史の記事には古代・中世アルメニアについてはまったく言及 がありません。トルコ国内にもともとアルメニア人は住んでいなかったのだから、アルメニア人虐殺は無かった、というような論 法に則った改変であるような気がします。ホルプ出版社の世界各国の歴史教科書翻訳書『トル コ<1>』にもまったく言及はありません。もともとアルメニア人がどこに住んでいたか(源郷地)は 議論があるところですが、古代から近代までのアルメニア人の居住地は、現在のトルコ共和国のヴァン湖周辺から現在のアルメニ ア共和国の付近で、考古学や史跡という物証からも明らかです(寧ろ現在のアルメニア共和国はアルメニア人居住地の中では東の 辺境にあたる)。このように考えると、本作におけるキリキア・アルメニア王国の扱いは、単純に面倒な問題を回避するためとい うような穏当な話ではなく、アルメニア人は歴史上、現トルコ共和国の領土にほとんど住んでいなかったのだから、ドラマに登場 することはないし、虐殺事件があったとしても少数だろう、というイデオロギーに沿った作品作りである、と考えた方がより正確 である、結構深刻な話である可能性があります(とはいえ、ラテン帝国やニケーア帝国など、旧ビザンツ領土継承国の扱いも曖昧 なのだから、キリキア・アルメニア王国も単に同様である、という程度の話である可能性も残ります)。
 確認してみると、本作や、『壮麗なる世紀』は、放映先一覧表によると(こ ちらこ ちら)、元オスマン帝国支配下のキリスト教国でも放映され、人気があります。オスマン帝国の支配を現在でも非難 していて、現在の各国の民族主義者の仲は険悪なブルガリアやギリシア、セルビアという国々ですら放映され、アルメニアの隣国 のキリスト教国ジョージア(グルジア)でも放映されているのに、アルメニアでは放映されていません。製作者の意図はどうあ れ、ブルガリアやギリシアでも放映されているのにもかかわらず、アルメニアでは放映されていない、ということがわかったこと は収穫でした。民族問題は本当に深刻です。。。。。。(ちなみに、Wikipediaのトルコ語版記事では、一応古代アルメ ニア王国(こ ちら)と、キリキア・アルメニア王国(こ ちら)の記事はあってよかった。数行しか書かれていないとしても)。

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