1958年インド製作。アレクサンドロスがインドのパンジャプ地方に遠征した数年後、近隣
地域で勢力を得たチャンドラグプタが数年で北インドを統一したとされています。インドには、チャンドラフプタとアレクサンド
ロスが出会っていた、とする伝承があり、本作はそれを題材としているようです。 〜あらすじ〜 旱魃で農民が飢えているのにも関わらず、マガダ国王の宮廷では歌舞楽曲(右下)の毎日。見かねたバラモンのチャーナキア (左)は、国王に直訴するが、聞き入れられない。チャーナキアの髪は辮髪のような感じ。額のマークが初見でチャーナキアとわ かる形。中央はマガダ国王。マハーラージと呼ばれている。華やかな衣装。 チャーナキアは民衆に蜂起を促していたチャンドラグプタに会いにゆき、ギリシア
人の助力を得るよう提案する。夜、ギリシア人の軍営にでかけたチャンドラ。しばらく見学していると、暴れ象が夜宴の
中に飛び込んできて軍営じゅう大混乱に陥る。象が踊り子を一人鼻に乗せて捕まえてしまう。チャンドラは彼女を救い出
す。その女性はギリシア王アレクサンドロスの部下の将軍シスルカスの娘ヘレンだった。シスルカス、ヘレン、チャンド
ラの間に友情が芽生えるのだった。左が民衆に蜂起を呼びかけるチャンドラ。中央の左がシスルカス、その右がヘレン、
その右がチャンドラ。三人で乗馬に出た場面。ヘレンは男勝りで、二人に混ざって、馬上から矢を的に投げつける。右端
はヘレン。ギリシア軍から来た手紙を読むところ。小道具は完全に古代ローマ映画風。
乗馬のときの競技の様子。右画像のようなヒンドゥー彫像を思
わせるヘンな形の標的に斧を投げつける競技。
アレクサンドロスの軍営。左画像の左側の階段の上に玉座があり、アレク
サンドロスが座っている。画像の右端に鷲の軍旗のようなものがあり、古代ギリシアというよりも古代ローマ
風。中央には世界地図があり、拡大したのが右画像。せめて、プトレマイオス風の世界地図にすればいいのに、
完全に現代の世界地図となっています。本作が製作された1958年はチベットはインドの公式見解では独立し
ていたということにもとれなくもない地図ですが、まあ単に適当なだけなのかも。
チャンドラグプタが正装してやってきて、シスルカスはアレクサンドロスにチャンドラを紹介する。左がアレクサンドロス(本作中での名前はシカンデル)、
右がチャンドラ。アレクサンドロスの背後の壁には巨大な鷲の紋章が飾られている。理由はわからなかったが、部下の将軍と
チャンドガが剣の試合をすることになりチャンドラが勝つ。その後アレクサンドロスとチャンドラの会話の雲行きが怪しくな
るものの、ギリシア軍(本作ではユーナーン)の協力を得る交渉は成功した模様。チャンドラはじめインドの貴族・高官の装
束は、映画『タージ・マハル』ばりのキンキラキンだと思われ
る。
アレクサンドロスの顔がわかりずらいのでもう一枚。二人が出会う場面は雷が走
り、双方の顔を照らし出すなど、漫画チックな演出。
その後アレクサンドロスはギリシア軍の一部とともに帆船に乗って故国へと帰路につき、岬からチャンドラが見送る。帆船はど うみても大航海時代の西欧の帆船。途中暴風雨にあうが、その後は不明。 古代インドの映画のはずなのだが、古代ローマと近世ムガル帝国時代に見えるインド装束がミックスした不思議な映像である。 古代インドの気配は少しも感じられない。下は王宮の画像だが、これも近世インドの様式で、古代を再現しようとしたようには まったく思えない。でも、伝承に基づく時代劇なのだから問題なし。 チャンドラグプタとギリシア連合軍がマガダ国に攻めあがってくるが、王宮では盛大な宴会が続く。しかし反乱軍はとうとう王 宮に到達し、国王を討ち取る。叛乱は成功した。チャンドラが国王となってめでたしめでたし。で終わるかと思いきや、ここまで が前半。以下は即位後のチャンドラグプタの宮殿と玉座のチャンドラ。 前半は、叛乱が成功するまで、とわかりやすいストーリーでもあり面白かったが、
後半ストーリは蛇行気味。
チャンドラグプタの母親が侍女を使って毒を盛り、ヘレナを暗殺しようとするが、チャーナキヤに見破られ、侍女が毒 見させられる。侍女は絶命直前に黒幕がチャンドラ母だと自白する。 あるいは、ヘレナがチャンドラの肖像画を描いている時に、ギリシア人武将アンティゴノスがヘレナを手篭めにしよう として、衛兵達にたたき出される。この肖像画は、古代インドでも中世でもなさそうな雰囲気。古代ローマか古代イラン の画に近いかも。 その後、理由はわからないが、チャンドラのそっくりさんが登場し、ギリシア軍の陣営に忍び込む。シスルカスと仲違 いする。誰かの陰謀だと思われる。偽チャンドラとシスルカスが、決闘となるが、偽チャンドラが勝ち、将軍ののど元に 槍先をつきつけ、チャンドラの勝利が確定したところで、槍を折り曲げて捨てる。槍の柄の部分も金属で出来ているのに 驚く。 更にその後、シスルカス軍(ギリシア軍)と偽チャンドラ軍の決戦とな
り、偽チャンドラは陣没する。夜、戦場にチャンドラグプタとチャーナキヤが来て、偽チャンドラの遺体を検分
する場面が出てくるので、表向きはギリシア軍と友好関係を結び、裏ではギリシア軍の勢力を殺ぐ、というチャ
ンドラとチャーナキヤの陰謀なのかも知れない。
シスルカスは、アッバースという人物と結んで、直接王宮で蜂起する叛乱を起こすが、結局アッバース一味だ け討ち取られ、シスルカスはチャンドラグプタに臣従することを誓って終わる。 最後の場面で登場するチャンドラグプタは近世マハラジャそのもの。 配下の兵士(左画像の左と中央)は第一次世界大戦当時のインド兵に見える。役人(右画像)も19世紀風。左画像の右側は、手紙を読むチャンドラグプタ。 数えていないが10分に一回くらい歌と踊りの場面があるが、宮廷の踊り子たちの
場面であったり、チャンドラとヘレナが恋愛 詩を歌いあったりする程度で、無茶な挿入感はない。
〜おしまい〜 映像的には古代インドのかけらもなかったが、娯楽作品としてはまあまあ楽しめました。 関連作品 連続テレビドラマ「チャーナキヤ」「チャンドラグプタ マウリヤ」 IMDbの映画紹介はこ ちら |