泉州湾古船陳列館


紹介


 

石の錨。3,4mある。奥は鉄の錨。



 福建省泉州の開元寺の境内にある宋代沈没船に関する展示を行っている博物館。撮影不可とのことだったが、受付の人に「フラッシュは焚かないから」とお願いして無理やり許可をもらって撮影したもの。中国人に対して「中国人はずうずうしい」と思う日本人がいるらしいが、今回、他の中国人が私のことを図々しいと思ったかも知れない。何故なら大抵の博物館では携帯電話のカメラで撮影しまくりの中国人観光客はこの時は数人いたが、誰も撮影などしていなかった。ともかく、それくらい見ごたえのある迫力ある展示だった。船の切先部分は修復されているのできれいにとがっているが(扉写真)、発見当時は、後部(写真上中央)のような破損具合だったかも知れない。左上写真は、正面から撮影したもの。右下は復元した船。左下は発見当時の状況をを箱庭で再現したもの。下中央は船の中腹部分。隔壁があり、船体に穴があいても、浸水を隔壁でくいとめる設計となっていた。しっかりしたつくりで、これだけ見ていると、その大きさと迫力が感じられるが、これで外洋まで出ていたのかと思うと、不安な感じがしなくもない。船底は4重になっている。1982年出土で120トン以上、23mある。

 展示は、遺物や復元船だけではなく、積載していた物資や、発見時の土の層(黄沙土沙層、黄礫土、灰磚土、灰黒土など)、他の数隻(法石古船、泉州湾宋船、後渚古船など)発掘船の発掘レポートなどが展示されていた。こじんまりした博物館だが、見ごたえがあった。なお、泉州の海洋博物館はここだけではなく、海外交通史石刻陳列館もあるが、海外交通史石刻陳列館よりもこちらの方が見ごたえがあった(というか、海外交通史石刻陳列館の方はイスラーム関連の階以外は何が陳列されていたのか覚えてもいない)。

 なお、宋代は、重慶、長沙、武漢、江南、鄭州が船の産地であり、浙江以南は無い。広州にも造船所はなかった、とある。意外である。

 船の種類としては、福船(尖い底。遠洋用)、広船、沙船(平底・近海用)、鳥船(頭が小さい)、神船(宋代使節の乗った船。出国の船なしに)、客船(尖い底)、車船(車輪がついている)、江海両開船(頭が尖っている)、万石船(円く、短く、積載量大)、魚刀魚船(方形の頭で底が尖っている。深海用)、木蘭船(一年間通じて使用可能(ということは他のタイプの船は季節使用ということだろうか))など、さまざまな様式の船の説明があった。


 

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