古代ローマ歴史映画「コンスタンチン大帝」

  1962年イタリア・ユーゴ合作。ソード・サンダルものに近い史劇。1962年に日本公開さ れているものの、その後日本ではvhsもdvdも出ていない ようで、以前歴史ドキュメンタリーで本作の映像が使われているのを見て以来(1000円以内で)見てみたかった作品。USアマゾ ンで0.7ドルで出ている を見つけたので購入。Goo映画紹介に日本語のあらすじは掲載されているので、本記事では映像と感想中 心に紹介します。紀元305年から313年までを描いています。


  まず、主人公のコンスタンティヌス(在306-337年)と妻ファウスタ。コンスタンティヌスを演じているコーネル・ワイルドと いう方は、有名な俳優さん だったのかも知れませんが、いまいちパッとしない感じ。しかも半分くらいは部下で右腕のエンドリオ(ラテン語表記ではハドリアヌ ス)が主人公とさえ思える 感じの活躍ぶり。妻ファウスタはソフィア・ローレン風の妖艶な美女。「ローマ帝国の滅亡」のソフィア・ローレンにあやかったのか と思ったのですが、「ロー マ帝国の滅亡」の公開が1964年なので、関係ないかも。とはいえ、「ローマ帝国の滅亡」の方がはるかに大作なので、「ローマ帝 国の滅亡」製作・キャスト 発表後、本作で真似したのかも知れないけど。

 ファウスタ役のベリンダ・リーという方はルクレツィア・ボルジアを演じたことがあるそうで、途中夫のコンスタンティヌスを裏 切ったりして良い感じだったのですが、最後にあっさり勝利したコンスタンティヌスを出迎えるところがいまいち。

 ローマにあるファウスタの家(正確には父マクシミアヌスの家だけど)。古代ローマ映画に登場した個人の邸宅としては最大級か も。

 その頃のローマ。ローマ文明博物館に展示されている、4世紀のローマの模型。この模型は、 3世紀以前のローマ映画にもよく登 場するので、違和感が無いでも無かったけど、今回は模型の時代なので、はまってました。

  映画は305年、南フランスの砦を西の副帝クロルスが攻め落としているところから開始(Goo映画紹介では303年とあるが、映 画では305年とテロップ が出る)。これがその時のローマが攻略したガリア人の砦。その後ローマ軍の陣営として使われることになる(下は既にローマ軍が砦 として利用しているとこ ろ)。

  砦陥落後、コンスタンティヌスは、数名の部下とともに陣営を去りローマに使者に向かうが、途中で山賊を装った近衛長官マキシアス (ファウスタの兄)の部下 に襲撃され、大半の部下を失い、エンドリオは負傷する。丁度コンスタンティヌス達が襲われた丘陵地帯の地下で、秘密の礼拝所を掘 り進めていたキリスト教徒 貴族とその家族・家人達が地上での格闘の音を聞いて地上に出てきてエンドリオとコンスタンティヌスを救助する。負傷したエンドリ オを貴族の家に残し、コン スタンティヌスはローマに向かう。一方残されたエンドリオは、貴族の娘リヴィアと恋に落ちる。
 これがその貴族のヴィラ。コンスタンティヌスが去るところ。左の老人の頭の向こう側に窓が見えているが、その窓の中に負傷した エンドリオが見えていて、母屋の構造がよくわかる興味深い映像。

 これは母屋の中。中央にキッチンがありリヴィアが料理しています。右手にテーブルが見えています。

 ローマに到着したコンスタンティヌスは、元老院と皇帝を訪問し、その後ファウスタを訪問し、結婚に向けて着々と付き合いが進 行。これが皇帝の私室。左手の壁一面の本棚と、本棚を埋める書物が印象的。

  コンスタンティヌスはキリスト教徒の裁判を見学し、キリスト教徒の立派な振る舞いに感銘を受ける(面倒なので見返していないが、 この時の老婦人がどうやら 生き別れとなっているコンスタンティヌスの母親ヘレナだった模様)。続いて剣闘士試合を観戦し、キリスト教徒がライオンの餌食と なる。キリスト教徒の母子 が闘技場に入れられ、母親が犠牲になったところで、5歳くらいの子供を助けにコンスタンティヌスが飛び込み、ライオンを倒すの だった。これがその闘技場。

 皇帝と議員・貴族の私的な催しなので、貴族の邸宅付属闘技場のような感じの小さな闘技場。このあたりから低予算な雰囲気が漂い 始める。

  地下教会で集会をしていたリヴィア達が官憲に襲撃され逮捕される。エンドリオが駆けつけた時にはヴィラは焼け落ちていて、キリス ト教徒が連行されていると ころだった。リヴィアを脱走させるコンスタンティヌスとエンドリオ。二人は近衛長官マキシアスの追っ手に追われるが、コンスタン ティヌスは、追手の司令官 を返り討ちにし、その部下の支持をうけるのだった。追手の隊の兵士達があっさり寝返りすぎなのがかなり違和感のある展開。

 一方、ローマでは、ディオクレチアヌスとマクシミアヌスが退位することになり、後継者には西の副帝クロルスとリキニアーノ(リ キニウス)が選ばれる。自分が選ばれなかったことに近衛長官マキシアスは悔しがる。下右が冠を外す退位式でのディオクレチアヌ ス。

 ガリアでは、ゴート人が襲来しコンスタンティヌスの父クロルスが攻めこまれ、負傷。あわやというところでコンスタンティヌス軍 が救援に駆けつけ撃退するが、父は致命的な負傷を受け、後をコンスタンティヌスに託して死去。荼毘にふされるクロルス。右はコン スタンティヌス。

 TREVILIの町(多分南フランス)でファウスタとコンスタンティヌスは結婚式をあげる。

 結婚式の様子。式場は巨大なバシリカ建築だが、式自体は神官の前で誓う程度の簡素なもの。エキストラも多くはない

  ある日、TREVILIの要塞の上から兵士が落下して死亡する事故が発生する。夕食時、食器の下に密告のメモをみつけるコンスタ ンティヌス。そして夜、屋 敷に侵入者が。手にナイフをもってコンスタンティヌスの寝室に入りベッドを刺す。なんとそれはファウスタの父マクシミアヌスだっ た!寝台で寝ていたのは昼 間死んだ兵士だった。マクシミアヌスは捉えられた後自害する。そこにファウスタがきて恨みがましい目でコンスタンティヌスを見上 げるのだった。

 マキシアスはコンスタンティヌスを元老院で弾劾し、異議を唱えたエンドリオは逮捕されてしまう。コンスタンティヌスはファウス タの理解を得られないまま、拠点TREVILIの町から軍を率いて出陣する。雪の峠(おそらくアルプス)を越える。

  リヴィアは、集団牢獄の中の更に地下の拷問部屋に入れられてしまう。この直後、エンドリオが牢獄に連行されてくるが、リヴィアは 地下に入ってしまったので 遭遇できない。リヴィアはコンスタンティヌスの母親ヘレナの居場所を尋問・拷問され、ローマ兵士達に強姦され、その後集団牢獄に 戻され、そこにエンドリオ がいるのを知るも、拷問・強姦に傷つき、死去してしまう。激怒したエンドリオはローマ兵につかみかかり、叩きのめされ、失神して いる最中に、他のキリスト 教徒の捕虜達はどこかに連れて行ってしまうのだった。エンドリオは死んだと思われていたのだろうか、連行されずに、意識を取り戻 した後、脱出しコンスタン ティヌスの陣営に戻ることに成功する。一方ファウスタは、途中でコンスタンティヌスの陣営を脱出し、兄マキシアスの元に逃亡す る。マセシアスの元には、捕 まったコンスタンティヌスの母ヘレナがいるのだった。

 コンスタンティヌス軍はマキシムス軍が籠もる砦付近まで進軍。砦横のミルウィウス橋の上でコンスタンティヌスとマキシムスが馬 上で交渉するが、マキシムスは、ファウスタから奪った結婚指輪を川に捨てる。交渉決裂。

 コンスタンティヌスは陣営に戻り、悩むコンスタンティヌス。ところが、母ヘレナの幻を見て天幕の外に出ると、雷が響き、空中に 十字架が現れ、声を聞くのだった。全軍の前で演説するコンスタンティヌス。
  木造の陣営から出撃するマキシムス軍。攻撃を受けるコンスタンティヌス軍の砦も木造の陣営だ。しかし、もぬけの殻だった。陣営を 焼き払うマキシムス。コン スタンティヌス軍はキリスト教徒が掘った穴を利用して脱出していたのだった。なかなかコンスタンティヌス軍を見つけられないマキ シムス軍。待ちぶせしてい たコンスタンティヌス軍は、川を渡ってきたマキシムス軍を奇襲して壊滅させ、エンドリオ一隊は牢獄を襲撃。復讐を果たす。その牢 獄に捕らえられていたヘレ ナとファウスタを連れて脱出するエンドリオ。しかし彼は、背中を射られて戦死してしまう。

 コンスタンティヌス軍は、巨大な手の石像に木造の十字架を括りつけて進軍する。この巨大な手は、浦沢直樹の「20世紀少年」に 登場する団体のシンボルマークを連想させ、かなり異様。

 野戦となり、最後はコンスタンティヌスとマキシムスが一騎打ち。

 勝利したコンスタンティヌスは、マキシムス軍の砦を解放し、入城する。解放されたキリスト教徒に混じって、ヘレナとファウスタ が出迎えるのだった。
〜Fine〜

 結局あらすじを書いてしまいました。

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