虎跳門水道河口の橋（中段地図の橋①）から見た南側

虎跳門水道河口の橋の東側からみた奇石山

　1276年、南宋首都臨安が陥落すると、恭帝が元軍に囚われた為、恭帝の異母兄弟である、度宗の子、趙昰とその弟の趙昺と母親の楊淑妃は福建の温州に逃れた。宰相陳宜中も温州に逃れ、勤王の士、文 天祥、張世傑、陸秀夫も集まり、7歳の趙昰は福州にて即位した（端宗）。 趙昺は衛王に封じられた。元軍が江西から 侵攻し、端宗、陳宜中、張世傑は海上から泉州に逃れ、陳宜中は占城（チャンパー）に逃れて行方不明となり、端宗と張世傑 も占城に逃れようとしたが、1278年、碙州 （現在の広東省雷州湾）の島に滞在中端宗は病没した。

　端宗没後、陸秀夫により碣州（現在の香港）にて趙昺が皇帝に即位し、崖山へと逃れた当時崖山は島で、奇石山など、峻険な山を持つ 2つの島が屹立し、門のようになっていた（ために崖門と呼ばれるらしい）。香港と深圳には趙昰と趙昺ゆかりの史跡が残る。崖山を要塞化し たが、軍・官民合わせて二十数万は、船上の生活を余儀なくされていた。

　1278年、 元の張弘范が 海上から、李恒が陸上からによる崖山攻撃が開始され、1000隻を鎖で繋いだ南宋艦隊を破ることができず、 翌年まで続く長期戦となった。しかし 1279年2月6日、陸秀夫は 8歳の趙昺を抱き入水し、楊太后も入水して果てた（壇ノ浦と瓜二つな最後である）。

　張世傑は占城へ逃れようと脱出し、敗残兵を率いて広州を攻めようとしたところで 溺死した。こうして南宋の抵抗は終わった。

　当時は島與だったようだが、今は陸地になってしまっている為、現在の地形を見て もあまり参考にはならないかも知れない。

　2段目の地図の、左崖門村付近の拡大図が右図。更に 右図中の「拡大写真」となっている部分が上写真。中心付近のバス通り左に、船が。その左に、下記図面の公園が見えていま す。橋①=闘頭大橋、橋②=崖門大橋

 公園中央には、上中写真のような廟があり、右上写真は、廟から見た銀 洲湖水道。殆ど水道は見えないが、かすか見えている。また、近隣（「宋元崖門海戦文化遊覧区」の南4km程）には、清代 の砲台跡がある。宋元崖門海戦文化遊覧区のチケット売り場（船のところ）で、砲台のチケットも売っていたので、砲台の方 も、入場する時チケットがいるのかも知れない（砲台跡自体は見学しなかったので未確認）。近くには楊皇太后の墓（後代に 作られたもの）や、梁啓超の旧宅（かなり離れているが）などがあり、通しのチケットも売っていた。

 左写真は、復元戦艦を別の角度から見たところ。下記2まいの写真は、 「宋元崖門海戦文化遊覧区」入り口から500m程北の地点から、奇石山と復元船を見たところ。復元船は、右下写真の看板 の先にマストが出ています。

 崖門の戦いは、日本の小説、宇 月原晴明氏の「安徳天皇漂海記」というう美しき綺譚にわりと詳細に描かれています。高校生の頃に、河出書房新社「新十八史略」の第11巻、「南海残夢」の巻に 出てくる南宋最期の記述を読んで、それ以来ずっと心に残っており、その場所に今回行くことができて感激しました。深圳に 来るときも、どこか近くにあるのではないか、期待しておりまし た。といっても、中国南方で知っている史跡と言えば、南越王国とアヘン戦争関連と、そしてこの崖門海戦のことぐらいしか 知らなかっただけなのですが。。。

　あまり行きやすい場所とはいえないので、地図を作ってみました。マカオに隣接す る珠海市から、市バスを乗り継いでなんとかいけますが、江門市側から行った方が、早くて簡単だと思います。江門から行く 場合、市バス（確か109番。江門総汽車站から出ている）で終点の古井鎮まで行き（1時間程度）、古井鎮からバイクタク シーで15分程（10㎞）。

　マカオ・珠海市から行く場合は、珠海市の市バス601などで闘頭区まで行き（１ 時間）、609に乗り換えて終点御温泉の手前、南門か南門通口で下車（30-1時間）、そこで古井鎮行き、または新会城 か、老会城行きバスに乗って30分くらい、「宋元崖門海戦文化遊覧区」のそばで降ろしてもらう（施設入り口をなぜかバス は迂回している）。