2011年インド製作のタミール語映画ですPaalaiとはタミール文学では荒地を意味する
とのこと(英
語版Wiki タミール文学の項目より)。サ
ンガム時代を描いた作品とのことです。 本作字幕が見つからなかったので、わからない部分が多いものの、アーリア人の侵入を扱った作品であるようです。一応こ ちらのサイトに英文のあらすじがあり、’Aaayar’人をアーリア人と解釈できれば、ということではありますが、 映画の中盤で入るナレーションでも、牛車が登場する場面で、「インダ・アーリアン」という言葉が出ているので、恐らくアーリア人 だと考えてよいのではないかと思います。 また、ヴェーダの朗誦場面が出てこないことから、紀元前1000年以前の話である可能性があります。以下が、映画中盤で登場する 牛車。草原の彼方から響い てくる牛車の音に気づいた現地ドラヴィダ人が、地面に耳をつけて何かが近づいてくるのを確認する場面があります。牛車登場場面の BGMや、車輪をクローズ アップして映すカメラワーク等からしても、”インド半島に車を持ち込んだアーリア人”という説を下敷きにした映像なのではないか と思う次第です。 ドラヴィダ人であるMullai人(タミール文学上での森林地帯)の土地にアーリア人が侵入してきた為、ムーライ人は、Paalai (荒地)へと移住を強いられ、アーリア人との抗争が続きます。映画を見ていると、肌の色や装束にあまり相違が無い為、特徴的な集 落 のどちらがアーリア人で、どちらがドラヴィダ人なのかよくわからないのですが、以下の、移動式天幕の集落が、アーリア人の集落な のではないかと思います (映画では、この集落に車がある映像が無かったので、断定できないのが残念です。右が、アーリア人の王と思われる人物)。 右下が、ドラヴィダ人側と思われる集落。藁でできた家が並んでいます。下左はドラヴィダ人(ムーライ人)。 映画前半は、ドラヴィダ人集落の平和な生活が描かれ、中盤で、牛車に驚いたムーライ人の一人が、牛車に乗る男を槍で殺害したこ とから、段々と対立がエスカレートしてゆき、最後には、女性や子供も弓を持って全面的な殺し合に発展してゆく展開となっていま す。 汗臭さの無い透明感のあるカットが目立ちました。地を這うようなローアングルのカメラワークが多く、低い地平線に広大な天空が強調されるショットは、恐ら く製作者の意図した演出ではないかと思います。走ってく人々の後姿をカメラが追っかけるところは、どこと無くドキュメンタリー風 だったりと、随所に映像上 の工夫の姿勢が見られます。歌と踊りの場面も、MTVのような感じで、この点、マウリヤ朝のアショカ王を描いた映画「アショカ」と同じ分類に入る作品であ ると言えそうです。 IMDbの映画紹介はこちら。 古代インド歴史映画一 覧表はこちら。 |