2021/Jan/03 created


 史料参考日本語訳

私が史料を読むもっとも重要な動機は、まずは全体の量と構成を知ることにあります。何がどのくらい物理的に残って いるかどうか、ということを知ることは、結構重要なことだと思っています。百聞は一見に如かずといいますが、「一冊の 本」といってもその分量は様々であり、量という外形情報を把握することは重要だからです。

 例えば、『漢書』は書かれた当時は、当時の編纂方法で全100巻、トゥキディデス『戦史』は8巻ですが、現代日 本語訳では、漢書は文庫一冊約450頁が8冊、『戦史』は文庫一冊約500頁弱で3冊、西洋古典叢書では2冊です。『漢 書』原書の一巻分は文庫邦訳平均36頁、『戦史』1巻分は文庫邦訳で約180頁となっていて、1巻あたりのボリュームは 5倍の開きがあります。タバリーの『歴史』は校訂本で10000頁、現代英語訳で各巻200頁くらいで全39巻もありま す。

 何がどのくらいの分量で書かれているのかを知ることは重要です。もしかしたら、現代の歴史書で頻繁に引用されて いる部分は、冒頭や末尾の一部かも知れないからです。ほんの一部にしか書かれていない場合、他の部分に何が書かれている のか、どうしてそういう構成となっているのか、興味が出るわけです。

 ここで訳出している史料は、一部を除いて日本語訳が存在しないため、英文で読んだ当初、読み直す時に何度も英文を参照 するのが面倒なので備忘録代わりに作成したものですが、手っ取り早くボリュームや概要を知りたい方の参考になるかも知れ ないためネットで公開しているものです。大学の卒論やレポートの出典に引用・利用するには適切ではありませんので、利用 した英語や漢文や原典の記載箇所を手っ取り早く特定する場合等、何かの生産性向上のためのものであるため、あくまで情報 収集の効率化と参考のためにご利用ください。


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