CCTVの地理歴史紀行番組「中国走遍」の「王城の地」に登場した古代洛陽城再現映像


  中国中央テレビ(CCTV)放映の歴史地理紀行番組シリーズ「中国走遍」では、2009年4 月3日から7日にかけて洛陽歴史シリーズが放映されています。

第一回「天造洛陽」 4月3日放映
第二回「王城の地」 4月4日放映
第三回「シルクロード千年」 4月5日放映
第四回 白馬東渐 4月6日放映
第五回 「根系洛河」 4月7日放映
第六回 山水龍門 4月8日放映
第七回「依水而盛」 4月9日放映
第八回 「黒色天香」 4月10日放映



  この第二回「王城の地」では、現在の洛陽付近に都を置いた歴代王朝の遺跡の復元CGが放映されています。夏王朝時代の都と推測さ れている二里頭遺跡、商 (殷)時代の偃師商城、東周時代の洛陽城、後漢から北魏時代の洛陽城、隋唐時代の洛陽城それぞれの再現映像が見れて、非常に参考 になる番組となっていま す。ご参考に各時代の再現映像の一部の画面ショットを掲載いたします。ご興味のある方は、CCTVのサイトで視聴してみてはいか がでしょうか。

二里頭遺跡

偃師商城(左は宮殿基壇の 遺跡)

東周時代

漢魏洛陽城

隋唐洛陽城

 これら遺跡の位置関係は、第七話「依水而盛」で地図で示されています。右側画像の右端から、偃師商城、二里頭遺跡、東周洛邑 城。左画像の色が濃い城市の右側から、漢魏洛陽城、隋唐洛陽城。皆、洛河の沿岸にあることがわかります。右上の大きな川は黄河。


  中国の歴代建築物は、ヨーロッパやイスラームの建築物と比べると、素人目には時代の違いがわかりにくいのですが、こうして並べて みると、割りと違いがわか ります。二里頭(夏時代)と商代は藁葺き屋根で、二里頭よりも偃師商城の方が建て込んでいる様子がわかります。日本で言えば二里 頭が邪馬台国くらいで、偃 師商城が6世紀初頭の継体天皇時代くらいでしょうか。東周時代となると瓦屋根となり(瓦の遺物が発掘されている)、日本では聖徳 太子の時代くらいかも。漢 魏洛陽城となると、映画「始皇帝暗殺」等で登場している始皇帝の宮殿形式の、台榭式(土台を土で盛り上げて高層建築のような外観とする)となり、また高層の楼 閣も見られるようになっています。高層楼閣は、模型の遺物が出土していて、赤塗の柱も壁画が出土していますから、大体後漢から北 魏時代の洛陽の復元映像としては、よくできているように思えます。

 漢魏洛陽と隋唐洛陽城の相違は、上の画像だけではわかりにくいので、もう少し他の画面ショットをこちら(漢 魏洛陽城)とこちら(隋 唐洛陽城)にはっておきましたが、25分くらいの番組ですので、ご興味のある方は「王城の地」を 視聴することをおすすめします。ぱっと見大きな違いは、漢魏は楼閣があるのは宮殿地区だけで、数もまばらな感じですが、隋唐では 宮殿地区の高層建築が建て 込んでいて、更に市街の建築物も、唐代の方が建て込んでいるように見える点でしょうか。城壁や、城壁上の楼閣も隋唐洛陽城の方が 高そう。戦国時代から前漢 代前半まで流行した台榭方式は、後漢では基壇が低くなっていたそうで、後漢洛陽城も4.5mと、前の時代より低くなっていたとの こと。でも唐代の宮殿建築 のでは台榭が復活したのではないかとさえ思えます。更に、そもそも建築物のサイズが一回りくらい隋唐の方が大きそう。このあたり の詳細は、この番組のおか げで興味が出てきたので、そのうち調べてみようと思います。双方とも城壁遺跡は出土しており、宮殿建築のサイズも史書に残ってい るかもしれません。屋根の 建築方式については、唐代の木造建築が残っており、漢代楼閣の模型と比較すると顕著な相違がわかるかも。少なくとも外観的には、 漢魏洛陽の屋根は直線で、 隋唐洛陽の屋根は沿っていることがわかります。あと映像では同じように見えますが、城門にレンガ(磚)が使われ始めたのは南北朝 時代くらいからで、後漢時 代は版築(土を突き固めたもの)で、城壁に磚が使われ始めたのは南北朝も後期になってからだったと思うので、隋唐洛陽の城壁・城 門は磚だった点が大きな相 違のひとつでしょうか。

 再現CGを見ていて一点気になったのは色でしょうか。漢代建築は壁画が残っていて、朱塗りの柱だったのはその通 りなのですが、唐代はもう少し緑やオレンジなどがあったような印象がありましたが、こんな感じだったのでしょうか。このあたり も、今度調べてみようと思っ ています。

 ところで、第三話「シルクロード千年」では、中国で出土したらしきローマ騎兵とローマ人の像が登場していましたが、これは本 当なのでしょうか。本当なのだから番組に出ていたのだろうけど。確かに中国式の塑像で、ローマ風です。こんなものが出土していた とは衝撃。これについても そのうち詳細を調べてみようと思います。


 なお、こちらの中国語のサイトでは、中国走遍の「天地洛陽」に登場する歴代洛陽CG再現 映像以外の再現CGの画像も張ってあるので、併せて参考になるかと思います。  



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