スペイン製古代ローマドラマ「HISPANIA, la leyenda(ヒスパニア〜伝説)」 その2(シーズン2)


 スペイン製古代ローマドラマ「ヒスパニア」のシーズン2(第十話から十七話)を見ました。前回 は、近年のBBCドラマに比べて、安心して見れると記載しま したが、シーズン2はBBCなノリになってきました。ヌードもベッドシーンもほぼ毎回登場。小学生には見せられません。一部の カットは中学生もまずいか も。前回の第一シーズン(第一話から九話)と比べた場合の特徴を幾つかあげてみました。

・群像劇度

 かなりアップしてい ます。前回は曲がりなりにも実在の人物であるビリヤットと、ローマ総督ガルバが中心に描かれていたのですが、今回は、ビリヤッ ト、サンドロ、マルコとクラ ウディア達は殆ど背景に退いています。本作の多彩な登場人物のうち、誰までが古代ローマの史書に登場している人物なのかわからな いのですが、今回は、架空 だと思われる人物が目立ちます。前シーズンでの基本的な人間関係を理解していることが前提という感じの演出です。毎回見ていない と視聴者がおいてきぼりを 食ってしまうようなところがあります。ローマ側はガルバの息子ファビオと奴隷のサビーナ、ガイア中心。現地人側はアルダーラ、ヘ クトル、パオロ、ネレアが 目立っていました。

・残酷度

 アダルト度だけではなく、乱戦で首が真っ二つになって吹っ飛ぶ場面もあり、残酷度も増しています。

・陰謀劇度

  前回においては、総督ガルバは奸智に長けた悪辣な人物でしたし、現地人商人テオドーロがローマ側に付いたり、妻クラウディアやマ ルコが陰謀を巡らすという ことがありました。しかしクラウディアとマルコの陰謀は可愛いものでしたし、テオドーロもガルバも敵味方がはっきりしていたし、 反復常無い裏切り者ヘクト ルも、彼の性格の弱さが招いたことであって、全体としてはわかりやすい構図でした。ところが、今回新たに加わったアルダーラひと りのせいでは無いにして も、かなり陰謀劇度があがっています。前回は、ローマの侵攻から始まり、一部現地人がレジスタンスを開始し、最後に反乱軍との決 戦で終わるという、わかり やすい流れがありましたが、今回は、駐留を続けるローマ軍と現地人の間での駆け引き・策謀・陰謀が織りなす複雑な人間関係メイン の、いわゆる「谷間の時 代」を描いています。

 以下、新しく登場した人物と、第一シーズンではあまり目立ってなかったが、今シーズンでは目立っている人物の紹介です。

■主要登場人物

カウラ村
 アルダーラ こそ泥を続けながら流氓の生活をしていたが、カウラ村へ向かう途中ローマ軍に虐殺された一家の妻(パウロの妹アル ダーラ)の今際の際に出くわし、形見のペンダントを預かったことから、アルダーラになりすましてカウラ村に住むようになる。
 ナヴィア カウラ村統領ダリオの妻。村の長老ヴァルタールの娘。政治的な結婚かつ、結婚式の日にダリオの恋人ステナが首を吊っ てしまったことでダリオから拒否され続ける。挙句に統領の妻であることからローマ軍に捕まってしまう健気な女性。

ローマ軍
 ファビオ ガルバの義理の息子。クラウディアにとっても義理の子供らしい。将校として赴任してくる。サビーナと恋に落ちる。
 サビーナ クラウディア付奴隷女。前回散々な役どころだった。今回も悲惨なことが続くが、ファビオのお陰でようやく明かり が。。。。
 ガイア ファビオ付きの女奴隷。ファビオを愛するあまり、サビーナを陥れる陰謀を次々と実行。子供好き。

■各話のタイトルと内容。

第十話 帰還
  ビリヤットらレジスタンスやネレアはカウラ村に帰還。ビリヤットとネレアは、女性達の軍事訓練を開始する。そんなネレアにパオロ は不満を募らせる。エレー ナはアレホに強引にさらわれ妻にされ、ダリオは恋人のステナではなく、村の有力者の娘と結婚。ローマ軍側では、ガルバの後任に義 理の息子ファビオが赴任し てきた。ファビオは何と、ビリヤットの娘アルテアを連れていた。ファビオ付女奴隷のガイアはアルテアを娘のように可愛がり、アル テアもビリヤットのことは 忘れて過ごしているのだった。そのファビオはクラウディアの差し向けた暗殺計画に何度も命を狙われる。カウラ村もローマ軍も、内 部の軋轢が高まってゆくの だった。。。

第十一話 裏切者たち

 カウラ村の有力者テオドーロはローマ側に立っていた為、第九話の決戦でローマ軍が敗 れたことから、村を追われ、今では洞窟暮らし。しかし彼は負傷した老人の介抱を続けていた。一方流浪生活をしていた女は、パウロ の妹アルダーラになりすま してカウラ村に住むようになる。更にビリヤットの元恋人で今はアレホの妻エレーナは子供を産み落とすのだった。。。

第十二話 アルテア

 帰還したガルバは、ファビオの元で世話をされるアルテアを見て、ビリヤットの子供だと気づく。人質として牢獄に閉じ込められた アルテアを、奴隷女ガイアは逃がす。ビリヤットの元に戻ったアルテアは、しかし父親の記憶が無く、ローマ軍のもとへ戻りたが る。。。

第十三話 カウラ

 アルダーラの言動に不審を感じたネレアはエレーナとともに、アルダーラに詰め寄る。そのアルダーラはテオドーロとできていて、 テオドーロとアレホの工作で、カウラ村の軍隊がローマ軍との決戦の為平原に出払った隙にローマ軍がカウラ村を襲撃するのだっ た。。。

第十四話 感染

 ローマ軍の軍営では、咳を多発し倒れる兵士が続出していた。クラウディアも病に臥せってしまう。しばらくして洞窟に逃れたカウ ラ村のレジスタンスの間にも咳病が流行りだす。その原因を探ったビリヤットは裏切り者の正体を知るのだった。。。。

第十五話 秘密

  カウラ村襲撃の際ローマ軍に囚われたナヴィアを人質にされ、ダリオは妻の為、ローマ軍の捕虜となる。しかしナヴィアは夫を救うた め、自分がスパイとなるこ とを総督ガルバに提案するのだった。一方、エレーナの子供が自分の子ではないと知ったアレホは、赤子を森に連れ出し短剣を振りか ざす。。。

第十六話 子

 カウラ村の総会で、アレホは、エレーナの子がビリヤットの子であるとアルダーラに証言させ、夫アレホを裏切ったことでエレーナ の絞首刑が決まる。一方エレーナの子はヘクトルの手で拾われローマ軍営に運ばれるが、ガルバは子供の処刑を命じる。二人の運命 は。。。。

第十七話 交換

 ファビオは反逆罪で逮捕されるが、ガイアが脱走させる。ファビオは脱走時にクラウディアを連れ去り、ビリヤットの元に走る。ク ラウディアとビリヤットの子供の交換が提案される。裏切りが総督ガルバにバレたヘクトルは、ビリヤットの首を取ってくるように命 じられる。。。。


  なんというか、シリーズ全体のタイトルを”裏切り者達”としても良いくらい、裏切りが登場します。ドラマの視点は現地人側なの で、ファビオはローマから寝 返ったように見えますが、ローマ側からすると彼も裏切り者。第一シーズンは、「たいていの人は楽しめますよ」と言えそうな内容で したが、今回のは人を選ぶ かも知れません。視聴率も第一シーズンの平均22.9%から15.0%に低下しているのはそうした印象を反映しているのかも。ま た、終わり方も中途半端。 というか、第二シーズンと第三シーズンは予算か何かの都合で別れただけだとしか思えない程、完全に続く終わり方。とりあえず第三 シーズンの英語字幕版 dvdが出たら購入する予定です(実のところ、消化不良になってしまったので字幕なしでもいいからスペイン語版dvdを購入しよ うかと思ってamazon を見たら、売り切れていたのだった(Blue-ray版は在庫あり)。

 ところで、シーズン1の紹介記事で は、セットに見るべきものは無い、と建築物の画面ショットは取らなかったのですが、その後、ケルト時代のイベリアの遺跡の写真を 見て、一応現地住民の家 は、適当なのではなく、ちゃんと遺跡(の復元)に則った復元セットだと知り、今回建築物のセットの画面ショットを撮りました。

右側が、スペインの南ガリシア地方Castro de Santa Tegra にあるケルト遺跡。写真は、こちらの 「The Celt」という、ケルト人を扱ったサイトから拝借しました。右画像の右側の遺跡は、復元だと思われま す。左画像が、ドラマに登場したカウラ村の家。土台が円形で、円錐形の屋根が遺跡復元建築と共通しています。家壁にはめられてい る円形のものは、窓ではなく、円形の盾です。

 村の全体像。家が等間隔過ぎるのがちょっとセットっぽ過ぎるというか、時代村という印象を受けます。

 左は川の対岸から村を見たところ。右はローマ軍の陣営。規格の揃ったテントが並んでいます。

 ローマ軍営の全景。
 


第一シーズン 全9話 2010年10月25日-2011年1月11日 amazonのDVDはこちら
第二シーズン 全8話 2011年4月10日-2011年6月28日 amaoznのDVDはこちら
第三シーズン 全3話 2011年7月11日から25日  amazonのDVDはこちら

公式サイトはこちら。各話につき、それぞれ合計30分程の映像やあらすじ、人物相 関図など多くの情報があります。
Wikiの記事はこちら(シリーズを通したあらすじが記載されています)
IMDbのドラマ紹介はこちら。 

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