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ほんのお遊びにしか過ぎませんが、各世界の統計数値をちょっと引用・或いは算出してみました。当然数値は概算・推定値です。
2014/5月に経済学者である成城大学教授明石茂生氏の著作「古代帝国における国家と市場の制度的補完性について(1)ローマ帝国、
(2)漢帝国」(2009/2011年)をもとに、現代日本円に換算した場合等のGDP関連数値を見直しました。新版はこちらをご参照ください。
ローマ | イラン | 中国 | ビザンツ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
人口 | 紀元14年推定5400万人(人口の詳 細はこちら) | 推測 1000-1500万人 | 紀元前200年頃推定1200万人 紀元2年推定6100万人(漢書記載値5959万人。最大7100万人との推定あり) 紀元25年頃約1500万人 紀元157年約5648万人(人口の詳細はこち ら) |
推測 1025年頃 1500万人 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
面積 | 紀元14年 約3375Km2 (地中海2966km2を含めると6341km2) 紀元138年 約5001km2 (地中海を含めると7967km2) 紀元300年 約4568Km2 |
通常富強時3568km2 (シースタン、ガンダーラ地方をも含む最大時約4204km2) |
紀元前140年頃 1553km2 紀元前100年頃 3279km2 西域を含む最大時約4841km2 (当時の統計では紀元2年1億2952万頃、利用不可能地1億2百万頃、耕地827万頃。1頃がどのくらいかわかれば当時の 把握国土面積がわかるのかも) |
1025年 1255Km2 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
税収 | 約8億セステルティ |
6億ドラクマ(ホスロー2世代出 典はこちら)。 | 前漢末 570億2337万銭(兵役を税収として計上)(税収の詳細はこ ちら) | 3,300,000ノミスマ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
住民の収入 |
農業奴隷1200-2000、剣闘士1000から1万5千セステルティ。元老院議 員の1例、100万デナリウス。 ハドリアヌス時代の高級役人 20万セステルティ級職34、10万級35、6万級35 |
200-300ドラクマ程度(詳細はこちら) |
高級官僚(閣僚級)20万銭。下級官吏7200銭(1石100銭として換算) | 高級官僚 200ノミスマ 工員 25ノミスマ |
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生活費(年)/人 | 属州で1000-2000、ローマで2万セステルティ程度。物 価の詳細はこちらのサイト | 200から300ドラクマ(詳細はこちら) | 3600銭 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
推定GDP | 120から130億セステルティウス(古代ローマを知る事典」p302小麦1モディウス=3セ ステルティウスとしている) | 不明 | 2500億銭 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
220億ドル(世界シェア21.5%) |
不明 |
268億2千万ドル(世界シェア26.2%) |
世界シェア7%(出 典はこちら) |
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穀物生産高 |
164年頃の人口6130万人時で2237万トン。1人当たり の小麦粉消費量1日685グラム。1kg約0.46セステルティウス |
不明 |
前漢代粟1石34.4㍑で8540
万 トン(詳細はこち ら)。
必要穀物量は3672万トン。1人当たりの粟消費量1日約1.69キロ(粟の方が小麦より嵩張るらしい)。1kg約2.94
銭 |
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現代日本円に換算した場合の諸統計(単なる数字のお遊びです) |
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官吏の数 | 帝国官吏300人以上 |
不明 | 約12万人 | 中央政府600人(9世紀) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
軍隊 | 約30万 | 兵役100万人 | 約12万人 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
平均寿命 | 男20代前半、女性25歳(ただし、15歳まで生きた者の残余命は、男32年、女34年となっ ていて、死亡率の高い幼年期を凌げば、半数くらいは50歳近くまで生きることができた。 | 人頭税の課税範囲が20、または25歳から55歳となっていて、20/25歳以下と55歳以上 は死亡率が高かった為と推測される(出典はこちら)。 | 人口の半数は35歳以前に死亡。半数弱が50歳近くまで生きたと思われる(詳細はこちら)。 |
典拠:
1)人口 | ローマ、イラン、ビザンツの人口については 湯浅赳男「文明の人口史」(新評論社)から引用。 中国につい ては各正史などの資料(の翻訳など)から。 |
2)面積 | 現代の地図に古代の線を引いて現代の各国、各州の面積を積算したもの。なのでかなりアバウトではあるけど、概ね近い数値 だと思いま す。 |
3)税収 | イランについては足利惇氏氏「ペルシャ帝国」(講談社「世界の歴史」9巻)から。 漢については山田芳勝(「秦漢財政収 入の研究」 (汲古書院)) ビザンツの税収は井上浩一氏「ビザンツとスラブ」(新潮社「世界の歴史」11巻)からローマについては 「ローマ帝国愚帝列伝」(講談社選 書メチエ)から。 |
4)生活費 | その他生活費等は「年代記」(タキトゥス岩波文庫)、山田芳勝(「秦漢財政収入の研究」、「漢帝国と辺境社会」(中央公
論)籾山
明)、「黄金のビザンツ帝国」(ミッシェル=カプラン)その他の著作を参考にしました。ローマの場合1~2世紀に適用可能な
数字だと思われます。4世紀に
は貨幣価値が下落し日常生活の単位にデナリウスが使われるようになるので大分異なる様です。ドラクマは古代ギリシャの水夫の
日当が1ドラクマとのことから のまったくのえいやの数字に過ぎません。 ノミスマの購買力も分かりませんので、工員の賃金25ノミスマに対し、農業労働者をその半分の12ノミスマとし、これを 100万円相当とすると、1ノミス マ約8万円となる。取りあえずこれで換算しておきます。当時奢侈品に費やすことも無いので、田舎での低い方の生活費100万 円と強引に見なして、計算して みました。 |
5)通貨単位 | ローマの通貨単位 1アウレウス=25デナリウス 1デナリウス=4セステルティウス=16アス ビザンツの通貨単位 1ソリドゥス=2セミシス=3トレセミシス |
6)推定GDP | 古代ローマの値(穀物生産高含む)は、「古代ローマを知る事典」から。漢については、山田芳勝(「秦漢財政収入の研究」
の内容を元に算出。Wiki記載GDPとは、こちらの、ア
ンガス・マディスン氏のデータに基づいて作成した紀元1世紀の各国GDP表から引用。ローマ帝国以外の西欧が
111億ドルと、ローマ帝国の半分もあったりと、まあこれも数字のお遊びでしょう。 |
7)平均余命 | ローマについては、「古代ローマを知る事典」から。漢代についてはこちらに詳細記事を記載。 |
2010/3/20 追記
最近になって、遅まきながら2004年に出版された「古
代ローマを知る事典」という書籍を知りました。私が欲しかった情報がまさに記載されている書物です。もともとこのプロファイル表
を作成した理由は、現代の百科事典の国の項目(例えば、Wiki上の「チュニジア」でも良い)を見てみると、まず最初に、面積・人口・
GDP・首都・通貨・国家元首・政体などが記載され、その後、社会や歴史、経済の項目が続きます。歴史に関する記載でも、ある「国」について
記載する場合は、現在の百科事典の形式に合わせた記載をあまり見たことが無い、というか、全然見たことが無かったことから、本記事を作成して
みたわけです。しかし、「古
代ローマを知る事典」が出たことで、ローマについては本記事は必要無くなったと言えます。あとは、「漢王朝を知る事典」「ビザン
ティン帝国を知る事典」など、同じフォーマットで国のプロファイルを記載した書籍が出てくれると嬉しいですね。今回少し、「古代ローマを知る
事典」や、その後得た知見などを追加しました。