2008年ロシア製作。題名は、「ネヴァ川の戦い」。歴史映画に戦争はつきものとはいえ、私は
戦争に関するものは好き ではないので、ここまであからさまに「戦争だけ」が対象だと
思われる題名がついていることと、エイゼンシュタインの「アレクサンドル・ネフスキー」がつまらなかったのと、予告編を見ると、
下記のように、最近中世欧 州映画で流行りの映像なので、だいた内容は予想でき、あまり関心は無かったのですが、一応見てみ
ました(以下の感想はロシア語版の感想です。2013年3月に発売された日本語版dvdは視聴しておりません)。 期待していなかったからか、まあまあ楽しめました。少なくとも、「ヤロスラフ」を見た直後で、この次に「Сага древних булгар. Лествица Владимира Красное Солнышко」(いちおう、キエフのウラジミール聖公を扱っている)なん かを見てしまったからか、肯定的な評価になってしまったのかも。エイゼンシュ タインの「アレクサンドル・ネフスキー」を見たのは20年くらい前なので今見ると違う感想を抱くかも知れませんが、エイゼンシュ タイン版は、技術的には映 画史上に残る作品だとしても、内容的には、スターリンが1940年前後に多数作らせた国粋映画のひとつにしか思えないのした。 で、新版 ネフスキーですが、アレクサンドルの宮廷が木造で、サイズもあまり大きくは無いのに対して、スウェーデン王エリク11世の王宮が 石造で立派に描かれている のには驚きました。スウェーデンの予算でも入ってるんでしょうか。。。。バトゥの部下が出てきてアレクサンダルと会談する場面も 嬉しいレア映像。画面 ショット中心に簡単にご紹介します。 1239年年から物語りは始まる。ノヴゴロドの映像。冒頭に一瞬だけ出てくる。一応寺院は漆喰作りとなっている。 アレクサンデルの宮廷。木造。 スウェーデン王エリクの居城ハケベルト城(場所は確認できませんでした。調査中) その居城に入ってゆくドイツ騎士団の使者。馬も衣装を着けているのがいかにも中世欧州的な感じ。 その居城ではエリクの家族や側近の食事が行われていた。下記はその出席者の一人。中世フランス王妃みたいな装束。他にもこういう 姿の人がいたから、フラン スからの客人とかではなく、スウェーデン人なんでしょうね。ドイツ騎士団の使者が入ってくると、人払いさせ、打ち合わせとなる。 使節は金を取り出してエリ ク王に渡す。軍資金か協力要請費だと思われる。 次はアレクサンドルの結婚式。ポロック公国の公女。突然結婚式となったわけではなく、以前から贈り物などをしている場面や、郊 外に馬で遠乗りするデート場面などが出てきての上の式。 アレクサンドルとポロック公女(名前は残っていないらしい。 この結婚式でアレクサンデルは毒殺されかかる。陰謀には家臣も関わっていて、下記はその家臣を尋問するアレクサンドル。結婚式の 前の方で、森の薬師を、修 道士姿の男が訪ねて、毒薬を貰う場面がある。その修道士は、「ネズミで実験しよう」と、籠の中のネズミに、棒の先につけた毒を差 し出す薬師の手をつかみ、 棒の先端を薬師に押し付けて毒殺し、証人を消してしまうのだった。アレクサンドルが毒殺を助かったのは、どういう関係者だったか よくわからないのだが(も う一度見ればわかるかも)、言葉をうまく話せず、格好もせむし姿で、一見知能障害者のように見える男が陰謀に気づいていて、言葉 がちゃんと話せない為に、 乾杯の直前にアレクサンデルから杯を奪って自分が飲み、毒死するのだった。アレクサンドルは彼の為に涙を流しているから、知り合 いだったと思われる。この 首謀者を突き止める話は、もう少し入り組んでいて、宴会直後に家臣の一人を尋問し、別の裏切り者を知ったアレクサンデルと家臣 が、更なる黒幕を突き止める べく、陰謀者と「別の裏切者」が会う現場を取り押さえ、「別の裏切り者」から偽情報を流させて、黒幕を突き止めるなど、単純に戦 争に至る話とはなっていな いところも、楽しめた要素かも。 バドゥの家臣が訪ねてきて会談するアレクサンドル。使者に杯を勧めたとき、使者が、毒殺を恐れ、暫し杯を止めるのだが、アレクサ ンデルは構わず自分の杯を 飲み、使者も最初は恐る恐る、最後は一気に全部飲み干す。緊張感が伝わる場面だった。その後使者はアレクサンドルを気に入ったよ うで、これが理由でバトゥ のノブゴロド侵攻が回避できた、ということのようである。 スウェーデン王エリクの居城ハケベルト。前の写真と大分違う感じで、しかもとても13世紀の城には見えないのあだが、テロップ に同じ名前が出ていたので間違いない 。 下記は寝室のエリク王。王は戦争にはタッチしておらず、息子と思われる若者が家臣と相談している場面が出てくる。王が登場するの は、前述の、ドイツ騎士団 の使節が訪ねて来る時と、今回の、騎士の叙任式のようなものを終えた王子が、王に会いに行く時だけで、王はノブゴロドとの戦争に はタッチしていなかったよ うである。ネヴァ川の戦いが、スウェーデン側史料に登場していないことの辻褄あわせかも知れない。 ネヴァ川を行くスウデーデン軍の船団。ヴァイキング風の船である。しかし、この時点でノヴゴロドの斥候に探知されているので あった。 早朝、川岸のスウェーデンの陣地に、いつの間にか忍び寄るアレク軍。ぜんぜん気づかないいスウェーデン軍。林の中から火矢を一気 に放つ。テントが燃え出 し、武器を取る間もなくノブゴロド軍に討ち取られていくスウエーデン軍。奇襲成功。下記はそのスウエーデン軍の征服。トランプの 「ジョーカー」そのもの (ただし、戦闘時はこの服の上に鎖帷子や兜を被る。盾の模様もこの二色に統一されていた。 アレクサンドルが司令官だとどうしてわかったのか(ノブゴロド軍は、隊長級は皆同じような装備である)、スウエーデン王子がアレ クサンデルに突進してゆく 場面。しかし、あと一歩のところで、アレクサンデルの家臣で友人のヴラジーミルに阻まれ、激闘の末、相打ちとなり討ち死にしてし まうのであった。 続いてドイツ騎士団の司令官(と思われる)人物と、アレクサンドルの一騎打ちが行われる。下記は、一騎打ち用の仮面をつけたア レクダンドル。 こちらはドイツ騎士団司令官(と思われる)人物。 勝負は、アレクサンドルが一撃で倒して終わり。そのまま映画も終わる。 ロシア歴史映画一覧表はこちら。 |