2018/Jan/13 created

近世スペイン歴史ドラマ『引き裂かれた王冠』(2016年)

  2017年秋にチャンネル銀河で放映された、スペインの連続大河ドラマ『イサ ベル』の続編にあたる単発ドラマ(113分)。スペインの国営放送局TVE製作。イサベラ一世(在1474-1504年)の 死後から開始し、フェルナンド二世 (在 1474-1516年)の臨終まで描かれています。『イサベラ』の終了時から、次に放映された連続大河ドラマ『カルロス、王にして皇帝』の直前までを描いた2時間ドラマです。ポスター を見ると、狂王といわれたフアナが主人公のように見えますが、実際にはイサベルの夫でフアナの父王フェルナンドと、フアナの 夫のフィリップ美王の後継者争いを描いています。フアナを描いた作品としては、2001年の映画『女王フアナ』 があり、今回 『女王フアナ』を再視聴して比べてみようと思っていたのですが、本作の字幕が見つからなかったため、今回は概要紹介だけにしました。本作は人間ドラマで、 派手な合戦場面があるわけでもなく、台詞がわからないと困るタイプのドラマでした(カスティーリャ語字幕がネットにあがって いるので自動翻訳機で英語に訳してみたところ、別の現代映画のもののようでした)。音楽は、『カルロス、王にして皇帝』と同 じでした。


〜登場人物〜
左上が神聖ローマ皇帝マクシミリアン一世(在1493-1519年)。その右はマクシミリアンの娘でフィリップ美王の妹マル ガレーテ(ネーデルラント総督・在1507-1530年)。右端がイサベルの夫アラゴン王フェルナンド。下左がフェルナンド の再婚相手ジェ ルメーヌ・ド・フォワ。その右がフィリップ美王。その右がフアナ。



 主要家臣たち。3グループに分かれています。

1.フェリップ美王の家臣(ブルゴーニュ公国の家臣)
上段左端:ゴ メス・フエンサリーダ(1450-1535年)、下段左から二番目・ヨハン・ベルモンテ

2.アラゴン王国家臣
下段右端:シ スネロス枢機卿(1436-1517年)、下段左端ア ンドレス・カブレラ(1430-1511年)、下段右から二番目、グリエルモ・デ・ヴェイレ。主要家臣には、あ とゴ ンサロ・チャコン(1429-1507年)がいるのですが、今回画面ショットを捕り忘れました。ドラマ『イサベ ル』の人物相関図に画像があります(こちら)。

3.カスティーリャ王国家臣
上段の右三名:右から(恐らく)ナ ヘラ公ペ ドロ・マンリケ・デ・ララ(違うかも知れない)、ベ ルナヴェンテ公カ スティーリャ長官:(恐らく)ベ ルナルディオ・フェルナンデス(違うかも知れない)



腹黒い、或いは腹黒そうな人物:フェルナンド王、シスネロス、ヨハン・ベルモン テ、アンドレス・カブレラ
良心的な人:皇帝マクシミリアン、マルガレーテ、ゴメス・フエンサリーダ
普通の人:フィリップ、フアナ(しかしかなり情緒不安定な時あり)

あと、配役表を見ると、第 二代アルバ公(1460-1531年)が出ているようなのですが、記憶にありません。どこかでちらりと 出ていたような気もしますが、よく覚えていません。

〜あらすじ〜
 字幕がないので、だいたいの流れしかわかりませんが、以下のような展開です。

 1516年、アラゴン王フェルナンド2世死没直前、シスネロス枢機卿が、フアナの息子で、後の皇帝カール五世の弟 フェルディナンド(後の神聖ローマ皇帝)に過去の歴史を物語る形で進みます。

 カスティーリャ王イサベラの葬列から開始し、アラゴン王であるイサベラの夫フェルナンド王とその家臣が、イサベラ の後継王となるべく画策するところから開始(イサベラは遺言でカスティーリャ王に夫のフェルナンドを指名していたら しい)。一方イサベラの娘であり、今はフランドル(現ベルギー)のブルゴーニュ公国のフィリップ(神聖ローマ皇帝マ クシミリアンの息子)に嫁いでいるフアナは、自分に王位継承権があると考えている。更にフアナの夫フィリップとその 家臣もカスティーリャ王位を狙って画策する。台詞がわからないので詳細を知りたいところですが、最初の方では、カス ティーリャ王位継承について、フアナとフィリップの間で認識が違っていて、フアナがフィリップを殴りつけ、フィリッ プがフアナを独房に幽閉したりしています。フィリップの妹マルガレーテが、この件を父のマクシミリアンに伝え、マク シミリアンがフアナを解放させ、フィリップと仲直りさせる。フィリップとフアナの対立は、家臣の対立にも及んでい て、フアナ派のグッティエール・ゴンサロ・フエンサリーダは、フィリップとヨハン・ベルモンテに失脚させられる。と りあえずフアナVSフィリップの対立は収まり、二人はカスティーリャに入国する。

 この頃、スペインでは、アラゴンとカスティーリャの宮廷の間で駆け引き・調整が行なわれ(セリフがわかれば面白そ うなところ)、最終的に、1505年トロ市で行なわれた議会(コルテス)で、フェルナンドがイサベラの後継者に認定 される(ト ロの法:これは多数の法令を審議・発布した議会で、イサベラの後継者認定は、11月24日のサラマンカ での協議によるものらしい)。その後フェルナンド王は、フランスの貴族ジェルメール・ド・フォアと再婚する。激怒し たイサベラ派の貴族の女性(恐らく。間違いかも知れない)ベ アトリス・デ・ボバディラは、「イサベラ女王に乾杯」といって乾杯の音頭をとって結婚式の宴会を中座す る。

 フアナとフィリップ夫妻は、1506年4月、ガリシア地方のコ ルーニャ港から上陸し、5月にポルトガルとの国境近くのオ ウレンセ、6月にレメサル、 とゆっくり移動しながら、その間フェルナンドとフィリップの間で何度も使者が行き来し、調整が行なわれる。6月20 日、最終的にビリャファフィラで協定が結ばれ(ビ リャファフィラ協定)、フェルナンドが王位を放棄する。以下右側がそのビリャファフィラ(現 サモラ県にある)での会合。この後城の中で何度も会談が重ねられる。1506年7月12日にはフアナと フィリップは、バリャドリッドのサ ン・ベニート修道院教会に入る。 
 下左は、アラゴン王の居城。どこだか不明ですが、城の概観の全貌が出ていたのは、この場面だけだったように思いま す。
 



 全体的に屋内の場面は間接照明を利用していて、暗めの映像で、リアリティがあります。下左は、マクシミリアンがフアナと フィリップを仲直りさせた夜の宴会場面で、中央マクシミリアン、その右がフアナ、皇帝の左がフィリップ、右端がマルガレー タ、左端がヨハン・ベルモンテ。



 上右は、二対二で、テニスボールくらいの大きさを使ったバレーボールのような競技。こういうスポーツがあったとは知りませ んでした。右陣でアタックをしているのがフェルナンド。彼はこのあと、飲み水に入れられた毒でそのまま寝込み病死する(場 所:ブルゴス)。水を飲んだのを見届けてシスネロスが窓から離れるので、首謀者はフェルナンドとシスネロスだと思われる。ブ ルゴス大聖堂で葬儀が行なわれ、CARTUJA DE MIRAPLORES(修道院)に葬られる。ブルゴス大聖堂と修道院は、現存の建築物で、そのままロケが 行なわれていました。葬儀の後、柩を運ぶ葬列隊を組んでバリャドリッドに戻るフアナ。19世紀の画家フ ランシスコ・プラディーリャが描いた有名な絵画、『さまよえるフアナ(Doña Juana «la Loca») 』(下右,
Wikipediaより引用)を忠実に再現した映像(下左)が登場します。



 葬列をフェルナンドとシスネロスら家臣がある夜、野原で出迎え、フアナとフェルナン ドは炉辺で語りあう。和解できたのだろうか?セリフが知りたいところです。ラスト、シスネロス卿がフェルディナンドに過 去の話を語っている場面に戻り、そこに王妃(ジェルメールだと思われる。暗くて顔が良くわからない)が国王危篤だと知ら せに来て、シスネロスとフェルディナンドは、臨終の床にいるフェルナンドを見舞う。しばらくしてフェルナンドは死去す る。ラスト、シスネロスがカルロス五世の到着まで代理統治した、とのテロップが出て終わる。

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