シリア製古代ローマ歴史ドラマ「ゼノビア」第1話から第7話

  1996年シリア製作。全22回。一話45分。STV(シリアテレビ?)製作。英語字幕版視 聴。

 一言で言うと、半分はシリア版「風と ともに去りぬ」。基本的に群像劇なのですが、一応主人公はヤマンの貴族ムンディルの娘タイマで、この人とパルミラ貴族エラベルの 関係が殆どスカーレットと レッドバトラー。背景となる米南北戦争がローマとパルミラの戦争に置き換わっていて戦争の悲惨さをよく描いています。とはいえ、 主人公はスカーレット程逞 しくは無く(我侭ぶりは近いけど)、最終回でパルミラは陥落し、タイマもエラベルも亡くなってしまうし、何よりゼノビアの存在感 が抜群で、ドラマの半分は ゼノビアが引っ張っています。

 この話はとにかくゼノビアがカッコいい!ハンサムウーマン(死語かも)という奴です。このドラマのゼノビ アは徹底的に非の打ちどころの無い英主として描かれていてファンにならざるを得ないくらい(ドラマ視聴後、「ローマ帝国衰亡史」 のゼノビアの部分を読んで みたら、実に英邁な人物像となっている。降伏後の最後の振る舞いだけはドラマの方が立派だけど)。時代を特定する為にまず最終回 を見たところ、セットが チャチで大時代的な演出に感じたので、取りあえずゼノビアの姿だけ確認するつもりで見たのですが、最終回では既にゼノビアは死去 していたので、取りあえず 第一話からみ始めました。ところがなかなかゼノビアは登場せず、いつ登場するだろうかと延々と見ているうちに十話になって漸く登 場。それまでの展開は、シ リアの架空地方小国家ヤマン(Ush-Al-Yaman)を舞台とした日常生活ドラマで、日常生活を扱った歴史ドラマは好きとは いえ、ヤマンは殆ど田舎 の、村に毛が生えた程度の農村国ということもあり、再現映像的にも退屈し始めていたため、ゼノビアの登場を確認したら見るのをや めようと思っていました。 しかしゼノビアがあまりにかっこよすぎて見続けてしまい、結局全部見てしまいました。

 このドラマはなんと言ったらいいのか、期待して見 ると大した話でも映像でもないのですが、駄目かというとそういうわけでもなく、ローマ時代のヴィラの再現セットはかなりよくでき ていて製作陣の努力を感じ ます。戦争や疫病など、人間的な生活を破滅させる惨禍もよく描けていて、主人公たちの成長も描かれる、よくできたドラマだと思い ます。

ま ずは、登場人物一覧表。下中央がヒロインのタイマ。美人で勝気でモテるので非常にわがまま。その左が次女アナヒム。控えめ。左端 が末娘ナジュダ。タイマの 右が父親のモンディル。ヤマン国の元老でもある。右端が母親のカムラ。年齢は、タイマが17-9歳くらい、アナヒムが17歳、ナ ジュダが13-15歳くら い(高卒、高校生、中学生相当な感じ)の設定。次女三女とも、好きになった相手がタイマを好きだということで姉を嫉妬している設 定。姉のタイマは妹の気持 ちを知っていても、「私がモテるのは仕方ないでしょ」と残酷なお年ごろ。

 ムンディル家の主要登場人物としては他にアタナンという奴隷頭がいる。

  パルミラ国の重臣達。左がロンギヌス、中央がShmisati、その右が将軍ザバダ(Zabada)、右端が将軍ザバイ (Zabai)。このうち、ギリシ ア人学者でゼノビアの家庭教師ロンギヌスとエジプトを征服した将軍ザバダが「ローマ帝国衰亡史(筑摩学芸文庫2巻)に登場してい る)。

  下はヤマン国の元老達。元老は全部で6人いて、それぞれの息子も父親を継いで元老院に出るようになる。ヤマンは世襲制&寡頭制国 家のようである。上段左端 がムンディル、その右が不明。右端がズバイダ。その息子がマルコ(下段右端)。ズバイダの左がヌーマーン、その左がヌーマーンの 息子マリ、その左がハブー ラ、その左がハブーラの息子ヤムルーコ。

下段右端がマルコ。タイマの想い人だが、マルコはタイマに無関心。その左がムンディル。その左が ミンタールで、元老院議長兼大神官でもある。ミンタールの席の背後にはゼノビアの彫像がある。その左も同じくミンタールとゼノビ ア像。左端は、レッドバト ラーに相当する不適で悪党でもあり、しかしタイマを愛するパルミラ貴族エラベル。エラベルという家系は実際にパルミラの墓碑銘に 存在している実在の家名。 エラベルの右がヤマン貴族のモッキーモ。モッキーモの父はこの1年以内に死去したので、モッキーモが元老院に出席するようになっ たとのこと。モッキーモの 右は、パルミラ人で、ヤマン軍創設の為、教官として雇われたアリアミー。軍事部門のトップとしてたまに元老院に呼ばれたりしてい る。

  元老院では、ヌーマーンとムンディルが犬猿の仲で、概ねヌーマーン派(ヌーマーン、ハブーラ、)と、ムンディル派(ムンディル、 ズバイダ、モッキーモ)に 分かれている。もっとも、結束が強いのはヌーマーンとハブーラ、ムンディルとズバイダだけで、残りはあえて分類すれば、という程 度の繋がりで、各人温度差 がある。

 下が元老院の息子達のうち、仲のよい四人組。右からドワイド、マニ、シャキー、バルマキ。

  ドワイドは、上記「元老院」のメンバーのところで登場していヌーマーンの息子で、マリの弟である。ドワイド、マニ、シャーキーは タイマに惚れていて、タイ マの妹ナジュダはマニが好きなのだった。タイマの想い人マルコの親戚のナスルラットやエラベル、モッキーモもタイマが好きで、ナ スルラットとモッキーモを 想う女性がいるという、三角四角どころか、七角八角関係が展開するのだった。タイマも調子に乗って誰にでも色目を使うことも一因 だけど。

  物語は、既にゼノビアが王位に就いている状況から始まるので、268年以降からローマによるパルミラ破壊の273年までの数年間 を描いている。なお、ロー マ皇帝アウレリアヌスはドラマではオルリアン(Orlian)、前任皇帝はカリグラ(Caligora)となっている。


第一話 

 マルコが旅先のエジプトから帰還。郊外まで戻ってきたマルコをみかけ、大喜びのタイマ。

  その頃タイマの家では、父親のムンディルが、自分の家の管財人のギリシア人マルコスに、「今年は豊作で収穫が二倍だ。パルミラに 売っても豊作で半値になっ てしまうだけなので、半分はエジプトで売却すれば、利益も二倍になる」とムンディルに詰め寄られている。下がムンディルの自宅周 辺にある自領の農園。奴隷 達が労働に勤しんでいる。古代ローマ時代のシリアに貴族が経営する荘園(ヴィラを中心とした農園)があったのかどうかは知りませ んが、これはまさしく後期 ローマに多数存在し、ローマの解体の一要素となったヴィラの風景の実写化だと思います。左奥がムンディルの自宅。中央右奥が馬屋 兼納屋。手前で奴隷達が畑 作や製造業に勤しんでいます。

これは井戸だったと思います。女奴隷達が水を組んでいるところ。奴隷の子供もいます。

 これがムンディルのヴィラの全景。

 これは街道からムンディルのヴィラが見えてきたところ。

 さて、ヤマン最高会議では、ゼノビアが「ワッハーブ・アラット」と金貨に刻ませたことが問題となっている。

  マニ、ドワイド、シャーキー、バルマキーという仲良し四人組が酒場で飲んでいる。これがその酒場。ベリーダンスの踊り子が登場し たりしている。この四人 は、創建されたばかりで、貴族の子弟から構成されるヤマン軍に所属していて、連日訓練所で兵士としての訓練を受けている。

 四人で酒家で飲んでいる時、ドワイドが「実戦ではマニは逃げ出すに違いない」と侮辱した為、ドワイドとマニが剣を抜いて喧嘩と なる(誰一人実戦に出たことなどないのだから、戦争のなんたるかを知らない世間知らずで血気に流行ったごく普通の青年達という設 定である)。

  何故か四人は、喧嘩後、ムンディルの家にゆき治療を受ける(何故ムンディルの家に行ったか不明。念のためこの部分を見なおしてみ たが、説明は無いので、ご 都合主義展開なのだろう)。タイマの母カムラが治療するが、この時、末娘のナジュダが姉のアナヒムを押しのけて治療に立ち会う。 ナジュダはマニが好きなの だった。ところが、タイマが二階の廊下から吹き抜けとなっている一階の広間を見下ろしながら、男どもを誘惑するような仕草をす る。男共は全員にやついてタ イマを見上げるのだが、その時の目付きで、ナジュダは、マニがタイマに気があることに気づく。同時にドワイドも、マニがタイマを 好きなことに気づくのだっ た。部屋に戻って泣き伏すナジュダ。余裕のタイマ。それにしてもタイマは色目使いすぎ。


第二話

 深夜マルコが父ムンディルとともに帰宅。妻カムラと三人の晩餐で戦争になるとの話が出る。下記はムンディル家の台所。左は奴隷 の女性がかまどにかけた鍋を見ているところ。右はカムラが何か料理を付くっていう所。左手の奴隷女の左手にかまどがある。

  マルコ曰く、ゼノビアは皇帝(ローマ皇帝アウレリアヌスのこと)に手紙を出した。パルミアはアウレリアヌスに従わない。と。ムン ディルは、ゼノビアは家臣 ではなく、全ての王の女王だ、と言う。マルコはそのままムンディル家に泊まってゆくが、マルコを好きなタイマは、部屋を抜け出 し、マルコの部屋に入ろうと したところ、母に見つかり髪を締め上げられるのだった。翌日マルコとムンディルが広場でマルコの父ズバイダに会う。そんな頃、ム ンディル家では家人にコレ ラが発生する。


 ヤマンで崇拝しているAdonis神への崇拝儀式。祭日のようで、広場では民衆が輪になって踊っている。タイマ も出ている。アドニスはナブーの息子。主神はバール神らしい。一方元老院では閣議が行われていて、ヤマンの防衛が議題となる。パ ルミラからやってきたパル ミラの高官エラベルも出席しており、装備についてパルミラの司令官ZabaiとZabadaに相談するといい、とエラベルは提案 する。近隣の、ヤマンと同 じ程度の小国ウザイナは現在サーブールと(サーサーン朝のシャープール一世)戦争中で、ヤマンも対応を考えるべきだとの提案を行 う。続いて現在訓練中のヤ マン軍の司令官の選出となる。

 ヌーマーンが、ヤマン軍の司令官に、ハブールの息子ヤムリーコを推す。ハブールはヌーマーンの息子ヤム リーコiを推す。この二人は裏で示し合わせて双方の息子を推薦する戦法にでていて、ハブールはヌーマーン陣営である。ヌーマーン と対立するムンディルは、 ズバイダの息子マルコを押す。これが元老院の様子。

  元老院議員による投票が行われ、ヌーマーンの子がヤムリーコが三票、ハブールの子マリが1票、マルコが1票となったのだが祭司長 は神像(下記)に伺いをた て、神意がマルコにあったとして、司令官をマルコに決めてしまう。ヌーマーンとハブールは女王(ゼノビア)の採決を提案し、それ までマルコの司令官採択は 受け入れないと宣言して退出。するのだった。

 散会後、ムンディルは、マルコの父のズバイダに、何故マルコには投票しなかった、と詰め寄る(マルコの一票はムンディルのも の)。ズバイダは、「事前の相談もなく、ムンディルは余計な事をしてくれた」と怒るのだった。

 会議が終了し、エラベルとモッキーモが元老院から出てきて踊りが開催されている広場にいるタイマを見つける。これが祭りの様 子。右下は、”四人組”にちやほやされてご機嫌のタイマ。

  エラベルが、アナヒムに向かって、「君がタイマだろ?よくモッキーモと話をしてるよ」といってしまう。モッキーモを好きなアナヒ ム(タイマの妹)は、モッ キーモがタイマの事を話題にしていた事を知り、ショックを受けるのだった。実際この時のアナヒムの感は正しくて、モッキーモはタ イマを好きなのだった。

 ダンスの最中、マニとドワイドの傷跡から血が流れでて、汚れたタイマはヒスを起こす。そしてマルコにせがんで家まで送ってもら う。家に入ると、タイマ、母カムラに殴られるところで終わる(婚前の娘が男と夜、馬で一緒に出歩くなど、許しません、ということ なのだった)。


第三話

  エラベルは、ヤマンの元老院が女王(ゼノビア)の決断というプロセスを無視して、多数決に反してマルコをヤマン司令官に選出した ことを、女王への違反だ と、元老院で指摘する。エラベルは、女王はヤマンの元老院を支配する口実を探している、それをあなたは今日作ってしまった。てな ことをヤマン元老院議長ミ ンタールに告げる。そして、エラベルは、ミンタールの地位を保全することができるが、その見返りとして、エラベル個人から対ロー マ向け装備を通常より高値 で購入するという条件を出すのだった。

 一方ムンディルのヴィラでは、色々と興味深い荘園での生産活動が描写される。

  さまざまな生産労働活動が出るのはいいんだけど、カムラが薄い紙の台帳を使っているのは?と思ってしまった。パピルスかしら?で も紙っぽい。財務管理官マ ルコスは、第一話に続いて今回も、「今年は二倍の収穫だ」と、ムンディルに、「エジプトに売る決心がついたか」と迫っている。 「明日までに全部収穫が終わ る。決断を遅らせると売り時を逃してしまう」と主張するマルクス。マルコスは、収穫について、カムラへの報告を遅らせていたの だった。

 疲れている妻カムラに理由を聞くムンディル。カムラは、あなたは軍と軍隊の事ばかり考えて、土地や娘や奴隷の事は私任せ。疲れ て当然でしょ。娘が成長しているのに家庭を壊してまで軍を建設してなんになるの?と言う。

 エラベルはモッキーモの友人として恋の相談に乗る振りをして結局、モッキーモがアナヒム(タイマの妹)とくっつくようにそその かす。悪いやっちゃ。その頃タイマは馬で暴走し、四人組の一人マニが助けられたりしているのだった。


第四話

  モッキーモとエラベルはムンディル家を訪問し、モッキーモはエラベルの囁きに洗脳され、アナヒムにプロポーズしてしまう。ところ が一方、翌朝、庭でモッ キーモは、本当はタイマが好きなのだと、タイマに告白するのだった。朝食ではエラベルとタイマが緊張した会話。エラベルは二枚目 ではないが、気位の高い女 の扱い方をよく知っており、わざと徴発するような話し方をし、タイマは感情を右に左にとエラベルの徴発に乗ってしまうのだった。

 一方、ヌーマーン派のハブールは、実はヌーマーンを支持しているふりをしているだけで、本音はズバイダの息子マルコに投票して も良かったのだと判明する。

 ムンディル家では、家人に二人目のコレラが出る。そして奴隷がコレラで死す。奴隷の住む小屋を焼かせるカムラ。以下、またムン ディル家の台所。右手にカムラ、左手に奴隷女。左手奥に広間が見えている。

  モッキーモは居酒屋で酔いつぶれ、エラベルは「明日夜には出発する」と苛立っている。兵士訓練所では、マルコを司令官と認めたわ けではないと四人組が不満 たらたら。教官アリアミーは、平民を戦士として養成すること。軍の数を増やすこと。との軍隊育成方針をマルコに伝える。

 エジプトへの穀物輸送隊と輸送を指揮するムンディル家の管財人マルクスが映る。

 モッキーモがアナヒムからの結婚承諾の返事を受ける前にパルミュラに出発するという礼儀を欠いた事に困惑するムンディル家の 人々。


第五話

 タイマと同い年で幼馴染のダラがタイマを訪ねてくる。この時の部屋のランプは、煙が立っていて、本当に油かろうそくのランプを 使って撮影していたようだ。芸が細かい。まあ電気をセットに引くより簡単なのかも知れないが。


  一方、訓練所では、どうせ教官は俺の事なんかみてないさ、と司令官に落選したマニはふてくされて練習を途中で切り上げてしまう。 後を追うドワイド。シャー キーは、「俺は彼女には近づかない。彼女は近づく者を皆焼き尽くす」という。彼女とはタイマの事。これでシャーキーも内心タイマ に惹かれていることがわか る。

 ダラは同じパルミュラ人で従兄弟のナスルラット(Nasrullat)と結婚する予定らしい。ナスルラットには病弱で聡明なナ ル ジェス(Narjess)という妹がいた。ダラとマルコがムンディル家を訪ねて来る。マルコが訓練所に去った後、ムンディル家に マニがやってくる。下の右 手の建物はムンディル家の敷地内の端にある奴隷の住居。

 その時ムンディル家では二人目の奴隷が病気で死にそうになっていた。病気騒ぎになったので取り敢えず辞去するマニに、ドワイド が(タイマへの)嫉妬のあまり切りつけてくるのだった。

  場面は代わって、エラベルが使者とともにパルミラから帰還。ヤマンで元老院が召集される。マルコが司令官とされる。結局ゼノビア の裁可でも司令官はマルコ となったようだ。しかしこの背景には、タイマの父ムンディルが推薦するマルコを司令官にすることで、ムンディルに恩を売りつける というエラベルの下心が あって、女王を説得したのだろうと思われる。この時のゼノビアは全東方の女王と呼ばれている。

 家に戻ったムンディルは、エジプトに送った穀物隊のマルコスからもう10日も連絡が来ない、と妻にこぼす。これはヤマンの中心 となる広場と元老院(正面奥)。どうやらヤマンは市街地があるような国ではなく、国の真ん中に神殿、広場、元老院があるだけの模 様(古代ローマのオール石造の都市国家ではない、こうした形式の集落は、シリアにある遺跡(世界遺産である北シ リアの古代村落)の様子からも確認できる。本作は、シリアの古代ローマ遺跡をもとに時代考証を行なっていると思われ る)。



第六話

  エラベルが持ち帰った書状に押された女王の印璽が偽物だと疑うヌーマーン。印璽を確認に女王に面会にゆき、説得してみようとハ ブーラに提案。というか、ハ ブーラにやれと命ずる。ハブーラは、ヌーマーンに莫大な借金があり、家も借金の抵当に入ってるらしい。その会話を盗み聞くハブー ラの息子ヤムリーコ。どう やら、ハブーラの持つキャラバンがペルシアで失われた。全財産を注ぎ込んでいたいたため、家と牧場を抵当にヌーマーンから二つの 絹のキャラバン分を借り た。追い風はあった。ところが、パルミラの先代のウザイナ王とサーブールの間に戦争が起き、二つのキャラバンはペルシアの途上に あった為、ペルシア人兵士 がそれを奪ってしまった。こうしてハブーラはヌーマーンに莫大な債務を負い、政治の場でも言いなりになるしかなくなってしまった のだった。

 薬師のところで毒を入手するハブーラ。そしてハブーラは、ヌーマーンの元に行き、「さあ、二杯目のグラスも乾せば、運命を共有 することになる」と言い、一緒に飲んで死すのだった。

 一方、ムンディル家を訪問したエラベルは、タイマに向かって「僕を憎み始めたとは嬉しい。そのうち君は僕を愛するようにな る」、という。二枚目ではないものの、プレーボーイの面目躍如。以下は家の扉をあけた時、訪問者がエラベルとわかって露骨に嫌な 顔をするタイマ。

  カムラは奴隷のハウサを鞭打ちしている。病気の奥さんにあいに行ったことが理由のようだ。その夜、ハウサは病気の奥さんを連れて 逃亡する。カムラは、奴隷 頭アタナンに命じて負わせる。カムラは科学的に伝染病の原理を理解しているわけではないが、極度に伝染病を警戒しており、隔離 し、衣類を焼却することが重 要だということには気づいており、モッキーモの父Amrisha(アムリーシャ)も、この1年以内に死去しており、伝染病の流行 が近づいていることを敏感 に感じているようである。

 アタナンが死去したハウサ夫妻の亡骸を連れて戻る。カムラは埋めるよう命じる。

 ムンディル家の娘たちが庭でブランコに乗っている。当時既にこういう娯楽もあったのかも知れない。

 パルミラ人ジュザイマ(Juzaima)一家が親戚のダラの家を訪問に来る。ぼーっとしている侍女マブローカをアトナンの嫁に 売ってやりたい、などと母はダラに愚痴をこぼす。ジュザイマ家の長男がナスルラットで、次女がナルジェス。ナスルラットはダラの 婚約者。


第七話

  マルコ家を訪問したジュザイマ家のナルジェスは、部屋で本を読んでいるインテリ女性。Albatra(ペトラのことらしい)に関 するダマスカス人のルキア ノスの本とのこと。マルコに、「ローマ人は野蛮だなんて想像できない」、と感想を漏らす(Batra=ペトラはローマ人に破壊さ れた都市らしい)。一方ナ スルラットがタイマが好きだということを知りショックを受けるダラ。マルコはナルジェスにカルタゴ史を読めと進める。カルタゴ史 を読んだナルジェスはロー マ人嫌いになったので、マルコは結婚を決意するのだった。


 訓練所では、パルミラから雇われたアリアミー教官が激怒していた。マリは教官に敬意を払わないため、堪忍袋の緒が切れ、マルコ に、仕事が終わったらパルミラに戻る、と告げる。

 最後はマルコとナルジェスの婚約式のパーティの場面で終わる。タイマも一応出席しているのだった。宴会場はマルコの家の前。こ んな感じで家の前で関係者が集まったパーティー。

 集まった女性たちの衣装はこんな感じ。いつもよりは若干華やかな程度。

で、これが宴会に列席中のタイマの態度。指を加えてマルコを睨みつけているのだった。
 
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